The Key of Midnight -24ページ目

「こころ」と文学

夏目漱石「こころ」に関して。

確かに自分はこの作品を全く理解できていないのかもしれませんが、それでも大変、印象深い作品ではあったのです。

Pの食卓 のPさんに丁寧なコメントを頂いて、しばらく考えこんでしまいました。

自らの幼さ故に、「わからない」ことはいくつもあります。

それでも、わからないなりに今の自分の考えを纏めてみました。


正直に書いてしまえば、僕は「こころ」を、大きな枠で「心理の謎」に関する小説、と捕らえていました。
若干話が逸れますが、ミステリというものは、一つには「論理性」を求める、言い方は悪いですが純粋ゲームのようなものと、謎と解決を通して、読み手の人生観や感情等に影響を与えるタイプの小説があると思っています。
端的に言ってしまえば、「謎解き」が主体か「物語」が主体か、ということですが、当然両者に明確な違いがあるわけではありません。

パズルでしかないミステリ、というのも少なければ、謎の全く無い物語も珍しいです。

さらに、一見「ミステリでしかないミステリ」だったものが、謎が解かれることで、強く心に訴えかけてくる物語になることがあったり、またその逆も然り。

どんな作品でも、色々な見方から読むことができたほうが良いのは決まっているから・・・・・・。小説を読むときには、論理的に考察してみたり、ただそこにある物語だけを受け止めてみたり、いくつかの読み方を試みるようにしているのです。


ここで「こころ」の話に戻ります。

自分は最初、夏目漱石の「こころ」を、純粋な物語(というと語弊があるかもしれませんが)として受け止めようとしていました。ですが、最終的には、先に書いたように「心理の謎」に関する、極めてミステリ的な小説だ、という風に思うようになりました。

というのも、自分が未熟なせいか、物語の表面上にあるメッセージがどうしても掴みきれず、本質は大量の謎の向こうにあるように感じられたからでした。

だから、いつものように、論理だとか解釈だとか、そういった方法でもって、「こころ」を理解しようとしたのです。


文学性、というものが、いまいち何だかわかりません。

人生経験が足りない、まだ理解できないものなのだ、と言われてしまえばそれでおしまいなのですが。

文学とミステリの区別も、はっきり言ってしまえば、ついていないのです。口では「これはミステリ」「これはミステリではない」と言っていますが、突き詰めて考えれば、両者の差が一体なんなのか、自分にはわからないのです。

両者が同一、といっているわけではありません。

ただ、はっきりと両者を分ける”ライン”とは、果たしてあるのだろうか? と。そう感じるだけです。


自分には、「こころ」は合っていなかったのかもしれません。

でも・・・・・・例えそうであったとしても、「今どう感じたか」ということを言葉で残しておくのは、そう悪いことではないように思えます。

本質は理解できていなかったとしても、本書を読んで良かった。

考えることはいくつもありました。


「こころ」の作品自体については、いずれ近いうちに書くことがあると思います。

そのときは、”今感じていること、考えていること”だけを素直に書くつもりです。

そちらのほうが、きっと後ほどに意味を持ってくると思うので・・・・・・。


文学についても、これから勉強します。昔読んだ作品もいくつか読み返してみるつもりです。


最後に・・・・・・。

いくつものことに関して、考えるきっかけを作ってくださったPさん。どうもありがとうございました。

いつか、Pさんの仰るようなことが判るようになれるよう・・・・・・。気にとめて小説を読んでいきたいと思います。


「こころ」は一体

今年、現代文と漢文を担当して下さっている先生の影響で、夏目漱石の「こころ」を読んでみました。話には聞いていましたが、本当にミステリのような小説です。

こういった近代文学は、中一くらいまでは良く読んでいたのですが、最近は遠ざかっていたため、新鮮な感覚が味わえました。味わえた、のですが。

・・・・・・わからない・・・・・・。

つまらないとか面白いとかでなく、わからないのです。しかも、何がわからないのか、という部分さえわかっているのかどうか不明、というような状態。

謎というか、引っかかりを覚えた個所はいくつもあります。

そこに重要な何かがあるのだろう、というのもわかるのですが。

肝心の答えがさっぱり。

・・・・・・小説を読む力が足りないのか?

読む前はいつもどおり読書感想を書くつもりだったのですが、何の理解も出来ないまま評価するわけにもいかないので、感想はいったん保留にします。

何とか自力で読み解いてみたい、とは思うのですが・・・・・・。

再読しても、多分わからないままのような気がします。


何か良い解釈をお持ちの方、読み解く手がかりだけでも、教えて下されば幸いです。

ポール・デイヴィス 「タイムマシンをつくろう!」

P.C.W. デイヴィス, 林 一
タイムマシンをつくろう!

物理学者が最も現実的なタイムマシンのつくり方を考えた! 

