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「吸血鬼ノスフェラトゥ[活弁版]」/「ノスフェラトゥ」('79) /「ノスフェラトゥ」('24)

 

 

 

ブラム・ストーカーの怪奇小説「吸血鬼ドラキュラ」を非公式に映画化し、ドラキュラ映画の元祖と言われる1922年のドイツのサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」の活弁版、ヴェルナー・ヘルツォーク監督による1979年のリメイク版、ロバート・エガース監督による2024年のリメイク版です。オリジナル作品の出演はマックス・シュレック、アレクサンダー・グラナック、グスタフ・フォン・ワンゲンハイム、グレタ・シュレーダー、ジョン・ゴットウト他、活弁士は片岡一郎さん。1979年版の出演はイザベル・アジャーニ、クラウス・キンスキー、ブルーノ・ガンツ、ローラン・トポール、ヴァルター・ラーデンガスト他。2024年版の出演はリリー=ローズ・デップ、ニコラス・ホルト、ビル・スカルスガルド、ウィレム・デフォー、アーロン・テイラー=ジョンソン他。

 

Wikipedia「吸血鬼ノスフェラトゥ」

Wikipedia「ノスフェラトゥ (1979年の映画)」

Wikipedia「ノスフェラトゥ (2024年の映画)」

 

これまでに何度も映画化されてきたドラキュラの物語。

 

1922年版は以前に観たことがあるのですが、その際は、後の吸血鬼作品の礎となった歴史に残る記念碑的作品であることは間違いないものの、純粋に1本の映画として観ると骨董的価値しかないコントという印象しかありませんでした。

 

しかし、今回の「活弁版」で印象がだいぶ変わりました。

 

吸血鬼のデザインはもうちょっと何とか出来なかったのかと言いたくなるほど、マンガチックで笑ってしまうものですが、「物語」としてはかなり楽しめたのです。サイレント映画特有の大仰過ぎて観ていて恥ずかしくなる演技も、活弁が加わるだけで「観られる」ものになることが分かったような気がします。

 

1979年版と2024年版はどちらも1922年版をそれぞれ独自にリメイクしたもので、終盤の展開に明確な違いがあるものの、大筋では1922年版と同じ。

 

1979年版は色調がいかにも1970年代の映画で、画面全体が明る過ぎるのが今の時代からすると違和感がありますが、明暗のコントラストが独特の雰囲気を生んでいて印象的でした。ヒロインを演じたイザベル・アジャーニの神秘的で浮世離れした美貌も作品世界に合っていてグッド!

 

2024年版は、とにかく映像が美しく、格調高い文芸作品の趣。キャストも充実しており、中でもリリー=ローズ・デップが本来持っている容姿の不気味さが活きていてグッド!

 

今回3作品をまとめて観たことで、同じところと違うところを比較できたのは良かったので、いずれの作品も未見の方は、可能であれば、この3作品を続けて観ることをお勧めします (^^)v

 

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「正体」('24)

 

染井為人さんの同名小説を原作とし、殺人犯として死刑を宣告された若者の逃亡劇を描いたサスペンス映画です。主演は横浜流星さん、共演は吉岡里帆さん、森本慎太郎さん、山田杏奈さん、山中崇さん、前田公輝さん、松重豊さん、山田孝之さん他。

 

Wikipedia「正体 (染井為人)」

 

「いい映画」だと思います。

 

ただ、いろいろと上手く行き過ぎていて「現実はもっと残酷だよな…」と思いながら、少し冷めた目でしか観られませんでした。

「刑事シャロン・ピチ〜悪夢の取調室〜」('21)

 

死んだはずの被疑者の声に悩まされ、トラウマを抱える刑事を主人公に、取調室という閉鎖的な空間で展開する密室スリラーシリーズ全7話です。主演はアンナ・フリエル、共演はピーター・ストーメア、アレクサンダー・カリム、ヘレン・ビーハン、オリヴィア・グラント他。

