Marc のぷーたろー日記 -50ページ目

「鷲は舞いおりた」('76)

 

ジャック・ヒギンズの同名冒険小説を原作とし、第2次世界大戦中にヒトラーが戦局の一発逆転を狙って思いついた、英国首相チャーチル誘拐作戦に挑むことになったナチスドイツの精鋭部隊を描いたジョン・スタージェス監督による戦争冒険活劇です。主演はマイケル・ケイン、共演はドナルド・サザーランド、ロバート・デュヴァル、ジェニー・アガター、ドナルド・プレザンス他。

 

Wikipedia「鷲は舞いおりた (映画)」

 

最後の最後まで結局何を描きたい映画なのかさっぱり分かりませんでした。

 

間抜けな登場人物たちによる間抜けな話を延々と見せられるだけで、娯楽映画としての痛快さも面白さもなければ、戦争映画や人間ドラマのような深みも重厚さもない。陳腐なラブストーリーも本作を一段とくだらないものに見せてますし。

 

登場人物の間抜けさを強調することで戦争の愚かしさを皮肉ってると解釈できなくもないですが…。ブラックコメディだとしても中途半端。

 

とりあえず、間抜けな登場人物たちばかりの中で、特に米軍を超がつく間抜けに描いているのは英国人作家の作品らしいなと思いました。

「枯れ葉」('23)

 

心の内に孤独を抱えながらつましく生きる一組の中年の男女の恋の行方を、皮肉とユーモアを織り交ぜて描いたアキ・カウリスマキ監督によるドラマコメディ映画です。主演はアルマ・ポウスティ、ユッシ・ヴァタネン、共演はヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ他。

 

Wikipedia「枯れ葉 (映画)」

 

地味な男女による王道のラブストーリーというのは特に目新しくはないですが、アキ・カウリスマキ監督が2017年の引退宣言を撤回してまで撮った意図がよく分かる映画でした。

 

ロシアと国境を接しているフィンランドにとって、ロシアによるウクライナ侵攻が如何に深刻なものであるかをはっきりと示しつつも、あくまで「時代背景」として描くにとどめ、「こんな時代だからこそ、小さなラブストーリーが必要なんだ」というメッセージは心を打ちます。ただ、アルコール依存症の描き方は雑でちょっと気になりましたけどね (^^;;;

 

それにしても、主人公の友人である中年男性を演じたヤンネ・フーティアイネンは、若い頃よりも50代となった今の方がはるかに渋くてイケてるのに、映画の中では「年寄りすぎて女性に全く相手にされない」設定になってるのは、笑わせようとしているにしても「ちょっと酷いんじゃね?」とは思いました (^^)

 

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「VORTEX ヴォルテックス」('21)

 

ある夫婦の老い・病気・死を奇抜な映像で描き、伝説的ホラー映画監督ダリオ・アルジェントが映画初主演したドラマ映画です。共演はフランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ、キリアン・デレ他。

 

怖い映画でした…。

 

老夫婦の最期の日々を丁寧に描いていて、そのあまりの生々しさには恐怖しか感じませんでした。

 

夫の身勝手さにしろ、一人息子の役立たずぶりも、リアルで生々しい…。

 

老夫婦と一人息子の現在の姿を通して、この三人がどんな家族だったのかが、いろいろと想像できてしまうのです。

 

ただ、画面を分割して二つの映像を同時に見せる演出は、この物語においてとても意味があるし、効果もあるのは間違いないのですが、純粋に映画を観る立場からすると、ちょっと観づらい (^^;;;

 

同時に二つの映像を観続けるのは思っていた以上に集中力が求められましたし、気が張るのでかなり疲れちゃいました (^^;;;

「Notre paradis(Our Paradise)」('11)

 

30代になって客を取れなくなった男娼と、若い男娼との恋愛を連続殺人と共に描いた犯罪恋愛映画です。主演はステファーヌ・リドー、ディミトリ・デュアデーン、共演はベアトリス・ダル、マティス・モリセ、ディディエ・フラマン、レイモンド・ブロンシュタイン、マリク・イソラ他。

