復活?
東野圭吾 「赤い指」
- 東野 圭吾
- 赤い指
犯罪を越えたその先に、本当の闇がある。二日間の悪夢と、孤独な愛情の物語。
直木賞受賞後第一作。構想6年の後に書きあげられた書き下ろし長編小説、ついに登場!
身内の起こした殺人事件に直面した家族の、醜く、愚かな嘘に練馬署の名刑事、加賀恭一郎が立ち向かう。ひとつの事件を中心に描き出されるさまざまな親子像。東野圭吾にしか書き得ない、「家族」の物語。
『放課後』でのデビューから数えてちょうど60冊目にあたる記念碑的作品。
◆ ◆ ◆
自分にとっては初の加賀恭一郎もの。
・・・・・・これが最初で本当に良いのか? と迷いましたが、手元においてあったのでつい読んでしまい、結局そのまま読了。
ストーリー自体は、「容疑者X」の別バージョン、といえばわかりやすいですね。
倒叙もの、誰かをかばうための犯罪工作、対する名刑事・・・・・・と、構図が非常に似通っています。
勿論作品としては全くの別物に仕上がっており、本書も「容疑者X」に負けないほど、物語として良いです。
ミステリとしてのネタはそこまで驚くようなものではないのですが、それが巧くテーマに結びついており印象的なものになっています。「赤い指」というタイトルの意味も、真相を知るとなるほどと思えるものでした。
ネタは「容疑者X」同様判りやすいものなので、気づく人も多いと思いますが、それ自体は本質ではないので問題もないでしょう。そもそも、本書はミステリではなく、あくまでミステリ的な手法を使って描かれた「家族小説」である、と個人的には感じました。
それにしても、ラストシーンは素晴らしいです。最後の最後まで、「家族」の物語。素直に感動しました。
途中でも加賀恭一郎は噂に違わず格好良いなあ、と感じていたのですが、ラストの格好良さは・・・・・・言葉では言い表せないですね。最後の台詞には思わず泣きそうになりました。
お勧めの一冊です。8点。
加賀シリーズ、他の作品も絶対に読もう――と思わせられる作品でした。
西澤保彦 「殺意の集う夜」
- 西澤 保彦
- 殺意の集う夜
嵐の夜、その別荘で何が起こったか!!
真実は、最終ページで明かされる。奇才が仕掛けた連続死の謎!
嵐の山荘に見知らぬ怪しげな人たちと閉じこめられた万理と園子。深夜、男におそわれた万理は、不可抗力も働き彼ら全員を殺してしまう。
その後、園子の部屋へ逃げこむと、園子も死体となっていた。園子を殺したのは誰なのか。
驚愕のラストまで怒濤の展開。
奇才が仕掛けたジェットコースター・ミステリー!!
◆ ◆ ◆
いかにも西澤保彦なミステリ。
文章からトリックから・・・・・・。他の作家ではなかなかこういった作品は書けないのではないでしょうか。
あらすじにも書いてあるので明かしても良いと思いますが、本書は「犯人が探偵役」の話です。
加えて、いくつかの趣向が盛り込まれています。
作者自身があとがきで書いているように、「登場人物××が××で×××」だとか。
自分はあとがきから先に読むほうなのですが、本編を読む前にこの言葉を見て「こんなこと自分で書いてしまっても良いのだろうか」と思いました。××の中身は普通に考えればこうなるけれど、まさかそんな真相ではないよなあ、と。
・・・・・・しかしそこは西澤保彦。
この人、何が何でも読者を騙そうとしています。その心意気が凄い。
途中で「ある程度真相はわかったかな」と思ったのですが、「最後の一撃」にやられました。
こちらは全く予想していなかったです。欠片すら。
これはどう考えてもアンフェアじゃないのか、と思って読み返してみると、実は伏線は十分にあったり・・・・・・。
作者が「一ページ目の一行目から最後のページに至るまでの記述がすべて伏線」であることを目指した、というだけのことはあり、確かに伏線の塊のような本でした。
読み返したらきっと驚けるでしょう。・・・・・・あまり読み返す気はしないのですが。
やっていること自体は非常に面白いです。
こういったパターンの作品は初めて読みました。
・・・・・・にしても、西澤保彦のミスリードは本当に凄まじい。伏線の貼り方も驚異的。
読めばその意味はわかるはず。
トリックがすっきりしなかったのは残念ですが、この作品ならそれも仕方がないですね。
6点。
文庫版は、あとがきのすぐ左に「最後の一撃」が書かれているため、事前に読む場合は気をつけたほうが良いです。
延期
さすがにキャンプは延期。
金曜・土曜に変更になりました。
これでようやく休める、と喜んでいたら、
結局一日中外出することに・・・・・・。
休みたい・・・・・・。
明日こそは必ず一日中部屋で過ごそう!
