小説NO.74 「 ぼうやとの、決戦 」其の四~王の行く末~
シュリはチラッとぼうやに目をやった。
どろどろと溶けながら、突進してくる彼は、沼の泥が流れ出しているかのように、じわじわと
迫ってきている。
「シュリ!別にあなたが父親を殺める必要などないのよ!
必要なのは、この世界が平和を取り戻す事でしょ?」
朱音は声がかれるまでシュリの名を呼んだ。
・・・この世界の平和・・・僕が父を殺す意味・・・
朱音の考えは正しかった。
シュリに父親を殺さねばならない必要性などないのだから。
シュリは時間を稼ぐため、王をできるだけぼうやから離れた場所に突き飛ばし、自分はその反対側
から火の鳥の翼を握り締め、思い切りジャンプした。
「ぬおっ・・・」
太った王は、突き飛ばされた方向に転がる。ぼうやはそれを見て、進行方向を王の転がった方へ
変えた。
シュリはジャンプし、ふわりと浮かんだものの、既に火の鳥からこの羽を貰ってからだいぶ時間が
経過しているからであろうか・・・、浮き沈みを繰り返す飛行状態にあった。バランスがうまく取れない。
彼は願った。
(頼む・・・。あと30m、いや、20mでいい。持ってくれ・・・。ここで地に触れるわけには
行かないんだ!)
ぼうやが体を引きずった跡のネバネバした部分に触れてしまったら、どうなるか分からない。
シュリがそう願っているうちに、ぼうやは、王のまん前に到着していた。
「パパ、ジャナイ人。殺ス!!利用シタ。ボクチャンヲ・・・!!!」
「ぼ、ぼうや?誰もお前を利用だなんてしてない・・・ょ・・・?!」
王はぼうやをなだめようとしたが、すでにその言葉は、彼の耳に届いておらず、
溶けかけている体ごと、ぼうやは王に覆いかぶさった。
・・・そしてその瞬間。ぼうやは完全に、ただの腐敗した培養液と化してしまった。
もちろん、王はそれに呑み込まれていた。
「ぐぅぅぅぃ・・・」
という声を漏らしながら、王は溶けて跡形もなくなってしまった。
ものすごい悪臭があたりを包み込む。
健司はルースに気をあてながらむせこんだ。朱音も思わず息を止めた。ルースはあまりの臭いに
再び気を失ってしまった(-。-;)
健司はいったん、ルースにあてていた手を離した。そして背中に隠し持っていた、弓矢を
取り出した。ルースがサラのために作った・・・弓矢。
その弓矢を見た瞬間、朱音はサラとすごした日々の事を思い出してしまった。
戦いが終わるまでは、自分の中で鍵をかけておこうと思っていたのに・・・。
しかし彼女は涙を見せることはなかった。・・・一人の戦士として。
健司は懐から何かを取り出し、ルースの爪でできた矢先に、それを呪文を唱えて結合させた。
矢先に付けられたもの。それは、サラが最後に魂の置き場とした場所でもあり、ティングの
中枢のひとつでもあった、「ティングの牙の破片」である。
健司は弓を強く引きながら呟いた。
「サラ。お前が王を死界に送るんだ。最大の役目だぜ?そしてティング。
お前、気づいてたんだろ?王は、お前を・・・利用してるだけだった事を。
本当は、哀しかったんじゃないか?頼んだぞ、2人とも!」
健司に射られた矢は、上下にウェーブを描き、風を波打たせながら、王とぼうやの溶けている
培養液に向かって飛行した。
その波打つ矢の動きは、まるでサラとティングのこころを、現しているかのようだった・・・。
丁度そのとき、シュリは危ない状況に立たされていた。まだ腐敗した培養液の残る場所だと
いうのに、これ以上、体が浮かないのだ。まずい・・・。
その下をかいくぐって、健司の射った矢が彼をすくい上げるように飛行した。
そしてシュリは朱音、健司、ルースの居る場所まで吹っ飛ばされた。
まるでスプーンですくわれたような気分に、驚きを隠せないシュリ。
「サラとティングに、感謝しとけよ(*^-^)b」
健司は微笑みながらシュリにそう告げた。シュリは矢を見て、健司の言う意味が分かった。
そして深く、弓矢に向かって「ありがとう!」と叫んだ。
シュリが礼の言葉を言い終わった直後、矢は、腐敗した培養液に到達・突き刺さった。
