「ただいま恋愛中」('02)

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チェリムさん、ソ・ジソブさん、クォン・サンウさん主演のラブコメディです。脚本は「美しき日々」「星を射る」のユン・ソンヒ作家。とにかく気軽に楽しめる軽いラブコメディです。
惚れっぽい女の子ホジョン (チェリムさん) と頑固で古風な男ギュイン (ソ・ジソブさん) の 10代から 20代にかけての 10年 (?) に渡る、つかず離れずの微妙な「友達以上恋人未満」の関係を中心に、ホジョンの弟ホジェ (クォン・サンウさん) とホジョンの親友スジ (イ・ウィジョンさん) の凸凹カップルの恋物語が展開して行きます。
本当にお気楽に観られるドラマで面白かったのですが、サンウ君扮する女たらしで「超おバカ」のホジェが年上の「(かなり) 冴えない地味な優等生」スジと展開するドタバタの恋愛劇が特に面白かったです。サンウ君はこういったおバカでおちゃらけた青年役でコメディというのが一番似合うんだということを僕に確信させた作品です。もちろんサンウ君のシリアスものもいいとは思うんですけど、持ち味が生きるのはやっぱり「コメディ & おバカ」 (^^)v 自分がめちゃめちゃいい男だということを鼻にかけ、女をとっかえひっかえ、女には全く不自由していないホジェが自分とは全くの正反対の優等生スジを何故か好きになって行ってしまう過程がめちゃめちゃ楽しかったです (^^)
実年齢ではチェリムさんやジソブさんより年上のサンウ君が一番年下の役をやっているのには若干無理がありましたが、そこは「さすが韓ドラ」ということで (^^;;;ドラマの序盤は、主人公ホジョンが毎回男に惚れては実はその男が「ダメンズ」だと分かって別れる、という絵に描いたような「ダメンズウォーカー」ぶりが描かれます。結構、ここで視聴を断念する方も多いようですね。確かにホジョンがあまりに「バカ過ぎ!」って感じがしますからね (^^) 分かりやすいダメ男に簡単に騙され続ける女の姿は確かに見苦しい (^^;;; でも僕は結構面白かったですね。それにその「ダメンズ」を演じる俳優たちのキャスティングが絶妙で面白かったですし。
特に 3番目のストーカー男ジンソンと4番目の「大人の男」ジョンフンが印象的でしたね。ジンソン役は「オールイン」で主人公イナ (イ・ビョンホンさん) の親友の刑事を演じていたチェ・ジュニョンさん、ジョンフン役は「星を射る」の映画監督を演じていたパク・チョルさんです。意外だったのはチェ・ジュニョンさんが '66年生まれでパク・チョルさんが '68年生まれだということ。役の年齢とは逆だったのも驚きですが、チェ・ジュニョンさんてそんな年だったんだとかなりビックリ! (@o@)ジンソンのイカレストーカーぶりは目が据わっててめちゃめちゃ怖かったし (でもどこか笑える)、ジョンフンの渋いキザな二枚目ぶりと女たらしの雰囲気が「コテコテ」で面白かったです (^^)
ところで「ただいま恋愛中」から少し話がそれますが、ジョンフン役のパク・チョルさんはこのドラマより前はかなり太っていて、その体型を活かしたコミカルなイメージでドラマに出演したり、バラエティ番組の司会を務めていたりしていたようです。例えばシウォン君主演の「完璧な男に出会う方法」('97) では間抜けな「復讐代行屋」(?) を演じていましたし、チャ・インピョさんとトーク番組の MC を担当し、「ボケ」の役回りをしていました。あまりにも体型もイメージも全く違うので同一人物だと気が付くまで相当に時間がかかりました (^^;;; とにかくパク・チョルさんが元々こういったコミカルなキャラで売っていたということは、韓国の視聴者は「ただいま恋愛中」のジョンフンを最初から「怪しい」と思って見ていたんでしょうね (^^)他にも見覚えのある俳優さんたちが脇を固めているので、そういったところを見ても面白いです。特に普段見慣れた役とは逆の役をやっているのが面白いです。例えば、ホジョンとホジェの父親役のハン・ジニさんは「プロポーズ」のスビン父のようにしっかりした頼もしい父親役が多いんですが、このドラマでは、「超」がつくだらしないダメオヤジ役。また母親役のキム・ヨンエさんは「ラブレター」で上品で美しい母親役を演じていますが、このドラマでは、だらしないダメ夫の代わりに家計を支えている威勢のいい逞しいオバちゃん役。いつも怒ってばかりで顔も怖いです (^^;;; そしてスジの父親役は「チャングム」のトックおじさん役で有名なイム・ヒョンシクさん。庶民的な役が多いですが、このドラマではお金持ちのお医者さん役。とまぁ、僕にとっては意外なキャスティングなのですが、そこはさすがベテランの役者さんたち。役にピッタリはまっています (^^)
メインストーリーについて、全く触れていませんが、それは説明するまでもない内容なので、ここでは敢えて割愛します、というのはあまりに手抜きなので、1つだけ。メインストーリーでの注目ポイントはギュインを演じるソ・ジソブさんでしょう。普段、悲劇的で且つエキセントリックな役が多いジソブさんが、珍しく「普通の青年」役を演じているのが新鮮です。本人も実際の自分に一番近い役と言っていましたが、確かにそんな感じの「純朴で生真面目 (頑固) な、ちょっと大人しい青年」役です。彼が「ちょっとおバカな」ホジョンを見守る姿は女性ウケするんじゃないかと思います (^^)