・・・・・・と、どうしようもない決意をした一日でした。
限界
土曜日の花火大会・・・・・・と打とうとしたら、いきなり徹夜大会になっていました。
確かに花火よりも徹夜のほうがメインだったような。いや、そんなことはともかく。
・・・・・・わけのわからない書き出しでした。
要は花火に行って、そのまま友人の家で徹夜して、完全にダウンしてしまった、と要約すればただそれだけです。
人間には限界があるんだなーと心底から思い知らされました。
花火は綺麗でした。それ以外の感想が思いつかない。
そういえば・・・・・・。花火が始まる前に、一体どういう心境だったのか、皆で「地球はあと何年で滅亡するか」「人類は何時滅びるか」など、周囲にしてみればある意味迷惑な話をしていました。
それから友人の家に直行。
緑茶を飲み、パンを齧りながら集まった四人で一晩過ごす。
最初は、持っていった法月の「都市伝説パズル」や綾辻の「月館の殺人」などで軽い推理ゲームっぽいものを楽しんでいました(ちなみにどちらも正解率8割くらいでした)。
その後、ポーカー、スピード、大富豪に移行。
罰ゲームは「聞かれた質問に必ず答える」という、どの高校生も経験ありそうだなあというもの。
でも、質問の内容が「あなたの必殺技名を教えて下さい」とか。どう答えろと。多分男子校ならではでしょうね。終始そんな感じ。ぐだぐだでした。
結局ゲームは長続きせず、そこから小説やシナリオなどのプロットを皆で考えよう、という流れに。
とは言うものの、アイデアの飛躍が過ぎて、
「読者のレビューを見越した上でそこにトリックを仕掛ける」とか、「次元を転移する叙述トリック」とか、「読者の深読みを前提として、その上に二段構えの真相を設ける」とか、
・・・・・・もはや文章としてなりたたないでしょうそれは。
・・・・・・思えば、そのあたりから少しずつおかしくなってきていた気がします。
プロットを組み立てていたのが午前三時ごろ。
午前四時台。
何故か方言でラジオ録音(というよりただのトーク)。
そのノリで大阪弁で会話するゲーム(最早ゲームではない)。
午前五時台。
日の出を観に行こう、と海に行く。曇り。波が激しい。当然日の出など見られず。
午後六時台。
こんな会話が。
今後のミステリは叙述トリックと萌えばかりに走ってしまうかもなー絶望的だよねー。
絶望的なのはむしろそのときの精神状態。
結局、午前九時に帰宅。
十時に布団に入り、午後四時まで寝ていました。
そんな不規則生活の影響で、昨日今日と相変わらずダウン状態・・・・・・。
しかも、どうやら明日から二日間キャンプに行くらしいです。台風直撃だそうです。
何かもう、放棄したいです。
・・・・・・本当にどうなるんだろう。
森絵都 「DIVE!!(上・下)」
- 森 絵都
- DIVE!!〈上〉
- 森 絵都
- DIVE!!〈下〉
高さ10メートルの飛込み台から時速60キロでダイブして、わずか1.4秒の空中演技の正確さと美しさを競う飛込み競技。
その一瞬に魅了された少年たちの通う弱小ダイビングクラブ存続の条件は、なんとオリンピック出場だった!
女コーチのやり方に戸惑い反発しながらも、今、平凡な少年のすべてをかけた、青春の熱い戦いが始まる―。
大人たちのおしつけを越えて、自分らしくあるために、飛べ。
◆ ◆ ◆
こんな小説が読みたかった!
