いきなり赤文字で失礼します。あるSNSで外資系で働くひと(どうやら女性で、秘書をおやしrになっているようです)が、ビジネス英語ではこう言うんですよ、とその「華麗なる」テクニックをご披露なさってました。さぞ役にたつことが書いてあると思いきや、どれも首をかしげることばかり。そこで元来おせっかい根性甚だしいロック評論家は、きになることを全部やっちゃいした。
ステップ3 丁寧さのレベルを考えながら英訳する
あとは辞書を使いながら訳していく。できれば相手によって、日本語の丁寧語のように体裁を整えたい。せっかくなので今まで挙げていった文章をすべて英訳していこう。
なお、英語では原則として丁寧な文になればなるほど、下記の特徴が出る。
(1)「助動詞の過去形=Could/Would/Might」を使う
これは過去形ではないんです。仮定法の過去。つまり日本語文法で言えば婉曲=遠回しの言い方にすることです。
(2)主語を人間にしない(あなたの仕事ぶりに感謝します>あなたに感謝します)
考え方は正しいです。でも受動態にも丁寧さは必要です(後で指摘します)
(3) 長い単語を使う(例、Understand>Get、Obtain>Get、Prefer>Like)
ちなみに Might you~はめったにお目にかかれない最上級の敬語なので、ジョークで言う以外では不要だ。太文字が元の日本語、青文字が「ローコンテクスト日本語」として、列挙してみた。
長いから、ということではありません。getなどを避けて、obtainとか、as soon as possibleの代わりに、at your earliest convenienceという言い方をしなさい、ということですね、ここで言わんとしていることは。
・ご多用中恐れ入りますが、宜しくお願い致します。
「お忙しいにもかかわらず、今までに書いたことを確認して指示通りに戻していただけますこと、予めお礼申し上げます」
- Your confirmation on above items is highly appreciated while understanding you are busy.
- Your support on above things is greatly appreciated while we are aware of your busy schedule.
最もフォーマルな文章。社外・社内でも可能。
isを使っている時点で「最もフォーマルな文章」ではありません。私ならこう書きます。
Your kind confirmation for the above agendas would be greatly appreciated.
お忙しいところ、などのような解りきっていることをわざわざくっつける必要はありません。
- Appreciate your kind confirmation in advance!
「お忙しいにもかかわらず」を抜いた、同じ部署や親しい社外関係者などへ送るややくだけた文。
これは逆に失礼です。ちゃんと
I would appreciate in advance your kind confirmation.
です。in advanceというのは、先回りして感謝する、という表現で使うべきです。
- Thank you for your support in advance!
「サポートしてくれてありがとう!」とお礼を事前に伝える最もカジュアルな文。同僚などへ使える。
これも同じく、in advanceを使うなら、
Thank you in advance for your kind support.
・いつもお世話になっております。
「こんにちは、今までの業務において助けてくださりありがとうございます。」
- Good day. Thank you very much for your support as always.
メールであれば社内・社外問わず可能な文章。Good dayは1日中使える「こんにちは」の挨拶。
Good dayをこんな風に使っているのは見た事がありません。たまにメールの最後に Have a nice day.と言ってもいいですが、文脈によっては皮肉にとられる危険があります。
- Hello. Thank you for your support all the time.
これもちょっと変だなあ。普通ならこうでしょ。
Hello. (ちゃんとピリオドで切る)
Thank you for your kind support, always.
- Hello, thank you for your reply.
Helloは少しだけくだけたフォーマルな言い方。既につながりのある取引先や、社内メールで使用。 「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」よりも「いつもお世話になっております」に近い。 下の文は「ご返信ありがとうございます」の意味。上の使いまわしに飽きたらどうぞ。
これもね、Helloって言うなら、ちゃんと、
Hello, John.
Thank you for your kind reply.
でしょうね。
- Hi there. Thanks for your support.
ビジネス英語の範囲ではくだけた言い方。同僚への「この前はありがとう!」といったニュアンスで。
これはどちらかというと現在進行中のものか未来のことです。「この前」のことで感謝するなら、
Hi, John.
I should thank you for your kind support last time.
・どうぞご査収ください。
「お送りしたものを確認した上で、もし変更を希望される箇所があればご連絡ください。」
- Your kind confirmation of the file is highly appreciated. Should you have any, please let us know.
顧客向けにも使える丁寧な文。「the file(ファイル)」部分を置き換えて「the items(もの)」や「the documents(書類)」「this email(このメール)」「the attached files(添付ファイル)」「the items sent(送付物)」でも可能。
至るところで間違ってます。
送ったものの内容を確認するってことですよね?