それから女性視聴者の皆さんには「サービスカット」として「ジソブ&サンウのモムチャン悩殺水着ツーショット」が堪能できます (^^)
しかし韓国ドラマは何故にこうも男の裸が多いんだろ? ジソブさんなんてどのドラマでも水着シーンがあるし、サンウ君も「天国の階段」では無駄に長い全裸シャワーシーンがあったし (^^;;; 同じ男としては、そういうシーンをどう観ればいいのか悩みます (^^;;;とにかくジソブさん、サンウ君のファンは必見だと思いますし、そうでない方も「重苦しい」韓ドラに疲れたときには、こんな軽いラブコメも箸休めとしては最適だと思います (^^)v
「ラブレター」('03)
- ハピネット・ピクチャーズ
- ラブレター DVD-BOX
チョ・ヒョンジェさん、チ・ジニさん、スエさん主演、オ・スヨンさん脚本の正統派ラブストーリーです。このドラマは、神父を目指す美青年アンドレア (チョ・ヒョンジェさん) とアンドレアを深く愛するウナ (スエさん) との純愛を中心に物語が展開しますが、僕がこのドラマに注目していたのは、アンドレアの友人であり、またウナを「狂愛」するウジン (チ・ジニさん) の屈折です。またこのドラマをきっかけに「俳優チ・ジニ」に興味を持って、いろいろと他の出演作品を観るうちに、チ・ジニさんは今では最も好きな韓国俳優の 1人になりました。
チ・ジニさんと言えば、「宮廷女官チャングムの誓い (原題: 大長今)」のミン・ジョンホ役が有名で、この役でチ・ジニさんのファンになられた方にとっては、「ラブレター」のウジン役はとても評判が悪いようです (^^;;; 確かに愛し合うアンドレアとウナの邪魔をするばかりの「悪役」でしたからね。でも僕はウジンを悪役として憎むことはできなかったんです。ウジンの悪行の数々は許されるものではないと思いますが、そういう「悪」に染まって行く自分自身に苦悩する姿に同情を禁じ得なかったからです。本来心優しい青年だったウジンが、幼い時から実の父に疎まれる中での唯一の心のよりどころであった母が実の母ではないことを知り、更にそんな母の愛を母の実の息子アンドレアに取られてしまうことに強い嫉妬と恐怖を感じる… そしてその恐怖から逃れるためにアンドレアと愛しあうウナに「執着」してしまう様や、憎い父親と自分が全く同じようになっていくことへの自己嫌悪に苦悩する姿はあまりに哀れでした…
このドラマをご覧になった方の中には「美しき日々」('01) との類似点にお気付きになった方もいらっしゃるのではないでしょうか? 以前の記事 にも書いたように、僕は「美しき日々」の登場人物の設定や背景がとても自分の「ツボ」にはまっていたのですが、ストーリー (の後半) が僕の期待とは全く違う方向に進んでしまったことをとても残念に思っていました。ところが、この「ラブレター」はそういった「美しき日々」に感じていた不満をかなり解消してくれる内容だったんです。役柄としては、それぞれミンチョルがウジンに、ソンジェがアンドレアに当たる感じですね。ただ、「美しき日々」ではソンジェに共感していたのに「ラブレター」ではウジンに共感していたのは自分でもちょっと不思議 (^^;;;
もしかすると単純に「美青年」に共感できないだけかも知れませんけど (^^;;;とにかく、こういった「屈折した親子愛やなさぬ仲の兄弟の確執」というポイントが僕のツボにはまり、そしてウジンを完璧に演じたチ・ジニさんがお気に入りの俳優になったのです。
キリスト教徒の多い韓国と違って、キリスト教の教えに慣れ親しんでいない日本人にはちょっと理解しづらい部分もあり、またドラマ全体に息の抜けない緊張感があるために、見続けるのが苦しいと感じることがあるかも知れませんが、僕の好きなドラマです。
「茶母 (チェオクの剣)」('03)
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韓国ドラマの元祖「廃人ドラマ」で、韓国では社会現象にまでなった超人気「カルトドラマ」です。ただ残念なのは、NHK BS2 で放送されたバージョンはカットや音楽の差し替えがあり、オリジナルバージョンで「ハマった」方たちからの評判がすこぶる悪いんですね… 僕は NHK のバージョンと韓国で発売されたディレクターズカットバージョン (字幕なし!) の両方を観ていますが、確かに印象が違います。カットバージョンでは、物語の繋がりに「?」となるところが多かったですしね。
ところでこのドラマ、元祖「廃人ドラマ」ということで、観る前からかなりワクワクしていたのですが、期待が大き過ぎたせいか、「廃人」にはなれませんでした。ワイヤーアクションは好きなんですが、ちょっと多用し過ぎで現実離れしていたために、少し覚めた目で見てしまい、物語に没入し切れませんでした。それにヒロイン・チェオクのあまりに無鉄砲で無謀な行動にかなりイライラさせられたことも「廃人」になれなかった原因かも知れません。とは言いつつも、やはり熱狂的なファンがいることには大いに納得できる完成度でした。
