
「金の国 水の国」('23)

「このマンガがすごい!」2017年版オンナ編1位に輝いた、岩本ナオさんの同名コミックを原作とし、戦争を繰り返して100年以上も断絶している2つの国を舞台に、ふとしたことから偽装夫婦を演じることになった敵国同士の男女を描いたファンタジーアニメです。声の出演は賀来賢人さん、浜辺美波さん、戸田恵子さん、神谷浩史さん、茶風林さん、てらそままさきさん、銀河万丈さん、木村昴さん、丸山壮史さん、沢城みゆきさん他。
さほど期待せずに観たのですが、とても良かった (^^)v
ストーリーはちょっと上手くいきすぎている感はありますが、魅力的なキャラクターたちのおかげで素直に「良い話だなぁ」と思えますし、何より「デザイン」がとてもとても印象的。
中東からネパールあたりを想起させる衣裳デザインも素敵ですが、キャラクターデザインもまた![]()
リアル寄りのデザインと漫画的にデフォルメされたデザインの共存自体は珍しいことではないですが、その場合は一般的に、主人公をリアル寄り、脇の個性的なコメディリリーフをデフォルメされたデザインに、という分け方をするもの。ところが本作では主人公2人をデフォルメされたデザインで描き、脇のキャラクターをリアル寄りにしているのが(もちろん、この作品が初めてというわけではないでしょうが)かなり印象的で、しかもそれが作品全体に良い効果を生んでいるように感じました。
また、主人公2人の声を担当した賀来賢人さんと浜辺美波さんの声も合っていて演技も的確で、キャラクターを一段と魅力的に見せていたのも![]()
「#マンホール」('23)
社長令嬢との結婚式を翌日に控えながら、深酔いして謎めいたマンホールに落下したサラリーマンの脱出劇を描いたサスペンスミステリーです。主演は中島裕翔さん、共演は奈緒さん、永山絢斗さん、黒木華さん他。
さほど期待していなかったのですが、予想外に面白かった (^O^)
中島裕翔さんの一見「爽やか好青年」だけど…という雰囲気は役に合っているし。
ちょっと演技が過剰な気もしましたが、こういう作品の場合はこれくらいの方がいいんでしょうね。
最後は「そんなに頑丈でバッテリーのもちが良いスマホってどこ製?」と訊きたくなりました (^^)v
「インタースペース」('17)
AIの暴走によって流刑惑星への着陸を余儀なくされた宇宙貨物船のクルーの運命を描いたSFサスペンスです。主演はマーカス・マクマーン、共演はカラム・オースティン、マック・マクドナルド、メリル・グリフィス、ロヒット・ゴカーニ、ヴィクトリア・オリヴァー他。
低予算で作られた映画だとは思いますが、撮影技術が素晴らしいおかげで映像自体に安っぽさがなかったのは![]()
ただ、ストーリーは、理解できなくはないんですけど、いろいろな要素を詰め込みすぎな上に、展開が唐突で、長尺のダイジェスト版を観ているような気分に。
もしかすると、これはパイロット版で、これをもとに出資者を募った上で本格的な長編映画を撮ろうとしてたのかなと。でも、これで出資者を募れるかと訊かれると「びみょう…」としか答えられないですけど (^^;;;
「ジュラシック・ユニバース」('18)
凶暴な恐竜が暴れ回るVR世界に送り込まれた死刑囚たちが、最後の1人にだけ許される釈放を懸けて争うテレビショー「ジュラシック・ゲーム」を描いたSFアクションです。主演はアダム・ハンプトン、共演はケイティ・バージェス、ケイト・ジョーンズ、ルーク・ワイコフ、ライアン・メリマン、ペリー・リーヴス他。
低予算のB級映画でCGがどうしてもしょぼくなってしまうのを逆手にとって「VR世界って設定にすればOKでしょ?」と開き直っているのは![]()
全く期待しないで観たので意外に楽しめましたが、死刑囚たちを10人に設定したのは無駄に多すぎるし、胸糞悪い連中たちをバンバン殺しちゃう終盤の展開も本当は一番盛り上がるはずなのに尻すぼみで、結末もあまりにあっさり。もうちょっと脚本のレベルで頑張って欲しかったなぁとは思います。
「ホーリー・トイレット」('22)
工事現場の仮設トイレに閉じ込められた建築家の男が、爆破解体の予定時刻までに脱出しようと奮闘する姿を描いたシチュエーションスリラーです。主演はトーマス・ニーハウス、共演はギデオン・ブルクハルト、オルガ・フォン・ルクヴァルト他。
あれだけ大量出血しているのに主人公が元気すぎる
とか
冷酷に人を殺せる男が何故か主人公にだけはなかなかトドメを刺そうとしない
とか
いろいろツッコミたくなるところはありますが、「悪趣味なブラックコメディ」と分かった上で観れば、かなり楽しめる映画です。
ただ、グロテスクな描写が多く、吐き気を催しそうになるシーンが多いので、観る人を選ぶでしょうし、少なくとも自分はもう観たくないです (^^;;;
「悪太郎」('63)
今東光さんの自伝的小説を原作とし、大正初期の兵庫県豊岡を舞台に一本気な性格から「悪太郎」の悪名を着せられた青年の恋と成長を描いた青春恋愛映画です。主演は山内賢さん、共演は和泉雅子さん、高峰三枝子さん、田代みどりさん、芦田伸介さん、野呂圭介さん、佐野浅夫さん他。