Please make sure all the contents that you have received are in order.
Should you wish to make any changes, please let us know.
日本語では「変更を希望するなら」なのに、英語ではそれが全く反映されていません。
- Please kindly confirm the file. If any changes are required, please let us know.
Please kindly~は「~していただけますか」とお願いする時に取引先へも使える丁寧な文章。 前例と同様に「the file(ファイル)」を置き換えて利用できる。
これも仮定法未来がちゃんと使われていません。
前半はよしとしても、後半はこうでないと。
Should there be any changes required, please let us know.
助動詞を前に持ってきて主語と入れ替えるという仮定法特有の書き方はビジネス英語では、仮定法未来(万が一、という仮定)において、特に好まれて使われます。
・ご希望はございますでしょうか。
「すでに提案したものからあなたが外したいものや特に優先したい事項はございますでしょうか。」
- Would you please let us know if you have any preferences on proposed items?
フォーマルな言い方。社外向け。
Should there be any changes or additions you may wish to make in our proposal, please feel free to let us know.
このひとの英訳では日本語のニュアンスが半分も伝わっていないことは、私の英訳を見れば一目瞭然ですね。外資系の職場で英語を日常的に使っていらっしゃるのであれば、
Please feel free to
とか、
Please do not hesitate to contact us
というお決まりの表現はご存知なはずなんですけどね。
- Could you tell me if you have any preferences?
社内では充分に使えるフォーマルな言い方。「既に提案したものから」を略している。
tell meはフォーマルではありません。
Please advise if you have any preferences.
というように
advise
を使います。この場合は忠告をする、という意味ではなく、知らせる、おしえる、という意味です。
- Do you have any preferences?
くだけた言い方で「何か希望ありますか?」くらいのノリ。上司から部下へなら問題ないが、上長へのメールでは厳しい。
これはくだけているとかという以前に、こんな文章だと、パーソナルなサービスを与えるひとがする質問になってしまいます。極端な場合は風俗的なサービスとか。つまり、何かお好みはありますか?みたいな。
・いかがでしょうか。
「提案した中から気に入らないものがあれば、別途記載した期日までにメールの返事をしてください。」
- Your comments are highly appreciated if you could share us by the due date.
フォーマルな表現。顧客向けでも利用可能です。「the due date(期日)」を任意の日付にすることができます。「6th July: 7月6日」や「next monday:次の月曜日」など。
このあたりは逐一修正していきますね。
Your kind advise and comments would be greatly appreciated. Please make sure you return to us by the deadline below.
- Would you please let us know if you have any inputs by the due date?
Please let us know if you have any suggestions by the deadline below.
ややフォーマルな表現。新規のお取引先~社内まで幅広く使える。
- Can you reply us by the due date if you have any?
くだけた言い方。「何かあれば期日までにいただけますか?」くらいのすっきりした英文。懇意のお取引先ならばこの程度まで大丈夫だが、できれば社内向けにしたい文章。
いくらお気楽な言い方でも英語が間違っていてはいけませんよ。
I need you to reply by the deadline below.
・承知致しました。
「ご依頼いただいた内容を理解し、期日までに実施すると約束いたします。」
- We promise to proceed the requested points by the due date.
丁寧な言い方。契約書のように堅く聞こえるかもしれない。
全然丁寧になってないですし、そもそも日本語がちゃんと英訳されていませんね。
We will digest your request and proceed per due date.
ここでは「期日まで」というニュアンスなので due date を使います。
- Understood the points and we'll deliver it by the due date.
主語を略すなど、ややくだけた表現だが、社外でも問題ない。deliverは「届ける」というよりも「達成する」という意味。
中途半端に主語を省くことはおすすめできません。
We share your concerns and we will have it delivered by the due date.
- Got it! We'll do it by the due date.
カジュアルな物言い。「わかった、期日までにやっておきますね」くらいのニュアンス。get it(理解する)の過去形を使用。
これは唯一正解です。
due dayというのは主に請求書などに記載する注意喚起の言葉です。いくら仕事とはいえ、メールなどではあまり使いません。
以上、急ぎ足で根こそぎ修正しました。こういう英語で通している秘書の方は大勢いらっしゃいます。上司は多目に見ているだけです。だって、そうでしょ?もしあなたがアメリカの片田舎に海外赴任をして、そこに現地採用の秘書がいます。日本からかかってくる電話やメールの応対で少しぐらい違和感があってもいちいち言わないでしょ。
でもだからと言って、それが正しいくて、こういうときはこういう英語なんですよ、って他に啓蒙するのは間違いです。だって、それはそれを真に受けるひとには迷惑以外の何ものでもないでしょ?
