文化祭準備期間
今週から、5月13・14日に行われる、文化祭の第一次準備期間に入りました。
文化祭直前に比べるとたいしたことのない忙しさなのですが、それでも帰りが遅くなることが多く、あまり本なども読めない日が続いています。
自分は、昨年度同様、マジックサークルの催し物の責任者を受け持っているのですが、その催し物の名前が、
「魔法飛行」
・・・・・・どういう経緯でこれになったのか、というのは長い話なので省略するとして、
今から思えば、別の案を採用していれば良かった・・・・・・。
加納さんのファンの方々に申し訳ないです。
その上、垂れ幕のデザインは、赤を基調とした、どこか禍々しささえ感じさせるようなもの。
パンフ紹介文は、伊坂さんの某作品の帯文句のもじり。
そして、提唱者はどれも自分。
垂れ幕の色を塗りながら反省。
せめて、「魔法飛行」の名に恥じないような催し物にしなければ・・・・・・。
ところで来週、青い鳥文庫の「パスワードシリーズ」で有名な、松原秀行さんが我が校にいらっしゃいます。
少人数のゼミのようなものを行うとか。
これも折角の機会なので、自分も参加する予定です。
・・・・・・とはいえ、松原さんの著作はほとんど読んだことはないのですが。
「作家」という立場について、の話をしてくださるようで、なかなか楽しみです。
扇智史 「永遠のフローズンチョコレート」
- 扇 智史, ワダ アルコ
- 永遠のフローズンチョコレート
あたしたちが何を望んでも、世界は世界の都合でしか動かない。
あたしたちのささやかな永遠も、血も涙もない時間に踏みにじられる。
不死の少女と出会った、殺人者の少女とその恋人。
奇妙な三角関係が織りなす変わらない日常のリアル―。
◆ ◆ ◆
友人から手渡され、どんな本なんだろう? と思いつつ目次を見てみると、
「殺戮に似たる病」
「異邦の岸」
「あいにくの雪で」等々。
これは一体何の本? 一つだけ分からなかったネタがあるものの、それ以外は全部有名なミステリのタイトルをもじったもの。急に気になり、読んでみると、月姫などミステリ以外のネタもちらほら。
何なんだろうなー、と感じながらいつの間にか最後まで読んでいましたが、内容自体は別にミステリではなかったです。
暗めの、純文学のようなライトノベル。「砂糖菓子の弾丸」にも似ているかも。
奇抜な設定なのに、特に大きな出来事は起こらず、あくまで淡々とした日常が続いていく。
まさかこのまま何も起こらないで終わるのか? と思ったら、最後で急に予想もできないダークな方向に・・・・・・・。
これが苦手でした。
割と読者を選ぶと思います。その分、好きであればかなり印象が強いものになりそうですが。
「砂糖菓子の弾丸」のような小説を「良かった」と思える人なら、これも良い・・・・・・・と思えるかもしれません。
これを読んだ時の精神状態が、こういう小説を読むのに向いていなかっただけで、もし別の時に読んでいたらもっと響くものがあったような気がします。
6点。
神永学 「心霊探偵八雲5 つながる想い」
- 神永 学
- 心霊探偵 八雲〈5〉つながる想い
15年前にある屋敷で起きた一家惨殺事件。その現場で撮影されたビデオを見た八雲は、突然消息を絶つ。
時効直前に逃亡中の容疑者が姿を現すが、追跡中に後藤までもが失踪。
迷走する謎解きの果てに浮上したのは、八雲の母にまつわる過去。
残された晴香と石井がとった、大胆な行動とは。
◆ ◆ ◆
・・・・・・まあ、いつも通りですね。
よく言えば安定しているのですが、このレベルで止まっていてもなあ、という気も。
でも、何だかんだで最後まで一気に読ませるのはさすが。
一見厚く見えますが、短くかるい文章なので2時間程度で読めます。
今回は今までの話に一段落をつけた、という感じですね。
別にこれが最終回でも良いと思いますが、続編はまだまだ出るのでしょう・・・・・・。
一段落、といっても特に「これが意外」というものはないのですが、真相自体はそれなりに興味深いかも。
・・・・・・まさかこれをやるために、これ以前の作品であんな無茶なトリックを使ったのか? とか。
ミステリをある程度読んでいると、どうしても素直に納得はしづらいのですけど・・・・・・。
本書は、別にミステリファン向けに書いているわけでもないでしょうし。作者もあえてやっているのでしょう。
これもまたいつも通りですけど。
で、やはり京極夏彦? と言いたくなります。
ちなみに、本シリーズはこの四月からドラマ化されているようです。
・・・・・・そんな人気があるシリーズだったのか。
確かに一般受けはしそうですが・・・・・・。
話として楽しめるのだから良いのかな?
