登場人物

春菜ちゃん・・34歳

絶賛婚活中で、婚活アプリ初心者です。

スペックの高い方を求めてしまう病で、

自分でもこじらせている自覚ありだそうですが

共感してくださる方がいらっしゃったら幸いです。

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恋愛結婚よりお見合い結婚の方が

離婚率が低いというのは

昔の話だろうか。

 

マッチングアプリが

いわゆるお見合いに近いと感じるのは

最初からその人の肩書きが

わかる点だと思う。

 

男性は見た目に弱く

女性は肩書きに弱い。

 

 

春菜ちゃんはまさに自分が

その典型だと実感していた。

 

 


だけど、わかる気もする。



学生時代や若い頃なら

相手が何者でもなくても

ただただ自分の

「好き」という気持ちを信じられる。



だけど大人になると

かつては「夢」を大切に生きた時代から

「現実」を見なければと

思うようになってしまう。



 

今日のお医者さんとの初対面で

色々びっくりすることはあるが

今の時点ではじゃあ

もう2度と会いませんというほど

決め手もなかった。

 

 


春菜ちゃんは食事をしながら

お医者さんの仕事のことについて

いくつか質問を続けていた。

 

そこでお医者さんは、教授の話や、

ベテラン看護師さんに言われたことなど

ものすごく真面目に話してくれたが

急に饒舌に、医療用語多めで話し始めたため

少しわかりにくい部分が多かった。

 

 


春菜ちゃん

「ここのお食事

 どれも全部美味しいですね。」

 

 

お医者さん

「そうなんですよ。

 普段仕事中は、

 質素なものしか食べてないんで

 外では美味しいものが食べたくて。

 

 そういえば春菜さんは

 料理されるんですか?」

 

 

春菜ちゃん

「一人暮らしなので

 自分が作る分くらいですが・・ 

 多少ですかね。」

 

 

 


いや、ほとんど作らない。

 

 

こんなところでもつい

綺麗売りをしてしまう。

 

 



 

お医者さん

「料理ができる女性って

 やっぱりいいですね。

 

 僕は休みの日に

 時々するくらいですね。

 

 いやぁ是非今度は

 春菜さんの手料理を

 食べてみたいものです。」

 


 

春菜ちゃん

「あ、そ、そうですねー。」

 

 

この辺りの話は

広げすぎては良くないと思った。

 

 

 

お医者さん

「春菜さん、

 この後まだお時間ありますか?」

 

 

春菜ちゃん

「…あ、ええ、まぁ。」

 

 

お医者さん

「食事が済んだら

 この近所にいいお店があるので

 そこで甘いものでも食べませんか?」

 

 

 

BARでお酒でも

と言われるのかと思ったが

甘いもの、という表現に

つい首を縦に振っていた。

 

 

そう、春菜ちゃんは結構

流されやすい性格なのだ。

 

 

 

そしてお店を出る時。

 

 

 

オーナー

「お医者さん!

 今日も来て下さってたんですね。

 いつもありがとうございます!」

 


 

お会計の際に

オーナーさんがご挨拶に出てきてくれた。

 

 

やっぱり行きつけだったんだ。

 

 

そう思った時

 

 

 

お医者さん

「こちらこそ、

 今日も美味しかったですし

 

 やっとここに

 彼女を連れて来れましたよ。」

 

 

 

え?

 

 

 

オーナー

「これはこれは!初めまして!

 

 お医者さんには少し前に

 本当にお世話になったんですよ!

 

 今後ともよろしくお願いいたします。」

 

 



 

いや、違うし。

 

彼女じゃないし。

 


 

とは言えない雰囲気で

春菜ちゃんはとりあえずその場を

笑顔でやり過ごした。

 

 

 

それからお医者さんが

あまりにもスムーズに

お会計を済ませたので

途中でお財布を出すタイミングが

分からなかった。

 



 

春菜ちゃん

「あの・・

 さっきのお支払い…」

 



っていうか発言…




 

お医者さん

「?お支払い?」

 

 


春菜ちゃん

「えっと・・あの・・」

 

 


お医者さん

「あぁ、そんな

 女性にお財布を出させるわけに

 いきませんから。」

 


 

春菜ちゃん

「ご、ごちそうさまです…」

 

 

 

お医者さん

「では参りましょう。

 ここから歩いて5分くらいなんです。」

 

 

 

春菜ちゃん

「…はい。」

 

 

 

いろんな感情が渦巻きながら

先に歩きだしたお医者さんの背中を見て

 

やっぱり身長は

160センチあるかないかだろうな…

 

なんて思いながら

さっき彼女だと紹介されたことが

春菜ちゃんには引っかかっていた。

 



 

 

そしてついた2軒目のお店は

オシャレなカフェだった。

 

 

あぁ、益々分からない。

 

飲食店の、お店選びの趣味が合うって

ものすごく重要で、

お医者さんはそのポイントは

十分に抑えている人で。

 

 

何を妥協して、

何を良しとしたら

婚活ってうまくいくんだろう。

 

頭にはてなを乗せたまま

流されガールの春菜ちゃんは

チョコレートケーキを注文した。

 



 

 

 

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これまでのシリーズはこちら。

シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」

シーズン6 みどりさん親子の芝生 「父親の不倫を見つけました。」