もう何の声もしない。・・・しかし、矢がそこに触れた瞬間、皆の目の前は真っ白になった。
とてつもない光が放出されたため、何が起こったのか、分からない状態になったのだ。
やがて光は収まり、その頃にはルースも目覚め、4人は王との戦い
に勝利した事がわかる。
ただし、それはまた、次回話すとしよう。
小説NO.73 「 ぼうやとの、決戦 」其の三
王は肘をついて戦いを眺めていた。参加する気など、到底ない。
ぼうやが負けることも到底無いだろうと踏んでいた。
なぜなら、朱音は今、想像を絶する力で坊やと戦っており、ぼうやの方が危なそうに見えるが、突如
すさまじい気を使い始めた朱音が、ガソリン切れになるのは時間の問題だからである。
「ああ、何て揺れる城だ・・・。酔っちまう(-""-;) さっさと終わらせてくれりゃいいものを。」
王がそう呟き、のけぞって生あくびをした瞬間、彼の喉元に、鋭い「気の剣」があてられた。
「さっさと、終わらせようか?御希望通り、な。」
シュリである。警戒なんて全くしていなかった王は、気配を潜めて近づくシュリに、気づいて
いなかったのだ。
「な、何でお前が・・・ここに?!」
焦る王。
当然である。昔の彼は、強い戦士であったが、今はほとんど動かずとも不都合の無い生活を
送っていた。
全部手下任せ。魔術一つ使うにも、魔術書がないとあやふやな状態・・・。
このままでは自分が殺されてしまう!
「ぼうや、ぼ、ぼうや~!ひとまずこっちに来い!この男を殺しておくれ!
お前のパパは、やられそうだよ(((( ;°Д°))))!」
ぼうやの耳がピクリと動き、一瞬・・・王(ぼうやのパパ)の方に気を取られた。
丁度そのとき、健司がぼうやの中枢、目玉に日本刀を突き立てた。健司にとって、これは予想外の
ナイス・タイミングであった。
王の命令には必ず従うよう、造られ、加えて「服従の魔術」までかかっているぼうや。
攻撃するのは実に簡単。隙間だらけの障子に風を吹き込むようなものである。
朱音にとってもそれは同じ事であった。ぼうやの腕の動きが止まり、そこに朱音が朱鳳凰で切りつけた
ため、彼の腕は吹っ飛んだ。
もちろん、力の抜けた腕にがんじがらめにされていたルースも、腕の隙間から床に落ちる。
「ゲホッ・・・」
むせてはいたが、ルースは何とか自力で呼吸をしていた。
ギャアアァァァァオォウウゥ!!!
ぼうやの悲惨な声が響き渡った。
健司の攻撃が目玉のど真ん中に決まったのである。
ひたすらもがき苦しむぼうや。もう、攻撃どころではなくなている。
それを見た健司と朱音は身を引き、床に転がるルースに駆け寄った。
朱音は普段の朱音の様子に戻っていた。朱音本人は、先ほどまでの自分がいつもとは違い、
とんでもなく強くなっていた事に気づいていなかった。だが、異様な疲れと見覚えの無い傷などに
違和感を覚えていた。
健司は思った。
(2人とも、治療をせねば・・・な。まずはルースだ。)
「朱音、俺はルースを治療する。朱音はそこでヤツの動きを監視していてくれ。」
健司の言葉に、朱音は肩で呼吸しながら頷いた。
ぼうやは何と、ドロドロと溶けはじめた・・・。
うめき声を上げながら、這って王に近づいていく。
「パパ・・・パ・・・」
シュリはその光景を不気味としか思えなかった・・・。思わず胃酸が込み上げる。
王もその光景にはゾッとしたようだった。もうこの宮殿には、他の兵はいない。
「くるな!ば、化け物!!!」
王は手でシッ、シッ、とぼうやを追い払いながら、冷や汗で震えている。
「何デ?パパ。何デ僕カラ・・・ニゲルノ?」
ぼうやは見えなくなった瞳から、涙をこぼしていた。ヒック、ヒック・・・と泣いている。
「来るなと言ったら来るんじゃない!わしはお前のパパなんかじゃない!」
・・・王がその言葉を発したときであった。
死にかけているようにしか見えなかったぼうやが、ウォウゥゥ・・・と、唸り声を上げて、
王に突進した。
「パパ、ハ・・・最初カラ、ボクチャンヲ、利用シテタダケ!
