絶望の手前で月だけが残った
幸せになろう
そんな低解像度な言葉でしか汚せない
使い古されたビニール傘みたいに
バキバキと音を立てて
ボクの心は今夜も静かに崩壊している
でも
その破れ目から覗く月だけは
誰にも渡したくないボクの聖域
キミも今、同じ月を見て
同じように絶望してるんだろ?
死にたいとか生きたくないとか
そんなのを超越した透明な焦りの先に
何が見えるかはキミ次第だけど
心の形が変わる前に
少しだけ息を止めてみよう
「大丈夫だよ」なんて嘘
言わなきゃ面倒だからいうだけの言葉…
キミはまだ終わってなんかいないよ——
そう囁いた瞬間
胸の奥で何かが一度だけ明るく跳ねた。
けれど次の呼吸で
その光は氷みたいに静かに割れる
残ったのは、温度のない影だけ
それでもキミは歩くふりをして
割れた欠片の音を誰にも聞かせないまま
鏡の中に帰っていく