 

米国カンザスを舞台にしたスウェーデン製のドラマ。

 

全編通して舞台は警察署の中。そこから一歩も出ない閉塞感は舞台劇のよう。

 

どういう「オチ」をつけるのか気になって最後まで一気に観てしまいましたが、結局のところ、

 

エラく都合のいいオカルトスリラー

 

でしかなかった orz

 

物語の展開に合わせて都合よくオカルトパワーが炸裂したり、しなかったり、登場人物の言動も都合のいいものばかり。

 

あまりに手抜きの雑な脚本に「何だかなぁ…」としか思えませんでした。

「けものがいる」('23)

 

イギリスの文豪ヘンリー・ジェームズの中編小説「密林の獣」を大胆に翻案し、100年以上の時を超え、3つの時代を転生する1人の女性の愛を描いた恋愛ファンタジーです。主演はレア・セドゥ、共演はジョージ・マッケイ、ガスラジー・マランダ、ダーシャ・ネクラソワ、グザヴィエ・ドラン他。

 

よくある「時空を超えたロマンティックなラブストーリー」でないのはいいし、映像としても印象的な演出があって、それなりに楽しめるところはあるのですが、物語としては退屈。主人公に感情移入させるつもりが全くない話なのは分かりますし、哲学的なテーマも分かるんですけど、とにかく話として面白くないのです。

「ラ・コシーナ/厨房」('24)

 

大勢の外国人移民が働く、ニューヨークのレストランの厨房を舞台に、夢と現実の狭間で苦闘する彼らの多忙な1日を描いた群像劇です。出演はラウール・ブリオネス、ルーニー・マーラ、アンナ・ディアス、エドゥアルド・オルモス、ローラ・ゴメス他。

 

もう二度と観ない。

 

物語として描きたいことは分かるし、モノクロの映像の意味も分かるし、そこは悪くないのだけれど、実質的な主人公である料理人の男が不快すぎて視聴自体が苦痛。何より、料理人なのに食べ物を粗末に扱うところがどうしても許せず。

 

こういう人が存在することは理解できるし、ありえないとは思わないですし、むしろ現実味があるようにも思えるのですが、それでも、ここまで不快なキャラクターを中心に展開する物語には全く耐えられませんでした。二度と観たくないし、二度と視界にも入れたくない映画です。

「女相続人」('49)

 

財産を巡って父と娘、その恋人が織りなす愛憎を描いた、ウィリアム・ワイラー監督による文芸ドラマ映画です。主演はオリビア・デ・ハビランド、共演はモンゴメリー・クリフト、ラルフ・リチャードソン、ミリアム・ホプキンス、ヴァネッサ・ブラウン、レイ・コリンズ他。

 

Wikipedia「女相続人」

 

何十年かぶりに観たのですが、この映画、本当に好き♪

 

ハッピーな映画ではないけれど、主人公の終盤での「キャラ変」は痛快だし、観終わった後に一種の爽快感があるのがグッド!

 

オリビア・デ・ハビランドの演技には説得力があって実に見事だし、本作でアカデミー主演女優賞を獲ったのには納得しかありません。

 

ところで、大昔に観た時は、今で言うところの「毒親」でしかない父親のキャラクターに対して嫌悪感しかなかったのですが、自分が歳を重ねたせいか、そんな父親にもちょっとばかり理解できるところを感じたり。

 

酷い父親であることに間違いはないし、当然の報いを受けたと思うのですが、それでも、娘のことを「それなりに」愛していたことは確かでしょうし、主人公が言うように「娘を憎んでいた」ってほどではないと思うのです。この父と娘のすれ違いはちょっと切なく感じました。

「ガール・ウィズ・ニードル」('24)

 

かつてデンマークで実際に起きた連続殺人事件から着想を得た作品で、第1次世界大戦後のデンマークを舞台に、この世の闇地獄を描いたサスペンス映画です。主演はヴィクトーリア・カルメン・ソンネ、共演はトリーヌ・ディルホム、ベシーア・セシーリ、ヨアキム・フィェルストロプ他。

 

おぞましい話ですし、描写としてカラーでは見るのが厳しいシーンもあり、モノクロの映像が大いに活かされていてグッド!