愛ナンテ、ナイ!
許セナイヨ・・・!!!」
(まずい・・・。ヤツは王を殺す気だ!)
健司はそれを悟った。
シュリは、まるで自分が幼い頃言えなかった思いの塊がそこにあるように思え、胸が苦しくなった。
「シュリ!お前、そこから逃げろ!王から離れるんだ!!」
健司は叫んだ。シュリの耳に、何とかその言葉は聞こえていた。
シュリは悩んだ。
(ここで自分が王に一撃を入れれば、あいつも消える。でもその前にあいつがここに辿り着いて
しまったら、自分も巻き込まれ、死ぬかもしれない。
しかし、ここで何もせず逃げても、間に合うかわからない・・・。どうするか・・・。)
「何やってるの!シュリ!逃げて!」
朱音も叫ぶ。
シュリはどちらの決断をするのか。
しかし、それは、彼にしか、わからない・・・。
小説NO.72 「 ぼうやとの、決戦 」 其の弐
たぁああああぁぁ・・・!!!
と、ルースは2本の剣を「X」型にし、ぼうやの胸に切りつけようとした。
・・・その瞬間だった。ぼうやの胸部から、ぬ・・・っと巨大な腕が4本伸び、そして
その中央に充血した目玉1つ、ぎょろりと現れて、ルース睨みつけた。
4本の腕のうち、2本の腕がそれぞれの剣の動きを止め、ルースからそれを取り上げた。
ルースは剣がなくなったことにさえ気づく間はない。
残った2本の腕のうちの1本の腕は、なんとゴムのようにグニャリ・・・と婉曲して、
目にもとまらぬ速さで、ルースの体自体をぐるぐる巻きにしてしまったのだ・・・。
・・・ルースは全身を腕に締め付けられてミノムシ状態になってしまったため、朱音には
今この瞬間に、何が起こったのか、全く見えなかった。
「る、ルースがいない・・・」
朱音はその場に立ち竦んだまま、思わず呟いた。
シュリと健司は、なんとか・・・ではあるが、今瞬く間にして起こった出来事の状況が掴めていた。
「・・・・・。」
シュリは、その速さと、予想外の出来事に、言葉も出ない。
健司ももちろんシュリと同じ気分ではあったが、ハッと気づいて大声で叫んだ。
「朱音!俺の後ろに来なさい!!早く!!」
「は・・・はい!」
朱音は健司に駆け寄ろうとした。
そもそも王は、シュリを殺すのも目的としているが、朱音を生け捕りにしようとしているのである。
朱音の中に流れる、「世界を築く能力」を奪うために・・・。
健司の予想通り、残った1本の腕は朱音に向かって伸びた。先ほどルースを襲ったような、
ものすごいスピードで・・・。
(まずい・・・朱音にはあのスピードが見えていなかったようだし、捕まってしまう!)
健司もシュリもその腕に飛び掛ろうとしたが、到底間に合わない。
ひゃあぁぁぁ!!
朱音の叫び声が響く。大理石が砕け、砂のように舞っているため、どういった事態になって
いるのか全くつかめない。
「ゲホ・・・ッ・・・」
むせこみながらも、シュリはその砂煙の中に飛び込んでいった。
健司はルースの救出もあるため、両方が見える位置で構えていた。
すると・・・
「うわっ!」
いきなり飛び込んでいったはずのルースが吹っ飛ばされて戻ってきた。何があったのか。
「岩砕殿・・・。朱音・・・、あ、朱音が・・・」
「何だ!朱音がどうした!!」
シュリも健司も混乱しているのだ。健司は思わず、シュリの体を揺さぶる。
「岩砕殿、朱音が、中で戦っております!ルースから剣を取り上げた腕を含め、3本の腕を
相手にしているんです!しかし負けるどころか、むしろ、押しているような・・・(((゜д゜;)))
しかもあれはこれまでに見たことも無いような朱音です・・・。気も、スピードも半端じゃない。
目つきも、誰かが乗り移っているかのような、そんな目つきです。」
「そうか。開花したんだ・・・。王が求めている能力を持った部分が・・・。」
シュリから説明を受けたとたん、健司は彼の肩から腕を離した。
唐突過ぎて、シュリは尻餅をつく。(´д`lll)
そんな事に全く興味を示さず、健司は語りだした。
「もう、俺たちを超えているんだ、あの力が開花すると・・・。
あそこへ行っても俺たちは、何もできない。俺たちがすること、それは・・・」
「ルースを助けるんですよね!」
シュリは最後まで聞かず、ミノムシ状態の腕の塊の方をむいた。
「最後まで聞かんかぁヾ(▼ヘ▼;)!!」
健司の言葉に、シュリはいったん引き下がり、「すいません;」と頭を下げた。
「あいつの本性、というか、中枢は、あのギョロリとした目玉だ。
あれはあいつを作ったときに利用された者たちの魂の塊からできている、
いわば心臓のようなものだろう。
今、あいつは予想外な動きを見せた朱音に力を注ぐ事で精一杯だ。
俺は、後ろで隠れてやがる王を攻撃する。お前は、あの目玉を突いてくれ!」
健司の言葉に、シュリはひとつ頼みをした。
「攻撃対象を、逆にしてもらえませんか?
