Marc のぷーたろー日記 -58ページ目

連続ドラマW「ゲームの名は誘拐」('24)

 

東野圭吾さんの2002年の同名ベストセラー小説を原作とし、敏腕広告プランナーが仕掛けた狂言誘拐ゲームとその顛末を描いたテレビシリーズ全4話です。主演は亀梨和也さん、共演は見上愛さん、渡部篤郎さん、武田航平さん、飯田基祐さん、小林隆さん他。

 

Wikipedia「ゲームの名は誘拐」

 

原作も読んでいるし、映画化作品の「g@me.」('03) も観ていますが、どちらも昔のことなので完全に忘れていて、このドラマを観終わって原作について調べたところでようやく気づいたくらい (^^;;;

 

そんなわけで自分としては完全に「初見」の感覚で観ました (^^)v

 

主人公のキャラクター設定があまりに幼稚なので初めは冷めた目でしか観られなかったのですが、終盤の「最初のどんでん返し」以降はかなり入り込めましたし、原作や映画版よりも楽しめましたグッド!

 

ただ、最後のメロドラマ調の部分はちょっとしらけちゃったかなぁ…。映画版は主演の2人の配役からも明らかなように「ラブストーリー」として描く意図が最初から明白なのでいいんですけど、少なくともこのドラマの配役なら、主人公もヒロインもクソ野郎のままで終わった方が合っているように思えてならないんですよ…。もちろん、原作が出版されてから20年以上過ぎた今の時代に映像化するなら、こういう味付けをせざるをえないというのも理解はできますけど。

 

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「クーダ 殺し屋の流儀」('22)

 

長年マイアミの犯罪組織のために働いてきた殺し屋が組織に反旗を翻し、誘拐された少女たちを救うために闘う姿を描いたB級サスペンスアクションです。主演はアントニオ・バンデラス、共演はケイト・ボスワース、モージャン・アリア、アレクシス・レン、ゾリー・グリッグス他。

 

裏社会に生きる男が、見ず知らずの少女を救うために命をかけて戦うなんていうのは、アクション映画の定番ネタ。

 

そこに新鮮味を加えようと、裏社会に足を踏み入れかけている青年を登場させ、もう1人の主人公として描くというアイデアは悪くない。しかも、その青年が観客から共感を得やすいキャラクターに設定されているのもいい。

 

が、1本の映画にまとめるには無理がある…。

 

かと言って、数本のテレビミニシリーズにするほどの話でもないし…。

 

結果的に長めのダイジェスト版のようなうっす〜い仕上がりになってしまったのは残念。

「マッド・ハイジ」('22)

 

名作児童文学「アルプスの少女ハイジ」を「魔改造」したバイオレンスアクション映画です。主演はアリス・ルーシー、共演はマックス・リュートリンガー、キャスパー・ヴァン・ディーン、デヴィッド・スコフィールド、アルマル・G・サトー、ケル・マツェナ他。

 

Wikipedia「マッド・ハイジ」

 

この企画が公開され、クラウドファンディングで制作資金を集め始めた頃から楽しみにしていたのですが、ようやく観ることができました。

 

期待値が高過ぎたせいで「大満足」とまでは行きませんでしたが、「エログロバイオレンスおバカ映画」に徹していて、そこに一切の迷いがないところがグッド!

 

続編があるような感じですが、もし実現するなら、さらなるパワーアップを期待しています (^^)v

「TOKYO VICE」('22, '24)

 

 

1990年代に外国人として初の読売新聞記者となったジェイク・エーデルスタインの回顧録を原作とし、1990年代末の東京の裏社会を描いた日米合作のサスペンスドラマシリーズの第1、第2シーズン全18話です。主演はアンセル・エルゴート、共演は渡辺謙、レイチェル・ケラー、菊地凛子、伊藤英明、笠松将、窪塚洋介、真矢ミキ、菅田俊、谷田歩、渡辺真起子、伊藤歩、玄理、山下智久他。

 

Wikipedia「TOKYO VICE」

 

ジャーナリストの回顧録を原作としている割には、モデルとなった実話と比べても、荒唐無稽で現実味に乏しいですが、完全なフィクションと割り切って観たので、かなり楽しめました (^^)v