現在利用可能な技術と、その延長線上に開発が望める技術で、タイムマシンをつくる4ステップを検討。

最新物理学理論を駆使したタイムマシン製作マニュアル。

 

 ◆ ◆ ◆

 

あくまで真面目に、タイムマシンの作成方法について書かれた本。

文字が大きく、200ページにも満たない量なので、軽く読めます。

重要な部分だけを凝縮してあって分かりやすい。

タイムマシンが実際に作れるかどうかはともかく、時間に関することを考えるときに、手始めにさっと読むには良い本です。

ただし、何の知識もないまま読むと間違いなく混乱するので、あくまで「入門として、醍醐味だけでも」という感じですが。

この本の内容を理解しようとするなら、相対性理論関係の雑学書などを読んだあとのほうが良いかと思います。

いつもの如く、自分もワームホールの部分で混乱しました・・・・・・。

SFが好きな人は、こういうのも楽についていけるのではないか、と思うのですが、どうなのでしょう。


タイムマシンを作ることによって生じるパラドックスに関しても、この本は解決法を述べており、そこが特に面白いと感じました。

「親殺しのパラドックス」の回避法は有名ですが、この本の解説は分かりやすいので、初めて読む人でも容易に理解できるでしょう。

また、超ひも理論や、ループ量子重力理論など、最近の理論についてもいくつかかかれていますが、これらは本当にさわりだけです。

全体的に、そんなに深くまで立ち入った話はしていないので、やはり雑学本として捕らえるべきでしょうか。

もっと多くの関連書を読んだ後に再読すれば、また新しい発見を得るのかもしれませんが・・・・・・。


時間ものSFが好きな人は、一度は読んでみる価値はあると思います。

7点

山元大輔 「図解雑学 記憶力」

山元 大輔
図解雑学 記憶力

本書は、私たちの実体験・脳とニューロン・遺伝子とタンパク質の3つのレベルから、記憶のしくみをわかりやすく解説。

さらに記憶力をのばすための知恵も紹介する。

 

 ◆ ◆ ◆

 

某作品の考察のため、参考資料として借りてきた本。

「記憶をデータとして残すことは可能か」

「記憶移植はできることなのか」

・・・・・・ということを、真面目に考えようとして読んでみたのですが、

まあ普通に考えればできませんね。脳の量子情報を完全にスキャンして、そのデータをもとに、量子単位から完全に再構築可能・・・・・・とか、そんなことは果たしてできるのだろうか? と色々思うものの、所詮は浅い知識では太刀打ちできないというか・・・・・・。要はさっぱりです。


まあ、解答は得られなかったものの(当然)、雑学本としては面白いことが書いてあって結構楽しめました。

この「図解雑学」シリーズは大変分かりやすくて良いです。勿論、他の本に比べれば、ということであって、内容も手を抜いてはいませんが。

実際、中盤あたりから、今まで容易に理解できた話がだんだん難解になっていきます。

生物や科学の好きな人は楽に分かるのでしょうか。

自分は、正直に言えば、半分も理解できたかどうか怪しいのですが・・・・・・。


最後の章には「記憶力を伸ばす方法」がかかれていますが、これは至って当然のことがかかれているだけなので、そういう方面のことが知りたい方は別の本を探したほうが良いです。

記憶力を伸ばすのに、手軽に出来る裏技のようなものなんてないのだ、ということが言いたいのかもしれませんが。


興味がある人は読んでみても良いかな、という一冊。

ある程度の知識があるか、強い関心があるかでないと、中盤は若干読みづらいかもしれません。

6点

古橋秀之 「ある日、爆弾がおちてきて」

古橋 秀之, 緋賀 ゆかり
ある日、爆弾がおちてきて

「人間じゃなくて“爆弾”?」「はい、そうです。最新型ですよ~」。

ある日、空から落ちてきた50ギガトンの“爆弾”は、なぜかむかし好きだった女の子に似ていて、しかも胸にはタイマーがコチコチと音を立てていて―

「都心に投下された新型爆弾とのデート」を描く表題作をはじめ、「くしゃみをするたびに記憶が退行する奇病」「毎夜たずねてくる死んだガールフレンド」「図書館に住む小さな神様」「肉体のないクラスメイト」などなど、奇才・古橋秀之が贈る、温かくておかしくてちょっとフシギな七つのボーイ・ミーツ・ガール。

 

 ◆ ◆ ◆

 

傑作。

こういう作品を待ち望んでいたのです。

7話の短編が収録されていますが、どれをとっても外れがない。

読後感が良いものがほとんどです。

そして、これが重要なのですが、

この短編集に収録された作品には、ある一つのテーマがあります。

それは、全てが「時間もの」(一応伏せます)のバリエーションである、ということ。この時点で、自分にとってこの小説が「傑作」となるのは、ほぼ確定したようなものでした。