僕は、息子として、誤った道を歩んだ父を死界に送りたいんです。」
健司は「わかった。」というと、後は任せた、と言わんばかりに、ぼうやの中枢(胸部の目玉)
に向かっていった。
シュリは精神を落ち着かせると、気配を静めた。こうすると、よほど感覚を澄まさない限り、
彼の気配は読み取れなくなる。
(父だけは、僕が倒すと決めていた。血を引き継いで産まれし者として!)
シュリは心の中でそう呟くと、割れた壁の間からスッと、ぼうやの横を
すり抜けて、部屋の中へ進入した。
小説NO.71 「 ぼうやとの、決戦 」 其の壱
「行くっきゃないな、あの巨大な赤ん坊、どうやって倒すか・・・(-。-;)」
ルースは背中から2本の剣を抜いて、構えつつ、傍にいる3人にこそっと話しかけた。
「うーん・・・まずはふたりで一気に攻撃してみるか。で、ほんの少し時間差つけて、
朱音と岩砕殿に隙を攻めてもらうってのはどうだ?」
シュリは目線をぼうやから逸らすことなく、気の剣を伸ばして皆に囁いた。
「了解。」と、健司。
「私も了解よ。」と朱音。
作戦が決まったところで、シュリとルースはぼうやの顔目掛けて飛び掛った。
ぼうやはニヤニヤと笑いながら両手を広げる。
最初の2人に気を取られているぼうやにむかって、健司と朱音は足元に滑り込み攻撃を仕掛けた。
シュリとルースの剣は、ぼうやの手のひらでグッと握って止められてしまった。
朱音たちは・・・というと、
何と健司も朱音も、足の甲に剣を突き刺すのに成功していた。緑色の液体が、ぼうやからあふれ出す。
これは一体?!
「やったわ・・・( ´艸`)」
朱音はそう喜んで朱鳳凰を抜きかけた。が、健司は朱音に
「剣を抜くな!更に気を強めるんだ!」
と、叫んだ。
朱音は驚いたが、健司の言う事、何か考えがあるのだろう。言われたとおり、朱鳳凰を強く、羽ばたかせた。
健司は指した日本刀の気を強めて警戒しつつ、両手に剣を握られている2人を見守っていた。
(シュリの攻撃は速く、鋭いし、ルースは2本の剣を巧みに操る。
どちらも同時に片手で握ってしまうだなんて、一体どういうことだ・・・こいつの洞察力は・・・。)
健司は冷や汗が湧いてきた。
シュリはぼうやの右拳の中で、剣の気を膨らませ、剣をシャコバサボテンのようなギザギザに、変形させた。
ぷしゅ・・・っという音がし、ぼうやの拳からは、緑色の液体が流れる。「血」だ・・・!
驚いた事に、それは研究室で見た、培養液そのものであった。こいつの体内には、培養液が
血液のように循環しているのだ。
ルースは剣を回転させようとしたが、ぼうやの握力に負けて、剣がびくとも動かない。
そこで修行で身につけていた、部分変化の技を試してみる事にした。
彼は頭部にグッと力を込めると、首から先だけが竜の頭になった。そして・・・
ばふーーーーっ・・・
と、ぼうやの瞳に向かって火を噴く。
手から溢れる培養液、そして炎に包まれた視界に、ぼうやは困惑していた。
快楽の笑顔が、消えている。
健司はこの瞬間を見逃さなかった。彼は飛び上がるため、足に力を込める。
そして、突き刺したままの剣を、足の甲からひざのほうに向かって、噴水のように突き上げた。
シュババババババッ・・・!!
