The Key of Midnight -19ページ目

多忙故

テストが一週間後に迫ってきました。
勉強しないと、と思いつつも、書評と京極夏彦が未だ終わりません。
他にも出かけの用事や、オープンスクールのためのマジック練習、更にマジックの解説原稿等・・・・・・。
時間が欲しいです。
おかげで楽しみにしていた聳塔祭を始め、誘いを受けた文化祭、全て今年はいけませんでした・・・・・・。
毎年欠かさず行っていた文化祭も多いだけに残念です。
特に聳塔祭は、このブログを始める契機となった文化祭なので、何が何でも行きたかったのですが・・・・・・。
行けなかったものは仕方がないので、皆さんのレポートを楽しみに待っていることにします。

・・・・・・しかし、よく考えたら、明日でこのブログも一周年を迎えるのですね。
一年とはいえ、よく続いたなあ、というのが正直な感想です。
お読み頂いている方々に感謝です。
そのうち受験で今以上に忙しくなるのは間違いないので、あと一年続けられるかどうかわかりませんが、
可能な限りは続けていくつもりです。
まだまだ至らない点ばかりですが、今後とも宜しくお願いします。

本格ミステリ・オールタイムベスト

ギリギリですが・・・・・・。本格ミステリベスト10の、オールタイムベスト 、投票しました。
余りにも投票したい作品が多いのと、
一作家に偏りがち(というか、麻耶雄嵩一人ですが)で、結構悩んだのですが、
とりあえず一作家一作品で10作、順位は関係なしに抜き出したところ、以下のような結果に。

紅楼夢の殺人
暗黒館の殺人
『アリス・ミラー城』殺人事件
絡新婦の理
硝子のハンマー
アリア系銀河鉄道
聯愁殺

そして二人だけになった
アリア系銀河鉄道

1位は「アリア系銀河鉄道」、2位は「鴉」。
・・・・・・ここまでは良かったのですが、それ以降が非常に決めづらく。
どうしようもなかったので、公平な目、というよりは、完全に好みで決めてしまいました。
結果、
3位が「暗黒館」、4位が「アリス・ミラー城」、5位が「そして二人だけになった」。
こうして纏めてみると、やはり閉鎖空間ものが好きなようです。
しかし、気分によって変わりそうな順位です・・・・・・。元々5作品選べ、というのが厳しいですが。
過去にランク入りしている作品のみしか投票できない、というのも辛いですね。
まあ、とりあえず間に合ったので・・・・・・・。良しとします。

はやみねかおる 「ハワイ幽霊城の謎」

はやみね かおる, 村田 四郎
ハワイ幽霊城の謎
南海の楽園・ハワイで摩訶不思議な事件がおこった!
解決するのは、われらが名探偵 夢水清志郎しかいない!!
夢水清志郎のもとに舞いこんだ、新たな依頼は、なんとハワイから!
ハワイの大富豪、アロハ山田家を、幽霊の呪いから守ってほしいというのだ。しかもなんという不思議な縁か、100年前、アロハ山田家の先祖は、清志郎の先祖(?)夢水清志郎左右衛門にも出会っていた!
南海の楽園・ハワイを舞台に、現在の夢水清志郎と過去の清志郎左右衛門がみんなをしあわせにするために謎を解く!
 
 ◆ ◆ ◆
 
夢水清志郎シリーズ最新刊。
初めて手にとったとき、意外に分厚くて驚きました。
はやみねかおる作品の中では二番目くらいに長いのではないでしょうか。
長いだけあって、内容も豪華です。
舞台はハワイ、しかも「過去編」と「現在編」が交互に描かれるという構成で、これが普通のミステリなら叙述トリックなどを疑ってしまうのですが、はやみね作品なのでそんなことは気にせず楽しめます。
やはり、はやみね作品は身構えないで読めるというのが良いです。特に今回は、ミステリ部分よりも周辺的な部分に重点が置かれており、最後まで安心して読むことができました。
勿論、ミステリ部分は伏線も十分ですし、マニア向けのミスリードがあったりして面白いのですが、
初期作品に比べると少し弱いかな・・・・・・という感じはあります。
とはいえ、最近の作品の中ではなかなか良く出来ている大ネタです。小ネタもいくつか仕掛けてあるので、決してつまらない、ということはないはず。
何より、ミステリとして「みんなの幸せのために謎を解く」というスタンスを貫いているのが良いです。最近のミステリでは、この点が忘れられがちな気がします。

