綾辻行人・佐々木倫子 「月館の殺人(上・下)」(漫画)
- 佐々木 倫子, 綾辻 行人
- 月館の殺人 上 IKKI COMICS
上巻の発売から約一年。期待の下巻が出ました。
上巻と同様、下巻も発売日に購入し、すぐに読了。
・・・・・・一年待った甲斐がありましたね。面白かったー!
一体どういう感想を書いていいのか迷う作品なのですが、まずはミステリ部分から。
上巻のラストの”あれ”は予想通り。上巻の最初で、「綾辻作品だからこういうことやりそう」と思ったのがそのまま。
また、犯人も同じく。上巻読了したときに予想した展開になり、犯人も当たっていました。こちらはヒントが多いので判りやすいですね。
・・・・・しかし、その後のことはさすがに見抜けませんでした。
「こういうパターンもあるだろう」とは思っていたのですが、まさか本当にこれとは・・・・・・。
こちらは割と驚いたかも。小説にできないことはないですが、やはり漫画ならの意外な伏線です。
・・・・・・とまあミステリのことは置いておいて。
自分が面白いと感じたのは、むしろそれ以外のストーリー。
キャラクターも立っていますし、ギャグも笑える。
特に、
鉄道王(キングオブテツ)の死――
はシリアスなシーンなのに妙に笑えるというか。描かれているのは死体なのに。笑うべきなのかどうかわからないのですが、どうしても笑ってしまいます。このタイミングで、このルビというセンスが好きです。
各自がテツじゃないとかテツだとか言い合う場面も終始笑いが止まりませんでした。
これはミステリというよりギャグ漫画?
「月館」の登場人物たちが全員魅力的なので、いっそのことこのキャラクターで別の作品も描いて欲しいです。出たら必ず読むのに。
特に、竜ヶ森はいいなあ。確かこのキャラクターって、暗黒館の鬼丸老に影響されている・・・・・・とか、そんな話をどこかで聞いた気がしますが、あちらより断然面白いです(漫画なので当然といえば当然ですが)。
佐々木倫子の漫画は初めて読んだのですが、こういうノリなら他の作品も読んでみたいかも。
ミステリというより、普通の漫画として十分に楽しめる作品です。
とはいえ、綾辻らしさも出ているので、勿論ミステリ好きにはお勧め。
上下合わせると結構高いですが、それに見合うだけの価値はあると思います。
英語週間終了
水曜日から、より塾に通いやすくなるから等の理由により、自宅から車で20分ほどの場所にある祖母の家に泊まっていました。
「向こうにもPCはある」と聞いていたので、なら向こうに着いてからそのことを書けばいいか・・・・・・と思っていたのですが、実際にそのPCを見て仰天。
メモリ64MB、HD12GB。しかも電話回線。実際使ってみると、立ち上げてから10分でフリーズ。強制終了し、再度立ち上げるまでに要する時間、およそ1時間。何とか起動したと思ったら、また10分でブラックアウト・・・・・・。
メールをチェックするくらいしか出来ませんでした。しかし、メモリ64MBって・・・・・・。いつのPCなんだ?
もっとも、ネット遮断で英語勉強には集中できたのですが。
・・・・・・まあ、決して英語のみではなかったんですけれどね。
とはいえ、本一冊もっていかなかった上にネットが使えない・・・・・・という状況だったので、息抜きといえば新聞読んだりTV見たりするだけでした。
おかげで、朝日新聞に載っていた桜庭一樹の記事や、月館下巻の紹介記事なども読めましたが、何より面白かったのはTV欄にあった「トトロ」の紹介記事・・・・・・。
「妖精トトロ」なんて言葉が普通に書いてあるとおかしく感じるのは自分だけでしょうか?
