「コンフィダント・絆」
PARCO 劇場で 5/6(日) まで上演中の三谷幸喜さん作・演出の「コンフィダント・絆」を観てきました。
→ PARCO 劇場「コンフィダント・絆」
中井貴一さん、寺脇康文さん、生瀬勝久さん、相島一之さんという豪華な顔ぶれでとても楽しみにしていた作品です。以下、ネタばれしていますので、これから観に行かれる方はご覧にならない方が良いと思います。
感想をまず一言。
良かったぁ~ (ToT)
(本当は) 深刻なストーリーを「笑い」で包み、さんざん笑わせておきながら、最後はぐっと胸に迫るものがある…。三谷作品の良さを充分に堪能できる内容でした。とにかくキャスティングが見事。「三谷幸喜」という劇作家は役者の魅力を本当によく分かっているなぁと改めて感心しました。個性的で若干エキセントリックな登場人物たちでありながら、無理なくすっと観客に受け入れられるのは役者の演技力もありますが、その役者の個性に合わせて描かれたからこそだと思うのです。またそのアンサンブルも素晴らしい。個性的でアクの強いキャラクターと役者を揃えながら、そのぶつかり合いを破綻させることなく、全体としての調和も取り、なお且つ 1 × 4 = 4 以上の魅力を見せているわけですから。
19世紀末、新進画家スーラ (ジョルジュ: 中井貴一さん)、ゴッホ (ファンサン: 生瀬勝久さん)、ゴーギャン (ポール: 寺脇康文さん)、シュフネッケル (エミール: 相島一之さん) の 4人が共同で借りたアトリエを舞台に、彼らのモデルとなったルイーズ (堀内敬子さん) の歌と回想で物語は展開します。彼女の回想シーンだけはちょっとしたミュージカル仕立てとなっているのも印象的です。
現実的で生真面目だがどこか抜けているスーラ。幼稚な悲観主義で周りを振り回してばかりだが、無邪気で愛すべき天才であるゴッホ。野性的で男臭くぶっきらぼうではありながら繊細な優しさを持つゴーギャン。実は画家としての才能が全くないことに本人だけが気付かずにただ天真爛漫な明るさと優しさで 4人の潤滑油としての役目を果たしているシュフネッケル。彼らの前にモデルとして現れたルイーズを巡って徐々に 4人の微妙な関係が変化していく…。
芸術家同士の「嫉妬」とそれに基づく「苦悩」を非常に分かりやすく描いているのですが、僕の胸を最も打ったのは、シュフネッケルの才能のなさを他の 3人が本人にはっきりと知らしめてしまうくだり。自分に才能が全くないこと、そして周りがそれを知りながら自分に隠して付き合ってくれていたことに全く気がついていなかったシュフネッケル。確かに「滑稽な男」ではあるのですが、彼がこの 4人共同のアトリエにこだわった理由を吐露する場面では、自分の若いころの胸の痛みを思い出させられました…。
仲間、友だちと同じ夢を共有してお互いに励ましあって切磋琢磨していく、そのこと自体をこよなく愛していたシュフネッケル。彼にとっては画家として「認められる」ことはさほど重要ではなく、ただ仲間とのこの時間と空間の共有が大事だった…。
実は僕も 20代のころ、ある夢を持って仲間と充実した日々を送っていた時期がありました。周りは本当に才能のある連中ばかり。そういう才能のある連中と一緒にいる、仲間でいる、それ自体が本当に楽しかった…。でも自分は…。僕の場合はシュフネッケルとは違って初めから自分に才能がないことは分かっていましたし、その事実を隠すこともしませんでした。それでも毎日が本当に楽しかったのです…。
しかしそんな楽しい時が永遠に続くことはなく、僕は早々に夢を諦め、現実の世界に戻ってきました。今、当時の仲間たちは皆夢を叶えた、または叶えつつある…。それを今は羨ましいと思うことはありませんし、むしろとても嬉しい。そんな才能のある人たちと、ある時期を「仲間」として過ごせたわけですから。でも夢を諦めると決める直前はやはり辛かった…。何をやっても上手く行かず、認められない…。自分にもっと才能があれば…と何度思ったことか…。
そんな忘れかけていた胸の痛みを思い出してしまいました…。
あのエンディングに「救い」があると考えるかどうかは観る人によって違ってくるのだと思いますが、僕はあのエンディングに「痛みも含めて煌めく思い出なんだ」ということを感じました。しみじみと心に沁みる、いいエンディングでした。
コミカルなシーンがちょっとドタバタし過ぎて浮いてしまっていることもありましたが非常に「よくできた」作品だと思います。休憩を挟んでの第2部冒頭に、さりげなく三谷さんが舞台に現れ、パリの街中で見かける「小さなアコーディオン」の演奏を始めるといったサプライズがあったり、音楽はピアノの生演奏のみで、そのピアニストにアドリブなのか台本どおりなのか分からないのですが出演者が「ちょっかい」を出したり、といった遊びも散りばめられており、エンタテインメント性もバッチリ
チケットは完売しているので今から観に行く方法はキャンセル待ちしかないようですが、もし機会があれば是非ご覧になっていただきたい、お勧め作品です (^^)v