そして、ミステリ以外の部分。
これは・・・・・・ほとんどがファンサービスですね。
まさかこの作品から読み始める人はいないと思いますが、ある程度はやみね作品を読んでいないと、判らないネタが結構あるかもしれません。夢水シリーズ以外のネタもあります。しかもそれが小さなどんでん返しになっていたりするので・・・・・・。やはり、ファンとまでは行かずとも、ある程度他の作品も読んでいる人でないと厳しそうです。単体で読んでも面白いことは面白いですが。

小学校上級から、と書いてありますが、ミステリが好きな人なら誰もが楽しめる作品だと思います。
いつもながら、随所に散りばめられたネタも、ミステリ好きには楽しめる趣向です。
本書ははやみね作品をどれだけ読んでいるかで若干評価が変わってしまう気もしますが、平均的なところで7点
夢水シリーズはコミック等でも出ていますが、圧倒的に小説版がよいので、未読の人は一冊目から読んでみてください。読みやすく、読後感も良いのでお勧めです。

しかし・・・・・・。あとがきからすると、次回で完結なのでしょうか。
自分がミステリを好きになったきっかけの一つでもあるので、終わってしまうのは寂しいですね。本書のような番外編でも良いので、また続けて書いて欲しいです。

乙一 「銃とチョコレート」

乙一
銃とチョコレート
少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。
現場に残されているカードに書かれていた【GODIVA】の文字は泥棒の名前として国民に定着した。
その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。
ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「【GODIVA】カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。
地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。
 
 ◆ ◆ ◆
 
京極作品連続はさすがに疲れるので・・・・・・。間に休憩で読みました。
乙一で、しかもミステリーランドですから、非常に読みやすいです。
ストーリーは、あらすじを読めば大体わかるように、一般的な冒険もの。
・・・・・・しかしこれは乙一作品、勿論一味違います。
中盤のどんでん返しで、一気に話は捻くれたものに。
どこまで書いて良いのか悩むのですが・・・・・・。
登場人物の一人、ドゥバイヨルのキャラクターが凄いです。
ドゥバイヨルがいるからこそ、この「銃とチョコレート」は印象的かつ面白い作品になっていると思います。
「子供が読んでトラウマになるような」作品を目指している(?)ミステリーランドらしいです。
・・・・・・とはいえ、「神様ゲーム」ほどの邪悪さがあるわけではなく、むしろミステリーランドの中では、子供にお勧めできる作品だとは思いますが。
「ストーリー自体の面白さ」でいえばミステリーランド中トップクラスで、最初から最後まで、飽きることなく楽しめます。読後感もなかなか。

同じミステリーランドから出ている「怪盗グリフィン、危機一髪」と似通った部分が何点かあり、比較されることも多そうな本書ですが、個人的には冒険小説なら本書、ミステリ度を重視するなら「グリフィン」だと思います。
どちらも「ミステリーランド」の中では優れた作品なので、両方読んでみることをお勧めします。
8点。挿画もいつも通り素晴らしく、完璧にこの小説に合っていると思いました。

京極新刊

「邪魅の雫」発売に合わせて、未読だった京極堂シリーズを読んでいるところです。
・・・・・・久々に読むので、最初は全く進まなかったのですが、
どうにか「塗仏の宴 宴の支度」を読みきることができました・・・・・・。
感想はまとめて書きますが、意外に登場人物等を覚えていて安心しました。
これで読めないようだったら、いっそ京極堂シリーズは読むのを諦めよう、と思っていたのですが。
なんとか着いていけたので、結局、
新刊「邪魅の雫」を買ってしまいました。
本当は古本を待つ予定だったのですが・・・・・・。友人のおかげで「大磯・平塚地域限定特装版」が入手できたので、新刊での購入です。
京極 夏彦
邪魅の雫 大磯・平塚地域限定特装版

今日、受け取って実物を見てみたのですが、予想以上に綺麗な装丁です。
Amazonの画像で見ると大したことのないように見えますが、表紙が一枚の続き絵になっていたりカバー裏にも地図が印刷してあったりでなかなか凝っています。
重版であれば、大磯・平塚地域でなくとも、全国どこでも予約すれば手に入るそうなので、お勧めです。
ちなみに、実物の帯も本当に「KEEP OUT」でした。・・・・・・何故?
「邪魅」の感想はもう少し先になりそうですが、今週末にでも読み終わりそうなので、来週中にはアップできると思います。