いつもと同じ6点。
でもきっと、続編が出たら読むんだろうな・・・・・・。
新年度
新年度の授業が始まって一週間。
ようやく高校生活になれてきた・・・・・・というか、ほぼ今までと変わらない日々なのですが。
それでも、休みぼけやらなんやらで、身体的にも精神的にも疲れが・・・・・・。
校庭を軽く走っただけで筋肉痛なんて、運動不足もここまでくると危機感を覚えますね。
そんな今週なのですが、色々見たり読んだりしたのは良いものの、感想を書く暇があまり無かったので、まとめてここに書いておきます。
まずは、ゲーデルの不完全性定理 。
・・・・・・難解でした。これを読むのにほとんどの時間を費やしたような気が。
それでも読み終わった後に残る物があるのは確かで、本格的に不完全性定理を知りたいという人はこれを読むのが良いと思います。ある程度、前知識のような物はあった方が良いです。
「ゲーデルの哲学」と違って、一般の人には少し勧めづらいのですが、興味深い一冊でした。
・・・・・・そして、これを読んでいながら、何故かふとクトゥルー神話に対する興味を覚え、書店に走ってラヴクラフト全集を四冊購入。完全に衝動買い。
海外物が苦手なので、なかなか読み進めづらいです。でも、少しずつ読んでいこうかな、と。
読みにくさはあるのですが、文章は好きですし。
後、本から離れますが、アニメ「ひぐらしのなく頃に」、「涼宮ハルヒの憂鬱」、ドラマ「てるてるあした」を鑑賞。
「Fate」も録りっぱなしで見ていない状態が続いているのに、これ以上新しいものに手を出してなにやってるんだろう・・・・・・と思ってしまうのですが。
「ひぐらし」は原作自体好きではないので、第一話を見てもそれほど良いと思えず。次週からは見ないと思います。
「てるてるあした」は原作は大好きなのにドラマは・・・・・・・。イメージに合わない・・・・・・。
「白夜行」の例があるので、後数回は見ようと思いますが、正直あまり期待できないです。
見事に原作と違った話になるようですし・・・・・・。
どちらかと言えばミステリよりファンタジー路線?
それは別に構わないのですが、予想も出来ないような、とんでもない方向に話が転がっていきそうで不安です。
せめて、原作をあまりにも大きく外れるようなことはしないで欲しい。
その点、「ハルヒ」は凄かったです。二話まで見ましたが、驚くほどの巧さ。
時間もののSFとしてハルヒは純粋に良いと思っているので、早くそういった話が出てくることを楽しみにしています。
OPも伏線が大量だったり、とある数式が映っていたりと面白い。
別にストーリーに偏微分が関わってくるわけではないのですが。
ライトノベルなどに抵抗のない人には本当にお薦め。
原作読んでなくてもなんとかなるはず。谷川流ですから。
・・・・・・と言うわけで、そんな感じの一週間でした。
学んだこと・・・・・・。
シュレディンガー方程式がどうこうとか黒板に書きながら、クトゥルーの邪神の話をし、ハルヒを絶賛していたら、周囲から妙に思われるらしいです。
・・・・・・当たり前か。
宮部みゆき 「火車」
- 宮部 みゆき
- 火車
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?
いったい彼女は何者なのか?
謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。
山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
◆ ◆ ◆
友人に「白夜行」を貸したら、
「マークスの山」と「火車」を足したみたいだ、と言われて「火車」を手渡され、今更ながらこの有名作品を読んでみることに。
通学時間の暇つぶしに、と軽い気持ちで読み始めたのですが、三分の一ほど読み進めたところで嵌ってしまい、まとめて時間を取り一気に読了。
宮部みゆきの最高傑作、と呼ばれるのも頷ける出来というか・・・・・・実際、自分が今まで読んだ宮部作品の中で一番面白かったです。
とはいえ、周囲で評判の良い「龍は眠る」も「理由」も読んでいないのですが。
それでも、本書が傑作なのは自身を持って断言できます。
まだクレジットカードなんて持てませんが、こんな本を読んでしまうととても持とうという気が起きないです・・・・・・。
ある種の恐怖を感じてしまいます。
そんな本書ですが、友人が言っていた通り、「白夜行」に近い感覚を覚えました。
本書のある意味での「主人公」が、直接に表面に出てくることがほとんど無く、周囲の人の語りで描かれていることなど、構成も似ています。
それだけでなく「主人公」の位置づけも何となく近いですし・・・・・・。
とても想像しがたい、主人公が辿ってきた「凄惨な」道。
・・・・・・でも、それは特別なことではなく、誰でも進んでしまう可能性があるという・・・・・・これが一番の恐怖かもしれません。
宮部みゆき作品なだけあってリーダビリティは高く、600ページあるとはいえ一気に読めてしまいます。
確かに、「何で直木賞を取れなかったのだろう?」と思ってしまうのも当然、というほどの作品でした。8点。
米澤穂信 「夏期限定トロピカルパフェ事件」
- 米澤 穂信
- 夏期限定トロピカルパフェ事件
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。
賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!
そんな高校2年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは〈小佐内スイーツセレクション・夏〉!?
待望のシリーズ第2弾。
◆ ◆ ◆
まさに待望だった、「春期限定いちごタルト事件」の続編。
発売日当日に購入し、その日の内に読了。
ですが、昨日は読み終わったときの衝撃が大きすぎて感想がまとめられませんでした。
・・・・・・本当に衝撃ですよ、これは。
一体、どれだけの人がこのラストを予測できるでしょうか?
魅力的なキャラクター、小佐内さんと小鳩くんの、ほのぼのとした日々。
語られる小さな<日常の謎>。
そして、各所に感じる違和感。
本書は、解説でも触れられているように連作短編と言うよりはむしろ長編に近い作品です。
前半部は、ちょっとした謎が出てきて、それを解く・・・・・・といった、前作同様の作りなのですが、後半に入ってから話は急展開。
これは「いちごタルト」の最後の話にも言えたのですが、本書はあれを数倍上回る意外性です。
最終章の謎解きでは身震いさえ感じました。
あれやこれやといった違和感が、全部一つに収束していく驚き。現れる事件の構図、その裏にある心理・・・・・・物悲しいというか、痛いというか。米澤穂信の「ほろ苦さ」が巧く出ています。しかし、いつも以上にこれは痛い。
特に最後の数ページは切なすぎる。何度も読み返してしまいました。
前作であのようなオチの付け方だっただけに、今回はどのような手で来るのだろう・・・・・・と思っていたのですが、まさかここまでやるとは、さすが米澤穂信。
これは、絶対に続編を出してほしい。
いや、もちろん出すのでしょうが。全く次作の想像がつきません。
それでも、この人なら期待の上を必ずいってくれるはず。
間違いなく、米澤穂信作品の中でも最上の部類。
ミステリとしての完成度も高いです。9点。
今のところ、今年発行されたミステリの中では一番好きかもしれない。
ちなみに解説を読むと人によっては真相に気づいてしまう可能性があるため、読むのは本編読了後にするのが良いかと思います。
