シーズン6

大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。

妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。

お母さん(みどりさん)・・大地くんのお母さん。40代半ば。

お父さん(タケシ)・・・大地くんと妹ちゃんの父。不倫相手のヒロミには、タケシくんと呼ばれている。

義母(タケシの母)・・専業主婦。息子であるタケシの不倫発覚後、謎に肩を持っていたが、それは自分のためだった。タケシから毎月、高額の仕送りをもらっていた。

義父(タケシの父)・・全てを知った、義父の反応は・・

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みどりさんのお父さんは義母に、

今後の支払いは

どうするのかと聞いた。

 

 

 

タケシの母

「どうって…

 

 

 だって私には

 お金なんてないですから…」

 

 

 

 

みどりさんのお父さん

「だから、ご主人に苦労をかけて

 ご自身は

 何もなさらないつもりですか?」

 

 

 

 

タケシの母

「苦労って

 

 うちには貯金もありますし

 私だって主婦としてうちのことを

 ちゃんとやってき…」

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

タケシ

「もうやめてくれよ!」

 

 

 

 

 

タケシが立ち上がり

泣きながら叫んだ。

 

 

 

意外だった。

 

 

 

その場が一瞬シーンと静まり返って

 

タケシは涙声のまま

一気に話した。

 

 

 

 

タケシ

「なんだよ、母さん!

 

 ここまできてまだ、

 父さんになんとかしてもらおうって

 思ってるのか?

 

 どうして自分でなんとかするって

 そう言えないんだ?」

 

 

 

 

タケシの母

「何よ・・大声出して・・

 

 

 自分でなんとかって、

 一体私なんかに

 何ができるっていうのよ!」

 

 

 

 

タケシ

「なんだよ・・

 

 なんだよそれ・・

 

 

 じゃあ俺や父さんの気持ちは

 一体どうなるんだよ!!

 

 

 俺が母さんに仕送りしたのは

 父さんのためだ!

 

 父さんに

 負担をかけたくなかったからだ!

 

 それなのに

 今の父さんの言葉聞いたか?

 父さんは俺や母さんのために

 関係者に頭下げるって言ってるんだぞ?

 

 その言葉聞いて

 何も感じないのか?!」

 

 

 

 

タケシの母

「感じてるわよ!

 

 私が悪者なんでしょ!

 私が1人で出ていけばいいんでしょ!

 

 それで1人で野たれ死んでも

 誰もなんとも思わないんでしょ!

 

 私はこれまで家族のために尽くしたけど

 専業主婦なんて

 誰からも褒められないし

 認められないし

 

 それで、そんな時に

 優しくしてくれた人に癒されたのよ!」

 

 

 

 

タケシ

「家族の為に働いたのは

 父さんだよ!

 

 専業主婦だって凄いとは思うよ。

 それだって十分

 家族のためだったとは思うよ。

 

 

 だけど世間の主婦は

 ホストに狂ったりしないだろう?!

 

 しかも母さんは家族を捨てて

 そのホストと

 一緒になろうとしたんだよな。

 

 それを聞いて

 可哀想だと思ったよ。

 

 もちろん可哀想なのは

 父さんがだ!」

 

 

 

タケシの母

「じゃあ私に、

 今から働けっていうの?」

 

 

 

 

タケシ

「当たり前だ!

 

 働かずにどうやって

 借りた金を返すんだ?

 

 父さんや俺はATMじゃない!

 

 

 俺だってもう

 取り返しのつかないことをしたけど

 言えた立場じゃないけど!

 

 母さんを見ていたら

 こんな自分が恥ずかしくなったよ!」

 

 

 

タケシの母

「なによ……」

 

 

 

 

タケシは膝をついて

父親に頭を下げた。

 

 

 

 

タケシ

「父さん…ごめん、

 本当に今までごめんなさい…

 

 

 父さんの気持ちも知らずにこんな…

 

 

 

 

 俺は・・・

 

 父さんみたいになりたかった。

 

 

 父さんに孫を見せることが出来て

 みどりみたいな奥さんがいて…

 幸せだったのに…

 

 

 それなのに・・父さんにこんな…」

 

 

 

 

 

タケシが咽び泣いているのを

お義父さんがただただ

悲しそうに見つめていて

 

みどりさんも涙が止まらなかった。

 

それが何の涙なのか

全然わからなかった。

 

 

 

 

数十秒か、数分か経過して

タケシは呼吸を少しずつ整えると

母親に向かって言った。

 

 

 

 

タケシ

「母さん

 

 働き口は一緒に探すから

 バイト・・・探そう。」

 

 

 

 

 

義母の目から

涙がスーッと流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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これまでのシリーズはこちら。

シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」