The Key of Midnight -14ページ目

最後にTRICK+TRAPへ

閉店前にもう一度、ということで、昨日「TRICK+TRAP 」へ行ってきました。


開店は2時からだったので、午前中は渋谷・横浜で書店めぐり。やはり、渋谷は「大きい」です・・・・・・。新宿のほうがまだ楽かも。

とりあえず、2時間ほど、ぶらぶらとしていました。

目当ての本(北山猛邦「少年検閲官 」)も購入できたので、そのまま吉祥寺へ。

待ち合わせていた、幹事のみっくんさんと共に、散策しながらTRICK+TRAPへ向かうと、開店した直後なのにもう人がちらほら。

結構、マニアな層も来ているんだなあと思いつつ、店内を見て回ると、あまり目にしない本が何冊も置いてあります。

サイン本なども何冊か。

今まで、あまりゆっくりと店内を見て回ったことがなかっただけに、「こんな本があったのか!」というちょっとした驚きがいくつも。

やっぱり、こういう空間はいいですね。

午前中に回ったどの本屋とも違った雰囲気で、何よりそこにいるだけで心地良いです。

本当に閉店されるのが惜しまれます。

途中でカラクリリリカル のBさんと合流し、その後も店内を回って気になる本を手にとってみたり。

これで最後だから、と3人でノートにコメントを書いてきたりしました。

戸川さんがいらっしゃらなかったのは残念ですが、まあコメントを残せただけでも行って良かったかな、と。

結局、二冊本を購入してTRICK+TRAPをあとに。

「TRICK+TRAP」の皆様、今までお世話になりました。

ただ、閉店とはいっても、まだネット書店としては続いていくとのこと。一安心しました。

これからも頑張って下さい。

TRICK+TRAPを出た後も、喫茶店でお二人と色々お話をしていました。

結構ミステリ関係の話が多く、貴重な時間でした。

Bさんとまともにお話するのは実質今回が初めてでしたが、

イメージ通りの方で、落ち着いてお話ができて良かったです。


お二人とも、昨日は付き合って頂いてありがとうございました。

おかげさまで楽しいひと時を過ごせました。みっくんさんには全部こちらの都合にあわせて企画して頂いたり、Bさんにはわざわ

ざ”お土産”まで頂いたりで・・・・・・。本当に感謝です。

TRICK+TRAPが閉店してしまうと、もう吉祥寺に行くことはほとんど無くなると思いますが・・・・・・。

機会があればまたお会いしたいです。

そのときこそは、こちらも何か、準備していきますので・・・・・・。よろしくお願いします。

企画書

ここ2週間ほど取り掛かっていた文化祭用の企画書が、ようやくほぼ完成しました。

・・・・・・催し物のタイトルを決めるだけで、10日ほど。

それにキャッチコピー、紹介文、諸々の詳細、と、

何故か今年は、これまで以上に面倒でした。

それだけ、サークルメンバー全員が真剣に取り組んでいた、ということでもあるので有難いのですが。


企画自体は、まず確実に通るので、これで一安心。

ちょうど企画書が完成したころに入試休みが重なって、助かりました。

ようやくまともに休めます・・・・・・。

ただ、三日も家に閉じこもっているのもアレなので、

今週の土曜日はTRICK+TRAPへ行ってきます。

せっかく良い書店に出会えたのに、閉店とはさびしい限りですが、

その分、土曜日は楽しんできます。

清水義範 「大人のための文章教室」

清水 義範
大人のための文章教室

面白いから身につく名講座
いますぐ使える裏ワザ表ワザ! 著者オリジナル例文満載!

この教室の方針
ここで私の言う大人とは、世間一般の普通の大人である。サラリーマンや、事業主や、職人や、公務員や、OLや、主婦や、とにかくそういう、いろんな大人全般である。そういう人たちは、文筆業をなりわいとしているわけではないのだが、でも、文章を書くことと無縁ではない。普通に大人をやっていれば、様々の局面で、ひとに読まれる文章を書くことになるものである。(中略) 私がここに始める文章教室は、そういう文章を、どうすればうまく書けるようになるんだろう、という考察の場である。私なりに、様々の心がけや、技巧や、裏技を考案していこうと思っている。――<本書より>