まずはキャスティングが素晴らしいです。チェオク役のハ・ジウォンさんは、こういった虐げられながらも強くたくましく生きて行く、でも常にどこか不幸の影を背負っているという役が本当に上手いです。きっと、この演技が「バリでの出来事」のスジョン役に繋がっているんですね。そしてファンボ・ユン役のイ・ソジンさん。最初はソンベク役でオファーがあったそうですが、ユン役で正解でしたね。知的で常にクール、しかしチェオクに対してだけは抑えきれない熱い想いを常に抱いて生きている、その二面性を巧みに表現されていました。そしてソンベク役のキム・ミンジュンさん。ドラマ初出演だったそうですが、その存在感は素晴らしかったです。彼の個性を生かした、時代劇としては「超」斬新な髪型と衣装、そしてモデル出身らしい立ち姿の美しさでソンベクのカリスマ性を完璧に表現していたと思います。それから僕が一番好きなウォネ役のクォン・オジュンさん。ウォネの強面で、ぶっきらぼうでありながら、温かい人間味溢れる魅力で、脇役ながら僕はこのドラマの中で一番注目していました。
そして音楽も素晴らしい。どこか「戦隊ヒーローもの」を思わせる「宿命」は時代劇の挿入歌としてはとても斬新でしたし、何より「悲歌」が素晴らしい。若干、演歌調ではありますが、登場人物たちの悲劇的な運命を暗示させる歌詞の内容と曲調で、この曲がかかるたびに涙腺が刺激されました (ToT)
- TVサントラ, キム・サンミン, ホン・ジュ, JUST, キム・ヘウン, ペイジ, キム・ソンミン
- チェオクの剣 オリジナル・サウンドトラック(DVD付)
エンディングは「バリでの出来事」を観た後ではさほど衝撃的ではありませんでしたが、やはり最終回の後半は涙なくして観られませんでしたし、また緊張感の張りつめた演出のために、全てを観終わった後は緊張の糸が切れた脱力感でしばらくぼぉ~っとしてしまいました。これってやっぱり「廃人」になったってこと? (^^;;; でも翌日には復活しましたけど (^^)v
「プロポーズ」('97)

- マグザム
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放送当時 ('97) の韓国で 10代から 20代のファッションリーダとして超人気アイドルだったキム・ヒソンさんとリュ・シウォン君が共演した、ユン・ソクホ監督による絵に描いたような「トレンディドラマ」です。また、今をときめくウォンビンさんのデビュー作としても有名です。
ちょうど同時期に、シウォン君とヒソンさんの 2人は、人気音楽番組の司会をコンビで担当していたこともあり、息のあったセリフのやり取りが、演技とは思えないくらい自然でした。ユン監督も 2人に対しては細かく演技を付けるというよりも 2人の素の魅力を活かすことを優先していたようですね。
このドラマ、今観るとやはり古さと言うか「時代」を感じさせます。なので単純に今のドラマと比較して観てしまうと決して面白い訳ではないのですが、同じ '97年に製作された他の韓国ドラマと比較すると、その洗練された画面構成、登場人物のキャラクターやファッション、ストーリー展開、音楽、どれをとっても当時の韓国の最先端だったことがよく分かります。日本でいうとちょうど '80年代後半のイメージに近いので、その '80年代後半に「青春時代」を過ごしていた僕としては、この「'97年の韓国」の最先端サブカルチャーを描いている「プロポーズ」にはどこか懐かしさを感じました。
ストーリーは「友達以上恋人未満」の関係にある幼なじみの 2人が、紆余曲折の末、本当の愛に気付くという「トレンディドラマ」の王道を行く内容で、それを当時の韓国の最先端のファッションと音楽で綺麗にデコレーションした「ヒソンさんとシウォン君のプロモーションビデオ」といった感じの作品になっています。日本でも '80年代によく放送されていた「アイドルドラマ」をもう少しシャレた映像にしたという感じでしょうか。
僕がこのドラマで好きなのは、ユン監督らしい映像表現です。セリフなしで映像と音楽だけで見せる、ヒソンさんとシウォン君のはじけるような若さと煌めくように爽やかな姿。このスター 2人の最も輝いている姿を映像に鮮明に記録した、それだけでこのドラマには価値があるように思えます。もちろんウォンビンさんの少女漫画から飛び出したような美少年ぶりを記録したという点でも重要ですね。
とにかく映像とその時代の「空気」を味わうドラマだと思います。ストーリーの内容自体は、ユラ (ヒソンさん) が好きになるミンソク (イ・チャンフンさん) の魅力が分かりづらいためにユラの言動を理解することが難しく、またスビン (シウォン君) のユンジュ (チョ・ウンスクさん) への態度があまりにヒドいなど、いろいろ「至らない点」がありましたからね。ただ、そうは言いつつも、スビンのユラに対する気持ちには共感するものがありました。単なる「男女の愛」とは違う、「父性愛」に近い感覚が良かったと思います。このスビンの「想い」が最終回で語られるシーンでは不覚にも目頭を熱くしてしまいました (^^;;;
