ドロステのはてで僕ら
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カフェオーナーの部屋と店のTVが2分間の時差でつながったことから起こる騒動を、長回し撮影で撮ったSF群像コメディです。主演は土佐和成さん、共演は朝倉あきさん、藤谷理子さん、石田剛太さん、諏訪雅さん、酒井善史さん、中川晴樹さん他。
実際に描かれている「物語」自体は大して面白くないし、そもそも「何でそんなに電源ケーブルが長いの?」とかどうでもいいことに突っ込みたくなるし。
が、この映画に関してはそんなことは本当にどうでもいい。
これだけややこしい話をよく長回しで撮れたなぁと、その技術的な面に感心するばかり。どれだけ入念に準備し、何度もリハーサルをしたのか、その苦労を想像するだけで「うわぁ!!」となっちゃう。
とにかく、撮影技術そのものの見事さだけで充分に楽しめる映画でしたが、できれば映画本編よりもメイキング映像の方をもっとじっくり観たいです (^^)
2007年にニュージーランド東部の先住民マオリ系住人が暮らすルアトキ集落で、警察特殊部隊による行き過ぎた強制捜査が行なわれた事件を再現したアクション映画です。主演はクリフ・カーティス、共演はジェイ・ライアン、マヌー・ベネット、タメ・イティ、シモーヌ・ケッセル、リア・パキ他。
この映画を観るにあたって注意しなければならないのは、2007年に実際に起きた事件を再現していると謳いつつも、映画の中で以下のように明言している点です。
この作品は警察による襲撃を再現したものではない
This film is not a recreation of the police raids against the people of Tūhoe.
被害者側の認識である
It is a response.
そして、被害を受け、逮捕された活動家タメ・イティ氏が本作のプロデューサーの1人となり、本人役で出演していることにも注意が必要です。
実際には怪我人も死傷者も出ていないにもかかわらず、必要以上に事件を大きく見せるために暴力描写を「捏造」していることには大いに疑問を感じます。
確かに、この事件は警察の大失態で、責められて然るべきものではありますが、この事件のきっかけとなったイティ氏による銃器の不法使用については最終的に有罪判決が確定し、収監もされており、一方的に警察だけが悪いとは言えないのです。
だからと言って、この映画が無意味かと言われると、それは「No」です。
この映画で描かれているように、思い込みや勘違いが取り返しのつかない悲劇につながる可能性があることは間違いなく、そんな悲劇を生まないようにするための啓発としての意味はあると思います。ただ、それならばきちんと「実話から着想を得たフィクションである」と明言すべきであり、敢えてそうは明言しないところには映画製作者の不誠実さを強く感じます。
夫たちをまとめて爆殺した親友同士の3人の妻たちに迫る危機を描いたサスペンス・スリラーの第1、第2シーズン全16話です。主演はセシリア・フォルス、シヌーヴ・マコディ・ルンド、ビアテ・ビッレ、共演はキッレ・ヘルム、ピーター・ストーメア、ケン・ヴィセゴー、モンス・ナターネルソン、ヨーナス・カールソン、ダニロ・ベヤラノ他。
全16話を完走できたということは、それなりに楽しめたってことではあるのだけれど、いくらコメディテイストとは言え、ツッコミどころしかなかったなぁ…。
主人公3人は犯罪のプロじゃないので完璧でないのは当然だけれど、呆れるようなドジばかり踏み、そのたびに窮地に陥るものの、全てが「運良く」難を逃れるという展開ばかりなのには「脚本、手抜きすぎだろ!!」と文句を言いたくなります。
また、第1シーズンで重要だったはずのキャラクターが、第2シーズンでは初めから存在しなかったかのような扱いで完全スルーなのも雑。
それに、やってることの鬼畜ぶりに対して、ほとんど罪悪感を抱いていないノーテンキな主人公たちのサイコパスなキャラクターのせいで、コメディ部分は全く笑えないし。
娯楽作品として出来が悪いとまでは思いませんが、気になることばかりで最後まで入り込めませんでした。
「千夜一夜物語」('69) に続き、大人向けのアニメーション映画として手塚治虫さんが古代エジプト最後の女王「クレオパトラ」の物語を独自の解釈でエロティックに描いた歴史映画です。声の出演は中山千夏さん、ハナ肇さん、なべおさみさん、吉村実子さん、野沢那智さん、初井言栄さん他。
→ Wikipedia「クレオパトラ (1970年の映画)」
前作の「千夜一夜物語」と同様、話は全然面白くない。ところどころに挟み込まれるギャグがつまらな過ぎてしらけちゃう。
それでも、やはり前作同様に独特の映像には興味深いものがあります。
ただ、前作とは異なる新しい試みは見られるものの、「二番煎じ」感は否めず、前作ほどの魅力を感じられなかったのは残念。
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虫プロダクションが製作、手塚治虫さんが原案・総指揮を務め、「千夜一夜物語」を独自に翻案してエロティックに描いた大人向けの冒険ファンタジーアニメ映画です。声の出演は青島幸男さん、岸田今日子さん、芥川比呂志さん、伊藤幸子さん、小池朝雄さん、橋爪功さん、三谷昇さん他。