 ◆ ◆ ◆


なぜか衝動買いにしてしまった本。

予想以上の読みやすさで、一日で読了です。


まず書いておきたいのですが、

この本、普通に読み物として面白いです。

タイトルなどから感じられる硬さはまったくありません。難しい表現等も一切無く、中学生くらいから十分に読める内容です。

肝心な内容も、わかりやすい例をたくさん用いて示されていて、入ってきやすいです。「なるほど」とうならせられることもしばしば。

小説を書く際のアドバイスなどはほとんどありませんが、本当に実用的な「文章を書く際のポイント」が書かれていて、ありがたいですね。

自分もこのブログを含め割と文章を書く機会は多いので、いろいろと参考になりました。

同時に、今までに書いた文章を見直してみて、反省したりも。

うーん・・・・・・。どうしようもないなあ。

少しでも文章、うまくなりたいものです。


いろいろなタイプの文章のアドバイスが載っていて、その中には「これは書く機会ないだろうなあ」と思うようなものもあるのですが、そういったものを含めて楽しい読み物です。

実際、あとがきで著者も、「楽しく読めるものを目指した」といったことを書いていますし。


少しでも「文章を書く」ことに興味がある人にとっては、軽く読める割に十分に役に立つ本。

お勧めです。8点


しかし、やっぱりこの手の本を読むと、耳が痛いですね。結構響きます・・・・・・。

桜庭一樹 「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

桜庭 一樹
少女七竈と七人の可愛そうな大人

わたし、川村七竈十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった――

鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。親友の雪風との静かで完成された世界。だが可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き込んで――。


 ◆ ◆ ◆


今、この時期に、本書に出会えて本当に良かった。

読み終わってまず、最初に思ったのはそのことでした。


「Sweet Blue Age」に収録されていた、本書の導入にあたるストーリー「辻斬りのように」があまりに好みからはずれていたので、長い間読まずにいたのですが。

「赤朽葉家の伝説」を読む前に、少し他の桜庭作品も読んでみるか、程度の気持ちで読み始めたら、これが面白い。

読まず嫌いなんてすべきじゃなかった、と後悔するほど、良い本でした。

「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」、「少女には向かない職業」など、これまでにいくつもの「少女小説」を書かれている桜庭さんですが、本書はその系列の代表作、とも言えるような作品です。

「砂糖菓子」などと違って、殺人だとかが絡んできたりするようなことはありませんが・・・・・・。

それでも本書は、「砂糖菓子」「少女」に負けず劣らず切ない「少女小説」なのです。


人によって様々な読み方ができるであろう小説ですが、自分は少女七竈の成長小説として読みました。

単純に、そういう話を無意識に求めていたから、だと思いますが。

そのような視点で見ると、「全く別の世界の話」にも関わらす、どうしようもなく共感できて思わず泣きそうになってしまうようなシーンもあって、

本当に、物悲しかったです。


桜庭一樹にしか描き得ないような、独特の美しい文章で語られる”世界”とそれを取り巻く人々。

やがて、いろいろな大切なものが失われていって。

その過程もまた、美しすぎるほどで。

・・・・・・何というのでしょうか。心にしみる、というか、響く、というか。とにかく一つ一つの文章が、しみこんでくるのです。

読んでいる間、”淡々と”感情を揺さぶられました。こんな体験は滅多にありません。

表現しづらいのですが・・・・・・。

文章を心で感じる小説、といえばよいのでしょうか。

「味わい深い文章」のレベルを越えています。

この感覚は、ストーリーがどうといったものではないので、読まなければわからないでしょう。

おそらく好き嫌いはあるのでしょうが、波長が合えばとことん響く文章です。


とにかく美しいので、読んで下さい、としか言えません。

間違いなく桜庭一樹の最高傑作であり、代表作でしょう。

ラスト、七竈の進学の話が出てくるのですが、

どうしても、今の自分の境遇と重ねてしまって・・・・・・。

全く感想がまとまらないほど、いろいろなことを考えさせられた小説というのも久々です。


心の底からお勧めしたい一冊。9点

桜庭一樹、凄いなあ。

雪。

朝、いつものように家を出ると。

ちらちらと舞い落ちてくる、白いものが。

初雪。

ああ、今年もこんな季節になったんだなあ、と思わずしんみりしてしまいました。


センターの日には雪が降る。

不思議なものです。

まさか今年はないだろうなあ、と思っていたら、本当に降りました。

2年後にも降るのかなあ、と思うと、急にセンターが身近に感じられて不安になったり。


あと2週間で、実質進路を決めないと行けないのに。

未だ、文系・理系のどちらへ進もうか、ということで迷っています。


何かを選択することは、何かを捨てるということ。

これほどまで、こんなに単純なことを実感したことはありません。


いくら辛くても、選択を先延ばしには出来ないですし。

誰かに選択を任せることも出来ず、結局は自分で決めるしかないのですが、


いろいろと悩みながら 、結局いつもと同じように過ごす日々。

・・・・・・きついなあ。

多崎礼 「煌夜祭」

多崎 礼
煌夜祭

十八諸島の世界を巡り、世界各地で話を集め、他の土地へと伝え歩く。それが我ら語り部の生業。

冬至の夜、我らは島主の館に集い、夜を通じて話をする。それが煌夜祭―年に一度の語り部の祭。

お話ししよう。夜空を焦がす煌夜祭の炎壇でも照らすことの出来ない、真の闇に隠された恐ろしい魔物の物語を…

廃墟となった島主の館で、今年もまた二人だけの煌夜祭が始まった―!


