ざらついた励ましの行方
「頑張れ」という声は
どこで聞いても
同じ形をしていて
こちらの状況とは関係なく
落ちてくる
逃げ場のない場所で
何度も浴びると
その音だけが
身体の奥に残って
返事をする前に
反応が勝手に動き出す
台所の隅に置かれた布巾の黒ずみを見ていると
落ちないものほど目に焼きつくのだと気がつく
ただの言葉なのに
時間差で胸の奥に触れてきて
その触れ方が妙に静かで
こちらの思考より半歩遅れて沈んでいく
聞き流したつもりでも、
あとから残るのは音ではなく
その音が通り過ぎたあとの
空気の重さで
そこに立っているボクだけが
少しだけ位置をずらされた気がする
誰かの期待でも励ましでもなく
ただ響いたままの言葉が
ボクの表面に薄く貼りついて離れない
ほんと、もうこれ以上
表面に触れてほしくないざらついた音だ