ひとに伝授したり、教えるのなら、正しいことでないとね。
ステップ3 丁寧さのレベルを考えながら英訳する
あとは辞書を使いながら訳していく。できれば相手によって、日本語の丁寧語のように体裁を整えたい。せっかくなので今まで挙げていった文章をすべて英訳していこう。
なお、英語では原則として丁寧な文になればなるほど、下記の特徴が出る。
(1)「助動詞の過去形=Could/Would/Might」を使う
これは過去形ではないんです。仮定法の過去。つまり日本語文法で言えば婉曲=遠回しの言い方にすることです。
(2)主語を人間にしない(あなたの仕事ぶりに感謝します>あなたに感謝します)
考え方は正しいです。でも受動態にも丁寧さは必要です(後で指摘します)
(3) 長い単語を使う(例、Understand>Get、Obtain>Get、Prefer>Like)
ちなみに Might you~はめったにお目にかかれない最上級の敬語なので、ジョークで言う以外では不要だ。太文字が元の日本語、青文字が「ローコンテクスト日本語」として、列挙してみた。
長いから、ということではありません。getなどを避けて、obtainとか、as soon as possibleの代わりに、at your earliest convenienceという言い方をしなさい、ということですね、ここで言わんとしていることは。
・ご多用中恐れ入りますが、宜しくお願い致します。
「お忙しいにもかかわらず、今までに書いたことを確認して指示通りに戻していただけますこと、予めお礼申し上げます」
- Your confirmation on above items is highly appreciated while understanding you are busy.
- Your support on above things is greatly appreciated while we are aware of your busy schedule.
最もフォーマルな文章。社外・社内でも可能。
isを使っている時点で「最もフォーマルな文章」ではありません。私ならこう書きます。
Your kind confirmation for the above agendas would be greatly appreciated.
お忙しいところ、などのような解りきっていることをわざわざくっつける必要はありません。
- Appreciate your kind confirmation in advance!
「お忙しいにもかかわらず」を抜いた、同じ部署や親しい社外関係者などへ送るややくだけた文。
これは逆に失礼です。ちゃんと
I would appreciate in advance your kind confirmation.
です。in advanceというのは、先回りして感謝する、という表現で使うべきです。
- Thank you for your support in advance!
「サポートしてくれてありがとう!」とお礼を事前に伝える最もカジュアルな文。同僚などへ使える。
これも同じく、in advanceを使うなら、
Thank you in advance for your kind support.
・いつもお世話になっております。
「こんにちは、今までの業務において助けてくださりありがとうございます。」
- Good day. Thank you very much for your support as always.
メールであれば社内・社外問わず可能な文章。Good dayは1日中使える「こんにちは」の挨拶。
Good dayをこんな風に使っているのは見た事がありません。たまにメールの最後に Have a nice day.と言ってもいいですが、文脈によっては皮肉にとられる危険があります。
- Hello. Thank you for your support all the time.
これもちょっと変だなあ。普通ならこうでしょ。
Hello. (ちゃんとピリオドで切る)
Thank you for your kind support, always.
- Hello, thank you for your reply.
Helloは少しだけくだけたフォーマルな言い方。既につながりのある取引先や、社内メールで使用。 「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」よりも「いつもお世話になっております」に近い。 下の文は「ご返信ありがとうございます」の意味。上の使いまわしに飽きたらどうぞ。
これもね、Helloって言うなら、ちゃんと、
Hello, John.
Thank you for your kind reply.
でしょうね。
- Hi there. Thanks for your support.
ビジネス英語の範囲ではくだけた言い方。同僚への「この前はありがとう!」といったニュアンスで。
これはどちらかというと現在進行中のものか未来のことです。「この前」のことで感謝するなら、
Hi, John.
I should thank you for your kind support last time.
・どうぞご査収ください。
「お送りしたものを確認した上で、もし変更を希望される箇所があればご連絡ください。」
- Your kind confirmation of the file is highly appreciated. Should you have any, please let us know.
顧客向けにも使える丁寧な文。「the file(ファイル)」部分を置き換えて「the items(もの)」や「the documents(書類)」「this email(このメール)」「the attached files(添付ファイル)」「the items sent(送付物)」でも可能。
至るところで間違ってます。
送ったものの内容を確認するってことですよね?
Please make sure all the contents that you have received are in order.
Should you wish to make any changes, please let us know.