読み始める前は、スポーツ&青春ものということで、竹内真「自転車少年記」のような話を想像していました。
確かに、長さが気にならない面白さ、そして読後にこみ上げてくる感動・・・・・・そういったものは共通。
しかし、この二つは似ているようでいて別物だな、と。あちらが長期にわたる成長を書いているのに対して、こちらは「一瞬」のイメージがあります。
それは、やはり飛び込みという競技の性質によるものかもしれません。
1.4秒のダイブ。
今まで全く興味もなかったスポーツであるにもかかわらず、文章を読むだけで目の前に映像として現れるその美しさ。
飛び込みのシーンでは、思わず息を止めてしまうこともしばしば。
それほどまでにリアリティーに溢れている。この本で描かれる飛込みには、思わず惹きつけられるような魅力が確かに存在します。
その魅力は何処から来るのか? といえば、やはり個性豊かなキャラクターたち。
この小説は四部に分かれており、最初の三部では、それぞれ主人公が異なります。
この主人公たちが魅力的なのは勿論のこと、数多く登場するサブキャラクターまでも、その一人一人がまた良いです。
ただ、役割としてそこに存在するのではなく、一人一人の人生が垣間見えるような、そんな深みを持ったキャラクターたち。
これだけでも、この小説の素晴らしさが伝わってきます。
そして、最後の第四部は、それまでの過程が全て合わさって、「全員の物語」とでも言えるようなものになっているのですが・・・・・・。
これはもう・・・・・・大げさなようですが、一つの芸術です。緊張と感動の連続。本物のスポーツを見てても、こんな気分は味わったことがありません。
「一体どうなるのか!?」と気になって仕方がなかったラストも、見事に読後感の良い、考えうる限りのハッピーエンドになっていますし・・・・・・。
文句なしにお勧め。
水泳など水に触れるスポーツが嫌いで、わざわざプールのない学校に入った自分でも楽しめたほどなので、飛び込みに興味がなくても全く問題はないです。
すぐに、ダイナミックな飛び込みがイメージとして浮かんできますし。
夏に読むにはうってつけの青春小説。9点。
球技?
昨日は、ボウリングとビリヤードの連続で倒れていました・・・・・・。
行く前は、「そのくらいなら余裕だろう」などと甘く見ていました。
普段と違うボウリング上で調子が合わず、ボールを重いものに変えて投げたらようやくスコアが伸びてきたのですが、その代償として普段以上の疲労が。
さらに、立て続けでビリヤード。ビリヤードは筋力を余り使わないゲームと言われていますが、肩肘固定して、キューを振る動作を延々練習しているうちに、右肩も筋肉痛に。
ストレッチして寝ればなんとかなるだろう、位の気持ちで就寝し、
一日明けたら、より酷いことになっていました。
・・・・・・しかも今日は茅ヶ崎の花火大会、
その後友人の家で徹夜して、明日はビリヤードの予定。
限りなく厳しい・・・・・・。
夜中に突然鳴り出した目覚まし時計(それも二回も)のおかげで、睡眠時間も6時間きってますし・・・・・・。
・・・・・・とか書いている間に、また目覚まし時計が鳴っていました。これは絶対壊れている。次に鳴ったら電池を抜こう。
さて、そういうわけで、一日留守にします。友人宅にもPCがあるそうなの で、もしかしたら今晩もう一度更新できるかもしれません。
にしても、眠い・・・・・・。
有川浩、角田光代 他 「Sweet Blue Age」
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有川 浩, 角田 光代, 坂木 司, 桜庭 一樹, 日向 蓬, 森見 登美彦, 三羽 省吾
「すべての偉大なる作品は、青春文学なのだ」
野性時代のこの断言に感応し、七人の作家が全身でとらえた、
甘く、憂鬱な、「あのころ」の物語。
『あの八月の、』夜の大学に忍び込む
『クジラの彼』究極の遠距離恋愛って?
『涙の匂い』あわいあわい初恋の日々
『ニート・ニート・ニート』出口のみえない日々のはてに――
『ホテルジューシー』もてあます自由とほどけない心
『辻斬りのように』5月のある朝、彼女の中で蠢きだしたものは?
