シーズン12の登場人物
山田翔…日奈子の2歳下の弟。
赤門の大学出身で有名企業に勤めている。
仕事も出来て優しく穏やかな性格だが、
女性には口下手で奥手。女性と付き合った経験がほぼない。
山田日奈子
…パンダの同級生。不器用な弟のことが可愛くて仕方ないが
婚約者の結衣さんがモラハラ気質と分かり
良いように使われている気がして心配。
菊地結衣…翔くんの彼女。大学病院に勤める外科医。
父も兄も親類も医者。母は専業主婦。曲者
辻さん…結衣さんの医学部時代からの同期。外科医。
最近日奈子と急接近。極度の潔癖症。
結衣さんの話から
辻さんの価値観が露呈し
日奈子は彼への気持ちが
サーと引き始めたのがわかった。
日奈子
「あの、パートナーには
僕のペースを乱さないで欲しいって
…でももしお子さんが生まれたら
子育てはきっと
予期せぬ出来事ばかりでは…」
辻さん
「それは病気だって
そういうものですから
心臓発作でもなんでも
予期せぬ出来事があった際に
どうするべきかということは
想定できますよね。
ですから子育ても
ある程度子供には
どんな病気や問題があるのか
ちゃんとわかっていたら
問題ないですよ。」
あ、うん。
それもそうかもしれないけれど
いやでも…やっぱり何か辻さんには
空虚なものを感じる。
日奈子は思う。
もし自分がもっと若くて
世間を知らなければ
見方によれば
辻さんのような考え方を
しっかりしていて頭が良くて
素敵だと思ったのかもしれない。
いや、今の年齢でも、
彼との付き合いがもう少し長くて
情も湧いていたら
彼の思いも受け入れながら、
我慢しながら?一緒に生きてゆくことを
決めたかもしれない。
でも…なんか違う。
私は思う。
この
「なんか違う。」
という違和感はこれからも
「ずっと違う。」
に繋がるはずだ。
相手が持っている条件が
どんなに良いものだったとしても
それは自分の持ち物じゃない。
自分が自分でいるためには
勇気を持って、
断ち切らなければいけない。
日奈子はそれが出来る人だった。
だからこそ当時私たちはお互い
独り身ではあったけれど
それは決して
不幸せな生き方なんかではなかった。
◆
日奈子LINE
「そんなわけで、その後
普通に会話と食事をして
笑顔で別れて帰ってきた。」
私LINE
「そっか、でもよかったね。
付き合う前に辻さんの
そういう部分がわかったんだから。
日奈子の中では
諦めついたんでしょ?」
日奈子LINE
「うん、ついた。
…っていうかさ、
よく考えてみたら
私って辻さんに
告白とかされてないじゃん(笑)」
私LINE
「あ。」
日奈子LINE
「だから諦めも何も
勝手に自分で始まって
終わってた感じもするよ(笑)
なんかそれ考えたら
私って恥ずかしくない?」
私LINE
「いやそんなことないよ。
辻さんも何も気がない中で
毎日LINEしたりディナーしたり
そんなことしないだろうから。
それより、翔くんのこと
…結衣さん、仕事中でも
怒鳴ったり物をぶん投げるなら
家庭内はこれからもっと
酷くなりそうな気がしない?」
日奈子LINE
「なりそう…
だけどもう結婚の準備
だいぶ進んでるんだよ。
言えばいうほど意固地になるし、
翔だけはもう
引き返せないところにいる。
だからこれからは
何かあったら、その時に
…相談に乗るっていう
…それしか出来ないのかもね…」
そう、この時は本当に
そうするしかなかった。
翔くんがこの先必ず
しんどい思いをすることは
わかっていたのに。
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いつも読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
1.ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
2.武田さんの芝生『妊娠発覚。彼氏は既婚者だった。
3.紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
4.琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
5..読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」
6.みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」
7.春菜ちゃんの芝生『婚活アプリで結婚相手は見つかるか』
8.青木の芝生 男友達の告白
9. 紗子さんの芝生 「見て見ぬふりん。」
10. 百合子ちゃんの芝生 「運命の人の本性」
11、香織の芝生 「老舗割烹料理屋に嫁ぐ。」