ところで、今年もまた図書委員会に書評を寄稿することになりました。
毎年、10冊少しの本を選んで書いているのですが・・・・・・。今年は何で書くべきか。
ミステリ関係は出来るだけ自制しないといけないのが辛いです・・・・・・。
それでも、「DIVE!」や「ボトルネック」などお勧めしたい本はいくらでもあるのですが。
そんなわけで、いつかそちらの原稿もアップする予定です。・・・・・・今までに書いたものと被りそうな気はしますが。
・・・・・・しかし、毎年中間テスト前に話が来るのは一体・・・・・・。

道尾秀介 「骸の爪」

道尾 秀介
骸の爪

ホラー作家の道尾は、取材のために訪れた瑞祥房で、口を開けて笑う千手観音と頭から血を流す仏像を見た。
話を聞いた真備は、早速瑞祥房へ向かう-。
20年の時を超え彷徨う死者の怨念に真備が挑む、シリーズ第2弾。
 
 ◆ ◆ ◆
 
予め聞いてはいたのですが、この作品には、大どんでん返しがあるわけではないし、それどころか、犯人やトリックを含め何らかの大きな意外性は存在しないのです。
前作「向日葵の咲かない夏」に比べれば、どう考えても地味でしょう。
しかし・・・・・・。
これはかなり面白いです!
・・・・・・正直、事前情報からそんなに期待はしていなかったのですが、まさかここまで楽しめるとは。
絶妙なストーリーテリングで、序盤からとにかく引き込まれます。
本当に久々に、「序盤から楽しめる」純粋なミステリに出逢いました。
「いかにも」ミステリ的な舞台設定でありながら、所々現代的な要素が入っていて、独特の味が出ています。
そして、この雰囲気が心地良いのです。大きな事件はなかなか起きませんが、細かな謎や、いわくありげな人物など・・・・・・。「これぞミステリ!」といいたくなるような展開。叙述トリックなど知らなかった数年前の、純粋にミステリを「楽しんでいた」頃の気持ちを思い出して、懐かしささえ感じます。
そこから繋がる中盤もお約束通り。少しずつ明かされていく過去、新たな殺人事件・・・・・・・。
そして終盤、期待が高まったところで、ボリュームたっぷりの解決編。
この解決編が素晴らしい。
最初、解決編が始まったときは、「まだ随分残っているから、きっとダミーだろう」などと思ってしまいました。
・・・・・・そしたら、その長さが丸々、ダミーでもなんでもなく真の解決編になっているのです。
次々と明かされる真相には圧倒されます。一つ一つを取り上げれば確かに小粒ですが、どれも非常に良く出来ているもの。
それが、ページを捲るごとに、いくつもいくつも明かされていくのですから・・・・・・。大きな仕掛けなど無くても、十分にインパクトはあります。
しかも、その伏線が恐ろしく巧い。まさか伏線とは思いもしなかった些細な描写が次々と回収されていくのです。
勿論、「ここは伏線だろう」と気づいた場所も、思いも寄らない意外な形で使われます。
・・・・・・よくここまで大量の伏線を仕込むことができたものです。

恐らく、「謎」と「解決」の量では、今年のミステリの中でもトップと言えるでしょう。
「本ミス」上位は間違いなさそう。ストーリー自体も面白いので、「このミス」でも十分上位を狙えるかもしれません。
最近は、叙述トリックや犯人の意外性や大どんでん返しなど、そういった趣向のミステリばかりが多い気がしますが、本書は「ミステリ本来の面白さ」を十分に味わわせてくれる珍しい作品。
ミステリ好きな人には、絶対の自信を持ってお勧めします。9点

道尾さんには、「向日葵~」のような大技ものと、本書のようなタイプの作品とをバランスよく書いていって欲しいですね。何にせよ、久々に「この作家は追ってみよう」と感じました。今月末に出る「シャドウ」にも期待です。

米澤穂信 「ボトルネック」

米澤 穂信
ボトルネック

懐かしくなんかない。爽やかでもない。
若さとは、かくも冷徹に痛ましい。
ただ美しく清々しい青春など、どこにもありはしない・・・・・・。
青春ミステリの旗手、最新書き下ろし長編。

恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。

―はずだった。

ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。

どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。

 

 ◆ ◆ ◆

 