「妖怪トトロ」や「お化けトトロ」よりはそちらのほうが近いけれど、何故か違和感が。
どう呼べばしっくりくるのでしょうか。
・・・・・・結局、その紹介記事に惹かれて、これで何度目になるか判らない「トトロ」を観賞しましたが、何だかんだで面白かったです。やっぱり、昔のジブリは良かったな・・・・・・。
そんな感じで、自分で決めた英語週間は終了。・・・・・・週間ではなかったですね。一応、前の金曜からはじめているので、合計で一週間にはなるのですが。
(一応)塾から解放された昨日は、思い切り遊んできました。
午前は関内の伊勢崎モールに新しくオープンしたBOOK OFFへ。
午後は友人たちとボウリング。
BOOK OFFは予想以上の混雑でした。さすがオープン初日。両手にBOOK OFFの袋を抱えている人がちらほらと。宣伝も気合が入っています。
初日に行ったため・・・・・・かどうかはわかりませんが、収入もそれなり。
矢吹駆シリーズの初期三作や、ジェフリー・ディーヴァーの「エンプティー・チェア」、絶版で一年以上探しても見つからなかった広瀬正「マイナス・ゼロ」などが全部105円で購入できました。
4階建て(+地下1階)の大型店舗で、自分が見た中では町田の次に大きいです。すぐ近くに、これまた6階建ての有隣堂もあり、このBOOK OFFはかなりお勧め。
二時間ほど本を買って回った後、出かける前はほぼ空っぽだったバッグがほぼ完全に膨らんだ状態になりました・・・・・・。それでも、払った代金はせいぜい2000円程。ハードカバーばかり購入した結果です。
本を買った後は戸塚でボウリング。
5人でレーンを分けず5ゲームやったのですが、
午後2時すぎから始めて、解散したのが午後7時。
予想以上に時間がかかるものだなー、と。
後半、指は痛い足も筋肉痛で、ほぼ全員がダウン状態にも関わらず、その場のノリで投球しつづけていました・・・・・・。
そんなこんなで一週間も終わり、先ほど祖母の家から帰ってきました。
明日からは普段の夏休み生活に戻ります。
・・・・・・要は家で読書して過ごすということですが。
せっかくだから今にしか出来ないことを、と思いつつも、ほとんど実行できずにいます。
休みの始めで気が緩んでいるのか・・・・・・。しっかりしないと。
英語週間
今週は英語週間!
・・・・・・と決めました。無理やりにでもそういう機会を作らないと、そろそろまずそうだったので。
しかし、実際はじめてみると、塾+自主学習で一週間丸ごと潰れそうな予感。
英語に加えて、料理もしなければならないので、思ったより余裕がなかったです。
たまにはこういうのも良いとは思いますが、果たして持つかどうか。
何より、塾の雰囲気が重苦しくて、精神的に結構辛いです・・・・・・。
ところで、英語ですが、この文法書が非常に良いです。
- 大西 泰斗, ポール・マクベイ
- ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話
- 大西 泰斗, ポール・マクベイ
- ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (会話編)
実際には、今はこの人の別の本を使っているのですが、自分は最初この本を読んでようやく英語に関心がもてました。
英語上級者の人から見たら、この本にかかれていることは果たして正しいのだろうか・・・・・・? と感じることもあるのですが、とりあえずこの本を読めばなんとなく英語がわかった気にはなれます。
英語をすでに習得している人向けにかかれていると思われるのですが、中学三年間で習った程度の英語を、詳しく、”感覚”からわかるように説明してあるため、高校生くらいからでも十分に読めます。むしろ、英語が苦手な中高生には非常にお勧めしたい文法書です。
何より、他の文法書と違って読みやすく面白いので、読んでいる間楽しめる・・・・・・というのが大きなポイント。是非、英語が気になる方は手にとってみてください。
北川歩実 「真実の絆」
- 北川 歩実
- 真実の絆
遺産百億円―。跡取りのいないはずの老資産家が、かつてもうけた血のつながった子供の存在の可能性を明かし、捜しはじめた。
金をめぐってにわかに蠢く男女。繰り返されるDNA鑑定。偽装される愛情と親子関係。ついに起こる殺人。そして最後の最後に明かされる驚愕の真実!