 ◆ ◆ ◆


傑作です。

早くも、2007年のベスト10に確実に入りそうな作品が出てきてしまいました。

多少なりともあらすじ等で興味を引かれる要素があったなら、以下の文章には目を通さず即購入することをお勧めします。


さて、本書。新人の作品ですが、さすがに投稿歴十七年というだけあって、よく練ってあります。

ジャンルは、連作短編形式のファンタジー。

しかし本書の最大の見所は、どちらかといえばファンタジー要素とは別なところにあります。

何が凄いかと言えば、ミステリでよく見られる、”あの趣向”が、ベストといっても過言ではないような形で決まっていることです。

ミステリに限りなく近いファンタジー、と言えば良いでしょうか。

加納さんの連作短編などが好きな自分にとっては、最高の一冊でした。


新人とは思えないほどこなれた文章と併せて、リービリティは非常に高く、序盤から引き込まれます。

一つ一つの語り部の話=短編をとっても、決して手抜きはなく、どれも魅力的な話に仕上げてあります。

これだけでも十分凄いのに、ラストは・・・・・・。

よくぞここまで、と。素晴らしい、と言うしかないでしょう。

この手の趣向に付きものの、ある種の複雑さはありますが、わかりにくいといったことはありません。

最終的に浮かび上がる、この物語の真の構図には心の底から感心しました。

本当、レベルが高いです。

読後感も非常に良く、その点でもお勧めです。


とりあえず、東京創元社系の連作短編が好きな人は、是非とも読んでみてください。

絶対に損はしません。

まあ、あくまで「ミステリに限りなく近い”ファンタジー”」ではあるのですが。

受ける印象は、完全にミステリそのものです。

ファンタジーが苦手な人でも、割とすんなり入れると思います。

ミステリとかファンタジーとか、そういったことをおいておいても、物語や登場人物自体がとても魅力的で、話に身を任せているだけでも心地良いですし。


次作が出たら、間違いなく”買い”です。

今後の可能性を大いに期待させてくれる作品。9点

まだ知名度はそれほど高くなさそうですが、そのうち有名になるかもしれません。

三津田信三 「凶鳥の如き忌むもの」

三津田 信三
凶鳥の如き忌むもの

怪異譚を求め日本中をたずねる小説家・刀城言耶は瀬戸内にある鳥坏島の秘儀を取材しに行く。

島の断崖絶壁の上に造られた拝殿で執り行われる“鳥人の儀”とは何か?

儀礼中に消える巫女!

大鳥様の奇跡か?

はたまた鳥女と呼ばれる化け物の仕業なのか?

本格ミステリーと民俗ホラーを融合させた高密度推理小説。


 ◆ ◆ ◆


「厭魅の如き憑くもの」に続く、刀城言耶シリーズ二作目。

前作がそうであったように、本書もまた、「ホラーとミステリの融合」を目指した作品となっています。

とはいえ、「厭魅」が比較的ホラー要素高めだったのに対し、本書は全体的にミステリ的な部分の方が強めです。

今回のメインの事件は、「密室からの人間消失」。

非常に特殊な作りの”密室状況”から僅か20分でその姿を消した巫女、いくら可能性を検討しても、ただ謎は深まるばかり。

やがて、巫女に続くように、一人ずつ登場人物が消えていく・・・・・・。


謎自体はありきたりなものですが、そのトリックは独創的。

「儀式」の謎が解けると共に、全ての真相が明らかにされていく様子は圧巻。

僕自身は、メインとなる消失トリックに関しては序盤で予想がついたのですが、

それでもこのトリックは「面白い」と言いたいです。 

シンプルにして、ある意味で盲点をついています。

タイトルからあるキーワードさえ連想してしまえば真相にたどり着くのは容易ですが・・・・・・。

たとえ見抜けても、強烈なインパクトが残るのは変わりません。

これほどまで、映像的に壮絶なトリックは久々です。

ある意味、トリックそのものが最大の恐怖かもしれません。その点では、前作と方向性が同じかも。

もっとも、このトリック自体、その成立に関して一点疑問に感じたことはあるのですが・・・・・・。割と残酷というかグロテスクと言うか、少なくとも大声で言いたいことではないので、黙っておきます。


また、伏線に関しても、前作に比べると遙かにマシになっています。勿論、トリックの性質上、ということもあるのですが。

少なくとも、伏線回収が不自然に見えたりすることはありませんでした。


ただ、一つだけ。

前作と同じく、最大の問題点が。

・・・・・・何で見取り図がついていないのか!

