CTスキャンに造影剤が必要な理由
CTスキャンは、X線を用いて体内の断層画像を撮影する検査です。しかし、骨や筋肉など密度の高い組織はX線を透過しやすいため、血管や腫瘍などの軟部組織は画像に写りにくくなります。そこで、造影剤を使用することで、以下の効果を得ることができます。
血管や血流をより鮮明に描出する: 造影剤は血管内に取り込まれ、X線に対して不透明なため、血管が白くくっきりと映し出されます。脳梗塞や脳出血などの血管疾患、動脈瘤や閉塞などの血管の異常などを診断する際に役立ちます。
腫瘍や炎症などの病変をより詳しく観察する: 造影剤は腫瘍や炎症などの病変に集積しやすいため、周囲の正常な組織とのコントラストが強調されます。腫瘍の大きさや形、浸潤範囲などをより正確に把握することができ、がんの診断や治療効果の判定などに役立ちます。
特定の臓器や組織の機能を評価する: 造影剤の体内での分布や時間経過を追跡することで、肝臓や腎臓などの臓器の血流や機能を評価することができます。
造影剤の種類
CTスキャンで使用される造影剤には、主に以下の2種類があります。
ヨード系造影剤: 最も一般的な造影剤で、静脈注射で投与されます。
ガドリニウム系造影剤: MRI検査にも使用される造影剤で、主に腎機能が低下している患者さんに使用されます。
造影剤の使用に伴う注意点
造影剤は安全性の高い薬剤ですが、まれに副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のようなものがあります。
アレルギー反応: じんま疹、痒み、吐き気、嘔吐、呼吸困難など
腎機能障害: 腎機能が低下している患者さんにおいてまれに起こる
造影剤中毒: ヨード系造影剤の場合、甲状腺機能が低下している患者さんにおいてまれに起こる
造影剤を使用できない場合
以下のような場合は、造影剤を使用できない場合があります。
ヨード系造影剤に過敏症がある場合
重度の甲状腺機能障害がある場合
妊娠中または授乳中である場合
腎機能が著しく低下している場合
CTスキャン検査を受ける前に、必ず医師に以下のことを伝えてください。
これまでに造影剤を使用したことがあるかどうか
薬剤アレルギー歴
現在の病状
服用している薬
医師は、これらの情報を総合的に判断し、造影剤を使用できるかどうかを決定します。
参考情報
https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/en.html
https://www.m.ehime-u.ac.jp/hospital/clinicalresearch/section/pdf/2109003.pdf
https://www.aichi-med