「HEX-地上4500m消失領域-」('22)
6人のスカイダイバーチームのメンバーが行方不明になったり、亡くなる事故が続いたりする異常事態を描いたアクションサスペンスホラーです。主演はケイラ・アダムス、共演はマシュー・ホルコム、ブライアン・デヴィッド・ロバーツ、エリック・アルペリン他。
オチは陳腐だけれど、ストーリー全体としては割と好み。
それだけに、細かいところで「もうちょっとこうしてくれれば良かったのに」という不満を感じちゃって、最終的には生煮え感でいっぱいに。
鍵を握る初老のおじさんはもうちょっとしっかり描くべきだし、グループのリーダーの正体についても「えっ? なんで自らそんなことする必要があるの? 強欲な人間はいくらでもいるんだから、そういう奴にやらせりゃいいんじゃね?」とか気になるところがいっぱい。
脚本も演出も、もうちょっと頑張って欲しかったなぁ。
「アンダーカヴァー 潜入捜査の掟」('21)
イスラム過激派のテロを阻止するために、テロ組織に潜入した捜査官の戦いを描いたサスペンスアクションです。主演はモハメド・ゾウイ、共演はヴァレンティナ・チェルヴィ、ステラ・エジット、ファビオ・フルコ、アレクサンドロス・メメタジ、ロベルト・ルイジ・マウリ他。
実際にテロ組織へ潜入した経験のある捜査官に2年もの独自取材をした上で作られた映画ということで期待して観たのですが、結局はよくあるタイプの娯楽映画でしかなく、取り立ててリアリティがあるということもない平凡な出来。むしろ、取材した上で作られた作品だと知らずに「普通のサスペンスアクション」として観た方が素直に楽しめたような気もします。宣伝の仕方の失敗という感じ。
ただ、主演のモハメド・ゾウイの存在感と演技は印象的。年齢不詳な容姿もいいし、表情によって、平凡な男にも、地獄を見続けた狂気の男にも見えるのは見事![]()
彼を主演にしたままでシリーズ化してもよいくらい、役には合っていました。
「ワイルド・リベンジ」('22)
最愛の女性を違法薬物の摂取で失った男が、麻薬密売組織を相手に復讐の闘いを挑む姿を描いたリベンジアクションです。主演はジャック・ヒューストン、共演はロバート・デ・ニーロ、ジョン・マルコヴィッチ、ウィラ・フィッツジェラルド、クエヴォ他。
単なる「リベンジアクション」にしたくなかったという作り手の意図はわかります。薬物依存からの脱却とクリーンな状態の維持の難しさを描くのに多くの時間を割いている点や、疎遠だった息子を亡くした過去を持つ保安官のキャラクター造形などに、作り手の強い「思い入れ」を感じます。
が、残念ながら全てが空回りしてしまっていて、リベンジアクションとしても中途半端、人間ドラマとしても中途半端。少なくとも保安官のエピソードは不要。何でもかんでも詰め込めばいいってものではなく、取捨選択するのがプロというものでしょう。
とにかく、この脚本で、どうしてロバート・デ・ニーロとジョン・マルコヴィッチという2大名優が出演することを決めたのか、それが最大の謎です。
「四畳半タイムマシンブルース」('22)
森見登美彦さん原作のアニメ「四畳半神話大系」の登場人物で、劇団ヨーロッパの戯曲「サマータイムマシン・ブルース」を描き直した青春SFアニメです。声の出演は浅沼晋太郎さん、坂本真綾さん、吉野裕行さん、中井和哉さん、諏訪部順一さん、甲斐田裕子さん、佐藤せつじさん、本多力さん他。
充分に成功している2つの別作品を敢えて組み合わせるというアイデアがそもそも斬新。しかも、うまく融合しているし。
どちらの作品のファンでも充分に楽しめるんじゃないかなぁと思いますが、それぞれの作品に特に強い思い入れがないから言えるのかもしれません (^^;;;
とにかく、僕は楽しめました (^^)v
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「ラッキー」('17)
アメリカ西部の荒れ果てた町を舞台に、自由奔放で頑固一徹な90歳の独居老人の姿を描いたドラマ映画です。主演はハリー・ディーン・スタントン、共演はデヴィッド・リンチ、ロン・リヴィングストン、エド・ベグリー・ジュニア、トム・スケリット他。ハリー・ディーン・スタントンの最後の主演作です。
第二次世界大戦中は海軍で調理師をしていたというハリー・ディーン・スタントンの経歴をそのまま役の設定にしているなど、明らかに彼のために作られた作品。本作が初監督作品となる、ベテラン俳優のジョン・キャロル・リンチが大先輩であるハリー・ディーン・スタントンへの敬意を込めて撮った、その思い入れの強さを感じました。
また、物語らしい物語はなく、1人の老人の日常生活を淡々と描いているだけなのですが、それでも飽きることがないばかりか、最後まですっかり見入ってしまいました。
そして最終的に強く印象に残るのは哲学としての仏教の教え「色即是空」。
東洋の文化に対する西洋人の過度な幻想を感じなくもないですが、確かに90歳まで自由に、そして「それなりに」幸せに生きてきた老人だからこその説得力はありますし、「老い」や「死」を意識せざるを得ない「お年頃」になってきた今の自分だからこそ、心に沁みるものは間違いなくありました。
「ワイルド・ロード」('22)