 

そして何より驚いたのは、アンセル・エルゴートの日本語の巧さ。

 

日本語を話せない外国人が頑張って日本語のセリフを話している感じは全くなく、しっかり「日本語を話せる外国人」になっていること。実際、猛勉強の末に日本語を話せるようになったそうですが、その努力には頭が下がります。これまでアンセル・エルゴートに対しては特に良い印象を持っていたわけではないのですが、この役でかなり好印象に。

 

せっかく日本語が話せるようになったのですから、日本語を話す役がこれで終わってしまうのはちょっと勿体無い。このドラマはシーズン2で物語として完結していますが、オリジナルのストーリーで続編を作っても良いのではないかと、ちょっとだけ期待しています (^^)

「プー あくまのくまさん」('23)

 

児童小説「クマのプーさん」がパブリックドメイン化されたことを機に、プーさんを殺人鬼として登場させたホラー映画です。主演はニコライ・レオン、共演はマリア・テイラー、ナターシャ・ローズ・ミルズ、アンバー・ドイグ=ソーン、クレイグ・デヴィッド・ドーセット、クリス・コーデル、ポーラ・コイツ他。

 

Wikipedia「プー あくまのくまさん」

 

これほど「褒められるところの全くない」映画も珍しい。

 

所詮は「おバカ映画」であり、真面目に観るべきでないことはわかっていますが、それでも作り手に何もこだわりがなく、「著作権の切れたプーさんでホラーを撮ったら面白いんじゃね?」という軽いノリだけでテキトーに作った「雑さ」が全編に溢れていて、笑えるどころか、観る側をバカにしているようにしか思えず。

 

シリーズ化するらしく、既に本国イギリスでは続編が公開済みで、本作よりは高評価のようですけどね…。

 

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「バービー」('23)

 

米国マテル社の着せ替え人形バービーを主人公にしたファンタジー映画です。主演はマーゴット・ロビー、共演はライアン・ゴズリング、アメリカ・フェレーラ、アリアナ・グリーンブラット、イッサ・レイ、シム・リウ、ウィル・フェレル他。

 

Wikipedia「バービー (映画)」

 

非常にメッセージ性が強く、単に女性を応援するだけではなく、男性にも自分らしくあっていいんだと訴える内容で、大ヒットしただけでなく、高く評価されているのは納得できました。

 

一方で、このようなメッセージを発する映画が作られ、ヒットしてしまうということは、それほど現実は理想からほど遠いことを示していて、それはそれで残念なことではあります。

 

ただ、自分の好みで言えば、メッセージが前面に出過ぎていて冷めちゃった、と言うよりもドン引きしちゃったんですよ…。

 

こういう「メッセージをストレートに伝える」のも悪くはないんですが、もっと「さりげなく」描くことはできなかったのかなぁと。もちろん、上から目線にならないように作り手が努力しているのはわかるんですけど…。

 

「言いたいことは言葉にしてはっきりと主張すべき」というのは、西洋の文化として理解できますが、それが強すぎることが現在の深刻な「社会の分断」に繋がっているのに…。

 

そんなわけで内容よりも、どうでもいいところにばかり注意が行ってしまいました。

 

例えば、

 

マーゴット・ロビーの容姿に対して長年抱いていた「違和感」がバービー人形みたいなルックスだからということに気付かされた

 

ライアン・ゴズリングをはじめ、細マッチョが多い「ケン」たちの中で、ゴリマッチョなシム・リウが1人だけ浮いていて妙に目立っていた

 

とかね。

「カンダハル 突破せよ」('22)

 

米国防情報局の職員だったミッチェル・ラフォーチュンが、アフガニスタン赴任時の体験をもとに脚本を執筆し、本国からの支援も期待できない状況で敵国からの決死の脱出を試みるCIA工作員の戦いを描いたアクション映画です。主演はジェラルド・バトラー、共演はナヴィド・ネガーバン、アリ・ファザール、バハドール・フォラディ、トラヴィス・フィメル、ニーナ・トゥーサント=ホワイト他。

 

Wikipedia「カンダハル 突破せよ」

 