 

そして何より、殺人事件の残酷さ以上に、当時の女性たちの置かれている厳しい状況が赤裸々に描かれており、この映画が事件そのものよりも、そちらを描くことを目的としているのがいい。

 

また、殺人を犯した側の視点ではなく、被害者側であるとともに事件に関わった人物でもある女性の視点で描かれているのもいい。

 

どう考えても救いのない話でありながら、それでも一縷の希望を感じさせるエンディングも(少々綺麗事かもしれませんが)悪くありませんでした。

「その花は夜に咲く」('25)

 

1998年のベトナムを舞台に、ナイトクラブで働くトランスジェンダー女性と、ボクサーの男性という愛し合う2人の前に立ちはだかる障壁を描いた恋愛ドラマ映画です。主演はチャン・クアン、ヴォー・ディエン・ザー・フイ、共演はファム・ティ・キム・ガン、井上肇他。

 

切ない…

 

主人公2人がそれぞれ別の意味で危なっかしくてヒヤヒヤするばかりでしたし、そんな悪い予感は外れないのだなと。

 

もしかすると、ものすごく長い目で見れば、この結末で良かったのかもしれないけれど、それでも2人はずっと後悔し続けるんだろうなと思ったり。

 

ところで、日本の映画やドラマで「名脇役」として活躍してきた井上肇さんがベトナム人のボス役で出演していたのですが、とても存在感があり、これまで観てきた中で最高のハマり役なのではないかと思います。この役に彼を起用したキャスティングセンスは見事グッド!

「美しい夏」('23)

 

20世紀前半のイタリア文学を代表する作家チェーザレ・パヴェーゼの同名小説を原作とし、思春期から大人へと成長していく少女の姿を描いた青春ドラマ映画です。主演はイーレ・ヴィアネッロ、共演はデーヴァ・カッセル、ニコラ・マウパ、アレッサンドロ・ピャヴァーニ、アドリアン・デウィット他。

 

1930年代のイタリアを舞台にしていますが、現代にもそのまま通じる普遍的な青春映画。

 

ストーリーそのものは今となってはありきたりですが、主人公の心の動きを丁寧に繊細に描いていて、同年代の女の子よりも、10代の頃に同じように傷ついた経験をしたことのある大人の女性の方が共感するところが多いのではないかと思います。

 

ところで、主人公が憧れる美しい年上の女性を演じたデーヴァ・カッセル。

 

父親はフランスの大スター、ヴァンサン・カッセル。

 

母親はイタリアの大スター、モニカ・ベルッチ。

 

撮影当時はまだ10代だったはずですが、輝くような美貌に目を奪われました。

 

今後の活躍にも期待したいです (^^)

「罪人たち」('25)

 

1932年の米南部を舞台に、吸血鬼の集団が現れたダンスホールの経営者の双子のサバイバルを描いたホラー映画です。主演はマイケル・B・ジョーダン、共演はヘイリー・スタインフェルド、マイルズ・ケイトン、ジャック・オコンネル、ウンミ・モサク、オマー・ミラー、デルロイ・リンドー他。

 

Wikipedia「罪人たち」

 

あらすじだけ追えば、昔ながらの王道の吸血鬼ホラー。

 

それを娯楽映画として楽しめる作品に仕上げるのは当然として、それだけでなく、1930年代の米国南部における黒人社会や黒人文化をメッセージ性を込めて加えるあたり、さすがライアン・クーグラー監督。

 

観応えがありました。

 

ただ、吸血鬼の描き方に一貫性がなく、物語の展開に合わせて都合よく描かれているのはちょっと引っかかりましたけどね。