→ Wikipedia「千夜一夜物語 (1969年の映画)」
美術とキャラクターデザインを「アンパンマン」で知られるやなせたかしさんが担当しているのをはじめ、とにかく映像が印象的。
はっきり言ってしまうと、ストーリーは支離滅裂で大して面白くない。
それでも、当時としては画期的なアニメーションによる濃厚な性描写、模型を撮影した映像や実写にアニメーションを組み合わせるなど「実験映画」のような試みが実に興味深い。
映像が面白いだけの映画で2時間を超える長尺は、視聴するには少々しんどいものがありますが、不思議な映像体験をしたい時には良いかもしれません。
1980年代末に人気を博した西森博之さんの同名ツッパリ漫画を原作とした2018年のテレビシリーズのその後を描いた劇場版です。主演は賀来賢人さん、伊藤健太郎さん、共演は清野菜名さん、橋本環奈さん、仲野太賀さん、矢本悠馬さん、若月佑美さん、柳楽優弥さん、山本舞香さん、泉澤祐希さん他。
→ Wikipedia「今日から俺は!! (テレビドラマ)」
原作は未読ながら、テレビシリーズが面白かったので観てみました。
テレビシリーズ同様、頭を空っぽにして気楽に観られるし、福田雄一監督独特の作風がぴたりとはまっていて![]()
ただ、わざわざ映画館に足を運んで金を払ってまでして観る映画かと言われると微妙 (^^;;;
ドラマスペシャルで充分かな…。
それは福田雄一監督の映画全般に言えることだけど (^^)
浅田次郎さんの同名小説を原作とし、莫大な借金を抱える小藩の藩主になった鮭売りの青年が、大名倒産を阻止するために財政再建を始める姿を描いた時代劇コメディです。主演は神木隆之介さん、共演は杉咲花さん、松山ケンイチさん、小日向文世さん、小手伸也さん、浅野忠信さん、佐藤浩市さん他。
「時代劇」と思って観ると「何じゃこりゃ?!」としかなりませんが、最初から「時代劇風の長尺のコント」と割り切れば楽しめなくもないと思います。
基本的には「志村けんのバカ殿様」みたいなもんです。
麻薬王と彼を追う賞金稼ぎの対決を描いたくクライムアクションです。主演はブレイク・ジェナー、共演はジョン・トラヴォルタ、ブルース・ウィリス、スティーヴン・ドーフ、プラヤ・ランドバーグ他。
「パルプ・フィクション」('94) 以来28年ぶりとなるジョン・トラヴォルタとブルース・ウィリスの夢の再共演を謳ってはいますが、コーリー・ラージが製作・脚本を務めている時点で出来はわかっていますし、その「期待」通りの出来。
2大スターの共演と言いながら、2人のシーンはわずかだし、そのほとんどが恐らく別撮り。
低予算でとてもとても頑張ったんだなぁということだけはよくわかりました。
とにかく、北米の中学生男子が好きそうな、それこそ中学生男子が書いたよう内容ですが、想定したターゲット層の期待には充分に応えているでしょう。
それにしても「外からやって来た白人男性が救世主となって原住民たちを救う」話ってのは大昔から定番ではあるけれど、本当に鼻につく。
人気シリーズ「ハンガー・ゲーム」第1作の数十年前を舞台にした前日譚で、独裁者スノー大統領の若き日を描いたアクション映画です。主演はトム・ブライス、共演はレイチェル・ゼグラー、ピーター・ディンクレイジ、ハンター・シェーファー、ジョシュ・アンドレス・リベラ、ジェイソン・シュワルツマン、ヴィオラ・デイヴィス他。
「ハンガー・ゲーム」シリーズに思い入れはない。
このシリーズは「物語」としては確かに面白いけれど、基本的に不快な話でそんなに好きというわけではない。
この前日譚も「物語」としては充分に面白いけれど、やっぱり不快な話。主人公をはじめ、不快なキャラクターが多いので、作品全体としての不快度も一段とアップ。
一度観れば充分。二度と観ることはないと思います。
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大富豪の孫を過失で死なせてしまい、賞金を懸けられて殺し屋たちから命を狙われるはめになった一般人の夫婦を描いたアクション映画です。主演はダニエル・カルタジローン、ロイス・ブレイビン=プラット、共演はエリック・ロバーツ、ルーカス・アウレリオ、マルコ・レオナルディ、ジョルジュ・サン=ピエール、ベントレー・カルー他。
ハリウッド映画ならドタバタアクションコメディにするところを、すっとぼけたコメディとして描くとか、ハリウッド映画なら絶対にありえないエンディングとか、イギリス映画らしさは徹底していて、そのセンス自体は嫌いじゃない。
が、単純に面白くない。
主人公夫婦が徹頭徹尾「不快なクズ」なので、この2人がどうなろうとどうでもいいとしか思えないし、そのキャラクターあってこそのエンディングなんでしょうが、そもそものこの物語の趣旨として、それはアリなのかという疑問が。
それに、凄腕の殺し屋たちという設定にもかかわらず、ことごとく雑でずさんで間抜けなのも、それが作り手の意図だとしても、面白いのは最初だけ。同じパターンをただ繰り返すだけってのは「観る側をバカにしてるのか?!」としか思えず。
全てにおいて不愉快なだけの映画でしたが、それ自体が作り手の意図通りなのかもと思ったりもします。