弱さの輪郭が戻ってくる朝
メッキが剥がれて錆びたキーホルダーを
指先で転がすと
カップの底にこびりついた輪染みが
昨日の続きみたいに残っていることに気付く
触れずに置いた欠けた部分は
いつも別の形で手元に戻ってくるものだ
朝の光はただ薄くて
夜が明けても距離だけが残る暗闇は
届かないままの跡だけが静かに残る
誰かの基準に合わせて
呼吸を整える癖が抜けなくて
五感が外側に従属していく感覚だけが
遅れて届く
理由は後から与えられるものだと
教えられてきたせいで
歩き出す瞬間に因果がひとつだけ外れ
影のほうが先行して動きだす
その遅れを埋めるように
錆びた金属の冷たさだけが現実を知らしめる
正しさの外側に立つと
ほんのわずかに呼吸が軽くなる瞬間がある
整える必要のない呼吸まで整えようとしてしまう
それを救いと呼ぶには曖昧すぎていて
でも否定しきるほどの力もボクには残っていない
鍵の重さを感じながら
どこまで進むかをまだ決めないままでいる
触れずに済ませてきた弱さが
指先の冷たさにだけ反応して
歩き出す理由を探す癖が残ってたことを知る
その事実を抱えたまま
今朝は少しだけ遅れて立ち止まっている