
「シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ」('22)

実在するゲイの水球チーム「シャイニー・シュリンプス」をモデルにしたフランスのスポーツコメディ映画「シャイニー・シュリンプス! 愉快で愛しい仲間たち」('19) の続編です。主演はニコラ・ゴブ、共演はミカエル・アビブル、ダヴィド・バイオ、ロマン・ランクリ、ロラン・メヌ、ジョフレ・クエ、ロマン・ブロ他。
前作もキャラクターの面白さと演じる役者の魅力だけの陳腐な映画でしたが、それに輪をかけてつまらない映画でした。2作とも「not for me」。
前作よりもメッセージ性は高まっていますし、その趣旨には大いに賛同するものの、説教くさい上に単純に話が面白くない。
日本との合作なのに、日本の描き方が30年以上前の海外の映画そのままの酷さで、日本側のスタッフは何故これでOKを出したんでしょうか? その古臭いセンスにはただただ呆れるばかり。
オープニングの「セーラームーン」のコスプレや、エンディングの日本の漫画やアニメ風のイラストは悪くなかっただけに、そのギャップが理解不能でした。
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「メグレと若い女の死」('22)
ジョルジュ・シムノンによる「メグレ警視」シリーズの1作である同名小説を、ジェラール・ドパルデュー主演で映画化したミステリ映画です。共演はジャド・ラベスト、メラニー・ベルニエ、オーロール・クレマン、クララ・アントゥーン他。
かつて同じシムノン原作の「仕立て屋の恋」('89) で高い評価を得たパトリス・ルコント監督が久々に撮った作品。しかも本国フランスで大ヒットしたとなれば、期待は高まります。
ミステリの形を取ってはいますが、作り手が描きたいのは謎解きではなく、日本で言えば「人情モノの刑事ドラマ」のような話。ただ、日本だと湿度が高すぎちゃう話を、比較的さらっと描いているのはヨーロッパ映画らしい。
わかりやすく「面白い」話ではないですが、その世界観や雰囲気を味わう映画としては悪くないです。
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「バビロン」('22)
映画がサイレントからトーキーへと移り変わる前夜の1926年を舞台に、映画の都ハリウッドの喧騒と狂乱を豪華絢爛に描いた、デイミアン・チャゼル監督による群像ドラマ映画です。出演はブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、トビー・マグワイア他。
若くして巨匠となり、莫大な予算をかけて好きな作品を撮れるようになったデイミアン・チャゼル監督の映画愛が詰まった、思い入れの強さを感じる映画でした。
傑作ミュージカル映画「雨に唄えば」('52) へのオマージュであり、そこで描かれている1920年代末から1930年代にかけてのハリウッドを、もっとリアルに、もっとグロテスクにえげつなく赤裸々に描いています。
観ている間は、監督の思い入れが強いあまりに、いろいろ詰め込み過ぎて1本の映画としてのまとまりに欠いているので、テレビシリーズにした方が良かったんじゃないのかなぁと思ったりもしていたのですが、そもそもこの題材なら「映画」という形にこだわるのは当然ですし、3時間を超える長尺ですが、テレビシリーズのように細切れにせずに、一気に突っ走ってしまうのも世界観としては合っているのかもしれません。
とにかく、マーゴット・ロビーのハマりぶりが強烈なインパクトを残す映画でした。
「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」('20)
第2次世界大戦中、とっさに「ペルシャ人だ」と嘘をついて死を免れたものの、ナチスの将校を相手にデタラメなペルシャ語のレッスンをするはめになったユダヤ人青年の運命を描いた歴史ドラマ映画です。主演はナウエル・ペレス・ビスカヤール、共演はラース・アイディンガー、ヨナス・ナイ、レオニー・ベネシュ、ダーヴィット・シュッター他。
実話をもとにしているらしいけれど、説得力のない映画だったなぁ…。
どこまで実話通りなのかはわからないけど、こういう「突飛な実話」を描くなら、「突飛だけれど、ありえなくはない」と思わせるように描くべきなのに、脚本がこなれていないので、ストーリー展開にしろ、登場人物たちの言動にしろ、全てがぎこちなくて、しっくり来ない。中途半端に「いい話」っぽく描くのも![]()
「ホロコーストの中で起きた奇跡の実話」と言えば何でも名作になるわけではないんですよ。
「アフター・ヤン」('21)
人型ロボットが一般家庭にまで普及した近未来を舞台に、故障した家庭用人型ロボット「ヤン」を修復しようと奔走する一家の姿を通して家族の新たなあり方や記憶の大切さを問うヒューマンドラマ映画です。主演はコリン・ファレル、共演はジョディ・ターナー=スミス、ジャスティン・H・ミン、マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ、ヘイリー・ルー・リチャードソン他。
監督のコゴナダは韓国系アメリカ人。ただ、韓国の要素は皆無で、基本的には中国の文化や哲学への「憧れ」のようなものが前面に出ている詩のような映画。雰囲気はいい。
ただ、はっきり言ってしまうと、物語としてはかなり退屈。アジア系の映画作家の作品なのに、よくある「西洋人の東洋に対する過度な期待や美化」という感じで、アジア人としては微妙に違和感がありますし。
それでも、映像はとにかく美しいし印象的。
また「撮り方」のこだわりも強く感じます。
特に、
ほとんどのシーンが屋内や自動運転の車の中で、建物や車が外から見てどんな姿や形をしているかは一切映さない
とか、
わずかにある屋外のシーンは森林やその中のちょっとひらけた場所で、遠景はなく、空を映すこともない