→ PARCO 劇場「コンフィダント・絆」
中井貴一さん、寺脇康文さん、生瀬勝久さん、相島一之さんという豪華な顔ぶれでとても楽しみにしていた作品です。以下、ネタばれしていますので、これから観に行かれる方はご覧にならない方が良いと思います。
感想をまず一言。
良かったぁ~ (ToT)
(本当は) 深刻なストーリーを「笑い」で包み、さんざん笑わせておきながら、最後はぐっと胸に迫るものがある…。三谷作品の良さを充分に堪能できる内容でした。とにかくキャスティングが見事。「三谷幸喜」という劇作家は役者の魅力を本当によく分かっているなぁと改めて感心しました。個性的で若干エキセントリックな登場人物たちでありながら、無理なくすっと観客に受け入れられるのは役者の演技力もありますが、その役者の個性に合わせて描かれたからこそだと思うのです。またそのアンサンブルも素晴らしい。個性的でアクの強いキャラクターと役者を揃えながら、そのぶつかり合いを破綻させることなく、全体としての調和も取り、なお且つ 1 × 4 = 4 以上の魅力を見せているわけですから。
19世紀末、新進画家スーラ (ジョルジュ: 中井貴一さん)、ゴッホ (ファンサン: 生瀬勝久さん)、ゴーギャン (ポール: 寺脇康文さん)、シュフネッケル (エミール: 相島一之さん) の 4人が共同で借りたアトリエを舞台に、彼らのモデルとなったルイーズ (堀内敬子さん) の歌と回想で物語は展開します。彼女の回想シーンだけはちょっとしたミュージカル仕立てとなっているのも印象的です。
現実的で生真面目だがどこか抜けているスーラ。幼稚な悲観主義で周りを振り回してばかりだが、無邪気で愛すべき天才であるゴッホ。野性的で男臭くぶっきらぼうではありながら繊細な優しさを持つゴーギャン。実は画家としての才能が全くないことに本人だけが気付かずにただ天真爛漫な明るさと優しさで 4人の潤滑油としての役目を果たしているシュフネッケル。彼らの前にモデルとして現れたルイーズを巡って徐々に 4人の微妙な関係が変化していく…。
芸術家同士の「嫉妬」とそれに基づく「苦悩」を非常に分かりやすく描いているのですが、僕の胸を最も打ったのは、シュフネッケルの才能のなさを他の 3人が本人にはっきりと知らしめてしまうくだり。自分に才能が全くないこと、そして周りがそれを知りながら自分に隠して付き合ってくれていたことに全く気がついていなかったシュフネッケル。確かに「滑稽な男」ではあるのですが、彼がこの 4人共同のアトリエにこだわった理由を吐露する場面では、自分の若いころの胸の痛みを思い出させられました…。
仲間、友だちと同じ夢を共有してお互いに励ましあって切磋琢磨していく、そのこと自体をこよなく愛していたシュフネッケル。彼にとっては画家として「認められる」ことはさほど重要ではなく、ただ仲間とのこの時間と空間の共有が大事だった…。
実は僕も 20代のころ、ある夢を持って仲間と充実した日々を送っていた時期がありました。周りは本当に才能のある連中ばかり。そういう才能のある連中と一緒にいる、仲間でいる、それ自体が本当に楽しかった…。でも自分は…。僕の場合はシュフネッケルとは違って初めから自分に才能がないことは分かっていましたし、その事実を隠すこともしませんでした。それでも毎日が本当に楽しかったのです…。
しかしそんな楽しい時が永遠に続くことはなく、僕は早々に夢を諦め、現実の世界に戻ってきました。今、当時の仲間たちは皆夢を叶えた、または叶えつつある…。それを今は羨ましいと思うことはありませんし、むしろとても嬉しい。そんな才能のある人たちと、ある時期を「仲間」として過ごせたわけですから。でも夢を諦めると決める直前はやはり辛かった…。何をやっても上手く行かず、認められない…。自分にもっと才能があれば…と何度思ったことか…。
そんな忘れかけていた胸の痛みを思い出してしまいました…。
あのエンディングに「救い」があると考えるかどうかは観る人によって違ってくるのだと思いますが、僕はあのエンディングに「痛みも含めて煌めく思い出なんだ」ということを感じました。しみじみと心に沁みる、いいエンディングでした。
コミカルなシーンがちょっとドタバタし過ぎて浮いてしまっていることもありましたが非常に「よくできた」作品だと思います。休憩を挟んでの第2部冒頭に、さりげなく三谷さんが舞台に現れ、パリの街中で見かける「小さなアコーディオン」の演奏を始めるといったサプライズがあったり、音楽はピアノの生演奏のみで、そのピアニストにアドリブなのか台本どおりなのか分からないのですが出演者が「ちょっかい」を出したり、といった遊びも散りばめられており、エンタテインメント性もバッチリ

チケットは完売しているので今から観に行く方法はキャンセル待ちしかないようですが、もし機会があれば是非ご覧になっていただきたい、お勧め作品です (^^)v