イノセント ルキーノ・ヴィスコンティ Blu-ray
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ガブリエーレ・ダヌンツィオの長編小説「罪なき者」を原作とし、19世紀初頭のイタリアの貴族社会で妻と愛人の間で揺れる男の情念を描いた、巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の遺作となったドラマ映画です。主演はジャンカルロ・ジャンニーニ、共演はラウラ・アントネッリ、ジェニファー・オニール、マッシモ・ジロッティ、ディディエ・オードパン、マルク・ポレル、リーナ・モレッリ他。
ヴィスコンティの映画は大好きで若い頃からいろいろ観ているのですが、何故か遺作であるこの作品だけは観ていなかったことに気づいて、ようやく観てみました。
素晴らしい!!
題材としては下世話で陳腐な不倫メロドラマでしかないにもかかわらず、これだけ格調高い文芸作品に仕上がっているのですから。
身勝手な不倫夫の内面に深く踏み込み、その身勝手さを赤裸々に描きつつも、映像としてはどのシーン、どのカットも絵画のように美しい…。中でも印象的なのは妻の妊娠を知った主人公が涙を流すシーン。あまりの美しさに衝撃を受けました…。
とにかく、美しい映像の中で人間の醜さや愚かさ、そして弱さを重厚に描いており、映画好きなら一度は観ておくべき作品であることは間違いなく、何故これまでこの作品を観ていなかったのか、激しく後悔しました。
ショーン・ベイカー監督の長編4作目で、米国西海岸の街サン・フェルナンド・バレーを舞台に、俳優志望の21歳の女性と85歳の老婦人という年の離れた2人が織りなす交流を描いたドラマ映画です。主演はドリー・ヘミングウェイ、ベセドカ・ジョンソン、共演はステラ・メイヴ、ジェームズ・ランソン、カレン・カラグリアン他。
→ Wikipedia「チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密」
ショーン・ベイカー監督らしい映像は美しく印象的で![]()
いわゆる「いい話」で好きな人が多いのは納得。
でも、自分には最初から最後までしっくり来ず…。
主人公の言動自体は理解できるし、あり得ないとまでは全く思わないのですが、常に微妙な違和感があってイチイチ引っかかってしまい、その違和感の1つ1つは些細なことではあるものの、積もり積もって最後まで全く楽しめず…。
要は主人公に好感を全く持てなかったのです。
主人公の友人やその恋人といった周囲の人物がバカ過ぎて、それに比べれば主人公の方がはるかにまともで好感が持てそうに思えるのですが、それでもどうしても「あぁ、こんな人が身近にいたら嫌だな」という生理的嫌悪感が拭えなかったのです。
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ショーン・ベイカー監督の長編3作目で、元恋人からいきなり赤ん坊を押し付けられたアフリカ系青年と彼を取り巻く人間模様をドキュメンタリー風に描いたドラマ映画です。主演はプリンス・アドゥ、共演はカレン・カラグリアン、ケイト・サンチェス、ヴィクトリア・テイト他。
ショーン・ベイカー監督らしいドキュメンタリー風の撮り方自体はいいんだけれど、赤ん坊を育てることの大変さが充分に描かれていないので、「何だか都合のいい話だなぁ」としか思えず。そこは致命的な失敗。残念。
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不倫の末の苦い別れから6年後に再会した元恋人同士の2人を描いた20分強の短編恋愛映画です。主演はライアン・カービー、ダグラス・ユング。
ストーリー自体は平凡。どこかで何度も観たことがあるような話。
それでも、美しい映像と印象的な音楽によって溢れ出てくる切なくもロマンティックな雰囲気に酔いしれてしまう映画でした。
特にタイトルにもなっている「pink trumpet(和名:キダチベニノウゼン)」の花が本当に美しく印象的に使われていて、それによって象徴される情感には日本の映像作品における桜のイメージをちょっと感じました。
ところで、ストーリー上は全く日本的な要素はない映画なのですが、金継ぎの皿が印象的に登場していて、最初は「なぜ?」とちょっと驚きました。しかし、海外で「kintsugi」が単なる日本の伝統工芸ではなく、「欠点があったり、不完全であったりするものを受け入れる哲学」として認識されていることを知り、実際に監督がメイキング映像の中で、この金継ぎの皿が「主人公が壊してしまった様々なものの再生」を象徴していると熱く語っており、「なるほど」といたく感心してしまいました。
