山田翔…日奈子の2歳下の弟。
 赤門の大学出身で有名企業に勤めている。

   仕事も出来て優しく穏やかな性格だが、
 女性には口下手で奥手。女性と付き合った経験が
 ほぼない中で女医の結衣と婚約中。しかし… 

 

 

山田日奈子

…パンダの同級生。不器用な弟のことが可愛くて仕方ないが

 婚約者の結衣さんがモラハラ気質、浮気・不倫確定。

 もう黙っていられない。  
 

菊地結衣…翔くんの婚約者。大学病院に勤める外科医。 

 父も兄も親類も医者。母は専業主婦。相当な曲者。

   最近2台目の携帯電話が見つかり、問い詰めたが 

 開き直っている。
 

辻さん…結衣の医学部時代からの同期。外科医。

 日奈子といい仲になりそうだったが極度の潔癖症男で

 実は既婚者。そして結衣と不倫していた。

 奥さんは結衣と友人でもある。
 

加藤さん…辻さんの医学部時代の同期。

 菊地結衣とも面識がある。

 

 

 

結婚式のキャンセル料も何もかも

ちゃんと責任を持って

妹を管理してゆくという結衣の兄の言葉に

 

結衣の母親は、

なんでうちがキャンセル料を

払わなければいけないのだと叫んだ。

 

 

しかしここで

結衣の父親はもう、黙っておけなかった。

 

 

 

結衣の父

「もう、私は黙っておけないし

 耐えられない。

 

 

 こんなところで伝えることではないと

 100も承知だが、

 是非山田さんに聞いていただこう。」

 

 

 

 

結衣の母

「何よ、何がよ!」

 


 

 

結衣の父親は、妻には目もくれず

翔くんの父親に向かい

鎮痛な面持ちで、話し始めた。

 

 

 

 

結衣の父

「山田さん、、お恥ずかしいですが

 私と息子は、、

 

 以前からずっと

 振り回され続けていました、、」

 

 

 

 

翔くんの父

「…と、申しますのは、、、」

 

 

 

 

結衣の父

「はい、、

 

 

 

 結婚して10年くらいは、

 妻もこんな感じではありませんでしたし

 

 私は子供たちが将来

 どんな職業に就いたとしても

 好きなことが見つかったなら

 応援したいと思っていました。

 

 

 しかし、、

 

 私が大学病院の権力争いや

 子供の、

 いわゆるお受験に興味がないことが

 妻には不満だったようです。

 

 

 あぁ、、いや、

 

 

   すみません。

 こんな話をダラダラと

 ここでお伝えしても仕方ないですね、、、」

 

 

 

 

そして、フーと息を吐く。

 

 

 

 

 

結衣の父

「…結衣。」

 

 

 

 

 

 

 

結衣

「えっ…?」

 

 

 

 

突然自分に話を振られて

驚いた表情と小さな声で

顔を上げる結衣。

 

 

 

 

 

結衣の父

「今回の話は、、

 

 誰がどう聞いても、結衣が100%悪い。

 

 だが、今私がここで

 謝りなさいと言っても

 響かないのはわかってる。

 

 

 だから父さんはね、もう、

 

 

 

 

 疲れてしまったんだよ。」

 

 

 

 

 

結衣

「疲れたって、

 どういうこと??」

 

 

 

 

 

 

結衣の父

「…今回の話がちゃんと解決したら、

 

 父さんは

 母さんと

 離婚するよ。

 

 

 だから結衣はその後のことは

 今までと変わらず母さんと相談して 

 好きに生きて行きなさい。」

 

 

 

 

 

 

えっ。

 

 

 

 

 

 

えっ。

 

 

 

 

 

 

 

結衣の母

「はい??

 

 ちょっと待ってくださいよ

 なんで急にそんな話に!」

 

 

 

 

すると結衣の父は

今度は翔くんの方を、じっと見つめる。

 

 

 

 

結衣の父

「今日、翔さんを見ていて、、

 発言を聞いていて、、

 

 

 

 過去の自分を見ているような、

 そんな気持ちになりました。

 

 

 …だけどわたしと違うのは、

 翔さんは自分で、

 嫌なものは嫌だと決断した。

 

 現実から目を逸らさず、

 生きておられる。

 

 

 

 …本当はずっと前から、

 妻とは別れるべきだったんです。

 

 いつしか言い返す気力もなく

 このまま耐えていた自分が、

 

 

 

 …全部悪いのかもしれません。」

 

 

 

 

 

 

翔くんの父

「そんな…全部悪いなんて、、

 

 そんなこと、

 おっしゃらないでください。」

 

 

 

 

 

結衣の父

「、、、いえ…

 

 

 

 ただ……」

 

 

 

 

 

その時、結衣の父親が

少しだけ首を横に振って

膝の上で、拳をぎゅーと握り締めたのが

日奈子はわかった。

 

 

 

 

 

結衣の父

「それでもわたしが

 離婚しなかったのは、、

 

 出来なかったのは

 

 

 

 我慢とか、面倒とか

 …そんなことだけじゃないんです。」

 

 

 

 

 

翔くん

「……」

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

結衣の父

「こんな娘ですがね、、、

 

 

 

 

 

 それでも娘が、、、

 

 

 

 結衣が、、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 可愛かったんですよ。

 

 

 

 

 

 、、親って、バカですね、、、

 

 

 

 

 翔さん、

 本当に…申し訳ありません、、、」

 

 

 

 

 

最後の方は、

消え入りそうな声でそう言って

 

 

結衣のお父さんは

 

拳の上にポタポタと

涙を落としていた。

 

 

 

 

 

 

 

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いつも読んで下さってありがとうございます。

「私がブログを書く理由。」

 

これまでのシリーズはこちら。

1.ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

2.武田さんの芝生『妊娠発覚。彼氏は既婚者だった。

3.紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

4.琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

5..読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

6.みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」

7.春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』

8.青木の芝生   男友達の告白

9. 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」

10. 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性」

11、香織の芝生 「老舗割烹料理屋嫁ぐ