日本語では「変更を希望するなら」なのに、英語ではそれが全く反映されていません。
- Please kindly confirm the file. If any changes are required, please let us know.
Please kindly~は「~していただけますか」とお願いする時に取引先へも使える丁寧な文章。 前例と同様に「the file(ファイル)」を置き換えて利用できる。
これも仮定法未来がちゃんと使われていません。
前半はよしとしても、後半はこうでないと。
Should there be any changes required, please let us know.
助動詞を前に持ってきて主語と入れ替えるという仮定法特有の書き方はビジネス英語では、仮定法未来(万が一、という仮定)において、特に好まれて使われます。
・ご希望はございますでしょうか。
「すでに提案したものからあなたが外したいものや特に優先したい事項はございますでしょうか。」
- Would you please let us know if you have any preferences on proposed items?
フォーマルな言い方。社外向け。
Should there be any changes or additions you may wish to make in our proposal, please feel free to let us know.
このひとの英訳では日本語のニュアンスが半分も伝わっていないことは、私の英訳を見れば一目瞭然ですね。外資系の職場で英語を日常的に使っていらっしゃるのであれば、
Please feel free to
とか、
Please do not hesitate to contact us
というお決まりの表現はご存知なはずなんですけどね。
- Could you tell me if you have any preferences?
社内では充分に使えるフォーマルな言い方。「既に提案したものから」を略している。
tell meはフォーマルではありません。
Please advise if you have any preferences.
というように
advise
を使います。この場合は忠告をする、という意味ではなく、知らせる、おしえる、という意味です。
- Do you have any preferences?
くだけた言い方で「何か希望ありますか?」くらいのノリ。上司から部下へなら問題ないが、上長へのメールでは厳しい。
これはくだけているとかという以前に、こんな文章だと、パーソナルなサービスを与えるひとがする質問になってしまいます。極端な場合は風俗的なサービスとか。つまり、何かお好みはありますか?みたいな。
・いかがでしょうか。
「提案した中から気に入らないものがあれば、別途記載した期日までにメールの返事をしてください。」
- Your comments are highly appreciated if you could share us by the due date.
フォーマルな表現。顧客向けでも利用可能です。「the due date(期日)」を任意の日付にすることができます。「6th July: 7月6日」や「next monday:次の月曜日」など。
このあたりは逐一修正していきますね。
Your kind advise and comments would be greatly appreciated. Please make sure you return to us by the deadline below.
- Would you please let us know if you have any inputs by the due date?
Please let us know if you have any suggestions by the deadline below.
ややフォーマルな表現。新規のお取引先~社内まで幅広く使える。
- Can you reply us by the due date if you have any?
くだけた言い方。「何かあれば期日までにいただけますか?」くらいのすっきりした英文。懇意のお取引先ならばこの程度まで大丈夫だが、できれば社内向けにしたい文章。
いくらお気楽な言い方でも英語が間違っていてはいけませんよ。
I need you to reply by the deadline below.
・承知致しました。
「ご依頼いただいた内容を理解し、期日までに実施すると約束いたします。」
- We promise to proceed the requested points by the due date.
丁寧な言い方。契約書のように堅く聞こえるかもしれない。
全然丁寧になってないですし、そもそも日本語がちゃんと英訳されていませんね。
We will digest your request and proceed per due date.
ここでは「期日まで」というニュアンスなので due date を使います。
- Understood the points and we'll deliver it by the due date.
主語を略すなど、ややくだけた表現だが、社外でも問題ない。deliverは「届ける」というよりも「達成する」という意味。
中途半端に主語を省くことはおすすめできません。
We share your concerns and we will have it delivered by the due date.
- Got it! We'll do it by the due date.
カジュアルな物言い。「わかった、期日までにやっておきますね」くらいのニュアンス。get it(理解する)の過去形を使用。
これは唯一正解です。
due dayというのは主に請求書などに記載する注意喚起の言葉です。いくら仕事とはいえ、メールなどではあまり使いません。
以上、急ぎ足で根こそぎ修正しました。こういう英語で通している秘書の方は大勢いらっしゃいます。上司は多目に見ているだけです。だって、そうでしょ?もしあなたがアメリカの片田舎に海外赴任をして、そこに現地採用の秘書がいます。日本からかかってくる電話やメールの応対で少しぐらい違和感があってもいちいち言わないでしょ。
でもだからと言って、それが正しいくて、こういうときはこういう英語なんですよ、って他に啓蒙するのは間違いです。だって、それはそれを真に受けるひとには迷惑以外の何ものでもないでしょ?
ひとに伝授したり、教えるのなら、正しいことでないとね。