読了時から三日間、考え悩み続け、結局結論が出せませんでした。

しかし、これ以上感想を書くのを先延ばしにすると、本来の感想を忘れてしまいそうなので・・・・・・。今、書いておくことにします。


何の結論か、と言えば、

結局のところ、ボトルネックの意味は何だったのか、というその謎だけなのですが。

いきなりですが、ネタバレなので伏せ字にします。


僕=ボトルネック、という図式は、読む前から検討がついていました。

出来るだけ事前情報はカットしようと心がけていたのですが、タイトルと帯の文句で、きっとこういう物語に違いないだろう、と想像し、

読んでいる途中は、「おそらく最後にそれに気づいて主人公が自殺して終わりなのだろう」と、ずっと思っていました。

・・・・・・すると、終盤例の台詞が出てきて、予定調和に収まったかな、と一瞬感じたのですが・・・・・・。

読み終わると、主人公が本当にボトルネックだったのかどうか疑問に思えます。

何より、読んでいて、主人公がどうにも「ボトルネック」の説明と合わないような印象を受けました。

「リョウの代わりにサキがいた世界」が「リョウの世界」より良い世界になっているわけで、

「リョウのいない世界」は「リョウの世界」より良いのだろうか、もっと言えば、

「サキと入れ替わる」ならわかるのですが、果たして主人公は本来の世界で「まず排除されなければならない」ような存在であったのか?

・・・・・・そうではないような気がします。「こうしていれば良かった」なんてことは誰にだってありますし、それを一つずつ取り上げて、「排除すべき存在」とするのは間違っているような気がしてなりません。それくらいなら、ずっとフミカなどのほうが「全体の向上のために排除されるべき」だと思いました。


そう考えると、「サキのいる世界」は、主人公がボトルネックであることを突きつけるという意味を持つものではなく、

主人公に「自分自身がボトルネックである」と思わせるために用意された世界、であると思うのです。

パラレルワールドがノゾミの手によるものだとすると、そちらのほうが納得がいきますし、

またそう考えると、「青春とは、かくも冷徹に痛ましい」という帯の文句がより迫ってくるような気もします。

何というか・・・・・・。自分もこの主人公と同じ高校一年生だから、よりリアルにその痛みを感じるのですが、

自分自身を特別だと思ってしまうこと・・・・・・良くあります。

冷静に考えればそんなことはないのですが。でも、どうしたって特別扱いしてしまう。

それを利用した錯覚を起こさせ、最終的にどうしようもない暗闇へと落とし入れるパラレルワールド・・・・・・。

それこそが最大の痛ましさであり、恐怖なのではないか、と感じました。


・・・・・・というわけで、自分が一番の衝撃を受けたのはその点です。

それから数日間考えて、「もしかしたら別の解釈があるのかもしれない」とずっと悩んでいたのですが、

これ以上考えても得にならない、そんな気がしました。

・・・・・・やはり同年代の人間なので、その分この本はきつかったです。

この気持ちはわかる、というか、最後の最後まで痛々しいというか・・・・・・。深読みすれば、またさらに重く感じて・・・・・・。

純粋にきついなーと感じたのは、やはり最後の最後ですが、

結局のところ、本書の最大の「痛み」は、文字通り自分自身を省みることの痛さだと感じました。

ただ、こちらのほうが「痛々しさ」はクローズアップされてはいるのですが、

自分にとっては「クドリャフカの順番」のほうが辛かったかもしれません。

どちらのほうが自分にとってより「きつい」のか、というそれだけではあるのですが。


米澤穂信の最高傑作、とは思いませんが、「クドリャフカ」「夏期限定」に続く程度には傑作だと思います。

本書には桜庭一樹「少女には向かない職業」に近いものを感じたのですが・・・・・・。

もっと言えば、「時をかける少女」と逆ベクトルの「青春もの」だと思ったのですが・・・・・・。

要は、そんな感じの小説です。

何となく、この主人公と同じ年代を過ごしている時に読むのと、それが過ぎた後に読むのとでは、感じ方が異なってしまうような気がします。

数年後読み返したら、今度はどのような感想を持つのか、自分でも全く想像ができません。

そのときが楽しみです。


米澤作品の読者は勿論、それ以外の人にもお勧めしたい一冊。

今年読んだ本の中では、相当好みの作品でした。9点


・・・・・・ところで、帯の言葉は「クドリャフカの順番」と対比させると面白いですね。

「青春はやさしいだけじゃない

 そして痛いだけでもない。」

対して本書は、

「懐かしくなんかない。爽やかでもない。

 若さとは、

 かくも冷徹に痛ましい。

 ただ美しく清々しい青春など、どこにもありはしない――。」

今共感できるのは「クドリャフカ」のほうですが、

どちらも「青春」を表した名文句です。

後々読み返した時に、自分はこの言葉に何を感じるのか・・・・・・。どちらに共感できるのか。

これもまた、気になります。

「時をかける少女」(映画)