腿のあたりまでぼうやの脚を切り上げた健司は、止まった位置で、ぶらぶらとぶら下がる状態の
まま、静止していた。まだ退いていいものか否か、判断しかねたからである。
「グウゥゥゥ・・・!」
どうやらぼうやは目がやられてしまったらしい。
ルースの攻撃はこちら側に有利な結果をもたらしたようだ。
目が見えない。手はチクチクする。脚は片方、大きな傷の筋が・・・。
ぼうやは苛立ちをあらわにし、朱音が朱鳳凰で食いついている足でじだんだを踏んだ。
「ひゃぁあ・・・!」
朱音は大きく揺さぶられ、足が上下するたびに胸部や頭部を、床に強く打ち付けられた。
意識が朦朧とする朱音。
(・・・ま、まずいわ・・・。朱鳳凰、父さんのように、上に高く・・・飛んで・・・)
何とか残る意識の中、朱音は心の中で朱鳳凰に気を込めた。
キューーン・・・
朱鳳凰も、いつもほどは声にキレがない。しかし、じだんだで上下する足の揺れに耐えながら、
膝下まで、炎の翼で飛び上がった。
「ギィィィィイイイ!!!」
ぼうやはじだんだも踏めなくなり、がむしゃらに全身を揺さぶった。
腕も、体も、脚も、頭も・・・グラグラ、ガンガンと振り回し、ひたすら暴れた。
さすがに皆、そこに喰らいついていることはできない。激しすぎる・・・。
4人とも同時に、白の床や天井、壁に吹っ飛ばされて体や頭を打ち付けた。
「ぃでぇ・・・。(´д`lll) 」
ルースは元の体に戻って周りを見渡し、皆が脳震盪を起こしている事に気がついた。
ぼうやがまだもがき苦しんでいるのを見て、ルースは急いで3方向に回復のための、気を放った。
「脳震盪程度なら、これですぐ楽になるさ('-^*)」
そういうとルースは、唯一攻撃を仕掛けていなかった胸部に向けて、
ひとりで、ぼうやに飛び掛っていった。
飛び掛っていく瞬間、3人の意識が戻った。目の前にはひとりでぼうやに向かうルースが・・・
「ルース!ひとりで行くのはやめろ!そいつは得体すら、まだハッキリ
していないんだぞ?!」
シュリが叫ぶ。が、もうルースの耳には届いていないようだった・・・。
そして。
ルースがぼうやの胸部にたどり着きそうな瞬間、残された3人はハッキリと
見た。
目は潰され、体はボロボロになっているはずのぼうやが、これまでになく大きく口を横に広げ、嬉しそうににんまりと笑っているのを・・・。
-詩- 冬の緑。~winter illumination~
冬の緑。
つよいよね。
見つけたんだ、夕方の散歩で。
岩壁の隙間から、顔出してた。
クローバー。もしかしたら、カタバミかも・・・しれないけど。
顔より1mくらい上だったから、しっかりは見えなかったけどね。
でも、なんだかわくわくしたよ。
四葉じゃなくてもいいんだ。heart, loveがいっぱい。
それだけで。いい。
こんなにも。がんばって愛を育ててる。素敵でしょ?
高い位置。うまく写真、とれなかったけど、こころにほんわか。焼きついてるんだ。
ね、コタチダリアってしってる?
今、まだ咲いてるんだよ?花、開くのが、11月以降なんだって。
こんなに高く伸びて。ぐんぐん、と。
こんな素敵な花を咲かすんだ。
まいったな、強いよ、コタチダリア。素敵な花だよ。
みて、12月とは。思えない。
君は、自然界の、イルミネーションだよ。 winter illumination...