百億円の遺産をめぐる究極の親子鑑定ミステリー。
◆ ◆ ◆
あらすじに書いてありますが、まさに本書は「親子鑑定ミステリー」と言うべき作品です。
資産家の遺産を狙って、さまざまな人間が計画を立て、成功したり失敗したり交差したり・・・・・・・。その「計画」の一つ一つが斬新で、毎回唸らされます。
「誕生日のない母」では、特に驚きました。現代医学は凄いな、と。
前半の四編は個々に独立した短編として成り立っていますが、ここで人間関係を抑えておかないと間違いなく後で話についていけなくなります。毎回新しい人物が登場するので覚えるのが結構面倒なのですが・・・・・・。
後半に入ると、前半の各話が繋がって長編となっていくのですが、ここでの複雑さは並ではありません。
錯綜する人間関係、絡み合う物語。
このこんがらがりようは折原一に匹敵するのではないでしょうか。
一つ一つの短編ごとにどんでん返しが必ず仕掛けてあり、最後には大ネタが用意されていますが、先を読むどころか展開についていくのが精一杯。しかもラストのどんでん返しが・・・・・・。誰がそんなこと想像できるんだ! と言いたくなるほど、意外性に溢れています。確かに凄いのですが、驚くというより呆然・・・・・・。
正直に言って、疲れました。
登場人物をもっと抑えてくれれば何とかなったのかもしれませんが。
ただ、つまらなかったのか、といわれれば、非常に楽しく読めた一冊です。
これだけのどんでん返しはなかなか味わえるものではありません。いや、実際には味わっている余裕はあまりなかったのですが。
人工授精など、医学関連のことも非常に興味深かったです。
かなり計算して作られた物語だと思われるので、人物相関図などを作ってみたら面白いと思います。
ちなみに、自分は面倒になって挫折しました。
これから読まれる方は、前半四話を読み終わったら、そこまでのストーリーと人間関係を抑えておくと良いです。
メモなどに書き出しても良いかもしれません。
また、後半も、一話読むごとに頭の中で関係を整理していくと良いでしょう。自分で推理する余裕が出てくれば、きっと楽しめると思います。
ミステリの先が読めてしまう、という人には、特に良いかもしれません。
8点。
読書予定メモ
今日から夏休みに入りました。
心配だった成績はなんとかなりましたが、それにしてもこの夏は忙しくなりそう。
とりあえず、夏休み読む本を忘れないようにメモ。
秋山瑞人 「イリヤの空、UFOの夏 1~4」
「猫の地球儀」
伊坂幸太郎 「週末のフール」
井上夢人 「オルファクトグラム」
岡嶋二人 「99%の誘拐」
北川歩実 「金のゆりかご」
「運命の鎖」
桜坂洋 「ALL YOU NEED IS KILL」
朱川湊人 「赤々煉恋 」
高木彬光 「能面殺人事件」
光原百合 「銀の犬」
宮部みゆき 「堪忍箱」
向山貴彦 「童話物語」
森絵都 「DIVE!!」
・・・・・・最低、これだけは読んでおきたいです。
後は適当に積読を崩しつつ・・・・・・。
でも果たして、これだけ読みきれるかどうか。
まあ、まずは宿題を片付けることからですね。
北川歩実 「嗅覚異常」
- 北川 歩実
- 嗅覚異常
神経内科の女医植田理歩は、大学院生富坂から研究協力を依頼された。富坂の恋人夏海を対象にした研究のテーマは、嗅覚障害。匂いのメカニズムの解析が目的だ。
ところが、理歩が研究室を訪ねた夜、実験用のウサギが殺される事件が発生、何者かの尾行に気づいた。やがて夏海も失踪し…。
匂いに過敏になりすぎた現代人の陥穽を衝く、気鋭の新感覚ミステリー。
◆ ◆ ◆
サイエンス・ミステリーの書き手、北川歩実の中篇。
テーマは、タイトル通り「嗅覚」。
表面上だけのテーマだと思ったらそうではなく、真相自体も「嗅覚異常」が大きく関連しています。
中篇なので、そこまで複雑な話ではないのですが、真相は気づかなかったです。
明かされる動機も、読み返してみれば堂々と伏線が貼ってあって驚きました。
シンプルなネタを最大限に活用しているなー、と。
ただ、そのために余りにも無駄を省きすぎており、いささか「詰め込みすぎ」にも感じられるのが残念。