よくある娯楽アクション映画として、それなりに楽しめるけれど、「ジェラルド・バトラー主演のアクション映画」としては物足りなさを感じる人は少なくないんじゃないかなぁ…。ジェラルド・バトラーが出ずっぱりなので一見すると活躍しているように見えますが、実はそんなに活躍していないし。

 

とにかく、難しいことを考えずに、単なる「時間潰し」と割り切って観るべきなんでしょう。そもそもそういうタイプの映画ですしね。

「苦い涙」('22)

 

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の代表作の1つ「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」('72) をフランソワ・オゾン監督が現代風にリメイクした作品で、映画監督の中年男性が若手男性俳優と繰り広げる愛憎劇を描いたドラマコメディ映画です。主演はドゥニ・メノーシェ、共演はハリル・ガルビア、イザベル・アジャーニ、ハンナ・シグラ、ステファン・クレポン他。

 

Wikipedia「苦い涙 (映画)」

 

ファスビンダー監督が自らの実体験をもとに、自分をモデルにした主人公とその恋人をどちらも女性に変更して描いた「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」を、主人公とその恋人を男性に「戻し」、さらに主人公をファスビンダー監督によく似たドゥニ・メノーシェに演じさせてリメイクするという、ちょっと意地悪にも見えるアレンジなのですが、こちらの方が本来の「喜劇」性がよく表現できていると思います。

 

「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」も本作も、本人にとっては生きるか死ぬかの深刻な問題であっても、愛に狂った人間は周りから見れば哀れであるとともに滑稽であることをストレートに描いている点では全く同じ。

 

しかし、「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」はヨーロッパ映画らしい落ち着いたトーンで描かれているため、どうしても「シリアスな愛憎劇」に見えちゃうのに対し、こちらは今風にテンポ良く描いているし、なんと言っても「強面の大柄なおじさんが美青年に翻弄されて、泣くは喚くはの醜態を晒しまくる」姿には哀れみ以上に、「可笑しさ」を強く感じさせ、そのあたりの演出と演技の匙加減が絶妙でグッド!

 

面白かったです (^^)v

 

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「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」('72)

 

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の代表作の1つで、ファッションデザイナーの女性が若い女性モデルと繰り広げる愛憎劇を描いたドラマ映画です。主演はマルギット・カルステンセン、共演はハンナ・シグラ、イルム・ヘルマン、カトリン・シャーケ、エヴァ・マッテス他。

 

Wikipedia「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」

 

ファスビンダー監督が自らの実体験をもとに、自分をモデルにした主人公とその恋人をどちらも女性に変更して描いた本作。

 

もともと戯曲だけあって極めて舞台劇調。でも、実際に舞台で観たら、ほぼ会話だけで展開する物語なので途中で飽きて寝ちゃうかも (^^;;;

 

そのあたりは、映像作品らしい画面構成やフォーカスの使い方で、一言もしゃべらないアシスタントの女性こそが「もう一人の主人公」であることを観ている側にわかりやすく示し、スリルを加えて飽きさせないようにしているのはグッド!

 

本人にとっては生きるか死ぬかの深刻な問題であっても、愛に狂った人間は周りから見れば哀れであるとともに滑稽。それをストレートに描いた本作は、明らかに「喜劇」なのですが、ヨーロッパ映画らしい落ち着いたトーンで描かれているため、少なくとも21世紀の今の感覚だと、「シリアスな愛憎劇」に見えちゃうよなぁと思いながら観ていました。

「コロニアの子供たち」('21)

 

1980年代末の南米チリを舞台に、ナチスの残党が築いたカルト共同体「コロニア・ディグニタ」の実態を描いたドラマ映画です。主演はサルバドール・インスンサ、共演はハンス・ツィッシュラー、アマリア・カッサイ、ノア・ヴェスターマイヤー、ダビド・ガエテ他。

 

Wikipedia「コロニア・ディグニダ」

Wikipedia「パウル・シェーファー」

 

映画の舞台は1989年ですが、その後もこのおぞましい宗教団体が存在し続けていたことには驚きよりも恐怖を感じます。

 

同じく「コロニア・ディグニタ」を題材にした映画「コロニア」('15) が娯楽映画に寄り過ぎていて不謹慎にしか見えなかったのに比べると、はるかに真摯に描かれた映画でした。

 

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