小説NO.70 「 開かれし扉 」 ~ 現われし 「ぼうや」 ~
開いた扉に、真っ先に飛び込んだのは、ルースだった。
シュリたちもそれに続こうとする。
・・・が、
ルースは飛び込んだと思ったその矢先、すごい勢いで後ろに吹っ飛ばされた。
もちろん、ドミノ倒し状態で、シュリや朱音、健司も後ろに倒れる。
「ど、どうしたんだよ、ルース(゜д゜;)?!」
一番後ろで、3人分の体重と気圧のダメージを受けた健司は、
背中と腰をさすりながら、ルースに尋ねた。
「わ、わかんねぇ・・・。でっかい、幼児体系の、鎧を着た怪物みたいなのが・・・いて、
そいつと目が合った瞬間に、俺は吹っ飛んでたんだ(;´Д`)ノ
あれが王か?そうは見えなかったけど・・・」
ルースの言葉にシュリは嫌な予感がした。
「それは絶対に父じゃない。きっと父・・・、いや、「王」は、僕たちが知らない間に、
ティングに勝る人造兵を造ったに違いない・・・。でなきゃこんな簡単に、
自分の部屋の扉を開けるとは思えないし・・・。」
「・・・そういうことか。」
健司は、王の部屋にもう一人厄介な敵がいることを悟っていた。
とてつもない「気」が、ティングを倒した後も渦を巻いていたからである。
王のものとは、思えないほど新しく、荒削りな「気」・・・。
シュリの説明で、その敵の存在が本物であったと確信できた。
健司は、皆にこれまで自分がその気を悟っていた事、そして、その「気」はティングを
超えるほど大きいという事を皆に伝え、慎重に部屋に入るよう伝えた。
部屋に入る段階から、戦いは始まっているのだ。安易に飛び込んでしまうと、大変な事になる。
「どうすれば、いいかしら?具体的に・・・」
朱音はただ「慎重に・・・」と言われても、ピンと来なかったので、健司に作戦(方法)を尋ねた。
「そうだなぁ・・・。」
健司も考え込む。じわじわと、扉の向こうで「気」が膨らんできている。
恐らくルースが眼力だけで吹っ飛ばされたその相手は、戦いに飢えているのだろう。
しかもルースは「鎧を着ていた」と言った。
普通、まだ経験もない戦士は自分の弱点(防御すべき場所)もわからないので、鎧は着ない。
つまり、今回の場合の鎧は、防衛のためではなく、自らの力を抑えるための鎧であると言える。
健司は今自分が予想した2つのこと…、相手が「戦いに飢えている事」と「鎧の件」を伝えた。
皆の顔色が変わる。
「な・・・、俺は鎧を着てる段階のヤツの目を見ただけで吹っ飛んじまったのに、あれで「気」を
抑えてるってのか(°д°;)?!」
ルースは自分の情けなさに頭を抱えたが、ひとつ思いついたことがあった。
「な、俺、入る瞬間に目を見たっていっただろ?アイツ、笑ってたんだ、間違いなく!
おっちゃんが言うように、あいつは戦いたくて仕方ない状態になってる。
だったら、わざと見え隠れして、じらして、この門ごとアイツにぶっ壊させるってのはどうだ?
この門の隙間からじゃ、俺らは入るスペースが限られてる。それより門をぶっ壊してもらって、
大きなスペースから出入りできるようになった方が、有利じゃないかな?」
「たしかに。」
シュリはそう言い、健司と朱音に目をやった。
二人も頷く。
「そうと決まったら、どうするか・・・。俺は少年・ティングほど得意ではないが、分身の術が
使える。その分身で入るそぶりを見せてみよう。」
健司はそういうと同時に、拳を重ね、全身に神経を統一させた。
「おおおお・・・ヽ((◎д◎ ))ゝ」
ルースは目を丸くした。健司が、5人いる。ルースは「気」を読むことが得意ではないので、
どれが本物か全くわからなかった。
シュリは気を読み、右から2番目が本物だとわかったし、朱音は異聞の父親だからだろうか、
本物の健司だけ、色濃く見えた。
「じゃ!いってくる。」
5人の健司は揃ってそういうと、本物だけを残し、分身は扉の付近に近づいて、日本刀を抜き、
一人ずつ中へと飛び込んだ。
フハハハハハ・・・・
と言う不気味な声が、嬉しそうに響き渡る。
分身の健司は入っては吹っ飛ばされ、吹っ飛ばされては入り、を繰り返した。
もちろん偽者の体なので、いくら怪我をしても、痛みなどなく、再び扉の付近でひょいひょいと
動き回るのだ。
10分ほどそれを繰り返していると、「ぼうや」もさすがに苛立ってきたらしく、
ヴうううううううううぃぃぃいいいい!!!
