シーズン6

大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。

妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。

お母さん(みどりさん)・・大地くんのお母さん。40代半ば。

お父さん(タケシ)・・・大地くんと妹ちゃんの父。不倫相手のヒロミには、タケシくんと呼ばれている。

義母(タケシの母)・・専業主婦。息子であるタケシの不倫発覚後、謎に肩を持っていたが、それは自分のためだった。タケシから毎月、高額の仕送りをもらっていた。

義父(タケシの父)・・全てを知った、義父の反応は・・

 

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翌日。
 
 
みどりさんのお母さんは
子供達を連れて
ショッピングモールに出かけてくれた。
 
 
タケシ達が到着するまでに
みどりさんはお父さんと、
少しの間だけ二人になった。
 
 
 
みどりさんは
お父さんの正面には座れず
けれど何か謝りたくて
ソファーで爪を切っていた父の
背中に話しかけた。
 
 
 
みどりさん
「お父さん…
 
 ごめんなさい、
 こんなことになって…」
 
 
 
 
みどりさんの父
「謝るな。
 
 お父さんだってわからなかった。
 タケシくんが、
 そういう奴だとは、思いもよらなかった。
 
 結婚報告の時も、出産した時も
 お前はいつだって
 幸せそうだったからな。」
 
 
 
 
みどりさん
「うん…あの時は
 本当にそうだったから…」
 
 
 
 
みどりさんの父
「そうか。
 
 じゃあ、幸せな時期も
 ちゃんとあったんだよな?
 
 今が例え違っていたとしても
 あの時結婚したことに
 間違いはなかった。
 
 
 過去の自分を悔やむなよ。
 
 お前たちがいたから、
 あんなに可愛い孫に会えたんだ。」
 
 
 
 
みどりさん
「うん…。」
 
 
 
 
みどりさんの父
「みどりは…
 
 離婚、でいいんだよな?」
 
 
 
 
みどりさん
「うん。もう、迷ってない。」
 
 
 
 
みどりさんの父
「そうか。わかった。
 
 
 ・・・人は…悲しいけど
 変わってしまう時があるな。
 
 お父さんも昔
 親友に裏切られて辛かったよ。
 
 だけど、だからってその先の人生
 自分が腐っちゃいけない。
 腐ってるのは、自分じゃないからだ。
 
 
 
 なんて、偉そうなこと言ってるが
 お父さんがそう思えたのは
 
 みどりが生まれて
 まだ幼かったお前が
 ずっと笑ってたからだ。」
 
 
 
 
みどりさん
「お父さん…」
 
 
 
結婚した日にも
こんな話をされたことはなかった。
 
 
 
 
みどりさんの父
「みどり。
 
 
 今は辛いよな。
 
 
 だけど、
 
 あんなやつ一人失ったところで
 お前の世界は終わらないからな。
 
 
 それだけは絶対に、忘れるな。」
 
 
 
 
 
みどりさん
「はい・・。
 
 ありがとう、お父さん。」
 
 
 
 
涙声で返事をしながら
 
 
この父の子供に生まれたことを
感謝した。
 
そして自分も泣いてばかりいないで
この父のように
 
母としてこれから
強くなりたいと心から思った。
 
 
 
 
 
しばらくして
チャイムが鳴った。
 
 
 
 
 
みどりさんが玄関に出ると
タケシとタケシの両親が立っていた。
 
 
 
タケシとお義父さんは神妙な面持ちで
義母はみどりさんと
目も合わせない。
 
 
 
タケシの父
「みどりさん…すまないね…」
 
 
 
みどりさんは黙って首を横に振り
3人を客間に案内した。
 
 

部屋に入ると

 

みどりさんのお父さんが黙って座っていて

みどりさんがお茶を用意する間

誰も、何も発しなかった。

 

 

 

 

そして、

 

 

みどりさんがその場に着席したその瞬間。

 

 

 

 

 

タケシ

「お義父さん、

 

 この度は本当に!申し訳ございませんでした!!」

 

 

 

 

タケシがみどりさんの父に向かって

土下座をした。

 

 

 

みどりさんの目にはその姿が

パフォーマンスに見えて

何も感じなかった。

 

 

 

 

 

 

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これまでのシリーズはこちら。

シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』

シーズン2 武田さんの芝生 

『妊娠発覚。彼氏と思っていた人は既婚者だった。』

シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』

シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」

シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」