とか、相当にこだわっていることがわかりますし、SF的要素を映像としては見せないようにしているにもかかわらず、それでも「近未来SF」とわかるように撮られているのも印象的。
そんなわけで「映像詩」としては充分に目を楽しませてもらえました (^^)
ただ、人型ロボットの「ヤン」の髪型が、いかにも西洋人が大昔から「東洋人の髪型とはこういうもの」と思っているイメージのままで、その古臭さは敢えてやっているとしても![]()
21世紀の今でもそんな髪型の東洋人なんてめったにいないし、ましてや近未来を舞台にしていながら、その髪型はないでしょう。こういうところが雑だし、無神経。
「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」('19)
史上初めてノーベル賞を2度受賞した天才科学者キュリー夫人の半生を描いた伝記映画です。主演はロザムンド・パイク、共演はサム・ライリー、アナイリン・バーナード、アニャ・テイラー=ジョイ、カーラ・ボッサム他。
→ Wikipedia「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」
キュリー夫人の死後に次女が執筆した伝記を元にした1943年の映画「キュリー夫人」は大昔に観ており、そちらが典型的な「偉人伝」でキュリー夫人の良い面だけを描いていたのに対して、こちらは彼女の偏屈で扱いづらい性格や、夫を亡くした後のポール・ランジュヴァンとの不倫など、負の面も描いているのは印象的。その上で、女性差別が根強かった時代に、自分らしく自由に生きようとした彼女を「生身の人間」として描いているのは悪くないです。
ただ、今の時代に科学者を英雄的に描くのが難しいのはわかりますが、原爆やチェルノブイリ原発の事故にまで言及するのは「違う」と思います。どちらも放射線の危険性という点で繋がっているだけであり、彼女の死後の話で直接関係がないのですから。科学の負の面をどうしても描きたいのであれば、あくまで放射線の危険性について触れるべきで、むしろそちらはもっと強調しても良かったくらいだと思います。
「ヤマトタケル」('94)
日本神話の登場人物であるヤマトタケルを題材にした冒険特撮映画です。主演は高嶋政宏さん、共演は沢口靖子さん、宮本信子さん、阿部寛さん、藤岡弘、さん、麿赤兒さん、篠田三郎さん、杜けあきさん他。
ヤマトタケルの伝説を怪獣映画として描くアイデアは面白いし、主演の高嶋政宏さんをはじめ、キャストは概ね適役で![]()
ただ、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)のデザインや動かし方はとても良かったのですが、アマノシラトリ(天の白禽)やウツノイクサガミ(宇宙戦神)のデザインがあまりにダサくて![]()
また、衣裳デザインやセットが変に洋風なのも![]()
子供向けの特撮映画としては悪い出来ではなかっただけに残念。
「狂気の愛」('85)
ドストエフスキーの「白痴」から着想を得た作品で、破滅への道を突き進む若者たちの姿を描いた犯罪アクション恋愛映画です。主演はソフィー・マルソー、フランシス・ユステール、チェッキー・カリョ、共演はクリスチアーヌ・ジャン、ジャン=マルク・ボリー、ミシェル・アルベルティーニ他。
頭でっかちの劇作家が書いた観念的で意味不明のセリフを役者たちが延々とがなり立てるだけのくだらない演劇を見せられた気分。ここまで意味不明だと不条理劇と割り切ることもできますが、それが20分程度の短編映画ならともかく、90分以上もずっと同じテンションで見せられ続けるのは拷問でしかないです。
とりあえず、(自分にとっては)二度と観る必要も価値もない映画監督のリストにポーランド出身の「奇才」アンジェイ・ズラウスキーを加え、今後はフィルタリングできるようになったことだけは自分にとって意味があったかもしれません。
「みじかくも美しく燃え」('67)
1889年に実際に起きたスウェーデン貴族で妻子のあるシクステン・スパーレ中尉(34歳)とサーカスの綱渡り芸人エルヴィラ・マディガン(21歳)の心中事件を描いた恋愛ドラマ映画です。主演はピア・デゲルマルク、トミー・ベルグレン、共演はレンナルト・マルメル、クレオ・イェンセン、ニーナ・ヴィーデルベリ他。
この手の映画は一般的に主人公2人のバックグラウンドや出会いを描くと思うのですが、そういったものは一切なく、2人が駆け落ちして最も「舞い上がっていた」時から描いているのはちょっと新鮮。
ただ、まだ若いヒロインはともかく、30代で妻子持ちの男があまりに幼稚すぎてストーリーには全く惹かれないどころか、憤りしか感じず。
それでも、絵画のように美しい映像と、本作でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞した、撮影当時まだ10代だったピア・デゲルマルクの魅力だけで最後まで観られる映画でした。というよりも、観るべきところはそこしかないです (^^;;;
「シング・フォー・ミー、ライル」('22)
バーナード・ウェーバーの児童文学「ワニのライルのおはなし」シリーズを原作とし、奇跡の歌声を持つが観客の前では歌えないワニのライルと孤独な少年の交流を描いたファンタジー映画です。ライルの声はショーン・メンデス、出演はウィンズロウ・フェグリー、ハビエル・バルデム、コンスタンス・ウー、スクート・マクネイリー、ブレット・ゲルマン他。
全てが予想通りにしか展開しない退屈なストーリーではありますが、これはこれでそれなりに楽しめる映画ではあります。
でも、実写向きではないなぁ。何でアニメーションにしなかったんだろう?
どんなに可愛らしく漫画的にデザインしても、ワニの皮膚の質感を実写映画の中で表現するとどうしても気持ち悪さが出てしまうし、残飯や生ゴミはどう考えても実写じゃ![]()








