死霊館のシスター 呪いの秘密
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実在の超常現象研究家夫妻を主人公にしたオカルトホラー映画シリーズ、「死霊館」ユニバースの恐怖の原点である悪魔のシスター「ヴァラク」に焦点を当てた「死霊館のシスター」第2弾です。主演はタイッサ・ファーミガ、共演はジョナ・ブロケ、ストーム・リード、アナ・ポップルウェル、ボニー・アーロンズ、ケイトリン・ローズ・ダウニー、スザンヌ・バーティッシュ他。
前作で主人公の1人だったイケオジ神父が既に病死していたとの設定で登場しなかったのはとても残念でしたが、娯楽映画と割り切って観れば、それなりに楽しめました。
でも、前作同様、ストーリーそのものは大して面白くもなく (^^;;;
特に、物語が本格的に動き出すのが終盤になってからという間延び感は![]()
ただ、この手の映画で中心的に活躍するのが一般的に神父など男性であることが多い中、基本的に女性のみで戦うというコンセプトは悪くなかったと思います。
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女性や移民、囚人など、弱者のために生涯闘った偉大な政治家シモーヌ・ヴェイユの波乱の人生を描いた伝記映画です。主演はエルザ・ジルベルスタイン、レベッカ・マルデール、共演はオリヴィエ・グルメ、エロディ・ブシェーズ、ジュディット・シュムラ他。
彼女の名前を冠して通称「ヴェイユ法」と呼ばれる法律の存在自体は聞いたことがありますが、彼女についは全く知りませんでした。そんな無知な自分を心底恥ずかしいと思わされる映画でした。
まさに「波瀾万丈」とはこのような人生であり、国際的に右傾化が進み、時代を逆行させる危険性が増している今の時代に彼女の伝記映画が作られたことは必然。
1人でも多くの人が1度は観るべき映画でしょう。
パリのシンボルとして広く知られるエッフェル塔の誕生の陰にあった愛の物語を描いた恋愛ドラマ映画です。主演はロマン・デュリス、共演はエマ・マッキー、ピエール・ドゥラドンシャン、アルマンド・ブーランジェ、ブリュノ・ラファエリ他。
歴史上の実在の人物を主人公にした「フィクション」自体は、それをあらかじめ明言していれば問題ないですし、塔建設へのエッフェルの執念の裏に秘められた恋愛物語があったという創作もフランスらしいなとは思います。
が、その恋愛物語があまりに陳腐なメロドラマで![]()
こんなくだらない創作を加えなくても、エッフェル塔建設だけで充分に面白い話にできたと思うんですけどねぇ…。
また、ヒロインの夫は友人に裏切られ、妻を寝取られた完全な被害者で、しかも本来は善良な人物であるにもかかわらず、主人公とヒロインの恋を妨害する邪魔者のように描くのも不快でしかなく、この映画の作り手の価値観や姿勢そのものが根本的に僕とは相容れないものだと感じるばかりでした。
伊兼源太郎さんの同名小説を原作とし、警察内の不正を取り締まるプロ集団・警視庁人事一課(通称:ジンイチ)による内部捜査を描いたドラマシリーズのシーズン1全6話とシーズン2全8話です。主演は松岡昌宏さん、共演は仲村トオルさん、泉里香さん、池田鉄洋さん、三浦誠己さん、戸塚祥太さん、浜中文一さん、マキタスポーツさん、眞島秀和さん、鶴見辰吾さん他。
目立ってはいけない仕事のはずなのに、どう見ても只者ではない雰囲気を出しまくっていたり、人目のあるところで単眼鏡を使ったり、演出上の雑さがかなり気になりましたが、話自体はフィクションとして充分に楽しめました。ただ、現実味はないし、ちょっと厨二病臭がキツかったですけどね。
上司とけんかして店を飛び出した一流レストランのシェフが、新たな職場で料理を通じて移民の少年たちと交流するさまを描いたコメディです。主演はオドレイ・ラミー、共演はフランソワ・クリュゼ、シャンタル・ヌーヴィル、ファトゥ・カバ、ヤニック・カロンボ他。
「いい話」だとは思います。