山田風太郎 「太陽黒点」
- 山田 風太郎
- 太陽黒点―山田風太郎傑作大全〈24〉
◆ ◆ ◆
注意:上のリンク先はまだクリックしないで下さい
いきなり何だ・・・・・・と思われたかもしれませんが。
あらすじ紹介部分が重大なネタバレを含んでいます。
それだけでなく、本書のカバー裏や帯にもネタバレが書かれています(あらゆるレビューでそのことに触れられているので、もうとっくに知っている方も多いと思いますが)。
そのため、もし本書を購入した場合は、絶対にカバーを付けて読むべきです。
僕は他のレビューサイトの警告を読んでいたので、運良くネタバレを知らないまま読むことができたのですが・・・・・・。もし読んでしまったら大変。
もっとも現在では光文社の「戦艦陸奥 戦争編 」にも収録されており、こちらの方が入手しやすい上ネタバレもない(未確認ですが、恐らく。気を付けるに越したことはないです)ので、僕はこちらをお薦めします。
さて、内容ですが。
・・・・・・非常に書くのが難しいです。
何を書いてもネタバレになる・・・・・・。こんな感想が書きづらい本は久々。
一昔前の、学生たちの恋愛を描いた暗い青春小説、というのは正しいかどうか。
でも、あえて言うなら恋愛小説、青春小説に分類されるようなストーリーでしょう。
・・・・・・少なくとも途中までは。
どういう話なのか、というのは途中で大体分かったにも関わらず、ラストでは愕然としました・・・・・・。
この展開は誰もが驚くはず。これ以上は書けないです。
未読の人、特にミステリが好きな人は読むべきです。
出来れば、ネットで検索などもせず、すぐに書店に向かうのがベスト。
これはネタバレに合う確率が高そうなので。後悔する羽目にならないように・・・・・・。
何も考えずに読んで見てください。これは読まないと絶対に損。
8点。
こんな本を書いた、山田風太郎はやっぱり天才。
定金伸治、 乙一、松原真琴 「とるこ日記―”ダメ人間”作家トリオの脱力旅行記」
- 定金 伸治, 乙一, 松原 真琴
- とるこ日記―“ダメ人間”作家トリオの脱力旅行記
"ひきこもり"作家3人の脱力ダメダメ旅行記!
自称"ひきこもり"の若手作家3人が、何を思ったかトルコへ行ってきました。
無気力脱力行きあたりばったりの生活信条そのままに綴られる「まったく役に立たない」トルコ珍道中記。
◆ ◆ ◆
「ローズダスト」の後ではどんな重い本でも印象薄くなるだろうな・・・・・・と思い、一体何を読もうか悩んでいたのですが、そんなときにたまたま友人から借りたのがこの本。
まさに、こういうときにこそうってつけ(?)です。
なんと言っても乙一ですし。この人は、小説以外の文章も巧いですから・・・・・・。「あとがき」はいつも最高です。
松原真琴も数冊読んで、なかなか良かった記憶があります。
定金伸治だけは未読だったのですが、この二人のメンバーに並ぶということは、やはりそういう人なんだろうな、と安心できますし。
・・・・・・というわけで、ぼーっと読み始めて気が付いたら読了。
予想通りの面白さでした。
ある意味ぐだぐだな日記ですが、読んでいて飽きることはなかったです。
思わず、小さく笑ってしまうような文章ばかり。
乙一のあとがきが好きな人は楽しめるでしょう。
トルコについてよりも、ほとんど関係ない雑談のようなものがほとんどなので、少なくともトルコのガイドブックなどには使えません。というのは、本書の最初の方に書かれているとおり。
くだらない、と言われたらそれまでなのですが。
・・・・・・まあ、そういう人は、そもそもこの本を読もうとしないと思います。
全体的に、ライトノベルやコミック以上に気楽に読めるので、重い本を読んで疲れた時などには非常に良いと思います。
本文とツッコミの対応をいちいち追って見ていくのは少し疲れますが、多少無視しても普通に読めたりするので、特に問題はないような。
・・・・・・確かにもう少し、読みやすく編集して欲しかったとは思いますが、元がネット連載なので仕方がないですね。
また、巻末に乙一のショートショート「毒殺天使」が袋とじで付いているのですが、これも乙一だなーという感じで楽しめます。やはり巧いな、この人・・・・・・。
三人の作家の内、誰か一人でも好きなら、それなりに楽しめるかと。