良く出来ているだけに、あと100枚ほど加筆すればもっとまとまりが良くなったのでは、と感じます。
すぐ読める中篇もありがたいのですが。
時間が余ったときにでも、さくっとミステリを読みたい方にはお勧めです。7点。
ちなみに、本書は祥伝社400円文庫の一冊ですが、今では手に入りづらいかもしれません。
古本屋に行けば、多分見つかると思います。
光原百合サイン会
昨日は光原百合のサイン会およびオフ会に参加してきました。
一人では気後れするので、学校の友人でも誘おうかな、と思っていたところにさかきさんが誘ってくださいました。
これで、TRICK+TRAP を訪れるのは三度目です。
サイン会が始まる10分前に、駅でさかきさん、なるみやさん、みつるさん、みっくんさんと待ち合わせ。
そのままTRICK+TRAPへ向かった・・・・・・のですが、何故か待っている人が一人もいない。
直前にならないと入れない、とみんなわかってきたんでしょうね、と皆さんで話をしていましたが、それはつまり、サイン会に来るのは常連ばかり、ということですよね?
やはりそうなのか・・・・・・。
始まる直前に行っただけあって、待ち時間は少なくすぐ自分の番に。
光原さんは、「十八の夏」を読んで感じた作者像そのままの方でした。
北村さんではないですが、学校の先生らしさが。
・・・・・・そういえば、確か大学で教えていらしたような。納得です。
「銀の犬」と「最後の願い」の二冊にサインをしていただいたのですが、
名前の下に「恵存」の文字が。これは初めてです。
これだけで、本当に丁寧な方なのだな、と伝わってきます。少し感動しました。
「十八の夏」について、いくつかお話をしていただいたのですが、
「イノセント・デイズ」のような話も、アイデアが出たらさらっと書いてしまうんだなー、というのが驚きというかなんと言うか。やはりあの話は賛否両論あるのですね。
北村さんの時もそうでしたが、
「悪意」についての観方というものが、日常派の作家さんはみんな似ているのかもなー、と感じました。
またお会いする機会があるかどうかわかりませんが、もう一度お会いしたい、と思わせられる方でした。
友人に頼まれていた貫井徳郎のサイン本を買って店を後にし、五人で喫茶店へ。
紅茶を飲みながら談笑。どれだけの時間話していたのかわかりませんが、楽しく過ごせました。
ひぐらしや清涼院の話が出てくるなど、意外なこともいくつか。
まさか、読んでいる方が身近にいらしたとは。
その他にも色々・・・・・・。伊坂さんや小路さんの話題など。結局、気がついたら5時。
店を出よう、ということになったのですが、自分の分の紅茶代を皆さんが奢ってくださいました。ありがとうございます。
実際、あまり余裕なかったので本当に助かりました。
その後は駅で解散、自分だけ吉祥寺に残ってBOOK OFFに。
すると、幸運なことに単行本500円セール。
さらに、もっと幸運なことにその場で梶尾真治「クロノス・ジョウンターの伝説」のサイン本を発見。前から読みたい、と思っていたのですが、まさかサイン本に出会えるとは・・・・・・。しかも保存状態良好。勿論買いです。
それだけにとどまらず、(喫茶店でも少しだけ話題に上ったのですが)一年以上探しているのに見つからなかった依井貴裕の「歳時記」「記念樹」(ともに絶版)が、二冊揃って本棚に! これも当然買い。
・・・・・・昨日は、本当に運が良かったです。
後は何事もなく、8:30に帰宅。
良い一日でした。
さかきさん、みっくんさん、なるみやさん、みつるさん。昨日は楽しかったです。
どうもありがとうございました。
また、次の機会が来るのを楽しみにしております。
直木賞受賞作決定
第135回直木賞の選考会が本日ありました。
記事はこちら 。
受賞作は以下の二作。
三浦しをん 「まほろ駅前多田便利軒」
森絵都 「風に舞い上がるビニールシート」
・・・・・・どちらも未読なのですが、森絵都さんが受賞ですか。
丁度、「DIVE!」を購入したばかりなので、いっそう楽しみになりました。
来週中には読めるかな?