その設定自体はどれもありがちなのですが、この趣向のおかげで、全体がまとまった印象になっています。

特に、一話目の「ある日、爆弾がおちてきて」で始まるこの物語が、最終話「むかし、爆弾が落ちてきて」で閉じられる瞬間――。

今まで互いに独立だった短編が、一つの大きな物語として「収束」したような、そんな思いが湧いてきて、

鳥肌が立つほど感動しました。

これ以外はありえない、というほどに本書に相応しいエンディング。

読了後、これほど爽やかな気分になったのは久しぶりです。


また、先に書いたとおり、一つ一つの短編を単独で読んでいっても「これは良い!」と思わせられるものばかりです。

「ある日、爆弾がおちてきて」は、奇妙な設定と切ないエンディングに。

「おおきくなあれ」は、展開のユニークさとラストの衝撃に。

「トトカミじゃ」は、心が温まるようなストーリーとオチに。

「三時間目のまどか」は、期待通りの美しい結末に。

どれも、本当に感嘆しました。

・・・・・・って、結局は全部「オチが良い」ということなのですが。

勿論それだけではなく、途中の展開も面白いです。

冒頭数ページから惹き付けられます。

この書き方は見事。


ライトノベルなのでイラストも挿入されていますが、別に読む上で引っ掛かりを覚えるようなものではありません。雰囲気にあったイラストだと思います。

ただ、このイラストで手にとるのをためらってしまう人がいるかもしれない、というのは残念に感じます。

「ライトノベルだから」と敬遠しないで、多くの人に読んでほしい作品なのですが・・・・・・。

特に、SFものが好きだけれど、まだそんなに多く読んでいない・・・・・・という人にはぴったりだと思います。逆に、普段からSFを読みなれている方にとっては、物足りないと感じてしまうかもしれませんが。

割とショートショートなどが好きな人にも向いているかも。


ミステリではありませんが、ちょっと良い話を読みたい、という方にはお勧めの一冊です。

9点

間違いなく、読む価値はあるでしょう。

(ちなみに、あとがきは作品を全部読み終えてから読んだほうが良いです)

ダン・ブラウン 「天使と悪魔(上・中・下)」

ダン・ブラウン, 越前 敏弥
天使と悪魔 (上)

ハ-ヴァ-ド大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所長から電話を受け、ある紋章についての説明を求められる。

紋章は秘密結社<イルミナティ>一七世紀にガリレオが創設した科学者たちの結社のもので、この世にはもう存在しないはずの伝説の紋章だった。それが男の全裸死体の胸に焼印として押されていたのだという。

殺された男は、最近極秘のうちに世界初の大量反物質の生成に成功した科学者。反物質は核の数十倍のエネルギ-を持つが、既に殺人者に盗まれ、密かにヴァチカンに持ち込まれたという。

スピ-ド感あふれ、ひねりと衝撃が連続の、タイムリミット・サスペンス!

 

 ◆ ◆ ◆

 

「ダ・ヴィンチ・コード」がなかなか良かったので、一作目のこちらも文庫化に合わせて読んでみましたが・・・・・・。

面白いです。面白すぎます!

これは年間ベストクラス。読まなきゃ損です。

はっきりいって、これに比べれば、「ダ・ヴィンチ・コード」は大したことがないです。何故、あちらのほうが本書より流行っているのだろう? と疑問に感じずにはいられません。


読み始めてから数十ページ目でもう止まらなくなり、ラストの衝撃まで常に持続する緊張感。

全くだれない、どころか、全編「面白くない個所が無い」のです。そう言ってよいほど、読んでいる間中ずっと楽しむことができる作品です。

そのうえ、三冊あわせて文庫で1000ページ弱という長さにも関わらず、登場人物は必要最低限に抑えられているので混乱することもありません。

今までに読んだ海外の小説で、これは一番読みやすいかもしれないです。個人的には、ハリー・ポッター以上にさくさく読めると思いました。


展開の面白さと文章の読みやすさで、決して長さを感じさせない。

通常、これだけの長さがあれば、どんなに面白くても「長いな」と思ってしまうものですが、これに関しては全くそのようなことがありませんでした。

まさに、誰にでもお勧めできる作品です。


文中に挿入されるアンビグラムの美しさ、数々の驚くべき薀蓄。

映像的なシーンの数々に、派手なアクションシーン。

驚くべき真相の数々。余りにも大きなスケール。

どれをとっても素晴らしい。


最初にも書きましたが、もう一度改めて書きましょう。

読まなきゃ損です!

純粋なエンターテイメントで、これだけ面白い作品はそうあるものではないです。

10点に近い9点

果たして、このレベルの作品を、ダン・ブラウンは今後書くことができるのでしょうか・・・・・・?