エンディングも僕好みでしたし、全体としてはなかなかの「佳作」だと思います。ただ、若干、冗長と言うか間延びしていた感じは否めません。聞くところによると、そもそも全7話程度全8話の予定だったのが視聴率が良かったので全14話に延長されたそうですから、仕方ないと言えば仕方ないかも知れませんね。僕としては、極端に言えば、第1話と最終回だけで充分満足できたと思います (^^) 第1話と最終回の出来が特に良かったんで (^^)v
「12月の熱帯夜」('04)
歌手兼女優として活躍しているオム・ジョンファさんとモデル出身のキム・ナムジンさん主演の「主婦の不倫」を描いたドラマです。あらすじだけ読むと、同居している姑や小姑の仕打ちに耐えかねた世間知らずの主婦が年下の男との不倫の愛に溺れて行く昼メロ調のドラマと思われてしまうかも知れませんが、これが全然違うんですね。主人公の細やかな心のひだを丁寧に描き、妻の不倫に動揺する夫、母の不倫に傷つく子供の姿など、ヒロインを取り巻く人々の心情をも丁寧に描くことで、単なる「不倫ドラマ」ではなく、奥深い「人間ドラマ」として、そしてまた夫以外の世界を全く知らなかった世間知らずのヒロインの「成長の物語」として、非常によくできた「佳作」だと思います。特にヒロインと同じ主婦層からは「未だかつてドラマを観てこんなに泣いたことがない」「泣き過ぎて観終わった後、廃人になった」など、大変な反響と高評価を得ている作品です。
非常に高い評価を得ているということで、僕も観てみましたが、確かにその評価は正しかったです。一歩間違えば、下世話なドラマになりそうなところを、非常に抑制の利いた演出と絶妙の音楽で、必要以上に登場人物の心理に入り込まない、一歩引いた客観的な見せ方が秀逸で、それが故に一層、登場人物の心情が視聴者に響いたのではないかと思います。
強いて難点を挙げるとすると、ヒロイン・ヨンシム (オム・ジョンファさん) があまりに世間知らずで、最初のうちはその「アホ?」さ加減にちょっと引いてしまったことでしょうか (^^;;; それからジョンウ役のキム・ナムジンさんの容姿が僕の生理的許容範囲から外れていたこととか (^^;;; 演技は素晴らしかったので、観終わる頃には慣れましたけど (^^)vただ、主婦の皆さんとは違い、僕は男として、妻に不倫される夫ジファン (シン・ソンウさん) の視点で、このドラマを観ていました。そのせいか「廃人」になるほどの号泣には至りませんでしたが、違うポイントで泣きました。
ジファンは、深く愛し合っていた婚約者がいながら、子供ができてしまったことでヒロインと結婚。妻からの一方的且つ一途な愛を鬱陶しく感じながら、かつての婚約者とは「ソウルメイト」の名の下に頻繁に逢う。もちろん一線は越えずにあくまでプラトニックな関係ではあるが、心は常に「ソウルメイト」の下にあり、何ごとにも妻よりを「ソウルメイト」を優先する。妻にとってそんなにも冷酷な夫であるにもかかわらず、10年間変わらぬ愛を夫に注いでいるヒロイン。ところがふとしたことから妻が自分以外の男に心惹かれていることを知った夫の動揺、そして妻の心が後戻りができない状態になって初めて気付いた妻への想い… このあたりの夫の細かい心理描写が絶妙なんです。ドラマ前半でひたすら「冷酷」だった男が、徐々に人間らしい反応を示すようになる様を、シン・ソンウさんが抑えた自然な演技で表現していました。そして最後に夫が取った選択は… 僕はここで泣きました。全てが遅過ぎた、何故もっと早く自分の気持ちに気付かなかったのか。そう自問自答したであろうジファンのもどかしさやそれでも自分の気持ちは変わらないという強い信念…
正直なことを言うと、ヒロインの選択は僕としては納得いかないんです。子供たちのことを考えていないのかと。ただ、ドラマ自体は唐突にブツっと切れるような終わり方で、結局ヒロインがその後どうなったのかについては明確になっていないんですね。もしかすると、これは「視聴者が自分にとって納得のいく展開、結末を自分で考えろ」という作り手側のメッセージなのかも知れません。そのせいか、観終わってからもしばらくの間はこの物語のその後について随分といろいろなことを考えてしまいました。これも一種の「廃人」状態かも知れませんね。
このドラマは観る側の立場によって様々な捉え方ができると思います。ですので必ずしもヒロインに共感はしなくても (むしろ共感しない人の方が多いかも知れない) 何かを感じて、そして何かを考えると思います。このドラマについてもご覧になった皆さんの意見をいろいろと伺いたいと思っています。
「星を射る」('02)
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- 星を射る DVDBOX
チョン・ドヨンさん、チョ・インソンさん主演の、芸能界を舞台にしたサクセスストーリーです。イ・ジャンス監督&ユン・ソンヒ作家という「美しき日々」('01) コンビの作品ですが、このドラマは「美しき日々」に見られたようなイ・ジャンス監督「臭さ」は比較的抑えめで、ユン・ソンヒ作家本来の持ち味である爽やかな作品に仕上がっています。