民族学的な話が割合多く、そこが読みづらかったりするのは、まだ納得できますが。

前作に輪をかけて複雑で理解できない拝殿やら地形やらを、

見取り図なしで頭に思い浮かべることが出来る人は果たしてどれくらいいるのでしょうか。読みにくいことこの上ありません。

まさか自覚的に分かりづらくしているのか? と疑ってしまったほどです。

「今度こそは理解しよう」と何度も舞台説明などは読み返したのですが、最後まで読んでもほとんど理解できなかったに等しいです・・・・・・。

どうにかトリック等は理解できたので、良かったですが。

この点は、今後もシリーズを続けるならどうにかして欲しいところです。


ところで、先ほど「ホラー要素は薄め」というようなことを書きましたが、ラスト1ページは印象的です。「厭魅」のように、瞬間的に恐怖が押し寄せる、といった感じではないのですが・・・・・・。

思わずぞっとするようなラスト。トリックの解明の後で、このラストシーンは・・・・・・。ただひたすら、おぞましい。「理に適った考え方をすること」が、やはり一番怖いのです。


全体的な完成度などでは「厭魅」のほうが上だと思いますが、「本格」としてはこちらのほうを高く評価する人も多いでしょう。

雰囲気などは似通いながらも、ミステリとしての方向性は別物。あちらが「感覚的」な話だとすれば、こちらは「視覚的」な感じです。ホラーとしても、ミステリとしても。


総合的に見て、「厭魅」と同じくらいには面白かったです。8点

どうやら4作目までは構想があるようで、出るのが楽しみです。

北山猛邦

作家の北山猛邦さんがブログを開設されました。

「終末観測所」


自分にとって北山さんは、摩耶雄嵩さん、加納朋子さんと並んで、最も影響を受けた作家の一人です。

そもそも、自分が「初めて」自分からミステリを手に取ったのは、北山さんの『瑠璃城』殺人事件 でした。

それがあまりに面白く、すぐさま他の作品も全部買ってきて読んでしまい、

「ミステリってこんなに面白かったのか!」と知ったのが、3~4年ほど前のことです。


それから、「他の作家の作品も読んでみたいけれど、何を読めば良いのだろう」と色々書評サイトを見て回り、「幻影の書庫」 にたどり着いたのがもう一つの「きっかけ」で、そこから摩耶作品などにはまっていったのですが。


そんなわけで、北山作品がなければ、今の自分はあり得ない、と言い切って良いほど。

このブログのタイトルも、北山さんの「『クロック城』殺人事件」に出てくる<真夜中の鍵>(The Key of Midnight)からとらせて頂いていますし。

未だに「転生」要素や終末的な世界観に惹かれるのも、北山作品を始めの頃に読んだ影響です。


それほど好きなので、いつか紹介できれば、と思っていたのですが、丁度良い機会でした。

結構好き嫌いが分かれる作風ですが、雰囲気が合えばどの作品も好きになること間違いなし。

個人的に一番のお勧めは『瑠璃城』殺人事件 。一番世界観が好きな作品です。

また、本格ミステリ好きな方には『アリス・ミラー城』殺人事件 をお勧めします。


今月末には、久しぶりの新刊「少年検閲官」が東京創元社から出る予定。

今一番の期待作ですね。

三津田信三 「厭魅の如き憑くもの」

三津田 信三
厭魅の如き憑くもの

憑き物筋の「黒の家」と「白の家」の対立、「神隠しに遭った」ように消える子供たち、生霊を見て憑かれたと病む少女、厭魅が出たと噂する村人たち、死んだ姉が還って来たと怯える妹、忌み山を侵し恐怖の体験をした少年、得体の知れぬ何かに尾けられる巫女―。

そして「僕」が遭遇した、恐るべき怪死を遂げてゆく人々と謎の数々…。

奇才が放つ、ミステリーとホラーの禍々しい結晶、ついに昇華。

 

 ◆ ◆ ◆


「本ミス」3位、ネット上でも割と評判が良く、気になっていた作品です。

軽い気持ちで読み始めてみたものの、これが読みにくい!

