2014.05.08 STVラジオ「今朝の一冊」
書名/中高生のための「かたづけ」の本
著者/杉田明子 著
出版/岩波ジュニア新書
価格/840円+税
著者の杉田明子さんは、元々、名古屋での永業塾に通っていた塾生の一人でした。プレゼンテーションを熱心に勉強する女性経営者、「幸せ収納ヴァンヴィーノ」という会社の社長です。
「家も会社も片づけたいのに、なかなか整理整頓ができない」
そんな声に一時「断捨離(だんしゃり)」ということばや行動が流行(はや)りましたが、なかなかモノを捨てられない、なかなか整理整頓が進まない、結局、部屋の中は以前のままという人だらけです。なぜなら、「断捨離(だんしゃり)」では幸せになれない、つまり、心がワクワクしない、ポジポジにならない。
そこで著者である杉田明子さんは、どうしたらいつもポジポジに整理整頓できるのかを研究し、その仕組み作りに成功しました。しかも、整理整頓のやり方に走るのではなく、整理整頓はなぜ大切なのか、その在り方を説き、更に、やり方まで言及したとても贅沢な一冊です。
杉田さんは云います。かたづけの完成形はどんな状態か。それはスーパーマーケットだと。どこに何があるか訊ねた時、即座にその場所を示すことができる状態。それを自分の部屋に作り上げる。
①出す、②分ける、③選ぶ、④収める。この仕組みが大切。例えば家の中の洋服を、全部 ①出して、次に ②分ける のです。そこで aよく着る服、 bお気に入りの服、 cそれ以外、とします。すると c のそれ以外が圧倒的に多いことに気がつきます。そして ③選ぶ。……これは自分自身や、人生、、自分の価値観にも大きく影響していて面白いとのこと。
そもそも、断捨離では「捨てる」ものを選ぶ作業になりますが、杉田さんは「捨てるということは川でいうなら河口のこと。大切なのはもっと川の上流にあり、何を買うか、何を買ったのか、という部分で選ぶ力を身に付けること」なのだと。
つまり、ここでは「残したいもの」を選ぶこと。捨てるものを選んではダメ。決められないものは保留にしてそのまま残せばいい。これを繰り返していると、何を残すかが分かり、何を買うべきで、何を買わないべきかが分かるようになる。つまり、モノが増えない人生を手に入れられるのです。最後は ④収める。これは、残ったものを仕舞うだけでいいのだそうです。
自分の好きなものを選ぶ力こそ、毎日をポジポジで過ごす条件なのかもしれません。
中村信仁
2014.5.1 STVラジオ「今朝の一冊」
書名/妻の超然
著者/絲山秋子 著
出版/新潮文庫
価格/490円+税
作家 林真理子をして「好きな作家」と言わしめた絲山秋子。1966(昭和41)年、東京生れ。早稲田大学卒。住宅設備機器メーカーに就職し2001(平成13)年まで営業職として勤務する。
2003年 「イッツ・オンリー・トーク」 で文學界新人賞を受賞
2004年 「袋小路の男」 で川端康成文学賞
2005年 「海の仙人」 で芸術選奨文部科学大臣新人賞
2006年 「沖で待つ」 で芥川賞
営業職では「鬱」となり挫折を経験するが、作家としてはデビューからエリート街道をまっしぐらに突き進んでいる。
絲山作品は「女性が読むと共感を覚えるが男性が読むとグサリと心に刺さるだろう」と宮崎の友人に勧められ読んでみました。この本は「超然」をテーマに3篇の物語が収められています。
①妻の超然
②下戸の超然
③作家の超然
(超然とは何か……。広辞苑によると、かけはなれているさま。抜きんでているさま、とあります。)
この本の面白さは、内容もさることながら、①妻の超然を三人称で書き、②下戸の超然を一人称で、③作家の超然を二人称で書くという、視点を変えて物語を構成する巧みさです。
妻の超然の中でメールについて妻理津子の考えをこのように描写しています。「もらったメールは返事を返してしまわないと気になって仕方がないし、返事をしてしまえば返事の返事が欲しくなるという悪質な仕組みだと思っている。電話よりたちが悪く生活の中に入り込んでくる。気をつけているつもりなのに、埃や水回りのぬめりのように黙って湧いてくるのだ」 要は「メール」は埃やぬめりだと云い切っている。
同じく携帯電話についてもこう描写しています。「携帯電話なんかで愛が伝わるものか。伝わるとしたらせいぜいそれは愛想だろう」と。
また、下戸の超然の中で「健康のために酒をやめる人はいるけれど、下戸はそもそも何もやめていないのだ」というくだりは、やめる、という負荷を掛けた生き方をしている人に対して、なんと自分は自由であるかと叫んでいるように聞こえる。そして、そこには自由であるかのように勘違いさせておいて、実は「最初からやらない」という負荷が存在することを諭しています。
読み終えた時、超然であることへの憧れや恰好よさを感じるのですが、それは孤独なことであり、そして超然であるためには身勝手と冷酷さを有する必要があることを作者は三篇で物語っていて、果たして、この本を読み「超然」たる資質に自分が憧れるのか、それともそんな生き方は虚しいだけだと感じるのか、ページをめくることで問われるような小説なのです。
中村信仁
さて、どう思います?