物語は、識字障害だが驚異的な記憶力と天性の演技力を兼ね備えた美青年ソンテ (チョ・インソンさん) と彼のマネージャとなった何の取り柄もない 30歳の女性ソラ (チョン・ドヨンさん) が、様々な失敗や障害に逢いながらも成功を目指して助け合う中で、お互いに愛し合うようになっていくというストーリーです。
実はこのドラマ、最初のうちはヒロイン・ソラのキャラクターがどうしても好きになれなくて挫折しかかったのですが、ソラがドフン (イ・ソジンさん) に捨てられて、心機一転たくましく生きて行くようになってからは、ソラを素直に応援したくなりましたし、物語にぐいぐい引き込まれて行きました。恐らく物語序盤のソラのキャラは嫌悪感を感じる方も多いと思いますが、そこで挫折せずに、少しだけ我慢して視聴し続けてみてください (^^)
このドラマの魅力は何をさておいてもチョ・インソン君でしょう。識字障害のために常に誰かに助けてもらわなくては生きて行けない、そんな弱々しい雰囲気、そして思わず助けてあげたくなる (女性なら母性本能、男性なら保護本能をくすぐる) 雰囲気の出し方が素晴らしく、僕もすっかりソラの兄パダ (パク・サンミョンさん) の心境になって観ていました。「あんな健気で可愛げのある子なら、オジさん、いくらでも助けてあげちゃうよ」という心境です (^^)
以前、あるところで目にしたのですが、このドラマへのインソン君の起用には、ちょっとした裏話があるそうです。イ・ジャンス監督の前作「美しき日々」('01) に、実はインソン君も出演することになっていて撮影まで済んでいたそうなのです。役柄はミンチョルの妹ミンジ (シン・ミナさん) のボーイフレンド役です。ところが尺の問題で全てカットされてしまい、監督がずっとインソン君に対して「申し訳ない、いつかまた使いたい」と思っていたんだそうです。そしてこのドラマの見どころの 1つは、イ・ソジンさんの悪役ぶりです。このドラマの直後、「茶母 (チェオクの剣)」('03) で大ブレイクして今に至りますが、昔はこんな役もやっていたんだと感慨深いものがあります。ただ、悪役とは言っても気の小さい男で悪に徹しきれない「小者」、その割にとんでもなく「姑息」、と全くいいところのない情けない悪党です。そのせいで逆にちょっと同情というか「哀れみ」を感じたりしました (^^;;;
ところで、このドラマでの一番の悪役は誰が何と言おうとイェリン (ホン・ウニさん) でしょう。今まで数多くの韓国ドラマの悪女を見てきましたが、イェリンが最悪の悪女だと思います。「真実」('00) のシニ (パク・ソニョンさん)、「秘密」('00) のジウン (ハ・ジウォンさん)、「天国の階段」('03) のユリ (キム・テヒさん) も極悪でしたが、彼女たちには愛する男 (または母親) への気持ちに純粋さが残っていただけだいぶましです。それに比べると、イェリンは誰も愛していない上に、自分を心から愛してくれているパダの純粋な気持ちを自分の保身のために利用するという点で、悪どさに同情の余地がありません。ということで僕の中では韓ドラ悪女 No.1 は、このドラマの「イェリン」です (^^)v
「星を射る」はいつものイ・ジャンス監督らしさがあまり前面に出ていない作品ですが、それでも 1つだけ、「あぁ、やっぱりイ・ジャンス監督作品だ」と思わせるシーンが何度か出てきます。それはソラとソンテが街中を走るシーン! やはりイ・ジャンス監督作品は主人公が走らないと! (^^)v 他のイ・ジャンス監督作品で主人公が走り回るシーンを観ると「おい、またかいっ!」と突っ込みたくなりますが、この作品の場合は、ドヨンさんとインソン君のキャラクターイメージのせいか、あまり違和感がなくて、むしろ爽やかに見えました。不思議なもんです (^^)
僕自身は、ソラとソンテの年の差カップルのラブストーリー部分にはあまり興味はなく、ソンテとソラのサクセスストーリーとして楽しみましたが、どちらの見方でも充分に楽しめる作品だと思います。とにかくインソン君のファンならば必見のドラマですし、そうでない方もこのドラマを観ればきっとインソン君のファンになることでしょう。それくらいインソン君の魅力全開のドラマです (^^)v
「君に出会ってから」('02)
- レントラックジャパン
- 君に出会ってから BOX1
韓国版「渡る世間は鬼ばかり」といった雰囲気のホームドラマです。全48話と長いので、出演者のファンの方以外はなかなか手が伸びないかも知れませんが、僕は「渡る世間は鬼ばかり」よりは遥かに気持ちよく、また気軽に楽しめるドラマだと思いますので、機会があれば、是非是非ご覧頂きたいお勧めのドラマです。
韓国では週末に約半年間放送された「連続ドラマ」(全20話程度のドラマは、韓国では「ミニシリーズ」と呼ばれる) なので、とにかく登場人物が多いのですが、簡単に言ってしまうと、女手一つで男の子と女の子の双子を育てたナムドクおばさん (キム・ヘジャさん) とその弟たちの家族を描いた明るいホームドラマです。