 

Wikipedia「ノトル・パラディ」

 

愛し合う男女が犯罪を重ねながら逃避行する物語は「俺たちに明日はない」('67) をはじめとして定番中の定番ですが、それをゲイカップルに設定しているのはちょっと新鮮。

 

ただ、犯罪映画や逃亡劇として観ると、緊張感が全くないし、主人公がそこまでの殺人衝動を抱える背景がほとんど描かれないのでイマイチ盛り上がりに欠けるのは残念。映像としては印象的なシーンがいろいろあるんですけどね…。

 

ただ、主演のステファーヌ・リドーは「かつては美青年で超売れっ子だったが、歳を取って容姿が衰えたためにすっかり客が付かなくなった男娼」という設定にピッタリで説得力ありまくり。おそらく役作りだと思いますが、悲しいまでに崩れた裸体を晒す勇気は見事。若い頃は文字通り「美青年」のイメージだった彼が30代半ばでこういった「汚れ役」に挑戦した役者根性には感服。

 

それだけに、もうちょっと演出にキレがあればなぁと思わざるを得ませんでした。

「ロスト・フライト」('23)

 

コントロール不能に陥り、反政府ゲリラが支配する無法の島に不時着してしまった民間機の機長が、人質になった乗客を救うためゲリラと戦うさまを描いたサバイバルアクションです。主演はジェラルド・バトラー、共演はマイク・コルター、ヨソン・アン、ダニエラ・ピネダ、トニー・ゴールドウィン他。

 

Wikipedia「ロスト・フライト」

 

最近のジェラルド・バトラー主演のアクション映画の典型例って感じ。

 

50代となって以前ほど派手なアクションができなくなったのか、主演なのにアクションの見せ場がほとんどない。

 

まぁ、娯楽アクション映画としては、これはこれで楽しめなくもないけれど、それにしても…。

 

特に本作に関しては、悪役がフィリピン政府もお手上げの凶悪な反政府ゲリラという設定なのに、あまりにしょぼくて全く話にならないのはダウン

 

ジェラルド・バトラーのファンでも「何だかなぁ…」としか言いようのない出来の残念な映画でした。

「卒業 〜Tell the World I Love You〜」('22)

 

裏社会から足を洗いたい青年と出会った高校生が犯罪組織との戦いに巻き込まれていくさまを描いた青春アクション映画です。主演はスラデット・ピニワット、共演はタナポン・スクンパンタナーサーン、シラホップ・マニティクン、クナティップ・ピンプラダブ他。

 

何じゃこりゃ!?

 

いくら単なる「アイドル映画」だとしても、信じられないほど酷い出来。

 

この出来でどうして一般公開できると思ったんだろ?

 

とにかく、視聴自体が苦痛なほど酷い出来なので、出演者の熱心なファンでもない限り、敢えて観る必要があるとは、とても思えません。

「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」('21)

 

ユダヤ人作家シュテファン・ツヴァイクが1942年に自ら命を断つ直前に書き上げ、命を懸けてナチスに抗議した作品として知られる中編小説「チェスの話」を原作とし、突如ナチスに拘束される身となった公証人が、チェスを命綱にして必死の抵抗を試みるさまを描いた人間ドラマです。主演はオリヴァー・マスッチ、共演はアルブレヒト・シュッフ、ビルギット・ミニヒマイアー他。

 

どうして「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」なんていう痛快なコンゲームみたいな邦題を付けたんだろう?

