Marc のぷーたろー日記 -5ページ目

「アーサーズ・ウイスキー」('24)

 

数時間だけ20代に若返る不思議なウイスキーを手にした70代の女性3人を描いたファンタジーコメディです。主演はダイアン・キートン、パトリシア・ホッジ、ルル、共演はボーイ・ジョージ、ジェネヴィーヴ・ゴーント、エスメ・ロンズデール、ハンナ・ハウランド、ヘイリー・ミルズ他。

 

手垢のついた題材に対して、主人公を3人にしたり、若返られるのは数時間だけとすることで、物語の中心を若い頃の姿ではなく、本来の年老いた姿にしていたりするなど、工夫はしていますが、所詮はありきたりな話。

 

「いい話」っぽくまとめていますが、説教くさいだけ。

 

40代の女優による脚本にしろ、年齢は不明ながら40代以上の中年男性であることは確かな監督の演出にしろ、「絵に描いたような都合のいい老女」を表現しているだけで、説得力が全く感じられない空虚なものでしかありませんでした。

「プレゼンス 存在」('24)

 

ある屋敷に引っ越してきた一家に降りかかる悲劇を全編幽霊の一人称視点で描いた、スティーヴン・ソダーバーグ監督によるホラー映画です。主演はカリーナ・リャン、共演はルーシー・リュー、クリス・サリヴァン、エディ・マデイ、ウェスト・マルホランド他。

 

Wikipedia「プレゼンス 存在」

 

アイデアも面白いし、予想以上に「よくできた映画」でした。ふわふわ浮いたような視点の長回し映像がとにかく印象的。

 

ただ、いくら「裁きが下った」にしても、この終わり方で本当に良かったのかなぁという気も。ちょっともやもやした気分が残って後味は悪い。

 

とりあえず、頭のおかしい妻の言いなりだが心優しい父親を演じたクリス・サリヴァンは良かった (^^)v

「プロジェクト・サイレンス」('24)

 

多重衝突事故により崩落寸前の海上の巨大な橋を舞台に、次々と発生する危機を描いた韓国のパニックスリラー映画です。主演はイ・ソンギュンさん、共演はチュ・ジフンさん、キム・ヒウォンさん、ムン・ソングンさん、イェ・スジョンさん、キム・テウさん、キム・スアンさん他。

 

輝国山人の韓国映画「プロジェクト・サイレンス」

 

ツッコミどころはいろいろあるけれど、そんなことをイチイチ気にしてられないほど猛スピードで展開するのは、さすが「韓国映画」という感じ。アイデアもユニークだし。

 

ただ、登場人物のキャラクター造形に好みじゃないところがあって、積極的に他人に勧めたいとまでは言えないのですが、パニック映画としては充分な出来。

 

続編がありそうな終わり方で、実際に続編が作られたら観たいなと思えるくらいには楽しめました (^^)v

「Cuatro lunas(Four Moons)」('14)

 

異なる世代の男たちがそれぞれの葛藤と恐怖に向き合う中で交錯する愛と嫌悪の4つの物語からなるメキシコのドラマ映画です。出演はアントニオ・ベラスケス、アレハンドロ・デ・ラ・マドリッド、セサール・ラモス、グスタボ・エゲルハーフ、アロンソ・エチャノベ、アレハンドロ・ベルモンテ、ガブリエル・サントヨ、セバスチャン・リベラ他。

 

Wikipedia「Cuatro lunas」

 

4つの物語が完全に独立していて互いに絡まないので、オムニバス形式にした方が良かったんじゃないかなぁ…。最後まで並行して描かれるだけなので群像劇としての面白さはないし、どの話もぶつ切りで中途半端に見えちゃう。

 

それぞれの物語が迎える結末を最後にまとめて見せることで、「人生いろいろ」をアピールしたいとの理由だけで並行して描いていた印象。その意図は分からなくもないんですけどね…。

 

個々の物語自体はそれなりに現実味もあるし、悪い出来とは思わないんですが、それだけに「もっと上手く作れたんじゃないかなぁ」との残念な気持ちが強く残ってしまったような気がします。

「市民捜査官ドッキ」('24)

 

実話をモデルに、振り込め詐欺で全財産を失ったシングルマザーが詐欺組織の元締めを捕まえようと仲間たちとともに奮闘するさまを描いたクライムサスペンスコメディです。主演はラ・ミランさん、共演はコンミョンさん、ヨム・ヘランさん、パク・ビョンウンさん、チャン・ユンジュさん、イ・ムセンさん他。

 

輝国山人の韓国映画「市民捜査官ドッキ」

 

実話をもとにしているとは言え、無理のありすぎる脚色に「オイオイ…」とはなりましたが、クライムサスペンスコメディとしては充分な出来 (^^)v

 

「ありえねー」と突っ込みながらも、「韓国のアジュンマならアリかも…」と思えてしまう、妙な説得力はありましたし (^^)

 

ただ、主人公をはじめとするメインの女性たちがあまりにやかましすぎて、そこは何度も視聴を断念したくなるほどキツかったけど (^^;;;

「DOG DAYS 君といつまでも」('24)

 

犬を通じて心を通い合わせ始める韓国の人間群像を描いたドラマ映画です。出演はユン・ヨジョンさん、キム・ユンジンさん、ユ・ヘジンさん、チョン・ソンファさん、キム・ソヒョンさん、ダニエル・ヘニーさん、タン・ジュンサンさん他。

 

輝国山人の韓国映画「DOG DAYS 君といつまでも」

 

個々のエピソードはどこかで観たことがあるような話で新鮮味はないし、かなりあざとい。

 

それでも、それらを組み合わせて群像劇にまとめているところはいいし、韓国における犬をめぐる現状や問題点を絡めている点や、犬を飼うことの綺麗事ではない現実の厳しさ、犬をテーマにしながらも最終的にはあくまで「人と人との関係」を重視している点もグッド!