奇抜な作風のイメージが強い鈴木清順監督がこういった王道の文芸作品を撮っていたことに驚き (@o@)
ストーリーそのものはよくある悲恋モノですが、大正時代初期の雰囲気がよく描かれていて![]()
モノクロの美しい映像と相まって「あぁ、良い文芸作品を観た…」という満足感に浸れる映画でした。
「見知らぬ隣人」('22)
死体の横たわる隣人宅で目を覚ました貧乏浪人生の不条理な運命をコミカルに描いたシチュエーションスリラーです。主演はオ・ドンミンさん、共演はチェ・ヒジンさん、イ・ジョンヒョンさん、キム・ソンファさん他。
もうちょっと主人公が知恵を使うのかと思いきや、全くそんなことはなくてガッカリしたのだけれど、そもそも何年も就職浪人しているくらいだから知恵があるわけないし、あくまで「コメディ」なので「こんなもんかな」という感じ。隣人の正体にもうちょっと捻りがあっても良かったような気もしますけど。
とにかく、主人公が馬鹿すぎてイライラしちゃうし、面白くなくはないけれど、2度3度と見返したいと思えるほどではありませんでした。
「フラワーショウ!」('15)
世界最高峰のガーデニング大会「チェルシー・フラワーショー」に型破りなアプローチで挑んだアイルランドの女性メアリー・レイノルズの実話を映画化した伝記ドラマ映画です。主演はエマ・グリーンウェル、共演はトム・ヒューズ、クリスティーン・マルツァーノ、ジャニー・ディー、アレックス・マックイーン他。
何じゃこりゃ!? (@o@)
どこまで実話通りなのかはわかりませんが、あまりに雑な脚本に、呆れるよりもビックリしちゃうレベル。
自然保護のメッセージを強調したいのはわかりますが、強引なねじ込みにしか見えず、その無理矢理さには悪印象しかありません。
本国アイルランドやイギリスなど、劇場公開したのは世界でもごく一部の国と地域だけだったようですが、この出来なら当然。日本では劇場公開されたそうですが、配給会社はこの出来で客が来ると本気で思ったんでしょうか?
そして、モデルとなったメアリー・レイノルズ本人はこの出来に満足しているんでしょうか…。映画で描かれている通りの人物なら、この出来でも自然保護のメッセージが前面に出ているだけで満足しているのかも…と思ってしまうくらい、主人公に対しても好感は持てませんでした。
「僕が愛したすべての君へ」「君を愛したひとりの僕へ」('22)
主人公が離婚した両親のどちらと暮らすかで分岐した並行世界で2つのラブストーリーが展開する乙野四方字さんの同名小説をアニメ映画化した2作品です。声の出演は宮沢氷魚さん、橋本愛さん、蒔田彩珠さん、田村睦心さん、浜田賢二さん、園崎未恵さん、西村知道さん、水野美紀さん、余貴美子さん、西岡徳馬さん他。
→ Wikipedia「僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ」
どちらから観るかで印象が変わるとされる作品ですが、特に深く考えずに「僕愛」から観てみました。
結論から言えば、その選択で良かったかなと思っています。結局、「僕愛」「君愛」の順で観て、その上で再度「僕愛」を観ました (^^)
ストーリーのわかりやすさから言えば「君愛」から観た方が良いと思いますが、それは言ってみれば「ネタバレ」を先に観ちゃうようなもの。もちろん「ネタバレ」してから観た方が安心して観られるという人もいるので、そういう人は「君愛」から観た方がよいかもしれません (^^)
タイムスリップを題材に「選択を誤ったことを後悔し、過去に戻ってやり直す」といった話は古今東西フィクションとしては定番中の定番ですが、それを新しい形で構成したアイデアは実に面白いし、それを映像作品としてもうまくまとめ上げていて![]()
ただ、ストーリー自体は本来シンプルなはずなのに、それを単なるファンタジーではなくSFとして描こうとしたことでセリフや説明が非常にわかりにくくなっていたのはちょっと残念かも。ライトノベルらしいと言えば「らしい」ですし、むしろ「それがいい」と思う人の方が多いのかもしれませんけどね。
「ノック 終末の訪問者」('23)
ポール・トレンブレイの小説「終末の訪問者」を原作とし、人里離れた山小屋を舞台に、突然現れた謎の4人組に拘束され、理不尽な要求を突き付けられる3人家族を描いた、M・ナイト・シャマラン監督によるスリラー映画です。出演はデイヴ・バウティスタ、ジョナサン・グロフ、ベン・オルドリッジ、ニキ・アムカ=バード他。
観る前の予想ほど「不快度」は高くなかったけれど、それでも後味は悪いし、不快な話であることは確か。シャマラン作品らしい「で?」としか言いようがない締まりのないエンディングに加え、伏線らしく見せながら、それらを拾わない雑な脚本も![]()
とにかく、自分と価値観が絶望的なまでに相容れない人が作った映画であることだけはよくわかりました。
唯一観て良かったと思えたのはデイヴ・バウティスタの個性や魅力が活かされている点だけ。









