「ヌードの映画史〜黎明期から現代へ〜」('20)
ハリウッドを中心とする世界の映画史を、俳優のヌードに注目して振り返った、異色のドキュメンタリー映画です。出演はジョー・ダンテ、リンダ・ブレア、マルコム・マクダウェル、パム・グリアー、ピーター・ボグダノヴィッチ、マーサ・クーリッジ、ショーン・ヤング他。
一般的に「ヌード=女性」のイメージがあるので、この映画で取り上げられているヌードも多くは女優のヌードですが、それだけでなく、男優のヌードについてもかなりしっかりと言及しており、その上で、男優がヌードを見せることと女優がヌードを見せることの違いをしっかり説明しています。
が、どれも映画好きなら知っていて当たり前の話ばかりで、特に目新しいものはなく。
それでも、これだけの内容を整理してまとめているだけでも、充分に価値のある映画ではあります。特にヨーロッパに比べて米国では性的表現への規制が非常に強かったことを具体的な例を挙げて分かりやすく説明しているのは![]()
ところで、この映画の中で最も印象に残っているのは、イギリス映画「恋する女たち」('69) の米国での上映の話。
主演男優2人による「全裸レスリング」は、映画史における男優のヌードを語る上で欠かすことのできない有名なシーンですが、米国での初上映の際にはそのシーンが大幅にカットされたのだそうです。そして、残されたのは2人が組み合い始めるシーンと疲れ果てて息が上がった2人が全裸のまま横に並んでるシーン。結果として、知らずに観た人には、2人がレスリングをしたのではなく、性行為をしたようにしか見えず、性的表現と見なして検閲したことによって、かえって卑猥になってしまったわけです (^^)
自由の国を標榜しながら、人工妊娠中絶の問題など、実際には古臭い宗教的な価値観に基づいたバカバカしい規制を今も続けようとしている米国の保守的な一面の愚かしさを示す事例として、今後も語り継ぎたいエピソードではあります。