「風に舞い上がるビニールシート」も、一目見たときからタイトルが気になっているので、いつか読んでみたい作品。
まあ、結局予想は完全に外れたのですが、
これで伊坂さんが受賞しない・・・・・・というのは、なんとも。
驚きました。さすに受賞するだろう、と思っていたのですが。
残念です。
しかし、東野さんと同じパターンなら、次こそは受賞するはず!
ぜひとも、そうなってほしいものです。
北川歩実 「透明な一日」
- 北川 歩実
- 透明な一日
結婚の承諾を得るため千鶴の実家へ赴いた幸春は、千鶴の父・久信が前向性健忘という記憶障害に陥っていることを知らされる。
数日後、幸春の知人が公園で何者かに襲われ命を落とす。当初は強盗事件と思われたものの、悲劇はこれだけでは終わらなかった…。
十四年前の放火事件との関係は、そして幸春と千鶴の結婚の行方は?
多重どんでん返しの末に明らかになる驚愕と感動の真相。
◆ ◆ ◆
前向性健忘性を扱ったミステリはいくつか例が浮かびますが、症状にかかっているのが語り手ではなく、別の登場人物である――このパターンは初めて見ました。
解説にも書いてあるのですが、感覚としては「博士の愛した数式」のような書き方でしょうか。読もう読もう、といいつつ、未だに積読のままなので何ともいえないのですが。
ともあれ、これはこれで別の味わいがあって面白いです。
通常、「語り手が前向性健忘性」のパターンであれば、まず叙述トリックなどを疑うと思うのですが、この作品におけるミステリ的な仕掛けは予想外の場所に。
勿論、真相には前向性健忘性が非常に深く関わってきます。
仕掛けそのものはシンプルでありながら、恐ろしく複雑で意外な真相には驚かされます。
もっとも、あまりに複雑なため、衝撃は薄れてしまうのですが・・・・・・。
しかし、この作品の一番の読みどころは、真相よりも「最後の手紙」。
これがあるかないかで評価ががらりと変わってきます。
ラスト数ページに渡って綴られる手紙の切なさは印象的。
その上、ラストの一行・・・・・・。素っ気無いこの一行が、心地良い読後感を与えてくれます。
これはお勧め。
ミステリ的な点からすれば、伏線が弱すぎる(あったっけ? と思ってしまうほど)のですが、小説としては面白いです。
8点。
伊坂幸太郎 「重力ピエロ」
- 伊坂 幸太郎
- 重力ピエロ
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。
◆ ◆ ◆
文庫落ちを機に読んでみました。
話題になった作品なので、どんなものだろう? と気になっていたのですが、やはりいつもの伊坂さんでしたね。
特にインパクトはないのですが、何故か印象に残るような話です。
全体的な面白さ、でしょうか。語り口が巧いのは相変わらず。
いつも以上に多くのエピソードが盛り込まれていますが、どれをとっても、会話のテンポがよく楽しいです。
最終的な落ち着きどころが家族の話である、というのも良いですね。
ただ、読んでいて一つ気になったのがラスト。
このラストは、本当にこれで良かったのでしょうか。自分も読んでいる途中、「これしかないだろう」と思いつつも、実際にその通りの展開になってしまうと戸惑いを覚えます。
だからといって、他の解決法を思いつくのか、と問われても・・・・・・答えにくいですが。
これで後味が非常に爽やかなのが、また奇妙です。
ラストシーンも静かな感動を覚えました。
このラストのセンスは、伊坂幸太郎ならでは。
伊坂作品を未読の人にもお勧めできる一冊です。
これが伊坂作品のベスト、というわけではないのですが、ある意味最も伊坂幸太郎らしさが出ている作品かもしれません。
8点。