 

ただ、もうちょっと面白くできたんじゃないかなぁという気も。韓国の娯楽映画にしてはちょっと薄味に感じてしまうのは、いつも「濃厚」な韓国映画ばかり観ているせいかも (^^;;;

「聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団」('24)

 

ブッダとイエスの下界でのバカンスを描いた中村光さんの同名漫画を原作とした実写テレビシリーズの映画版です。主演は松山ケンイチさん、染谷将太さん、共演は賀来賢人さん、岩田剛典さん、勝地涼さん、白石麻衣さん、仲野太賀さん、神木隆之介さん、佐藤二朗さん、窪田正孝さん、藤原竜也さん他。

 

Wikipedia「聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメンVS悪魔軍団〜」

 

全てが予想通りでしかない、いつもと同じ福田雄一監督作品。

 

救いようのない馬鹿馬鹿しさとくだらなさで、思わず笑っちゃうけど、本当に薄っぺらいので、映画館で観たいとはこれっぽっちも思えない。

 

でも、福田監督の映画はコンスタントに作られ続けてるわけですから、わざわざ映画館まで足を運んで金を払ってまでして観る客がそれなりにいるってことですよね…。それが驚き。

 

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「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」('23)

 

第2次世界大戦の開戦前夜のヨーロッパを舞台に、1人でも多くのユダヤ人難民たちの命を救うべく奔走した、英国の人道活動家ニコラス・ウィントンの半生を描いた伝記映画です。主演はアンソニー・ホプキンス、共演はジョニー・フリン、レナ・オリン、ロモーラ・ガライ、ヘレナ・ボナム=カーター、ジョナサン・プライス他。

 

Wikipedia「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」

 

純粋に1本の映画として観ると平凡な出来。ドキュメンタリー番組の再現映像を「ちょっとお金をかけて撮ってみました」レベル。

 

が、それが実話を必要以上に美化せず真摯に再現している印象を与えており、ニコラス・ウィントンの人となりを考えると、彼の半生の映像化としては、むしろこれでいいんだと思います。

 

とにかく、映画としての出来云々の前に、ここで描かれた実話の重みが強烈に胸に迫って来ます。

 

ニコラス・ウィントンは2015年に106歳で亡くなっていますが、もし彼が生きていたら、この映画を観てどう思うのでしょう…。確かに、彼がいたからこそ成し得た「偉業」ではありますが、命懸けで協力してくれた仲間に深く感謝していた彼の人柄からすると、自分1人だけが「英雄」のように扱われてしまったことに、申し訳なさのようなものを感じていたでしょうし、救えなかった多くの子供たちの存在を考えれば、「素直に喜ぶ」なんてことはないでしょう。そのあたりのウィントンの内面が丁寧に描かれていたのは、この映画の最も評価すべき点でしょう。

「アフター・ウェディング」('06)

 

インドで慈善活動をする男性、彼の元恋人とその夫である資産家の3人の運命を描いたドラマ映画です。主演はマッツ・ミケルセン、共演はロルフ・ラッスゴード、シセ・バベット・クヌッセン、スティーネ・フィッシャー・クリステンセン他。後にハリウッドで「秘密への招待状」('19) としてリメイクされています。

 

Wikipedia「アフター・ウェディング」

 

「秘密への招待状」の方を先に観てしまったのですが、そちらが充実したキャストの割にパッとしない、物足りなさしかない作品だったのに対し、原作であるこちらの方がはるかに観応えがありました。

 

そして、原作であるこちらを観て分かったのは、単なる「感動的な物語」ではないということ。確かに胸に迫るものはあるのですが、同時に「人間の自己中心性」を赤裸々に描いた作品との印象を強く抱きました。

 

確かにメインの3人の登場人物は、表面的にはともかく、基本的には人を愛することのできる「優しい」人物。しかし、その愛する気持ちが強すぎるあまり、相手の気持ちを無視した自己中心的で自己満足でしかない言動を取り、結果的に自分の気持ちを相手に押し付けてしまう…。

 

「それが人間というもの」と言ってしまえば簡単ですが、「愛とは執着である」との仏教的な思想を感じざるをえない映画でした。

 

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「ローガン・ラッキー」('17)

 

運もツキもない負け犬たちが一発逆転を狙って大金強奪計画に挑戦するさまを描いた犯罪コメディです。主演はチャニング・テイタム、共演はアダム・ドライヴァー、ライリー・キーオ、ダニエル・クレイグ、ヒラリー・スワンク、セス・マクファーレン他。

 

Wikipedia「ローガン・ラッキー」

 

異常に評価が高いし、キャストも豪華で充実しているので、期待して観たのですが、これが自分でも驚くほど全く合わず…。

 

コメディなのに全く笑えなかったのは「呼吸」や「間」のようなものが自分と合わなかったからなんでしょうが、それ以上に自分に合わなかったのは豪華なキャストたちの相性。

 

キャスト自体は好きな役者ばかりなんですが、その組み合わせがどうしてもしっくり来ない。漫画やアニメで喩えるなら、全ての登場人物のキャラクターデザインがバラバラで、同じ世界の人物に見えないみたいなイメージ。

 

個性の強い役者を揃えたせいなんでしょうが、役者個人で見れば、それぞれの役に合っていただけに残念。