ここまで読みにくいとは全く想像していませんでした。特に、見取り図が無いのは厳しすぎます。

おそらく、本書を読みにくくしている最大の要因がそれです。

いくら読んで頭の中で整理しても、どこにどういう道があって、川が流れていて、寺があって、家があるのか、さっぱり見えてきません。

ホラーより何より、それが一番恐ろしかったです。

家一つとっても、どこにどの間があるのか、どこに堂があるのか、最後まで全くつかむことができませんでした。

これは自分の読解力のせいでしょうか・・・・・・。

ここまで、見取り図がほしかった作品は初めてです。


・・・・・・まあそれはおいておいて。多少の読みにくさは我慢して、作品世界に入ってしまえば、後は「面白い」の一言。

別段ホラーといっても怖さはあまりなく、むしろ日本的な小道具や情景の数々に美しさを感じました。

神隠しやら、生き霊やら、憑き物やら・・・・・・。不気味なものではあるのですが、どこか綺麗な不思議さがあるのです。

特に、何者かに後を付けられる巫女の話や、山に入って厭魅と遭遇した兄弟の話などは、純粋に怪異譚として面白いです。


中盤になると、メインの謎となる不可解な連続殺人事件が起こり始めますが・・・・・・。

この真相がまた、見えてこない。

ある種の「密室」がいくつも出てくるのですが、それに関しては前述の通り、「どうなっているのか全く思い描けない」ために、真相を推理するどころではなく。

また、犯人像も浮かばない。

・・・・・・まさか本当にホラー的なオチではないだろうな、と不安に感じていると、ようやく解決編へ。

ここに至って初めて、それまでの物語に大量の伏線が張ってあったことが判明します。

しかし、です。確かにこれはミステリとして良い出来だ、などと思っていると・・・・・・。

最後のどんでん返し。一行の衝撃。


怖い。


・・・・・・それまでほとんど恐怖は感じなかったにもかかわらず。

犯人があかされ、謎が解かれ、核となる真実が照らし出されたその瞬間。

相当な衝撃と、恐怖がいっぺんに襲いかかってきました。


思わずそこで呆然としてしまい、ページをめくる手を完全に止めてしまったほど。

「やられた!」という爽快感もあるのに、同時に全く別の恐怖が迫ってくる。

・・・・・・まさかこんなものが実現してしまうとは。これは凄いです。まさしく、「ホラーとミステリの華麗なる融合」。


ただ一つ、惜しまれるのは、その後に伏線回収の数ページが存在すること。

「語りすぎ」というか何というか・・・・・・。あそこで綺麗に終わらせられれば、より強烈な余韻が残ったはずですが。

ただ、この「伏線回収」が無ければ、おそらく普通の人はほとんどの伏線に気づくことなく終わってしまうわけで・・・・・・。形式の問題からも、このような解説は必要だったのかもしれません。


あともう一つ、メイントリックに関して。

確かに前例はいくつか思い浮かぶものの、そういったものに比べても決して負けていません。

「前例」の中でも、特に強い思いれのある某作(ミステリではありません)が、「爽やかな感動」にトリックを結びつけているのに対し、本書は「恐怖」という形に結実させています。おかげで、受ける印象は全く別物。

トリック自体に新しさはないかもしれませんが、その分完成度が高まっている、という感じですね。

ある程度疑ってかかっても、まずこのトリックには気づかないと思います(伏線の所為・・・・・・というのもありますが)。


いくつか瑕疵はあるものの、総合的に見て良作。8点

やはり、見取り図なしが最大のマイナス。文庫落ちするときは是非ともつけて頂きたいですが・・・・・・。たぶん無いのでしょうね。


本書がこれほどの出来なら次作も期待できそうです。早速予約してきました。

新年早々

PCのデータが全部飛びました。

PCを新しくしました。

・・・・・・それで、一週間丸ごと使ってしまいました。


結構重要な書類やらデータやらが全部無くなってしまったのは相当な痛手ですが、

その代わり、3~4万程度で今までとは比べものにならないスペックのPCを手に入れられたわけで・・・・・・。

良いことばかりは起こらないと言うことですかね。その逆もまたしかり。


で・・・・・・気がついたら、もう今日から3学期がスタートです。

充実していたような、そうでもないような冬休みでした。

朝の6時まで徹夜でPCの設定を行ったり、そうかと思えば翌日の6時にはサークルのため起床して出かけていたり。

こんなに生活リズムが狂った休みは久々です。

明日から元に戻さないといけないわけですが・・・・・・。結構きついかも。


ちなみに、新年一番に読んだ本は「厭魅の如き憑くもの」、昨年の最後に読んだ本は「モノレールねこ」でした。

順番が入れ替わるかもしれませんが、近いうちに感想を書きます。