シリーズ三作目にも期待したいです。

再開

頭痛のことがあったので、ここ二日ほど、PCや読書を(自分なりに)制限していました。

検査の時には「一ヶ月ほど続くかもしれない」と診断されたのですが、どうやら頭痛は一時的なものだったようで、今のところ全く不調はありません。

ということで、読書再開。

・・・・・・とはいえ、また同じようなことになってもまずいので、当分は一日一冊以上は読まない! と決めました。

もっとも、そろそろ二冊以上読もうと思っても読めなくなりそうですが。

今日は、予定から二日遅れましたが「天使と悪魔」を読み終わったので、後ほど感想を書きます。

CTスキャン

朝起きたら目の奥に強い痛みを感じ、「これはまずい」と学校を遅刻することにして眼科へ。

すると何やら本格的な検査。裸眼で視力計ったのなんて、ほぼ10年ぶりです。眼鏡外すと1m先もほとんど見えないのですが・・・・・・。

しかも数十分に及ぶ検査の挙句、原因がなんともいえないので脳神経外科に回ってくれと言われ、

結局、CTスキャンを撮ってきました。

初めて撮ったのですが、あれはなかなか興味深いというか面白いというか。

なんとなく近未来的です。


で、検査の結果。

頭痛の一種らしく、どうやら活字の読みすぎと睡眠不足が原因のようで。

まさか読書のせいでCTスキャンを撮ることになるとは、ただの一度も想像した事なかったです。

でも、面白い本があればついつい徹夜してしまうことくらい誰にだってあるはず・・・・・・。

うーん、毎日そんな感じだからいけないのか。

今後は気をつけよう・・・・・・。

せめて徹夜は止めよう、と心に誓った一日でした。


ちなみに今は、懲りずに「天使と悪魔」を読んでいます。

「ダ・ヴィンチ・コード」よりよっぽどこちらのほうが面白いですね。

これもまた、「読み始めたら止まらない」作品です。

明日には全部読み終わると思うので、詳しい感想もその時に。

光原百合サイン会情報

パン屋のないベイカーストリートにて より。

7月16日、日曜日午後二時から、TRICK+TRAP で「銀の犬」刊行を記念した光原百合さんのサイン会が行われるそうです。

これは行きたいですね。丁度テスト後、夏休み前で、割と余裕もある頃ですし・・・・・・。

明日か明後日にでも申し込もうかと思っていますが・・・・・・いつもの事ながら、光原さんの著作を全部読んでいなかったり。

こんなことで良いのかな・・・・・・。


ちなみに、日程的に参加しづらかったので、今回は有栖川さんのサイン会はパスです。

田代裕彦 「セカイのスキマ」

田代 裕彦
セカイのスキマ

図書館。そこは、新しい物語との出会いが待つ場所……。将来を嘱望された野球部のエースでありながら、事故で左目を負傷してしまった小澤哲。

野球部入部をあきらめ、入学したばかりの私立麻我部英森学園をさまよい歩く内に、哲は古びた図書館に辿りつく。そして哲はそこで“みこ”と名乗る不思議な少女と出会う。

「四つ辻の会に入りませんか?」

この出会いが、哲の退屈な学園生活を一変させる出会いとなった!? 

学園ライブラリィ・ミステリー登場!

 

 ◆ ◆ ◆

 

表紙やタイトルから、「キリサキ」「シナオシ」のシリーズだろうか? と一瞬思ったのですが、どうやら全く違う新シリーズのようですね。

それでも、これまで読んだ田代作品は、どれもミステリとして良い出来だったので、これもきっとそうに違いない! と即座に購入、読んでみたのですが・・・・・・。

これはミステリ要素が薄すぎる!

言い方は悪いかもしれませんが、良くも悪くも普通のライトノベルと感じました。

確かに、「シナオシ」などに比べればキャラクターの個性も出ていますし、展開などもわりと一般受けするのかもしれませんが・・・・・・。

自分が期待していた方向とは違っていて、残念です。

ジャンルは学園ミステリに属すると思いますが、あとがきで作者が書いているように妖怪が出てきます。

学園妖怪ミステリ、というのも何だか変ですが、あえていうならばそんな感じかもしれません。おそらく今後も、妖怪関連の話がメインになっていくのでしょうし。

そういうこともあって、「純粋なミステリ」を読みたい、という人には合わないかな、と思います。


もっとも、読んでいる間はそこそこ楽しめるので、「読んで損した」というほどではないのですが。

そもそも本書自体が、このシリーズのプロローグ的位置付けにあるものと思われるので、一冊読んだだけで評価してはいけないかな、と。とりあえず次巻も出たら購入すると思います。


やはり、「シナオシ」のようなものを期待したのが悪かったのでしょう。こういうものだ、と知った上で読んでいたらもっと楽しめた気がします。6点