一昔前なら主人公の「プライドの高い頑固なシェフ」は中年男性に設定されていたはずなのを、中年女性に設定しているのもいい。
が、「綺麗に描きすぎてる感」は否めず。
もちろん、現実の厳しさを全く描いていないわけではないですが、移民の少年たちの問題を世の中に啓発する意図が前面に出過ぎていて、都合の悪いところには完全に目を塞いで「綺麗事」として描いているようにしか見えないのです。
この映画の作り手は、そんなことは百も承知の上で敢えてこういう描き方をしているんでしょうが、本当にそれで問題は解決するんだろうか? 世の中の理解は得られるのだろうか? という疑問がどうしても拭えないのです。
一種の「ファンタジー」と思って割り切って観るべきなんでしょうけどね…。
ある患者の死で医療過誤を疑われた救命医が、危険な陰謀に巻き込まれていくさまを描いたサスペンスドラマ全5話です。主演はニアフ・アルガー、共演はヘレン・ビーハン、ジョーダン・クアメ、ジェームズ・ピュアフォイ、ハンナ・ウォルターズ、スコット・チェンバース、プリヤンカ・パテル、トリスタン・スターロック、ローン・マクファディエン他。
物語としては悪い出来ではないと思います。
が、主人公をはじめ、主要な登場人物に魅力的なキャラクターがおらず、誰にも共感できないし、好感も持てないのはイマイチ。
また、事件解決に至るきっかけが「突然(都合よく)改心した」関係者の証言というのも、安易な感じでしらけちゃったし。
それでも、医療過誤を題材にしたフィクションとして着眼点は面白いし、まだ事件の全貌が明らかになったわけではなく、続きがあることを期待させる終わり方をしているので、続編があれば観ようとは思っています。それくらいには楽しめました (^^)
いい年をした大人の犯罪者たちが「禁じられた遊び」に興じるさまを描いた犯罪ドラマ映画です。主演はジャン=ルイ・トランティニャン、共演はロバート・ライアン、レア・マッサリ、アルド・レイ、ティサ・ファロー他。
良くも悪くも典型的な1970年代の映画。
往年のハリウッドスターであるロバート・ライアンとアルド・レイがアメリカ人の設定なのにフランス語を喋り続ける(おそらく吹替)不自然さはもちろん、ロバート・ライアンが強盗団のボスを演じるミスキャストぶりをはじめとして、とにかく終始一貫してツッコミどころしかないんだけれど、そんなことは作り手も分かった上でやってるんだろうし、そもそも「ストーリー」なんてどうでもよくて、「撮りたい絵」と「雰囲気」を見せてるだけなのは明らか。
なので、当然ながらこれっぽっちも面白くない。
全くもって意味不明の話なんだけど、それでも「どんな結末になるんだろう?」という興味だけは持続しちゃうので、何となく最後まで観ちゃう。
で、結局は結末も「何じゃこりゃ?!」なんだけどね (^^;;;
ところで、かつては「マッチョでセクシーなタフガイ」で人気スターとなったアルド・レイが、この時期は既に落ち目だったせいか、図体がでかいだけの間抜けキャラを演じているのは、ちょっと寂しい気もするけれど、意外に似合っていて、このキャラでコメディ俳優に転じていれば、もっとマシな晩年が送れたんじゃないかなぁなんて思ったりして、これまたしみじみしちゃったり。
現代のパリを舞台に、人生崖っぷちの中年タクシー運転手が、終活に向かう老女とともにたどる数奇な人生の旅を描いたドラマ映画です。主演はリーヌ・ルノー、ダニー・ブーン、共演はアリス・イザーズ、ジェレミー・ラウールト、グウェンドリーヌ・アモン他。
予想以上にヘビーな内容でしたし、確かに感動的な物語ではあります。
が、結末にどうしてももやもやした気持ちになってしまうのです…。
物語の冒頭から見え見えの結末で意外性は全くないのですが、それだけに一段と「本当にそれでいいんですか?」と言いたくなってしまうのです。
老女が主人公である中年男性に(孫世代と言いながらも)息子を重ねていたのは確かでしょうし、身寄りのない彼女の行動としては理に適っていて共感もできます。
それでも、
あまりに主人公に都合が良すぎませんか?
