シーズン12の登場人物
山田翔…日奈子の2歳下の弟。
赤門の大学出身で有名企業に勤めている。
仕事も出来て優しく穏やかな性格だが、
女性には口下手で奥手。女性と付き合った経験がほぼない。
山田日奈子
…パンダの同級生。不器用な弟のことが可愛くて仕方ないが
婚約者の結衣さんがモラハラ気質と分かり
良いように使われている気がして心配。
菊地結衣…翔くんの彼女。大学病院に勤める外科医。
父も兄も親類も医者。母は専業主婦。曲者
辻さん…結衣さんの医学部時代からの同期。外科医。
最近日奈子と急接近。極度の潔癖症。
玄関を出てすぐに
日奈子の着信に気づいた翔くん
かけ直す気持ちになれず
しばらくその携帯を握りしめながら
ぼんやり歩いていたら
また携帯が鳴った。
翔くん
「はい…」
日奈子
「翔？！！大丈夫？！
写真だけ送られてきて
そのあと何にも
メッセージが来ないから心配してたの！
今何してるの？！どこにいるの？」
電話に出てくれたことで
ホッとした日奈子が
一方的に質問をする。
翔くん
「姉さん…今は…
今、会社に向かってる…
大丈夫…じゃない…」
翔くんの声が震えていた。
翔くん
「信じてたのに…
やっぱり…姉さんの
言う通りなのかな…」
翔くんは駅まで歩きながら
今朝のことを全部話した。
日奈子
「……下着って…
シフトの件は絶対に
嘘だとは思ってたけど…
許せない…
ほんっとうに許せない…」
翔くん
「……」
日奈子
「ねぇ翔、これから
どうしたい？」
日奈子は喉の奥まで
（絶対離婚でしょ？？）
という言葉が出ていたが
彼はまだ洗脳状態にいる。
ここは慎重に
すすめなければならない。
翔くん
「…どう、って…
今のままでは
わけがわからないよ…
映画のチケットだけでも
十分ショックだったけど
何か事情があるのかもしれない。
プレゼントかもしれないし
ただの自分の
趣味なのかもしれない…」
日奈子
「…何か事情って…
どうしてそんな発想になるわけ？
ただの趣味って、
そりゃあ趣味だから
持ってるんでしょうよ。
だけど
一人で映画に行って
一人であの下着つけて
楽しんでたって思ってるわけ？」
翔くん
「…そういうわけじゃ…
でもまだ
なんの真実も知らないのに
決めつけたくない…
それは彼女のためにじゃなくて
…僕が…
こんなの辛いよ…」
日奈子
「…そうだね、そうだよね…
じゃあやっぱり
何かもっとちゃんとした
証拠を見つけないとね…
だけど結衣さんに
直接聞くわけにいかないし
…やっぱり探偵とか
つけるしかないのかな。」
翔くん
「探偵か…
そんなこと…
考えてもみなかった…
……」
日奈子
「……翔……」
今にも泣き出しそうな弟の声。
小さい頃から内気で真面目で
いっつも自分の後ろをついてきて
頭が良くて、人が良くて
自慢の弟だった。
そんな弟が今、
こんなにも傷ついている。
もう許せない。
このままでいいわけがない。
日奈子は翔くんに言った。
日奈子
「翔。大丈夫だよ。
これからのこと、
しんどいこともあると思うけど
私がちゃんと協力するから。
そしてちゃんと
守ってあげるから。
だから翔、
強くなれ。」
翔くん
「うっ…」
電話越しに翔くんが
小さく震える声で
（うん）と言ったあと
（ありがとう）と、
絞り出すように言って
泣いた。
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いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
1.ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
2.武田さんの芝生『妊娠発覚。彼氏は既婚者だった。
3.紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
4.琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
5..読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
6.みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
7.春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
8.青木の芝生 男友達の告白
9. 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」
10. 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性」
11、香織の芝生 「老舗割烹料理屋に嫁ぐ。」