ストーリーは 2つの恋物語から始まります。1つは、ナムドクのすぐ下の弟・長男ナモクの長男ギウォン (リュ・シウォン君) と、ふとしたことからナムドクの家に居候することになった朝鮮族の女性オクファ (チェ・ジンシルさん) とのドタバタ恋愛喜劇。もう 1つは、大財閥の御曹司ミンソク (イ・ソジンさん) を巡る、ナムドクの娘 (双子の 1人) ミジン (パク・チニさん) とギウォンの妹ヘウォン (パク・イェジンさん) の三角関係を描いたちょっぴり切ない恋物語。そして他にも、意外な人たちの恋物語も描かれ、文字通り「君に出会ってから」大きく変わって行く家族の物語です。
このドラマの最大の見どころ。それはリュ・シウォン君演じるギウォンの「だめだめマザコンおぼっちゃま」ぶりでしょう (^^)v いつも絵に描いたような「王子様」的優等生役ばかりだったシウォン君の救いようのないダメ男ぶりや、でも憎めないお茶目なキャラクターはかなり新鮮ですし、意外なほどぴったりなんです。演技しているとは思えないくらい自然なので、このドラマで初めてシウォン君を観た人はシウォン君そのものと思ってしまうのではないかと思います (^^;;; でもシウォン君の素は実はギウォンそのものなのではないかと僕は密かに信じていますけど (^^)v
他のドラマでは決して見られない、シウォン君のコミカルな表情や動きは、「あのリュ・シウォンがよくここまでやった!」と思わせるくらいのはじけっぷり! (^O^) また甘えん坊のおぼっちゃま君ぶりは「血統証付き大型犬の子犬」といった雰囲気で、同性である僕から見ても、かなぁ~り「かわゆい♪」 ← 僕は犬好きなんで (^^;;;
当時のシウォン君は「美しき日々」('01) のころほどではないですが、ほどよくコロコロ太っていたので、本当に「大型犬の子犬」に見えるんです (^^) それに他のドラマと違って表情も目がぱっちりしていて、しかも黒目がちなんで一段と「ワンコ度」が高い (^^)v 犬好きにはたまらんです ← おいおい (^^;;;
そんなダメダメ君のギウォンが年上のしっかり者のオクファと出会い、恋をし、そして少しずつ成長して行く様をドタバタコメディとして描いていて、かなり面白おかしかったです (^^)v
まだこのドラマをご覧になっていない方には、シウォン君のはじけた「おばかぶり」を是非ご堪能いただきたいですし、僕はシウォン君にはまたこういった「ダメダメおぼっちゃま君」の役をやってもらいたいです (^^)
そしてもう一つの見どころ。それはイ・ソジンさんの御曹司ぶり。実際にも銀行系財閥の御曹司であるイ・ソジンさんが本人そのものと思わせる役を演じている姿は (当然のことながら) かなりハマっています。あの穏やかな落ち着きぶりと物腰の上品さは、なかなか演技で出せるものではないですね。そしてそんな穏やかで上品な御曹司ミンソクがミジンとの「身分違いの恋」に熱く激しくなっていく様は王道のラブストーリーといった雰囲気で、これも見どころだと思います。
ちょっと観てみたくなったでしょ? (^^)
僕はこのドラマのその後も観てみたいんですよ♪ 続編作ってくれないかなぁ。
全48話と、確かに長いことは長いのですが、実際に観終わった印象としては、「えっ? もう終わり?」というくらい、さらっと観られてしまうんです。 レンタルでも出ているようですので、機会があれば是非♪
「天国の階段」('03)
クォン・サンウ君とチェ・ジウさん主演、イ・ジャンス監督の正統派「韓国メロドラマ」の大ヒット作です。実はこのドラマ、僕にとっては非常に評価が難しい作品なんです (^^;;; 好きか嫌いかと聞かれれば、好きな方に入るのですが、ドラマそのものの出来は? と聞かれると「う~む…」としか言いようがないんです (^^;;; 良くも悪くもイ・ジャンス監督らしい「けれん味」たっぷりのドラマで、リアリティは完全無視で突っ込みどころ満載、登場人物の言動は理解不能、とにかく勢いだけでつっぱしってしまう強引なストーリー展開は、ある意味すがすがしい (^^;;;
そんな作品を何故僕が好きかと言うと、「2点だけ」とても好きなところがあるんです。
(1) 音楽の良さ
日本で放送されたバージョンは音楽が差し替えられていましたが、それでも音楽の使い方はかなり良かったと思います。音楽の良さで強引に視聴者を泣かせてしまう演出は、反則ではありますが、エンタテイメントとしては素晴らしいと思います。そして何よりも主題歌「ボゴシプタ」の良さです。この曲は元々このドラマのために作られた曲ではなくて、このドラマの 1年前に韓国でヒットした曲で、その曲調と歌詞が「天国の階段」にピッタリという理由で主題歌として採用されたそうです。とにかく「ここぞ!」というシーンでは必ずかかり、「くどい」とは思いつつも、何度も観ているうちに、この曲のイントロがかかるだけで条件反射的に涙腺が刺激されて号泣という、作り手側の思惑にまんまとハマってしまっていました (^^;;; 何だかんだ言っても、この曲と、その使い方は抜群に良かったと思います。
(2) クォン・サンウ君の涙の演技