公式ホームページ


アニメ版「時をかける少女」。

実は、「時をかける少女」という作品は、今まで原作も映画もドラマも何一つ観たことがなく、

実質、「二代目」とされる今回のアニメが初体験でした。

・・・・・・正直言って、そこまでの期待はしていなかったのです。

SFアニメなら、今年は最高クラスの傑作「涼宮ハルヒの憂鬱」がありますし、

タイムリープものなら、「バタフライ・エフェクト」という大傑作があります。

ただ、何回も映像化されるくらいの作品なら、観ても損はしないだろうな、と、

その程度の期待を持って鑑賞しに行ったのです。


・・・・・・するとこれが。

思わず映画館で号泣。後半は驚きと感動の連続。

「ハルヒ」「バタフライ・エフェクト」に勝るとも劣らぬ傑作でした。


観賞後の余韻も、今までに見たどの映画とも違います。

感想も簡単に言葉にはできません。

何が良いか、と問われれば、

シナリオ、絵、音楽、と一つずつ挙げていくことは出来ますが、その答えには何の意味も無い気がします。

「劇場で観ないと解らない」ものがある、と書いておけば一番だと思うのですが、それでは何の感想にもなっていないような・・・・・・。


そもそも、「時間ものSF」で「青春映画」の時点で、自分の好みに完全に一致しているのです。

その上で、細かな仕掛けや、演出や、音楽や、イラストが、ことごとくツボにはまりました。

これほどまで好みに合った作品はそうそう見つからない気がします。


主人公たちとほぼ同世代の人間だから、色々感じ入ってしまうのかもしれませんが、

高校生ばかりではなく、大人が観ても十分満足できる出来だと思います。

シナリオを含め、全く手を抜いていません。

数カ所、タイムリープ関連でパラドックスが生じているのでは? と思いもしましたが、それを補って余りある構成の巧妙さです。

一見、矛盾に感じる事象も、よく考えていけば上手く解けるようになっていたり・・・・・・。

また、テーマも徹底しています。

シンプルなテーマながら、心に残って離れません。

本当に、ただただ巧いと感心するばかりです。


時間もの、青春ものが好きな人にとっては最高の作品。

「耳をすませば」や「バタフライ・エフェクト」系の話が好き、という人なら特にお勧め。自分は完全にそのタイプだったので、多少の矛盾はあっても、やはり10点をつけたいです。