犯罪組織から金と麻薬を奪い、命を狙われることになった男が、銃撃で深手を負いながら長距離バスで逃亡するさまを描いたクライムアクションです。主演はコルソン・ベイカー、共演はストーム・リード、ドレア・ド・マッテオ、ルイス・“トリックズ”・ダ・シウヴァ・ジュニア、メーガン・ホルダー、トラヴィス・フィメル、ケヴィン・ベーコン他。
再出発のために組織の金を盗み出した男の逃亡劇なんていう手垢のつきまくった題材を、基本的に長距離バスの中だけで描くというアイデアは新鮮。また、たまたま同乗した乗客の背景を絡めていくアイデアも悪くない。
が、最終的に仕上がった映画自体は大して面白くない![]()
意味ありげに強い印象を残した妊婦の女性についてはほとんど描かれないのも「この役はそもそも必要だったの?」という疑問しか湧きませんし。
アイデアが新鮮なだけで、それをうまく「娯楽映画」としてまとめられなかったのは本当に残念。
「リミット」('22)
野沢尚さんの同名小説を原作とし、連続幼児拉致事件で娘を拉致された母親の代役を務めることになったものの、それがバレてしまったために自分の息子まで拉致されてしまったシングルマザーの警官を描いたサスペンス映画です。主演はイ・ジョンヒョンさん、共演はムン・ジョンヒさん、チン・ソヨンさん、パク・ミョンフンさん他。
2000年夏に野沢尚さん自らの脚本で「リミット もしも、わが子が…」のタイトルで連続ドラマ化されたこともある原作。そのドラマも観ていませんし、原作も読んでいませんが、
何じゃこりゃ?! (@o@)
としか言いようがありません。
中盤までは韓国映画らしい容赦のない残酷なサスペンス映画で引きつけられたのですが、中盤以降は支離滅裂で無茶苦茶。いくら登場人物が頭のおかしいキャラクターだからと言って、これはないでしょう。
この映画が何故日本で劇場公開されなかったのかは大いに納得。
それよりも、何故この出来で韓国で劇場公開できたのかは謎。
「悲しみよさようなら」('90)
米オハイオ州の小さな田舎町を舞台に、その町を15年前に去って今は大スターとなった女性の帰郷をきっかけに町の人間関係に波紋が広がっていくさまを描いた青春映画です。主演はウィノナ・ライダー、共演はジェフ・ダニエルズ、トーマス・ウィルソン・ブラウン、ライラ・ロビンズ、フランシス・フィッシャー他。
大まかなストーリーは、1950年代の青春映画のような古臭さはありますが、それ自体は悪くないし、キャストも悪くない。
が、登場人物のキャラクター造形がかなりずれていて、それは作り手の意図通りなんでしょうが、ことごとく外してる…。
古臭い話を映画公開時の「1990年っぽい」テイストで描こうとして失敗した感じ。
「ミッドナイト・マーダー・ライブ」('22)
深夜ラジオの生放送中に悩み相談コーナーに電話してきた男に「妻子を人質にした」と告げられたDJの奔走を描いたシチュエーションスリラーです。主演はメル・ギブソン、共演はウィリアム・モーズリー、アリア・セロール=オニール、ポール・スペラ、ナディア・ファレス、ケヴィン・ディロン他。
ありがちなスリラーと見せて最後で全てをひっくり返す展開自体はいいのですが、そのドンデン返しとオチが史上最悪に胸クソ。
これを面白いと思える人も少なくないんでしょうが、いわゆるサプライズやドッキリの類が嫌いな自分にとって、この映画のオチは最悪。作り手の意図としては主人公たちを含め、このオチを否定的なものとして描こうとしているのかもしれませんが、それでも自分としては受け入れられないです。
二度と観たくないし、思い出したくもないです。
「エスター ファースト・キル」('22)
9歳の「少女」を幼女として引き取った家族が見舞われる恐怖を描いた「エスター」('09) の前日譚で、前作に引き続き、主人公である「少女」をイザベル・ファーマンが演じています。共演はジュリア・スタイルズ、ロッシフ・サザーランド、マシュー・アーロン・フィンラン、ヒロ・カナガワ他。
前作は確かに面白かったのですが、だからと言って、エスターの正体がわかってしまっている以上、前日譚が面白くなるとは到底思えず、全く期待せずに観たのですが、これが予想以上に面白かった (^^)v
前作で紹介されていたように、エスターの家族が全員火事で亡くなって孤児となった経緯を描いているのですが、そんな単純な話ではないのが![]()
確かに、行方不明だった娘を名乗る少女を無条件に娘として受け入れてしまう時点で妙だなぁとは思いましたけどね (^^)v
そして、前作で大人びた「少女」を子役として演じていたイザベル・ファーマンが再び同じ役を演じる驚き!!
後ろ姿やロングショットは明らかに代役だとわかってしまうし、かなり無理はありましたが、元々子役時代から大人びた顔立ちだったおかげで、実際に大人になった今も雰囲気は大きく変わらず、エスターの正体を知った上で観ると、むしろ今の方が役には合っているように思えてしまうのです。
とにかく、前作を楽しめた人なら、この前日譚も充分に楽しめるのではないかと思います。
ところで、あれだけの大金持ちの一家の唯一の生き残りということになっているはずなのに、遺産はどうなったんでしょう? (^^;;;
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