シーズン6
大地くん・・・シーズン6の主人公。高校2年生の男の子。
妹ちゃん(葵)・・・大地くんの妹。中学2年生。たまたま見た父親の携帯から、浮気を知る。
お母さん(みどりさん)・・大地くんのお母さん。40代半ば。
お父さん(タケシ)・・・大地くんと妹ちゃんの父。不倫相手のヒロミには、タケシくんと呼ばれている。
若林ヒロミ・・・・お父さんの不倫相手。大地くんの友達である裕介くんの母。
若林裕介・・・ヒロミの息子。
若林夫・・・ヒロミの夫。
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お風呂場でひとしきり
声をあげて泣いたみどりさん。
いろんな感情がこみ上げてきてしまって
自分でもこの時の気持ちは
一体どういうものか
うまく表現出来なかった。
お風呂から上がったら
リビングに
タケシがいる気配がした。
きっとまた寝室で
ぐーぐー寝てるのかと思ったが
パソコンを前に何かを考えている。
みどりさんはたけしには声をかけず
大地くんの部屋に向かった。
みどりさん
「大地、起きてる?」
ノックをして部屋に入ると、
そこには葵ちゃんもいた。
大地くん
「うん、起きてた。眠れなくて。」
葵ちゃん
「お母さん、どうしたの?」
みどりさんの顔を見るなり
葵ちゃんが訪ねた。
みどりさん
「え?どうしたって、なに?」
さっきまでの泣き顔は
ごまかせていたはずだった。
葵ちゃん
「何って、なんか・・
大丈夫?
お父さんに、嫌なこと言われた?」
みどりさん
「そんなことないよ。」
目の前で、大地くんと葵ちゃんが
心配そうな顔をしている。
みどりさん
「大丈夫。
お父さんとは、、ちゃんと、
話を、、うっ、うううっ
うっ、、、」
子供達の前では決して
泣かないようにしようと思っていた。
心配させたくなかった。
泣きたくなんかなかった。
だけど無理だった。
愛している我が子が
あの幼かった子供達が
自分の顔を見ただけで
何かを察してくれた。
大きくなった。
この成長がどんなに愛おしいか。
そして夫がどれだけ
情けなかったか。
大地くん
「お母さん!どうしたの?
なんかあったの?」
みどりさん
「いや、大丈夫…大丈夫…
うっ、ううう…」
泣きたくなんかないのに
また、
とめどなく涙が溢れてきてしまう。
止まれ、早く止まって。
みどりさんは
拭いても拭いても溢れてくる涙を
どうすることも
出来なくなっていた。
葵ちゃん
「お母さんっ!!
…っっ、こんなのっ
こんなの許せないから!!」
葵ちゃんは突然
大地くんの部屋を飛び出した。
みどりさん
「あおいっ!!待って!」
みどりさんと大地くんは
慌ててそれを追いかけた。
葵ちゃん
「お父さん!酷いよ!」
リビングにいるタケシを見つけ
葵ちゃんは怒鳴りつけた。
タケシ
「あおい・・・」
タケシが、ゆっくりと
力なく立ち上がる。
葵ちゃん
「一体お母さんが
何したって言うの?!
どうしてお母さんを泣かせるの?
お父さん、酷いよ!!
ひど・・・う・・うぅぅ・・」
葵ちゃんの目から
大粒の涙がポロポロ溢れていた。
葵ちゃん
「許せない・・お父さんのこと
う・・本当に許せない・・」
タケシ
「あおい・・ごめん。
本当にごめん。ごめんなさい。
傷つけるつもりなんてなかった。
お父さんは、
家族より大事なものなんかない。
ごめん・・ごめん・・・」
2人を見つめながら
大地くんはその場に立ち尽くし
拳を握り締めて涙を堪えていた。
仲が良かったはずの家族
親子が
あんな女のために
今、壊れてしまいそうだ。
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ブログを読んで下さってありがとうございます。
これまでのシリーズはこちら。
シーズン1 ミキの芝生 『DVモラハラ夫の不倫』
シーズン2 武田さんの芝生
シーズン3 紀子さんの芝生 『夫の不倫相手は、まさかのあの人。』
シーズン4 琴美ちゃんの芝生 「お笑い芸人の男。」
シーズン5 読者さんの芝生 「意見を聞かせてください。」