知り合いの9割以上は...並以下だ!

 知り合いの9割以上は...並以下だ!

  知れば知るほど薄くなるのが人間の価値...最初から長持ちしない

「糖質が」と発音したあと
開いたままの唇の隙間へ
ポテトチップスが滑り込む

油のついた指を拭きもせず
咀嚼しながら
「結局、代謝なんだよね」
と口が言う

その「口」が言っている言葉と
実際に起きている現象のあいだには
いつも決定的な溝がある

代謝を語る喉の奥からは
ただ油分と塩分が通過していく湿った音が
鳴っているだけだ

本人は専門用語をひとつ置くことで
まるで現状を把握し
制御下に置いているかのような
錯覚を得ているらしい

現実に起きているのは
制御ではなく
ただの摂取と消化だ
指先に残った油は
そのまま服の端や
クッションの表面へと転写され
自分がそこに存在した物理的な痕跡として
部屋の中に残っていく

口は次々に正しい知識を吐き出す
「夜の炭水化物がさ」
「結局は血圧なんだよね」と
あたかも自分の身体を客観的に
観察する専門家のような顔をして
語り続けるけど
その専門家が
指示を出している先の手指は
正確に袋の底に残った砕けた破片を
かき集めている

言葉と行動が
完全に解離したまま
時間は過ぎていく

「代謝」という便利な言葉は
過去の選択を
すべて不問にする魔法ではない

単に体内で化学反応が起きるという
物理法則の名前に過ぎない
それを理解しているはずの頭脳と
ただ塩分を欲する舌のあいだで
妥協点だけが手際よく形成されていく

袋が完全に空になったとき
手元に残るのは
油で光る指先と
誰も引き取らない
空腹の言い訳だけだ

指を舐め
満足そうに吐き出されたため息には
先ほどまでの高尚な議論の欠片も
残っていない

代謝が始まらないまま
ただ重みだけが腹の底へ沈んでいく