2年ぶりとなる鳥居さんの単独ライブに行ってきました。
スケールが大きくて圧倒されてしまいまだ考えがまとまっていませんが、まとまらないことをまとまらないように書いておきます。ネタバレもあるかも。できるだけ細かいことには触れませんが、ライブを観てなくてDVDまで楽しみにしたい人はご注意ください。

葬儀がベースの「告別式」、結婚式がベースの「再生」と続いて、「方舟」はまさに天地創造がテーマです。僕は次にやるなら出産とかそっちに行くのかな?と思ってたのでちょっと意外でしたが、昨年の大震災のこともあり、むしろ今やらないでいつやるんだという感じのテーマですね。
タブーを壊すのが鳥居さんの役目ですから。

観終わったあとはなんだかコメディのあり方、というものを考えさせられました。
震災直後は不謹慎だの不謹慎一恵だのといって生活から笑いを排除する風潮がしばらく続きましたが、僕は泣いている人を笑わせるということはすばらしいことだと思うんです。笑いというのは絶望している人間にとってまさに方舟ですよ。

鳥居さんの面白さというのはただ声を出して笑う面白さというよりも、パズルを解く面白さ、言葉のリズムの心地よさ、動きや表情の滑稽さ、観客とのやりとり、社会諷刺や時事ネタ、駄洒落や漫才などオーソドックスなお笑い芸、ブラックユーモア、下ネタなどなど、多角的な要素を総合しての面白さだと思っています。

鳥居さんの思想や感性に触れ、鳥居さんの目を通して世界を見ると僕は今までの既成概念を一度壊されてまた創られるような感覚に陥ることがあります。あー、そういう見方があったのか!と。

まだ鳥居さんがうつむいてしゃべっていたころの「理想は破壊の上に作られる」という言葉を思い出しました。ある意味、鳥居さんは僕にとってヒトラーであり方舟であります。人生に倦んだとき鳥居さんの笑いにずいぶん救ってもらいましたから。まぁ、だいたいいつも倦んでるんですけどね。

パンドラの箱みたいに最後にちょっとだけ希望があって、どんなに脆くて醜くてもやっぱり人間はかわいくて、僕は人類や被災地への鳥居さんなりのエールだと思いました。

1回しか観てないので全体を通してまだ気づかない隠し技や勘違いしてる解釈がたくさんあると思います。
特に最後の最後に林檎を下に落とさずに持っていたシーンに鳥居さんがどういう意味をこめているのか妄想がいろいろ膨らんで楽しいです。
別のエンディングというのはいったいどんなパターンだったんだろう?

DVDが出るまで答えわかんないかもしれません。DVD観てもわかんないだろうな。
このパズル、難易度高っ!(笑)

鳥居さんの単独まであと1ヶ月を切りましたね。


方舟ってどんな内容になるんでしょう。

創世記の大洪水にまつわるノアの方舟の伝説は、昨年の大震災のときの津波を連想させます。

震災を生き残った我々は知らぬ間に方舟の乗組員に選ばれていたようなものなのかな。


震災のあとはずいぶん命について考えさせられました。

鳥居さんのネタや小説も同じように生と死について、はたまた人生について考えさせられます。


鳥居さんの目や心を通じて新しい世界に連れていってもらうのを楽しみにしています。

先週、未来の巨匠が集う映画祭に行ってきました。
簡単ですが感想を書いておきます。

『散歩』
男優さんにスノードームを渡された女優さんが間髪入れずに「あ、スノードームだ!」と拾い上げていたので台本の存在を感じました。
最後に男優さんが「もうだいじょうぶ」と口パクで言っていたのが読み取れてわかりやすかったです。でも何をもってしてもう大丈夫なのかが読み取れませんでした。
でも、台詞が少ない中で背景を想像させていく手法は大成功だと思います。この人未亡人なんだなって僕でもわかりましたから。

『ねじれたマシュマロ』
ストーカー役の男優さんは役柄上やんわりとキチガイだとわかりましたが、女優さんもただ単に台詞を棒読んでいたわけではなくてやや社会の外側にいる人間という設定だったのですね。
狂気をファンタジックな表現で包んでいるので、登場人物をなんとなく常人なのかなと思わせてしまうところが実は作品の狙いなのかもしれません。監督の寛容な人柄を感じました。
おそらく風の都合でしょうけど、しゃぼん玉がもっとドリーミーにたくさん飛べばよかったですね。空の色がきれいでした。
あと、単直に内面の純粋さを表現するならば僕だったらブラジャーは白かな(笑)。

『Re:Creation』
テーマがはっきりしているし、撮り方がとても上手ですね。
幼児期のビデオテープを観て主人公が考え方を変えるところはすんなりと共感を覚えました。
細かいことなんですが、たばこ休憩をしながら主人公が目上の人と会話するシーンでは目上の人が立っていたら壁にもたれて座っている主人公も立たせた方がいいのではと思いました。
しかし全体的に見て役者さんの演技が達者で監督さんの表現力も見事でした。
観客にテーマを突きつけて考えさせる力がありますね。

『笑ゥ男』
ストーリーは月並みなホラーですが、オープニングクレジットは凝っていてかっこいいと思いました。
オカルトサークルのよくしゃべる男子が千原Jr.に似ていました。
笑うおじさんのカットが長かったせいか次第に慣れてしまい怖くなかったのですが、僕の横の男性客がおじさんのアップが映るたびに笑っていたので、もしかしてそういう風に楽しむのが正解なのかしらと思いました。

『視線』
引きこもりが母親に部屋を盗撮されてたのを知って気が狂うというストーリーです。
人が精神を冒されるくらいなんだから、見られちゃ恥ずかしいシーンはもっとパンチの効いたやつを使ったほうがいいんじゃないかな。でも監督が女の子だから男子のオナニーシーンとか撮れなかったのかな。思春期は置いといて、余計な気を遣わずに撮るべきです。
しかし母親が息子を盗撮して動画を公開するという発想はおもしろいですよね。実際には母親よりもネット住人の息子の方がITに詳しいはずなんだから、奮起して応戦すれば親子のデジタル合戦が勃発するはず。いろいろ妄想がふくらみますね。

『舞い散る夜』
主役の男子学生の風貌が若干市橋達也に似ていたので、彼の部屋を訪れた女子学生がリンゼイさん的なことになるんじゃないかとドキドキして見守っていましたが、とてもさっぱりた青春ムービーですがすがしい後味でした。若さとエネルギーが溢れていていいですね。好きです。
ところであの考える人の小さい彫塑は消しゴムなんですね。受験本番に使う上に人に貸せるほどよく消えるのかしら。受験校が美大とかでゲンかつぎのために持ってたとか?
作品の中でポイントになるアイテムだけにいろいろとディテールが気になってしまいました。

『くまのマイケル』
くまのぬいぐるみが人間になったらこんなんだよな、と納得です。
いい感じでおじさんの素人AVっぽい気持ち悪さがにじみ出ていて適役だと思います。女の子も演技が自然で憎めない人柄ですね。
サウナスーツのボクサーや肉まんなどのエッセンスが箸休めになって飽きずに観ていられます。
料理の腕を褒めるならば、つまみ食いする弁当の具はウィンナーよりたまご焼きの方がよいと思います。


以上です。
映画の製作とか全くわからないのですがえらそうにすみません…。
若いことと創造するということ、すばらしいと思います。
僕もなんだか一人暮らしの大学時代を思い出して青い匂いがしました。