万世橋とわたし(神田)のブログ -93ページ目

就活

昨日午前中、リクルートの身なりのお兄さんが店の戸をたたいて外に立っていました。

接客していたので、手があくのを待ってくれていたようです。

話を聞けば、彼はN大法学部を出て、公務員試験に失敗して、その日は自己啓発セミナーの課題で、とある冊子を売って来い!!と言うことで歩いているとのこと。

しかし、これまでまったく売れないので、この際売ることは抜きにして、何かアドバイスをしてもらえないかとのこと。

店にいると、いろいろな営業がやってきますし、ある学校からインターンシップに協力依頼の電話が入ったこともありました。しかし、この展開は初めてだなぁと興味がわき、2~30分一緒に話し込んでしまいました。

一昨年、岡田恵子先生の調査法の講義時にTAをしてくださった法大多摩校舎の大学生ともそんな話をしたことがあり、望む企業から内定をもらえない理由のなかに、

・ 相手が何を求めているかについておさえる。

と言うことが欠けていたのかもしれないと言うことになりました。

自分のPRも大事ですが、押し付けるだけではよさは伝わらない。一から指導してわかるんだかわからないんだか、と言う人よりも、ある程度共有の認識がある人のほうが受け入れやすいですよね。

また、夏ごろ団体職員で部長職の方に、どのような人を選ぶか基準を伺ったところ、

・ 協調性のある人。

と言う返事が返ってきました。

実際、その部長は部署内において派遣で仕事をしていた人の働きが、業務遂行能力とともにとても調和が取れていることを評価し、正規職員にと説得し、相手が受けてくださったことをとても喜んでいました。

この団体とて、財政に余裕があるわけではなく、かなりの割合で派遣社員を使っているのに、です。


このような具体例を伝え、なぜ公務員になりたいのか尋ねたところ、

「学生間では公務員が安定職として人気であり、親も公務員だから」

といった答え。

確かに、一般的理解と言えそうですが、武藤ゼミにいらっしゃるたくさんの公務員職についておられる方々は、決して安定の上に胡坐をかいているのではなく、からだを壊してしまわれないだろうか困 と心配になるほど、地域の問題、課題への対処に苦慮、東奔西走されておいでです。

また、彼は、公務員は3年ほどの周期で移動があることをメリットとしてあげていましたが、

一方で親が何の知識も経験もないのに福祉事務所の長になっていることで親自身も困惑していると言う現実を知っていました。

そのような馴染みにくい立場であっても、自分があるべき機能の一翼を担うために、実際に機動する方々が如何に機能しやすい環境を作るかと言う役割を全うするならば重要な人になります。