『夜は短し歩けよ乙女』底無しの酒量とちいさな勇気を抱いて……
◆ ◆ ◆
青春小説アンソロジー。メンバーが豪華。
有川浩と桜庭一樹が目当てで借りてきたのですが、
自分が想像していた青春小説とは少し違うかな、と。
恩田陸のような小説を期待していたのですが、そういったものではなく、
むしろ「大人の青春小説」と言ったほうが良さそう。登場人物の年齢も、大学生以降がほとんどですし。
青春小説といえば米澤穂信や恩田陸、と思っている自分には、ピンとこない話が多かったです。
読んでから結構時間が経っているのですが、内容をほとんど忘れてしまっているものも・・・・・・。
割と面白く、印象にも残っている話は、有川浩の「クジラの彼」。
これは「海の底」の登場人物が出てくる短編なので、興味深かったです。
他は、角田光代「あの八月の、」、坂木司「ホテルジューシー」が良かった、ような。
やはり記憶が曖昧・・・・・・。
本は読んですぐ感想書かないといけないなー、と実感しました。
年齢に合わなかったな、ということで・・・・・・。6点。
青春小説は、長編で読みたいですね。
ブックマーク
ブログ立ち上げてから初めてブックマークを更新。 良く行く書評サイト、及び中澤工氏の公式サイトを追加。
最近、お気に入りよりブックマークを使ったほうが楽かもしれない、というほどお気に入りが増えて困っています。
一度、整理しないと・・・・・・。
書評の予定。
読み終わっているのが、有川浩他「Sweet Blue Age」、森絵都「DIVE!」、天藤真「遠きに目ありて」、などなど。
今週の後半から来週にかけて、家から離れることが多いので早めに感想書いてしまいたいな、と思いつつ、なかなか実行できず。原因は崩れてきた本の山。また、日光が常に本棚に当たっており、気がついたらいくつかの本に日焼けの跡が・・・・・・。
これはまずい、と思い、ただ今部屋の中を若干改装中。おかげで、部屋中に埃が舞い上がり、風邪を引いたかと思うほど咳が止まらない状態です。もしかしたら本当に引いたのかも。
気が向いたら、小説以外の感想も書きます。
意外な犯人
ここ最近、というか数年の間、ネットに限らずさまざまな場所で書評を読んで、感じていることがあります。
ミステリの書評で「意外な犯人」と書いてしまうのはどうなのか。
大体、「意外な犯人」といえば、多少ミステリを読んでいればいくつかのパターンは思い浮かびます。
代表的なものは、(伏字にします)
探偵が犯人、記述者が犯人、主要人物が犯人(前二つのパターンはこれに入るかも)、被害者が犯人、疑われている人物が犯人
あたりですね。あとは、細かな叙述トリックを利用して巧く騙したりしているものも割と見かけます。
しかし、「全ての登場人物を一度は疑った」その上で本当に「意外な犯人」であるミステリは、果たしてどれだけあるのか。
「意外な犯人」と書いただけで、ネタがほとんど割れてしまうようなミステリはいくつもあります。
倉知淳や綾辻行人の某作などは、自分だけではなく、事前に「意外な犯人」と聞いた全ての友人が、事件がおきる以前にトリックを予想し、結局そのまま当たってしまいました。
例を挙げれば、それだけではなく、数十冊に上ると思います。
意外な犯人と聞いただけで、大体読めてしまうようなミステリがそのくらいあるのです。
にもかかわらず、「意外な犯人」ものである、と明かしている書評がいくつもある。・・・・・・これはどうなのかな、と。
叙述トリックものをあらかじめ叙述トリックである、と書くのと同程度にはネタバレしているようなものだと思うのですが。
「意外な犯人」もので、事前知識があると容易にネタが割れてしまいそうな作品に関しては、むしろ「意外な犯人」であることを表に出さない書評のほうが、未読の人にとっては良い気がします。ただ「意外」で「驚ける」ことを強調するなら、「意外な真相」などの言葉で代用すれば良いわけですし。そのくらいなら、範囲も広く、そうネタバレにならないと思います。
たとえ事前に意外な犯人ものである、と聞いていても、まず見抜けないようなミステリなら問題はないと思いますが、その認識もかなり曖昧ですよね。
自分の場合は、「意外な犯人」であると事前に知らされていて、その上で心から驚けたミステリ・・・・・・というのは二作品だけ。
一応書いておくと、北山猛邦「『アリス・ミラー城』殺人殺件」と西澤保彦「実況中死」です。他にもあったかもしれませんが、強く印象に残っているのはこの二作です。
これらは、ある意味アンフェアすれすれのトリックを利用して、相当疑り深い読者さえも騙すことに成功している作品だと思います。この二つに関してのみ、あえて「意外な犯人」であることを踏まえて、多少疑って読んだほうが驚けるだろうな、とも思いました。特殊な例ですね。
もっとも、他にも意外で驚いた犯人というのもありますが、「いくらなんでもそれはアンフェア(あるいは無理がある)だろう」と思ってしまったのがほとんどだったので・・・・・・。
・・・・・・とまあ、そんなことを踏まえて皆さんにお聞きしたいのですが、
あらかじめ「意外な犯人」だと知らされており、身構えて読んでも、ほとんどの人が読み終えて「意外な犯人だった」と言えるようなミステリはありますか?
是非とも、教えて頂きたいです。お願いします。