世代によって持つ感想も異なると思いますが、基本的には誰が観ても良作だと判断できそうな作品です。

未見の方は、劇場で公開されているうちに是非一度は鑑賞してみてください。

なにやら中途半端な感想になってしまいましたが、

挿入歌の「変わらないもの」を聴く度に感動が蘇ってきて、冷静になれないです・・・・・・。

本当はもう一度映画館に足を運びたいところですが、その余裕は無いためDVD待ち。待ち遠しいです。


これからの夏は、毎年「時をかける少女」を鑑賞することになるかもしれません。

米澤穂信サイン会

昨日は、朝6時起床、朝食を取る間もなく家をでて、一日中動き回り、帰宅が21時という過密スケジュールでした。

メインは米澤さんのサイン会だったのですが、それ以外の場所も色々回ったり。

友人とともに新宿に行って来たのですが、ここまで濃い一日は、一年のうちに数度も無い気がします。


まず、新宿に到着するなり、すぐにテアトル新宿に向かって「時をかける少女」のモーニングショーを鑑賞。

折角新宿に行くのだから、ついでに見よう、とその程度のつもりだったのですが、

これが、想像を遙かに上回る大傑作。

映画館でこれほど泣いたのは初めてです・・・・・・・。

詳しい感想は後ほど書くとして、今年度ベストどころか、今までに見たどの映画、アニメよりも好きかもしれません。

これを見終わった時点で、友人と、

「・・・・・・もうこれを見られただけで今日帰っても良いのでは?」

と、本心からそんなことを話していました。それから、紀伊国屋やジュンク堂などを見てまわったのですが、その間も、

「時かけ凄い」

「思い出しただけで泣けてくる」

など、数分に一度は、「時かけ」の話題ばかりでした。


・・・・・・まあそれも、昼食を取り終わる頃には収まってきたのですが、

その時点で、気づかぬうちに数時間ほど書店巡りをしていたことが判明。

やはり、新宿は規模が違います。時間など忘れてしまいますね。


そこから、タカシマヤに向かい、マジックのコーナーで色々と見せていただいたり。

演技もいくつか見て頂いて、アドバイス等も頂いたりと・・・・・・。

プロは違うなー、と実感。足下にも及ばないです。もう少し努力しないと。

1時間余りタカシマヤで過ごした後、本命の紀伊国屋南店へ。

整理券を受け取ってから、また店内をぶらぶらと。

近くの書店では見かけない本もほとんど揃っているので、歩き回っているだけで楽しいです。

結局、ここでもまた二時間ほど過ごして、ようやくサイン会々場へ向かった・・・・・・のですが。

予想を超える長さの行列。

TRICK+TRAPで慣れていると少し驚いてしまいますね・・・・・・。

しかし、待ち時間は意外と短めで、

しかも有る程度順番が回ってくると、椅子に座りながら待つことが出来たので、思ったよりは楽でした。


・・・・・・そんなこんなで、新宿に到着してから約10時間後、ついに米澤さんのお姿を拝見できました。

予想通り、いや予想以上に格好良い・・・・・・。眼鏡をかけていらっしゃらないのが意外でしたが、優しげな雰囲気で良かったです。前回は白のジャケットだったようですが、今回は黒。もの凄く似合っています。

厚かましいとは思いながらも、書名を書いて頂けますかとお願いしたら、快く引き受けて下さいました。

咄嗟に「いつも楽しく読ませて頂いています」程度のことしか言えなかったのが残念です・・・・・・。

奉太郎以外の視点の作品をもっと書いて頂けると嬉しいです、と申し上げたら、

「これから短編のほうで色々書いていく予定です」とのお答えが。

楽しみです。

次作の「心あたりのある者は(仮)」に収録されるのでしょうか。来年くらいになりそうですが、待ち遠しいですね。

最後には握手もして頂いて、良い体験になりました。

米澤さん、編集者の方、書店員の皆様、ありがとうございました。


サイン会の後は特に他の場所へ寄ったりはせず、そのまま友人と共に帰宅。

が、家に着くといきなり疲労が押し寄せてきて・・・・・・。結局、今日の昼まで熟睡していました。

時かけ、マジック、サイン会、と印象に強く残る出来事を三つも続けて体験したので、一日経った今も、昨日のことが上手くまとめられないです・・・・・・。

何にしろ、良い一日でした。・・・・・・相変わらずいい加減なまとめですが。

とりあえず、「ボトルネック」を今から読みます。

「時かけ」と逆ベクトルの傑作の予感がして楽しみです。「時かけ」「ボトルネック」の感想はまた後日にでも。

渡辺浩弐 「1999年のゲーム・キッズ」

渡辺 浩弐

1999年のゲーム・キッズ

 

日常に飛び込んでくる、最先端テクノロジーをシミュレートしたバーチャル・ストーリーズ。

「不老不死」「人体複製」「運命予想」……。新世紀目前の1999年、すべてがリアルになる。

 

 ◆ ◆ ◆

 

ショートショート集。

星新一に比べれば知名度は圧倒的に低いですが、渡辺浩弐の名前を知っている人は意外と多いかもしれません。

近未来を舞台にしたショートショートを多く書いている人です。

この人のショートショート集を数年前に友人から貸してもらい、そのときから他の作品も読みたいと思っていたのですが、なかなか巡り会えず。

ファウストに連載されている「Hな人々」などを少しずつ読んでいたのですが、先日ついにBOOK OFFでこの作品集を発見。

勿論購入、その日のうちに読了です。

全て近未来もので、ほとんどの作品にブラックなオチがついています。

この皮肉な結末がショートショートの醍醐味ですね。

近未来が舞台ということで、「いつかこうなってもおかしくない」という世界を書いているのですが、それが奇妙なリアルさを生んでいて良いです。時々、恐怖を感じるような作品があったりも。

お気に入りの一編は「高校教師」。読み終わって、巧いなーと感じました。


世界観がすんなり頭に入ってきますし、プロのショートショート作家なだけあって、余計なものが一切なし。

ページ数も、どれもほぼ同じくらいの枚数で統一されていて、テンポも良いです。

ブラックなショートショートが好きな人にはお勧め。

電車の中など、移動中に読むのに最適の本だと思います。

8点

続編も出ているのですが、そちらも同テイストで佳作揃いなのでお勧めです。