シーズン12の登場人物
山田翔…日奈子の2歳下の弟。
赤門の大学出身で有名企業に勤めている。
仕事も出来て優しく穏やかな性格だが、
女性には口下手で奥手。女性と付き合った経験がほぼない。
山田日奈子
…パンダの同級生。不器用な弟のことが可愛くて仕方ないが
婚約者の結衣さんがモラハラ気質と分かり
良いように使われている気がして心配。
菊地結衣…翔くんの彼女。大学病院に勤める外科医。
父も兄も親類も医者。母は専業主婦。曲者
辻さん…結衣さんの医学部時代からの同期。外科医。
最近日奈子と急接近。極度の潔癖症。
当直帰りの結衣さんの
ポケットとバックを調べたら
昨日の日付の映画のチケットと
翔くんは見たこともない
ちっさい下着。
これを撮影するのも惨めだったが、
こんなことを実の姉に
報告するのかと思ったら
あの心配性の姉が
どんなことになってしまうのか
一瞬、
そんなことも考えてしまった。
だけどそんなことより
それよりもう
何が何だかわからず
翔くんは何の文章も打たず、
無意識にただ、
映画のチケットと
ちっさい下着を写した写真を
姉の日奈子に送った。
〜同時刻・日奈子の部屋〜
日奈子
「は？」
仕事に行く前に、
納豆巻きを食べていた日奈子は
一瞬わけがわからなかった。
だって我が弟から
何の文章もなく送られてきたのは
何かの紐が
床に並べられた写真。
（…何これ。
…赤いひもと…黒・・・）
あ？
数秒遅れでやっと
頭が理解した。
日奈子
「いやこれ下着じゃん！！」
日奈子は一人で
バッと立ち上がった。
〜翔くん・寝室にて〜
翔くん
（…一体なんでこんな…）
ちっさい下着を前に
ほんの一瞬放心状態になったが
すぐに我に返った翔くんは
急いでその下着を
ポーチの中に戻し
バックもコートも
元の散らばっていた位置に置いた。
心臓は、まだバクバクしている。
けれどこれから
仕事にも行かなければいけないし
その前に、
シャワーから上がってきた結衣に
コーヒーかお茶を入れてくれと
頼まれるだろう。
とりあえず今は、
いつも通りのことを平常心で
行うしかない。
翔くんはそう思いながら
落ち着かない心のまま
キッチンにいた。
結衣
「あれ、もう仕事行くの？」
翔くん
「いや、うん、まぁ少しね。
早く行って
やっておきたいことがあって。」
結衣
「そっかー。
じゃあさ、私の分だけ
パンだけ焼いておいてくれる？
そしたらもう出ちゃっていいよ。
私、髪の毛乾かしてくるから。」
WHY。
なんだこの会話。
翔くんは今、仕事に早く行って
やっておきたいことがあるって
そう言ったよね？
それなのに、
パンは焼いてもらうの？
そして翔くんよ…
何も言わずに焼くのね…
と、他人なら言いたくもなるが
いつも二人は
翔くんの用意した朝ごはんを
一緒に食べていたらしい。
朝ごはんを作ることは
一人暮らしの時から
日常のことだった翔くんにとって
苦痛でもなんでもなかった。
それよりそこで毎日
翔くんの作った朝食を
美味しいと言いながら食べてくれて
いろんな会話が出来る時間が
好きだった。
けれど今日は、
向かい合って何を話せばいいか
全然わからない。
翔くんはパンを焼くと
まだ洗面所にいた結衣さんに
行ってきますと声をかけて
重い足取りで、外に出た。
玄関を出てすぐ、携帯を見たら
姉の日奈子から
数件の着信が入っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
1.ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
2.武田さんの芝生『妊娠発覚。彼氏は既婚者だった。
3.紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
4.琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
5..読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
6.みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
7.春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
8.青木の芝生 男友達の告白
9. 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」
10. 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性」
11、香織の芝生 「老舗割烹料理屋に嫁ぐ。」