シーズン6
大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。
妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
お母さん(みどりさん)・・大地くんのお母さん。40代半ば。
お父さん(タケシ)・・・大地くんと妹ちゃんの父。不倫相手のヒロミには、タケシくんと呼ばれている。
若林ヒロミ・・・・タケシの不倫相手。大地くんの友達である裕介くんの母。
若林裕介・・・ヒロミの息子。若林夫・・・ヒロミの夫。
カナちゃん…葵ちゃんの友達
カナちゃんママ…みどりさんのママ友で、タケシの不倫相手。タケシのことをタッくんと呼ぶ。
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葵ちゃんの泣き声が響くリビングで
大地くんはずっと
黙ったままでいる。
みどりさん
「大地・・
大地は、どう思ってる?」
大地
「……」
葵ちゃん
「許せないでしょ?
お父さんのこと!!
だって家族のこと
どうでもいいんでしょ?
我慢しないで、お父さんなんて
大っ嫌いだっていいなよ!
うぅぅぅぅ・・・」
言葉を口にするたびに
しゃくり上げるほど
涙が止まらない葵ちゃんとは裏腹に
口を結んだまま
何かを堪えている。
みどりさん
「大地・・・
本当は大地は、
お父さんと一緒に
暮らしたいのかな・・
それならそうだって…」
葵ちゃん
「そんなのだめだよ!
絶対だめ!!」
みどりさん
「葵・・葵の気持ち
よくわかるけど、
お兄ちゃんの話も
聞いてあげてよ。」
大地くん
「…僕は・・・」
みどりさん
「…うん・・」
大地くん
「僕は…別にお父さんの不倫が
1人でも2人でも
相手や出会いがどうでも
…そんなのどうだっていい。
そんなの今知らなくても
お母さんが話せる時でいい。
それより、お母さんが・・・
お母さんに、
笑ってて欲しい・・」
みどりさん
「…だいちぃ・・・
うっ
うぅぅぅぅぅ・・・・」
みどりさんは堪らず
涙をポロポロ流した。
大地くん
「だってお母さん、
最近全然、ご飯食べてないし・・
すっごい痩せたし、
このままだと・・
お母さんが・・・」
大地くんの言葉を聞いて
ソファーでまた
葵ちゃんがわんわん泣いている。
大地くん
「これから
僕がバイトしてもいいし
ご飯も作り方教えてくれたら
僕が自分でやるから
だから、お母さん・・
ご飯食べてよ・・・
お母さんが、
元気になってよ・・」
大地くんが傷ついているのは
大好きなお母さんの
みどりさんが傷ついている
この姿。
堪らず葵ちゃんが、
みどりさんの方に駆け寄って
みどりさんにギュッと
抱きついた。
葵ちゃん
「おかぁさん・・
おかーさん・・うぅぅぅぅ」
みどりさんは葵ちゃんの肩を
思いっきり抱きしめた。
まだまだ子供の
細い小さな肩だった。
タケシの犯した罪で
なんの罪もない家族が
一体どれほどの涙を流せば良いのだろう。
大人の身勝手でこんなにも大切な、
大切な子供の心が
壊されてしまった。
みどりさんは
母親を気遣ってばかりの
大地くんの優しさと我慢が
痛くて痛くて、本当に辛かった。
そして
自分自身が一番
不甲斐ないと思っていた。
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ブログを読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」