サンウ君が演じる主人公の御曹司ソンジュは、はっきり言って「ヘンタイ」です (^^;;; 言動が無茶苦茶で「頭おかしいんじゃないの?」と言いたくなるシーンが満載 (^^;;; でも何がいいかって、静かにさめざめと涙を流すシーンがいいんですよ。特に主題歌「ボゴシプタ」との連携が素晴らしく、サンウ君のアップをずっと映しながら、目がだんだんと充血していき、目に涙が溢れ、最後には「ボゴシプタ」のサビに合わせて、流れ落ちる、といったシーンが多いんですが、この涙の演技は初めて観たときうなりましたね。ソンジュの「ヘンタイぶり」もこの演技でかき消されます (^^;;;
このドラマでサンウ君は日本ですっかり有名になりましたが、サンウ君にはこういうメロドラマよりも、本当はラブコメディの方がずっと似合っていると思うんです。涙の演技は確かに上手いですが、彼の魅力はそれだけでなく、やんちゃな感じ、ひょうきんな感じといった「明るさ」も魅力だと思うんですね。なので、韓国ラブコメディの王道である「笑って笑って、そしてラスト近くでほろっと泣かせて、でも爽やかに終わる」という内容の方がサンウ君の陰と陽の対照的な魅力を活かすことができると思っています。
ということでこの夏日本で公開の「青春漫画」に期待しています (^^)v
「パリの恋人」('04)
'04年夏、韓国で最高視聴率 57.4%を獲得し、社会現象まで起こした超人気ドラマです。御曹司と貧しい庶民の女性のラブコメディという、絵に描いたようなシンデレラストーリーでありながら、御曹司役ギジュ役のパク・シニャンさんとヒロイン・テヨン役のキム・ジョンウンさんの魅力が存分に活かされ大成功したドラマです。また「出生の秘密」「交通事故」「記憶喪失」「横恋慕する意地悪なお嬢様」といった「韓国ドラマ」王道の要素も盛り込みつつ、軽快なストーリー展開で最後まで飽きさせない内容でした。
実はこのドラマ、僕にとってはちょっと不思議なドラマなんです。とても好きなドラマで韓国ドラマに興味のない人にも勧めたいくらいなのに、何故かどの登場人物にも共感や感情移入できなかったんです。いつもなら登場人物の誰にも感情移入できないドラマや映画は好きになれないはずなんですが、何故か「パリの恋人」だけは純粋に物語として楽しめたんです。
ギジュに対しては特に好きでも嫌いでもありませんでしたが、正直に言うと、ヒロイン・テヨンのキャラクターが苦手だったんです。あまりにもがさつ過ぎて。なので最初の 1, 2話を観ている時は「うわっ、こりゃだめだ… 最後まで観られるだろうか…」というくらいだったんです。(中盤以降は、だいぶその嫌悪感は薄れましたが…) それにイ・ドンゴンさん扮するスヒョクに至っては (生い立ちに同情するところはありましたが) あのキザで強引な感じが生理的に全く受け付けなかったんです。基本的に「キザな男」はダメなんですが、スヒョクの場合は「キザ」に加えて、「強引」というか「何様のつもり?モード」なので、同じ男としては見るに耐えないものがありました (^^;;; もう少し、母親との葛藤部分をしっかり描いてくれれば、逆に僕の「ツボ」にはまったんですけどねぇ… イ・ドンゴンさん自体は特に嫌いではないので。(でも何故か彼は、こういう僕の苦手な役をやることが多いんですよねぇ…)
とにかく、メインの登場人物 3人のうち、2人に対して「良い感覚」を持っていなかったにもかかわらず、物語としての面白さで結局最後までかなり楽しめたんです。これは僕にとって初めての経験 (^^)v
このドラマに対しては、最終回のラスト直前までは傑作だったのにラストで一気にシラケた、という意見をよく聞きます。確かにあの終わり方は賛否両論出るだろうなと思います。もっと素直な終わり方をして、視聴者に夢を与えても良かったかも知れません。でも僕はあのエンディングは好きなんですねぇ。元々こういう終わり方の物語が好きというのもありますが、僕にとってはとても余韻があって、その後を想像する楽しみがありました。
とにかく観て損はないドラマだと思います。特に韓国ドラマ未経験の方にお勧めしたい作品です。
「純粋」('98)
リュ・シウォン君が '98年に主演したドラマです。相手役は、当時デビュー間もなかったミョン・セビンさんで、ドラマ初出演だったそうです。また、ユン・ソクホ監督の大ヒットドラマであり、後にユン・ソクホ監督自らの手で「秋の童話」や「冬のソナタ」としてリメイクに近い形で再映像化されたドラマです。確かにこのドラマを観れば、登場人物の設定や細かいエピソードなどが「秋の童話」や「冬のソナタ」にほとんどそのまま使われていることが分かります。そんなこともあり、日本の韓国ドラマファンの間では、ストーリーに新鮮さがないということで評価がイマイチ。本当は「純粋」の方がオリジナルなんですが、「純粋」はストーリー展開が極めて遅いのと、映像の美しさという点で四季シリーズに劣っているために、「今の」韓国ドラマファンにはただ単に古めかしいと思われてしまうのは仕方ないかも知れません。
ただ僕は「秋の童話」や「冬のソナタ」より「純粋」の方が遥かに好きです。このドラマには「あり得ない交通事故、記憶喪失、難病」などの要素は全くなく、比較的現実的なストーリーで、しかも主人公 2人の性格がとても地味で控えめ。今まで観た韓国ドラマの中でも、ここまで地味で大人しい主人公たちというのは他にないのではないかというくらい。でも日本人にとってはむしろこちらの方がリアルで共感しやすいと思うんですね。そして僕は、こんな大人しい主人公たちが韓国で受け入れられたということに若干の驚きがありました。韓国ドラマの観過ぎで、韓国人というのは皆あぁいう激しい性格の人たちばかりだと思い込んでいたんです (^^;;;