 

原作を読んだことがなかったので、このタイトルから想像していた内容とあまりに違っていたのでビックリ。

 

結果的には自分好みの不条理劇だったので、それなりに楽しめたのですが、予備知識なしで観た人の中には「何じゃこりゃ!?」ってなる人も多いんじゃないかなぁ…。

 

ただ、2時間近い尺では間延び感もあり、もうちょっと短くまとめた方が良かったんじゃないかなぁという気も。どうしてもこの尺にするなら、もっとわかりやすく描いても良かったと思いますし。不条理劇好きとしては、ちょっと残念。

「ぼくは君たちを憎まないことにした」('22)

 

2015年のパリ同時多発テロで妻を奪われたジャーナリストが、幼い息子を抱え、事実を受け入れ悲しみと向き合う日々を綴った世界的ベストセラーを映画化したドラマ映画です。主演はピエール・ドゥラドンシャン、共演はゾエ・イオリオ、カメリア・ジョルダーナ、ヤニック・ショワラ、クリステル・コルニル、アン・アズレイ他。

 

予想以上に人間の感情をリアルに描写している作品だと感じました。

 

主人公によるナレーションや独白を一切用いず、主人公とその幼い息子の姿をただカメラが追いかけるだけ。それでも主人公の内面がひしひしと伝わってくる演出と演技には感服するばかり。

 

事件から数日後にSNSに綴った文章が注目され、一躍「英雄」となってしまったことが、彼にとっての「現実逃避」になっただけでなく、その「自分の言葉」に縛られる苦しみを味わうことになるのは実に生々しい。

 

不慮の悲劇に見舞われた人間の複雑な心情を、言葉で説明するのではなく、基本的に映像だけで描くことで、より一段と観る者の心に響く作品になっています。

 

ところで、生後17ヶ月の息子を演じたゾエ・イオリオには本当にビックリ。どう考えても「演技」ができる年齢ではないと思うのですが、この役を実に「的確に」演じており、もちろんそれは監督の手腕であることは間違いないのですが、それでも驚かされるばかりでした。

「旅するローマ教皇」('22)

 

南米出身者として初の教皇に選出された第266代ローマ教皇フランシスコが、9年間で37回、53カ国を訪ねた旅を記録映像と新撮映像で綴ったドキュメンタリー映画です。

 

Wikipedia「フランシスコ (ローマ教皇)」

 

軍事独裁政権時代のアルゼンチンを生き抜いた人だけあって、歴代の教皇と比較して、かなり異色の教皇であることは確か。

 

また、教皇になってからも、カトリック教会が犯した過去の罪、例えば、聖職者による児童への性的虐待や先住民族の子供たちへの改宗の強要などを公式に謝罪するなど、より現代的な姿勢を取っていることも印象的です。

 

ただ、この映画ではそういった教皇の「良い面」だけを描く一方で、人工妊娠中絶や避妊の禁止といった保守的で前近代的な面や、賛否の分かれている「微妙な問題」については一切触れておらず、それは本作を制作する上で仕方なかったのは理解できますが、どうしても不誠実に見えてしまうのです。

 

結局は、観る前の予想通り、カトリック教徒向けの「教皇礼賛」映画に過ぎませんでした。

 

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「シック・オブ・マイセルフ」('22)

 

注目を浴びたいという願いが暴走し、自身を傷つける若い女性を描いたサスペンス風人間ドラマです。主演はクリスティン・クヤトゥ・ソープ、共演はアイリク・サーテル、ファンニ・ヴァーゲル、ヘンリク・メスタド他。

 

かなり極端な話なので、現実離れしているように見えるところはあります。

 

それでも、ところどころに挟み込まれる主人公の妄想がブラックな笑いを生み、極端ではありつつも「ありえなくはないかも…」と思わせるなど、「風刺」としてはとてもわかりやすい作り。特に、主人公の恋人のキャラクターを、主人公ほどではなく、現実にいそうなレベルのソシオパスに設定しているのが肝。

 

歪んだ承認欲求を題材にした作品というと、今の時代ではSNSが槍玉に挙げられることが多いですが、この映画はさほどSNSにフォーカスせず、昔ながらの「ミュンヒハウゼン症候群」を題材にした作品として作られているのは、むしろ新鮮な印象を受けました。