逆にそれ以外の人はどう思うか・・・・・・。わからないです。
リンクを辿って偶然見つけた、ちょっと面白いサイト・・・・・・とでもいうか、そんな感じの本です。・・・・・・わかりにくいですね。
何度も書いていますが、気分転換には良いです。7点。
福井晴敏 「Op.ローズダスト(下)」
- 福井 晴敏
- Op.ローズダスト(下)
ローズダスト―それは、二人の少年が夢見た束の間の希望。
その希望が打ち砕かれた時、ローズダストは恐怖の称号となり、少年たちには殺しあう宿命が残された。
一人は「国家に繋がれた犬」として。
一人は「半島から来た狂犬」として。
この国が負う罪の審判のために、選ばれた戦場―臨海副都心。
国民保護法制、緊急対処事態の発動。秤にかけられる「国家」と「国民」。
平和に伴う60年の過去も、憎悪にからみつく悲哀も、すべて押し流して。
泥の海に沈みゆく人工の島で、破壊と再生の壮絶な祭儀が幕を開ける。
◆ ◆ ◆
長かった・・・・・・。
暇があればずっと読んでいました。さすがに疲れましたが、これは・・・・・・「イージス」並の大傑作。
褒める言葉以外見つからない・・・・・・というと言い過ぎかもしれませんが、それくらい面白い本。
何も言わずにお薦めと言いたいです。
重い本ですが、読み出したら止められない。
絡み合う人間関係、遠そうで実際には身近なテーマ、そのようなものが一体となって、驚くほど壮大な「物語」が紡がれていく。
あまりにスケールが大きく、「映画化不可能」と言われるのも頷けます。これは、映像にしないで欲しい・・・・・・。まず出来ないはずですが。
アクションはもちろん、あらゆる場面の描写が丁寧で、どんな「映像」も越える迫力があります。
小説の力、というものを実感しました。
「映像化できないものだからこそ本に価値がある」という言葉を実践するような・・・・・・。
叙述トリックなどとは違った意味で、こういう本があると「小説」という形式に希望が持ててきます。
ストーリーや登場人物は、まさに「いつも通り」のパターンで、それを良いと思うか、悪いと思うかで評価が分かれるかもしれません。
もちろん、自分は肯定派ですが、次回作はちょっと違ったパターンのものを読みたいなあ、とも思ったり。
それでも、イージス、ローレライという前作がありながら「期待に応えてくれる」というのは、福井晴敏にしか出来ないことです。
このまま今年のベストになりそう。10点。
「このミス」の上位ランクインも間違いないでしょう。
これから読む人は、臨海副都心の地図を用意して一通り頭に入れておくと良いと思います。
図などが一切なく、少し把握しづらい部分もあるので・・・・・・。
福井晴敏 「Op.ローズダスト(上)」
- 福井 晴敏
- Op.ローズダスト(上)
冷戦の終結とともに、経済大国の肩書きを失い自らを定義する言葉を見失った日本。
極東の緊張が高まる2006年秋、彼らは帰ってきた。
「北」の脅威を身にまとい、自らを生み出した者たちに復讐の刃をつきつけるために。
ネット財閥・アクトグループを標的とする企業テロは、公安警察と防衛庁の思惑を巻き込み、その真の目的を明らかにしてゆく。
政府、企業、マスコミ―「この国の状況」を作り出したすべての者たちが発狂し、誰も予測しえなかった悪夢が始まる・・・。
◆ ◆ ◆
福井晴敏の、「イージス」「ローレライ」に続く大長編。
これは凄いです!
まだ上巻しか読んでいませんが、この時点で「イージス」を越える傑作になりうる可能性が十分に。
圧倒的なボリューム、そして面白さ。
前半はいつも通りというか、少々読み進めづらい部分もあり、苦労しながらの読書だったのですが、中盤からはノンストップの展開。Phase 3などは、クライマックスと言って良いほどの盛り上がりよう。
アクションシーンは情景が映像として目に浮かんでくるほどの迫力ですし、優れた伏線の回収や心地よい重み、決して目を離させない展開と、何から何まで最高、ですね。
どうしてこんなに巧いんだろう? と言いたくなってしまうほど。
もう、上巻だけで十分なほど楽しませて頂きました。
でもここからが本番・・・・・・。そのことが驚きです。まだ半分もあるなんて。
この調子なら、下巻も間違いなく楽しめるはずです。
今年のベストはこれで確定かもしれません。