1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。
まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、46回目は、ハンザ号とハムレット号の2列車を取り上げます。
EC Hansa und Hamlet
(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)
ハンザ:1901年に発見されたメインベルトの小惑星。
この名前は、12世紀から17世紀にかけて存在した、共通の経済的利益を代表するドイツ商人の団体であるドイツのハンザ同盟に由来する。
ハムレット(近世英語:The Tragical Historie of Hamlet, Prince of Denmark): デンマーク王国を舞台にしたウィリアム・シェイクスピアの悲劇。
既存のメルクール号、スカンジナビア号に加え、D 398/399 ハンブルク・エクスプレスの後継となるEC 34/35 ハンザ号は、1987年5月31日からハンブルク - コペンハーゲン間で運転される3番目のユーロシティだ。EC34はコペンハーゲン発7:15で、ハンザ同盟都市ハンブルクへの快適な日帰り旅行を提供する。ネストヴェズ、ニュークビン、ロービュ、プットガルデン、オルデンブルク(ホルスタイン州)、リューベックを経由し、ハンブルクには12:25(中央駅)または12:45(アルトナ駅)に到着する。復路はEC 35で、ハンブルク・アルトナ駅発17:19または同中央駅発17:39で、コペンハーゲン着22:50。DBのインターシティ用車両(Avmz、Bm、2台のBpmz、プットガルデン発着のもう1台のBm)と荷物車の短い編成が、1日の往復に使用される。このため、EC 34/35の表定速度は両方向とも67km/hである。
1991年6月2日より、ハンザ号はEC 194/195 ハムレット号となる。運行時刻は分単位で変更されたが、発着はハンブルク中央駅となった(EC 195は12:31着、EC 194は17:11発)。ハムレット号の編成は、EC 190/191 トーマス・マン号およびEC 192/193 カレン・ブリクセン号との運用循環に組み込まれている(順序:EC 195→EC 190→EC 191→EC 192→EC 193→EC 194)。
1992年夏ダイヤから、列車番号は再びEC 192/193に変更され、1993年5月23日からは、ハムレット号はハンブルク - コペンハーゲン間でDSB-IC3ディーゼル列車(1ユニットが3両)に鞍替えされた最初の列車の1つとなった。 EC 192/193にはコペンハーゲン・ハンブルク間の2ユニット連結の編成(6両編成)が使用され、プットガルデン - ハンブルク間は別のIC3ディーゼル列車が増結された。複数ユニット使用と、プットガルデンとロービュでの増解結の省略により、所要時間はそれぞれ5時間01分と5時間09分と若干の短縮となる。1994年5月29日以降、列車番号はEC 188/189に変更、ハンブルク発時刻が約1時間繰り下げされた(EC 188 18:26発、コペンハーゲン着23:08)。EC 189は、コペンハーゲン発7:30で、ハンブルク着12:25。このときハムレット号は、EC 184/185 ベルテル・トーヴァバルセン号と循環運用をおこなっていた。1997年9月28日より、EC 188のハンブルクの出発時刻はさらに1時間繰り下げられた(ハンブルク発19:32、コペンハーゲン発23:57)。
その後、座席数は需要の変化に合わせて繰り返し調整された: 例えば、1999/2000年間ダイヤでは、IC3ディーゼル列車が1ユニットあれば十分だった。1998/99年年間ダイヤからは、ハムレット号はEC 38/39として運行され、2000年5月28日※からは、EC 38はマルメ中央駅から延長運転されている(7:03発→ハンブルク中央駅12:15着)。2002年12月14日(EC 38)と2002年8月25日(EC 39)には、ハムレット号と名付けられたIC3ディーゼル列車が、マルメとハンブルク、ハンブルクとコペンハーゲンを結ぶ最後の列車となった。その後、ハンブルク - コペンハーゲン間が2008年ダイヤ改正から605型ICE列車(ICE-TD)に切り替わるまで、デンマークのディーゼル列車はユーロシティとして運行されるが、ホルスタイン州とユトランド州を「列車名なし」で通過する。それはまた別の話だが...。
※ブログ筆者注釈:ThomasCookEuropeanTimetable 2000/5/28号を見る限り、EC 38のマルメ延長運転開始は7月1日の模様
編成例(書籍内イラストから)
【ハンザ号】
1988〜89年冬ダイヤ
1等・2等のコンパートメント車、2等オープン座席車、食堂車なし、ロービュでの増解結。ドイツ・デンマークの車両。
【ハムレット号】
1996年夏ダイヤ
1等・2等のオープン座席車、食堂車なし、プットガルデンでの増解結。デンマークの車両。
参考資料:
・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt
・Thomascook European Timetable/Thomascook
参考ページ:
・Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)
ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)