主人公に再起の機会を与えるだけではダメだったんでしょうか?
現実の厳しさを描いてきた物語の結末を、ちょっと浮世離れした童話やファンタジーのように描くのは手法としてはアリなんですけど、この物語の結末はもうちょっと現実的な方がいいんじゃないかと思えて仕方ないのです。もちろん、救いのないバッドエンドはあり得ないですし、前向きな終わり方であるべきなのは確か。そのあたりをうまく表現するのが脚本家の務めだと思うのですが、あまりに安易な結末に見えてしまったのです。
こんな感じでもやもやした気分になってしまいましたが、それでも主演のリーヌ・ルノーとダニー・ブーンはハマり役で役に説得力はありましたし、観応えは間違いなくありました。
ゴジラシリーズの第29作で、12年ぶりとなる日本版「シン・ゴジラ」('16) のモノクロ版です。主演は長谷川博己さん、共演は竹野内豊さん、石原さとみさん、高良健吾さん、松尾諭さん、市川実日子さん、余貴美子さん、國村隼さん、平泉成さん、柄本明さん、大杉漣さん、斎藤工さん他。
単に映像をモノクロにしたのではなく、古い映画やテレビドラマのような質感になるように陰影を調整し、うっすらとセピア調にしているのは![]()
おそらく作り手の意図としては第1作の映画「ゴジラ」('54) やテレビシリーズ「ウルトラQ」('66) を意識しているのでしょう。
そんなわけでマニア的な面白さは確かにありますし、ドキュメンタリー感は増していますが、舞台が映画公開当時の2010年代であることが、その古めかしい映像のタッチと合っていないので違和感は否めず…。このあたりは太平洋戦争直後を舞台にした「ゴジラ-1.0/C」('24) の方が当然ながら違和感はないですけどね。
また、ゴジラの熱線で東京が火の海になる地獄絵図もモノクロではちょっと迫力に欠けてしまっていたのは残念。
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ゴジラシリーズの第37作で、「シン・ゴジラ」('16) 以来7年ぶりとなる日本版と、そのモノクロ版です。主演は神木隆之介さん、共演は浜辺美波さん、山田裕貴さん、吉岡秀隆さん、佐々木蔵之介さん、青木崇高さん、安藤サクラさん他。ゴジラ生誕70周年記念作品で、第96回アカデミー賞では日本映画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞しています。
いろいろ突っ込みたいところはあるけれど「娯楽映画」としては充分な出来。
主人公以外の登場人物にも人間としての魅力を持たせ、見せ場を用意しているのも![]()
人間ドラマに比重を置き、ゴジラ映画を全く観たことがない人でも楽しめることを強く意識した作りになっていて、このあたりも国内外でヒットした理由の1つなのでしょう。
ただ、良くも悪くも「山崎貴監督の映画」という感じ。
山崎貴監督の作品はとにかく「わかりやすい」。
伏線の張り方も「ここが伏線なのでちゃんと覚えておいてね」とじっくり見せるし、伏線を回収する際も「◯◯で張った伏線をここで回収してますよ」と誰にでもわかるように見せる。このあたりのわかりやすい演出は(好みは別として)本当に「よくできてる」と思います。ストレートに感情に訴えるセリフも印象的ですし。
が、そのあまりの「わかりやすさ」のために、観ていて全然ハラハラもドキドキもしないんですよ…。全てが予想通りにしか展開しないんですから。もちろん、多くの観客が期待する通りに展開するので、満足する人が多いのは当然だと思いますが、僕はどうしても物足りなく感じちゃうんです。こういったところが、僕が山崎貴監督作品を「苦手」とする理由なんですけどね。また、本作の場合は役者のオーバーアクトな演技も(内容に合ってはいるものの)観ていてゾワゾワしちゃいますし。どれも単なる好みの問題でしかないですけど (^^)
ちなみに陰影を強調して重厚感を増したモノクロ版は、舞台の時代設定もあって、ゴジラ生誕70周年記念作品として映画第1作「ゴジラ」('54) へのオマージュを一段と強く感じる仕上がりになっていて![]()
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