ショーン・ベイカー監督の長編2作目で、中国からニューヨークに渡り、中華料理店で配達員などをする不法移民の日常を描いたドラマ映画です。主演はチャールズ・チャン、共演はエング=フア・ユー、ワン=ザイ・リー、ジャスティン・ワン他。
主人公は、確かに気の毒だけれど、あまりに愚かだし、配達員の仕事に最も必要な愛嬌も全くないなど、「もうちょっと何とかしろよ!!」という怒りの気持ちの方が強く湧いてしまい、イマイチ冷めた目でしか見られず。
ただ、ドキュメンタリー風の撮り方は非常に効果的で、映画自体の出来はとても良いです。
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ショーン・ベイカー監督のデビュー作で、真夏の夜の米国郊外の町を舞台に、本音をぶつけ合う男子大学生たちを描いたドラマ映画です。主演はデヴィッド・アリ、共演はヘンリー・ベイリン、フレッド・バーマン他。
「物語」の体(てい)をなしていないので、当然ながら物語としての面白さを期待すると「何じゃこりゃ!?」としかならないでしょう。あらすじを尋ねられても答えようがない。
それでも、1971年生まれのショーン・ベイカー監督の実体験が大いに反映されていることは間違いない本作の内容は、1990年代前半の米国の男子大学生の「リアル」を切り取ったドキュメンタリー映画のようで、その生々しさは、その場を覗き見ているように気持ちにさせられるほど。
高校を卒業して2年、大学生としての生活にも充分に慣れてきているにもかかわらず、それでも地元の昔の仲間たちとつるみたい男子の気持ちは大いに理解できるし、共感もできる。しかも、そんな「楽しい時間」が永遠に続くことはなく、その一瞬だけのものだという儚さや切なさも感じられて、年齢の近い自分には胸に迫るものがありました。
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アメリカのカントリー歌手ガース・ブルックスのヒット曲「Unanswered Prayers」をもとに、高校時代の恋人と再会した、妻子ある男性を描いたドラマ映画です。主演はエリック・クローズ、共演はサマンサ・マシス、メッチェン・エイミック、パティ・デューク、ジェニファー・アスペン、トニー・オーラー、アレックス・フルンカ、ジョン・ハリントン・ブランド他。
ストーリー自体は陳腐でありきたりだけれど、よく言えば「普遍的」なので、それはまだいい。
少なくともキャスティングは絶妙![]()
特に、元恋人役は美しく、主演のエリック・クローズと並ぶと間違いなく美男美女なのだが、相性が悪く、同じ世界の住人に見えないのに対し、妻役はそこまで美しくはないものの、エリック・クローズとの相性がとてもいいのは、実に良く考えられたキャスティング。
それより何より一番気になったのは、今作が公開された2010年当時を舞台にしているのに、主人公をはじめとする登場人物のキャラクター造形があまりに1980年代。「いつの時代の価値観で生きてるんだ?」と言いたくなるほど。
ただ、これもまたアメリカという国の現実なんでしょうし、それから15年が過ぎた今も本質的には変わっていないんだろうなという印象も。
とにかく、登場人物たちの言動の古臭さしか印象に残らない映画でした。
子供の頃からの大の親友である30代の独身男性2人のおかしくも心温まる友情を描いた約10分の短編コメディ映画です。主演はトレヴァー・アダムス、A・J・ヘルフェット。
登場人物は2人だけ。いわゆる「ブロマンス」をとても「可愛らしく」描いていて実に微笑ましい (^^)
また、公開されているNG集を観ても、撮影現場の和気藹々ぶり、主演2人の仲の良さが見て取れて![]()
深みは全くないですが、10分程度で気楽に観られますし、ちょっとだけ幸せな気分になれる映画でした (^^)v
ニューヨークの高級マンションを狙った強盗計画を描いた犯罪映画です。主演はショーン・コネリー、共演はダイアン・キャノン、ラルフ・ミーカー、アラン・キング、マーティン・バルサム、クリストファー・ウォーケン他。
何じゃこりゃ?!
主人公たちの犯罪計画が、盗聴によって事前にFBIに筒抜けになっていることが物語上重要な要素であるかのように描いておきながら、それが結局何の意味もなさないってどういうこと?
別件での盗聴なので強盗事件の証拠には使えないとか、そもそもFBIと地元警察で連携はできないってことなんでしょうけど、それなら、こんな思わせぶりな描き方をする必要もないし、この物語自体が根本的に意味をなさない。
単に「実はFBIによって当たり前のように盗聴されてるんですよ」という注意喚起が目的なら、強盗映画にする必要すらないし。
せめて犯罪映画として強盗の手口に巧妙さがあれば、まだ楽しめたのですが、呆れるほど雑な犯罪計画で![]()
とにかく、名匠シドニー・ルメット監督がどうしてこんな意味不明のくだらない映画を撮ったのか謎。