総合的に考えると、就職試験であれ職場であれ、

場面の『相手が必要とするものを如何に提供できるか』

がカギと言えそうです。これは、民間においても、大企業から零細企業に至るまで、変わらないのではないでしょうか。

そんな話をしていたら、他の人の動きが出てきたので、雑談は終了となりました。



しかし、これで終わりにはなりませんでした。

夕方、再び彼が現れ、100社ほど回ったが、一冊も冊子が売れないので買ってもらえないかと言うのです。

見せもしない冊子を買えと言われても判断できないと申しまして、出てきたのは簡素な2~30ページほどのもの。

おそらく数百円程度で、誰にでも買うことはできる代物のようでした。

そこで、

「私がこれを購入するメリットを教えてください。」

と言ったところ、

「職場の整理整頓が機能性を高めると言う内容で、日々の心がけのために」

といったことのようでした。

「では、この店を見て、あなたはどのような改善ができるとお考えですか?」

と尋ねましたら、

「資料整理によって誰もが情報の共有をすれば、業務の能率がUPするのでは?」

とのこと。しかし、このような体制作りは、ウチのような零細は当然の状態であり、どの仕入先・顧客の取引内容であれ、誰もが一目瞭然でわかるようになっています。

「その上で、私にとってこの冊子は必要ですか?」

と聞いたところ、しばらく考えて、

「必要ないですね...さげ。」

と言われました。

立ち去る際、半泣きのその表情が忘れられません。


私がその冊子を買うことは簡単でした。

でも、「かわいそうだから」と言う考えで買ってあげると言うことはしたくなかったのです。

彼にとって見れば、一先ず助かったかもしれませんが、それは屈辱に変わるのではないかと思います。

彼にとっても、私にとってもよい取引であったと言う状況を作って初めて彼の成功体験になります。

だから、私は納得して彼からその冊子を買いたかったくま

そして、それが一過性の取引ではなく、継続性のある信頼へとつながる道であると理解してほしい。

午前中の話と根を同じくするものです。

他方、あの場面、彼はあの冊子を自分自身がたいしたものではないとの考えの下で提供していたのではないかと思ったりもします。

だから、押しの言葉が出てこない。


私は、彼が自分の力でこの場面を乗り切ってほしいです。

そして、余裕の笑顔で、

「これならどう?」

と、自信を持って、当方に必要と考えられる情報や提案を携え、再度現れてくれないだろうか。。。と願っています。

どうしてもだめでも、もう一度顔を見せてほしいなー。


常々、法大ゼミの後輩の相談役、指南役、そして叱咤激励役を果たしておいでの石川さん、

いつもこんな気持ちでエールを送っているのだろうなーと、理解した出来事でした。

中野

なぜ苦手意識をもつのか

チオビタゴールドを箱買いしたら、

金運キティちゃんストラップがおまけについてきましたkitty

金曜日の石川です。


今日は、なぜ人は何かにつけて苦手意識を持ってしまうのか

ということを考えてみました。

私たちの感じる苦手意識というのは本来、

危険なモノに近寄らないようにするための

生まれついての防衛メカニズムだと考えられます。

しかしそれは同時に、私たちの行動選択の多様性を

著しく狭めてしまう働きがありそうです。

例えば・・・


【子ども嫌い】こどもこども
20代前後の世代の人たちから、

子どもが苦手だと広言するセリフを聞くことがあります。

しかし、詳しく話を聞いてみると、

たいてい彼らは、子ども時代以来、長らく子どもたちと

きちんと接する機会がなかったことがわかります。

【ネコ嫌い】sei
「ネコが怖い」という人がたまにいます。

この、地球上で最も心穏やかな肉食獣の

どこが怖いんだろうといぶかりながらも、

よくよく話を聞き進めてみると、

彼らは、ネコどころか生き物全般にほとんど接した経験がない

というパターンがほとんどです。


【食わず嫌い】カクテル
安居酒屋で飲むチューハイやカクテルのイメージがあって、

「甘いお酒は美味しくない」と思い込んでいた私は、

本格的なバーで、バーテンさんに作ってもらったカクテルを飲んで

印象が180度逆転したことがあります。

やはり本物はうまいのか!

(他の食べ物でもこのパターンはよくあります)


というようなわけで、たいていの苦手意識は、

経験の不足を前提とした思い込みであることが

少なくなさそうです。


本当に苦手なことは避ければよいと思うけれど、

そう判断する前に、まずは正面からぶつかっていきたい。

そんな前のめりな生き様で、これからもよろしくお願いします。


商店街(地域)は誰のためにある?

商店街活性化論では、坂本光司教授ご指導のもと、いくつもの商店街に視察に参り、商店会役員の方々とのディスカッションなど、貴重な経験をさせていただきました。

また、地域活性特論においても、『まちづくリスト』育成プログラムとして札幌学院大学、高知工科大学、沖縄大学と連携していろいろな取り組みを学んでおります。

そのようなあれやこれや、状況を伺うにつけ、議論が大人の世界だなーと感じることが多々ありました。

どのようにお客さんが来てくれるかという議論は、商店街にとっては死活問題でありますので、

それは当然の課題ではあります。

ただ、「お金を落とさなくては客ではない」といった発言には引きました。今その時点で購買行動は起きなくても、将来的にどのように宣伝行動をしてくださるわかりませんし、まずはその商店に魅力を感じていただく努力が、個店のできることだと考えます。

「後継者がいない、商店の子どもが女の子ばかりである」という発言にも驚愕でした。そこは、繊維街として発展した場所であり、ターゲットには女性の割合が少なくないのに。ここでは、おそらく縁の下の力持ちのご婦人方の貢献に対する評価も低いのではないでしょうか、気になります。

そして、全体を通して、そのような議論に子どもの存在が出てくることはまれでした。

しかし、新宿区商店会連合会の一商店会では、子どもが育つ環境に熱心に配慮しており、

日暮里繊維街ではその地域特性を活かした小学校とのかかわりを築いていたり、

麻布十番商店街では「十番だより」に地域の学校とのコラボしたイベントや活動を公開し、子どもたちも地域との関係を積極的に受け入れる体制があったりします。

その地域に育つ子どもたちが地元を理解し、地域に興味を持つ地盤を提供していることは、その地域の後継者育成に欠かすことのできない視点だと思います。

その考えから特に注目するのが、杉並区にある久我山商店会です。

商店会事務局長さんと何度かお話をさせていただく機会があり、その運営理念を伺うにつけ、地域の子どもたちが如何に希望を持って成長できるかという環境整備に尽力されており、頭が下がる思いでした。

ただ、イベントを行って楽しめばよいのではありません。

自然科学を実際に体験することで、いつのまにか宇宙観までも備わってしまうようなスケール感の大きいプロジェクトが、地域人口2万人ほどのところで行われています。

そして、実際にその地に育った方が、この地に新たな経営者として店を構える事例ができてきているそうです。

そのような理念が、久我山商店会のHP http://www.kugayama.org/  から、伝わりきれていないのではないかというのが少々残念です。

この商店会は商店会役員後継者の育成にも大変力を入れています。まずは失敗を恐れず参加、企画実行を受け入れ、行政やコンサルとの関係を構築するスタンスの取り方も、同席によって習得できるよう配慮しています。

(残念なことに、神田の私のいる町会は後継者育成に興味がなさそうで...。)

では、大きな繁華街における商店はどのように子どもにかかわる方法があるのかといえば、

地域商店街には無い魅力を、地域や地方の子どもたちに体験させてあげることが望ましいと思います。

キャリア教育にも通じ、いつかはそのようなお店を持つことに憧れやイメージができ、成長することに意思を持つ一助になることができると思います。

商店街にとってお客様は大切です。しかし、地域住民が好きな地域であって、初めて地域力が備わるのであり、

その地域力が魅力となって来街者が引き寄せられるというのが、地域の活気が維持・継続できる大切なセオリーなのではないでしょうか。

当たり前のことかもしれませんが、

『地域に育つ子どもたちを含める地域住民が大切にしたい地域であること』が、まずは商店街活性、地域活性の原点なのではないか、と思うに至った次第です。

中野