知り合いの9割以上は...並以下だ!
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使いかけのキャベツ

深夜に台所の照明も点けず
冷蔵庫の最下段の引き出しを
ゆっくり手前に引っ張り出す

ラップを何重にも
巻きつけた使いかけのキャベツと
透明な袋の中で
水分を失って縮んだ
キュウリを取り出す

密閉された引き出しの奥から
冷えた湿気が
足の甲と首筋に固まりとなって吹きつける

庫内灯の白い光が顔面だけに当たり
影になった背後のリビングには
他人の気配も発声の振動も存在しない

冷やされたプラスチックの箱の中に
指先を突っ込むと
底に溜まった水滴が
爪の隙間に入り込み
皮膚の体温を一瞬で奪い去る

葉の隙間に閉じ込められた水分は
外気へ逃げず
狭い空間の中で循環しながら
表面をふやかし
硬い野菜の繊維を腐食に向かわせる

袋の口を結び直すために
指に力を入れると
冷えたビニールが
皮膚にくっつき
指関節の曲げ伸ばしに
引っかかりが生じる

引き出しを力任せに押し込むと
ゴムパッキンが
重い音を立てて空気を遮断し
庫内の湿度合いが
外側の室内から完全に切り離される

素足の裏から

フローリングの冷気が伝わり
噛み合わせた奥歯の隙間に

微細な隙間ができる

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