北川歩実 「嗅覚異常」
- 北川 歩実
- 嗅覚異常
神経内科の女医植田理歩は、大学院生富坂から研究協力を依頼された。富坂の恋人夏海を対象にした研究のテーマは、嗅覚障害。匂いのメカニズムの解析が目的だ。
ところが、理歩が研究室を訪ねた夜、実験用のウサギが殺される事件が発生、何者かの尾行に気づいた。やがて夏海も失踪し…。
匂いに過敏になりすぎた現代人の陥穽を衝く、気鋭の新感覚ミステリー。
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サイエンス・ミステリーの書き手、北川歩実の中篇。
テーマは、タイトル通り「嗅覚」。
表面上だけのテーマだと思ったらそうではなく、真相自体も「嗅覚異常」が大きく関連しています。
中篇なので、そこまで複雑な話ではないのですが、真相は気づかなかったです。
明かされる動機も、読み返してみれば堂々と伏線が貼ってあって驚きました。
シンプルなネタを最大限に活用しているなー、と。
ただ、そのために余りにも無駄を省きすぎており、いささか「詰め込みすぎ」にも感じられるのが残念。
良く出来ているだけに、あと100枚ほど加筆すればもっとまとまりが良くなったのでは、と感じます。
すぐ読める中篇もありがたいのですが。
時間が余ったときにでも、さくっとミステリを読みたい方にはお勧めです。7点。
ちなみに、本書は祥伝社400円文庫の一冊ですが、今では手に入りづらいかもしれません。
古本屋に行けば、多分見つかると思います。