2014.4.24 STVラジオ「今朝の一冊」
書名/鈍行列車(丸山浩路作品集)
著者/丸山浩路 著
出版/ダイナミックセラーズ
価格/1,165円+税
著者の丸山浩路(まるやま こうじ)さんは、日本初のプロ手話通訳者であり、1977年、NHKの『聴力障害者の時間』の初代メインキャスターを10年務め、1994年 『手話ニュース845』 のキャスターとなりました。もみあげの特徴的な風貌と手話パフォーマンスで強烈な印象を与える中、1979年に坂本九が発表した、世界初の手話で歌うことを前提とした曲 『そして思い出』 (中村八大作曲、『あの時の約束』B面曲)に協力。テレビドラマ 『愛していると言ってくれ』 の手話指導や、手話入門書の執筆なども行った。 ※参考/ウィキペディアより
昭和16(1941)年生れ、心筋梗塞で平成22(2010)年、死去。享年69才
この本は大きなくくりですと「児童書」に位置するのかもしれません。しかし、大人が読んでも、ストーンと腑に落とされる物語8編が収録されています。表題になっている鈍行列車が第1話に収録されているのですが、その内容は、幼い時から松葉杖を必要とする少年と、その母親がのる鈍行列車に著者が乗り合わせます。そして、なぜ急行や特急ではなく、時間のかかる各駅停車に乗っているのかを聴くシーンで、母親はこう答えるのです。
「急いで行っても、ゆっくり行っても、同じ場所に着けるのよ」ということをこの子に分かってもらいたいのです。これから、この子は多くの人に追い越されます。たくさんの人がこの子を追い抜いて行きます。でも、一生懸命歩き続けていれば……、目的に向かって一途に歩き続けていれば、必ず同じところに着ける、そのことを、この子に知って欲しいの。
大人になった今、いいえ、大人になったつもりでいる今、改めて自分で読んでも楽しめる一冊ですが、年齢を超越して、なぜか、大切な誰か……、大切な一人に、プレゼントしたくなる一冊です。
中村信仁
本当のところは分からないけど……それにしても……。
セウォル号の沈没から一週間。
なんとか一人でも多く助かって欲しいと心から願うばかりです。
それにしても、韓国内では、いまだに生存者を装ったいたずらメール(早く助けて、まだ生きている……などという内容の嘘メール)が発信され続けているという現状に「自分さえよければ、人はどうでもいい」という国民気質が、とどまることをしらず、どこまで露呈し続けるのか……。
待機場所の体育館で、政府に対して大声で暴言や罵声を張り上げている場面に対して、多くの日本人は……日本の親たちは疑問を持ったはず。
我が子の無事を願うなら、怒鳴り散らす前に、足にすがり「早く !! 」とお願いするのが日本の親の姿だ。生きていると信じるからこそ、怒鳴っている暇などない。早く助け出してくれと祈る。
違和感は真実だったようだ。韓国のテレビ朝鮮によると、無関係の人間を安否不明者の家族として装い、政府への抗議行動に扇動していたとのこと。なんとも信じがたい国だ。これに関して近く警察が調査に乗り出すらしい。
それにしても、一人でも助かって欲しいと、切に願うばかりです。
中村信仁







