「純粋」('98)
リュ・シウォン君が '98年に主演したドラマです。相手役は、当時デビュー間もなかったミョン・セビンさんで、ドラマ初出演だったそうです。また、ユン・ソクホ監督の大ヒットドラマであり、後にユン・ソクホ監督自らの手で「秋の童話」や「冬のソナタ」としてリメイクに近い形で再映像化されたドラマです。確かにこのドラマを観れば、登場人物の設定や細かいエピソードなどが「秋の童話」や「冬のソナタ」にほとんどそのまま使われていることが分かります。そんなこともあり、日本の韓国ドラマファンの間では、ストーリーに新鮮さがないということで評価がイマイチ。本当は「純粋」の方がオリジナルなんですが、「純粋」はストーリー展開が極めて遅いのと、映像の美しさという点で四季シリーズに劣っているために、「今の」韓国ドラマファンにはただ単に古めかしいと思われてしまうのは仕方ないかも知れません。
ただ僕は「秋の童話」や「冬のソナタ」より「純粋」の方が遥かに好きです。このドラマには「あり得ない交通事故、記憶喪失、難病」などの要素は全くなく、比較的現実的なストーリーで、しかも主人公 2人の性格がとても地味で控えめ。今まで観た韓国ドラマの中でも、ここまで地味で大人しい主人公たちというのは他にないのではないかというくらい。でも日本人にとってはむしろこちらの方がリアルで共感しやすいと思うんですね。そして僕は、こんな大人しい主人公たちが韓国で受け入れられたということに若干の驚きがありました。韓国ドラマの観過ぎで、韓国人というのは皆あぁいう激しい性格の人たちばかりだと思い込んでいたんです (^^;;;
シウォン君演じるジヌは、ちょっとぼぉ~っとはしていますが、もの静かで心優しい青年。セビンさん演じるヘジンは不幸の陰を背負いつつも、ジヌと同じようにもの静かな女性。そんな大人しい 2人を取り囲む心優しい友人たち。自然と惹かれ合い、ゆっくりとじっくりと愛を育んでいたジヌとヘジンの間には本人たちの知らない秘密があった… という、言ってしまえばありきたりなストーリーなのですが、ジヌを演じるシウォン君の演技が素晴らしく、というよりも演技をしているとは全く見えないくらいに、繊細な青年役を自然に演じていて、彼の得意とする「優しい青年役」の集大成とも言えるのではないかと思います。ただ、物語としては、全ての秘密が明らかになった後のジヌとヘジンの行動があまりにももどかしくてイライラすることが多かったことは確かですね。特にジヌに対しては「もっとしゃきっとせんかいっ!」と言いたくなりました (^^;;;
四季シリーズに比べて映像の美しさが劣るとは言いましたが、そこはさすがにユン・ソクホ監督作品。それなりに印象的な映像はいくつもあります。代表的なところとしては、ジヌと友人たちが毎朝ジョギングをするシーン。草木の緑が鮮やかで美しい。またジヌとヘジンが秘密を知って、恋人としての最後のデートを楽しむ切ないシーンでは海の景色が本当に美しかった。
ということで、現在の日本での一般的な評価はイマイチですが、韓国で '98年に放送された当時は、地味な内容にも関わらず、裏番組を圧倒しての大ヒット。これが後の「四季シリーズ」に繋がった訳ですね。
またシウォン君とセビンさんのコンビが大変な人気を集めたために、「純粋」の放送後、1ヶ月もしないうちに 再び同じ KBS のドラマ「折鶴」で共演することになったのだそうです。これは、同じ相手役との共演回数が (日本と比べて) 比較的多い韓国ドラマ界でも極めて異例のこと。それだけ人気があったということですね。また、当時はドラマだけでなく、CM でも共演していたようです。確かにシウォン君とセビンさんは雰囲気が似ていて、本当に「お似合い」ですよね。この 2人の最高にお似合いの雰囲気を味わうだけでも、このドラマは観る価値があるのではないかと思います。
実はヘジン役は当初、チェ・ジウさんの予定だったのだそうです。ところが、結局は「よりフレッシュなキャスティングに」ということで新人のミョン・セビンさんが抜擢されたそうです。もしチェ・ジウさんになっていたら、全然イメージが違っていたでしょうね。もちろんシウォン君とジウさんのコンビも共演回数が多いだけあって悪くはないですが…因みにシウォン君がこのドラマに出演するにあたっての有名なエピソードがあります。このドラマのオファーがあったとき、実はある映画への出演がほぼ決まっていて、契約書にサインする直前だったそうです。ところが恩師のユン・ソクホ監督のたっての希望ということで、映画の方を断ったのだそうです。その映画は、シム・ウナさん主演の「美術館の隣の動物園」。自分のキャリアよりも恩師への義理を大事にするのはシウォン君らしいとも言えますが、彼の俳優としてキャリアを考えると、「純粋」よりは「美術館の隣の動物園」を選んだ方が良かったと思います。結局その後、今に至るまで映画出演の夢は叶えられていませんからね…
でも、もし「純粋」にシウォン君が出演していなかったら、ここまでヒットすることはなかったでしょうし、後の四季シリーズにも繋がらなかったと思います。とにかくユン・ソクホ監督は、シウォン君ありきで「純粋」というドラマを企画したようですし、後年、四季シリーズを作るにあたり、「秋の童話」のテソク役 (当初、ウォンビンさんはジュンソ役だったそうです) や「冬のソナタ」のチュンサン役など、メインキャストに当初シウォン君を想定していたことも、この「純粋」を観れば納得できます。ユン・ソクホ監督作品の雰囲気とシウォン君の雰囲気はとても合っているんですね。できればまたユン・ソクホ監督の作品でシウォン君の演技を観てみたいです。
ところでこのドラマは音楽も印象的です。ラジオ局が舞台になっていることもあり、ドラマ内のラジオ番組で様々な名曲がかかり、これがドラマを盛り上げるのに一役買っています。またオリジナルの曲も素晴らしい。特にキム・ボムスさんによる主題歌「純粋」は爽やかで明るい曲ながらどこか切なく胸が「きゅん」とします (^^) それから「12月の熱帯夜」('04) で有名なオム・ジョンファさんとシウォン君のデュエットもなかなかです (^^)v

- TVサントラ, キム・ボムス, リュ・シウォン, オム・ジョンファ, キム・テヒョン
- 純粋 オリジナル・サウンドトラック(DVD付)
またこのドラマはノベライズもなかなかの出来です。感想を書いてみたのでご参考までに。

- 上原 尚子, ホン ヨンヒ, チェ ホヨン
- 純粋〈上〉

- 上原 尚子, ホン ヨンヒ, チェ ホヨン
- 純粋〈下〉