シウォン君演じるジヌは、ちょっとぼぉ~っとはしていますが、もの静かで心優しい青年。セビンさん演じるヘジンは不幸の陰を背負いつつも、ジヌと同じようにもの静かな女性。そんな大人しい 2人を取り囲む心優しい友人たち。自然と惹かれ合い、ゆっくりとじっくりと愛を育んでいたジヌとヘジンの間には本人たちの知らない秘密があった… という、言ってしまえばありきたりなストーリーなのですが、ジヌを演じるシウォン君の演技が素晴らしく、というよりも演技をしているとは全く見えないくらいに、繊細な青年役を自然に演じていて、彼の得意とする「優しい青年役」の集大成とも言えるのではないかと思います。ただ、物語としては、全ての秘密が明らかになった後のジヌとヘジンの行動があまりにももどかしくてイライラすることが多かったことは確かですね。特にジヌに対しては「もっとしゃきっとせんかいっ!」と言いたくなりました (^^;;;
四季シリーズに比べて映像の美しさが劣るとは言いましたが、そこはさすがにユン・ソクホ監督作品。それなりに印象的な映像はいくつもあります。代表的なところとしては、ジヌと友人たちが毎朝ジョギングをするシーン。草木の緑が鮮やかで美しい。またジヌとヘジンが秘密を知って、恋人としての最後のデートを楽しむ切ないシーンでは海の景色が本当に美しかった。
ということで、現在の日本での一般的な評価はイマイチですが、韓国で '98年に放送された当時は、地味な内容にも関わらず、裏番組を圧倒しての大ヒット。これが後の「四季シリーズ」に繋がった訳ですね。
またシウォン君とセビンさんのコンビが大変な人気を集めたために、「純粋」の放送後、1ヶ月もしないうちに 再び同じ KBS のドラマ「折鶴」で共演することになったのだそうです。これは、同じ相手役との共演回数が (日本と比べて) 比較的多い韓国ドラマ界でも極めて異例のこと。それだけ人気があったということですね。また、当時はドラマだけでなく、CM でも共演していたようです。確かにシウォン君とセビンさんは雰囲気が似ていて、本当に「お似合い」ですよね。この 2人の最高にお似合いの雰囲気を味わうだけでも、このドラマは観る価値があるのではないかと思います。
実はヘジン役は当初、チェ・ジウさんの予定だったのだそうです。ところが、結局は「よりフレッシュなキャスティングに」ということで新人のミョン・セビンさんが抜擢されたそうです。もしチェ・ジウさんになっていたら、全然イメージが違っていたでしょうね。もちろんシウォン君とジウさんのコンビも共演回数が多いだけあって悪くはないですが…因みにシウォン君がこのドラマに出演するにあたっての有名なエピソードがあります。このドラマのオファーがあったとき、実はある映画への出演がほぼ決まっていて、契約書にサインする直前だったそうです。ところが恩師のユン・ソクホ監督のたっての希望ということで、映画の方を断ったのだそうです。その映画は、シム・ウナさん主演の「美術館の隣の動物園」。自分のキャリアよりも恩師への義理を大事にするのはシウォン君らしいとも言えますが、彼の俳優としてキャリアを考えると、「純粋」よりは「美術館の隣の動物園」を選んだ方が良かったと思います。結局その後、今に至るまで映画出演の夢は叶えられていませんからね…
でも、もし「純粋」にシウォン君が出演していなかったら、ここまでヒットすることはなかったでしょうし、後の四季シリーズにも繋がらなかったと思います。とにかくユン・ソクホ監督は、シウォン君ありきで「純粋」というドラマを企画したようですし、後年、四季シリーズを作るにあたり、「秋の童話」のテソク役 (当初、ウォンビンさんはジュンソ役だったそうです) や「冬のソナタ」のチュンサン役など、メインキャストに当初シウォン君を想定していたことも、この「純粋」を観れば納得できます。ユン・ソクホ監督作品の雰囲気とシウォン君の雰囲気はとても合っているんですね。できればまたユン・ソクホ監督の作品でシウォン君の演技を観てみたいです。
ところでこのドラマは音楽も印象的です。ラジオ局が舞台になっていることもあり、ドラマ内のラジオ番組で様々な名曲がかかり、これがドラマを盛り上げるのに一役買っています。またオリジナルの曲も素晴らしい。特にキム・ボムスさんによる主題歌「純粋」は爽やかで明るい曲ながらどこか切なく胸が「きゅん」とします (^^) それから「12月の熱帯夜」('04) で有名なオム・ジョンファさんとシウォン君のデュエットもなかなかです (^^)v

- TVサントラ, キム・ボムス, リュ・シウォン, オム・ジョンファ, キム・テヒョン
- 純粋 オリジナル・サウンドトラック(DVD付)
またこのドラマはノベライズもなかなかの出来です。感想を書いてみたのでご参考までに。

- 上原 尚子, ホン ヨンヒ, チェ ホヨン
- 純粋〈上〉

- 上原 尚子, ホン ヨンヒ, チェ ホヨン
- 純粋〈下〉







