今日は、書きたかったけどなかなか書けなかったことを書きます。
産後、気持ちが落ち込むこと、そして産後のうつ症状、産後うつ病に関しては、
色々と偏見や誤解が多い病気だというのを、肌で感じてきました。
私自身、家族や親しい友人、そして職場に、うつの過去を伝えていません。
ここでも、「すずらん」という匿名でブログを書かせてもらっています。
私自身、残念ながら、近しい人にも、理解してもらえると思わないからです。
偏見や誤解で一番辛いのは、
世の中でニュースや話題になる「虐待」のほとんどが、
産後うつ病、または産後のうつ症状のある母親によって引き起こされている、
という、とてもひどいひどい誤解です。
インターネットでも、色々な本や雑誌でも、
上記のような記載は良く目にします。
でも、実際のデータはありません。
「虐待のほとんどが産後うつ病の母親が引き起こしている」というデータは
ないのです。
日本で、産後うつに詳しい方の一人に三重大学の岡野禎治先生という方が
いらっしゃいます。
EPDS(エジンバラ産後うつ病自己調査票)を翻訳された方であり、
「産後うつ病ハンドブック」の翻訳者の方の一人です。
その方が、「こころの科学141号(2008年9月)」P.30~の文面で、
児童虐待死亡事例の統計データも出しながら、
はっきりと、産後うつ病の母親が虐待が多いという根拠はなく、
それに関した決定的なエビデンスもないと、
きちんと明記されています。
もう一度書きますが、
「虐待のほとんどが産後うつ病の母親が引き起こしている」
という根拠となるデータや研究結果は、ないのです。
確かに、産後うつの女性が虐待を起こすケースは
ゼロではありません。
それでも、一般の母親が虐待する確率より多いというデータは
ありません。
産後にうつになると、
子どもの世話が十分にできなかったり、
子どもへの愛着が薄くなり、虐待をしてしまうのではないかと、
不安になるお母さんは確かにいます。
でも、そのことについて自分を責めている方がほとんどであり、
一般的な「虐待」の意識とはかけ離れたものだと、
私は思います。
早期発見して、早期対応すれば、回復も早く、
お母さんにも、お子さんにも、良いことだと思います。
それは、お母さんの体の病気に対する思いと同じもので、
お母さんが望む体調、心の調子で、育児が出来るように、
治療したり、援助したり・・・ということが求められるのと
一緒だと思っています。
お母さんへの対応が、「虐待防止」が入り口だと・・・
少し違った接し方、援助になるのではないか、と
心配しています。
サロンに来るお母さん方と接していて、
子どもへの想いの大きさ、強さをひしひしと感じます。
事実、そして実体験と、あまりにかけ離れたことが
一般的に言われているので、
今日は思い切って、きちんと書かせて頂きました。
追伸です:
Campanellaさんからコメントを頂きました。
ありがとうございます!
とてもわかりやすい文面だったので、
つたない私の本文とともに
是非コメント欄もご覧になって頂けたらと思います。