と腹立たしそうな声を上げた。ガチャガチャと邪魔な鎧を脱ごうとしているのがわかる。
「ぼうや、まて、それは分身だ!いくら攻撃しても無駄だよ(;°皿°)?!」
王は焦ってぼうやに命令したが、そのことばがぼうやの脳に届くのと、
脱ぎ捨てた鎧を、黒い扉に向かって投げつけたのは、同時だった。
ガッシャーン・・・・・!
という鎧が扉にぶつかる音。
投げた勢いが激しく、その投てきには「気」もこもっていたため、鎧が扉にぶつかった瞬間、
扉と共に、その周りの壁も大きく破壊された。
王は頭を抱えた。
鎧で抑えていた「気」が、全開になってしまった。
(まぁ、「服従の魔術」がかかっているから、大丈夫だがな。城がめちゃくちゃになるなぁ…。)
王はそれが面倒ではあったが、手下にやらせればいい事だと割り切り、ぼうやに命令した。
「あそこの4人のうち、女だけを生け捕りにし、あとは息の根を止めろ!」
「カシコマリ・・・マシタ。」
鎧を脱ぎ捨て、異様に大きい幼児体系をあらわにしたぼうや。
そのぼうやの、ありのままの「気」と戦う事になった4人。
ぼうやの眼は「戦える」という、悦びに満ちて輝いている。
王にたどり着くには、こいつを倒すしかないのだ。後には退けない・・・
小説NO.69 『 黒い門の、前 』
健司と朱音が全力疾走している道は、一切曲がり角の無い、一本道だった。
床や壁は、凍った世界を抜けて、再び大理石になっている。
長い。一本道なのに、何故見えないのだろう、シュリたちが。
実はシュリとルースも、最初は駆けていたのだが、あまりの長さに驚いたので、結局はルースが
竜となり、空間を飛びぬけたのであった。
「ルースは竜になれるからなぁ。飛んだんだろ(・ω・)b」
健司はそういいつつ
(・・・まてよ、じゃあ走っていたら、どれだけかかるんだよ( ̄Д ̄;;!!)
という気持ちに駆られた。
「朱音。火の鳥の羽、まだ、持ってるか?」
健司の問いに、朱音は頷いた。
「よし来た!それを貸してくれないか?
俺も後3本持っている。朱音が1本貸してくれたら左右で4本。
気を込めて、朱音も気を俺に送ってくれれば、竜ほどの速さは無いが、飛んでいけるぞ( ̄∇ ̄+)?」
得意げな健司に、朱音は黙って羽を差し出した。
サラの事がまだ気になっている朱音の気持ちを晴らそうと、健司が明るく振舞ってくれているのが、
逆に辛かった。でもそこは、親の愛。それも分かる気がしたので、朱音は何も言わないでいた。
健司は4本の羽を広げると、一本ずつ、肩に刺し、もう一本ずつは足首に刺した。
「さーて。背中に乗ってくれ!で、朱鳳凰をもしばらく羽ばたかせておいてくれないか?
より早く飛べるから。」
「分かったわ。」
朱音は返事をすると同時に、健司の背中にまたがり、朱鳳凰を掲げて呼びかけた。
「朱鳳凰、羽ばたいて!シュリたちのもとへ早く行くのに、
あなたの力が必要なのよ!!」
キューーーーーーン・・・
回復の魔術ですっかりもとの力に戻った朱鳳凰は、大きく柄の上から先で、羽ばたいた。
「おっしゃ!」
健司は手を左右に広げると、「火の鳥の羽」に気を込め、「飛行の魔術」を唱えた。
飛行の魔術は、今回で言う、「火の鳥の羽」のように、何か飛行の手助けをしてくれるものが
ある場合のみ、使う事ができる魔術である。
ぶわり・・・
二人の体は、1mほど、宙に浮いた。
そして4本の羽と、朱鳳凰は風を羽に受けながら羽ばたき、かなりのスピードで、前へ、前へと
突き進んだ。
走るより倍以上のスピードで。
暫くすると、2人の人らしき点が確認できた。シュリとルースである。
ここまできたら再開までにそう時間はかからなかった。
「シュリー!ルースー(。・ω・)ノ゙!!」
朱音は大声で二人に叫んだ。
振り返る二人。暗い顔をしていた二人であったが、朱音と健司にあえた喜びで、顔がほころんだ。
そこにサラが居ない。
そのことはもう今は割り切る事にしていた。・・・割り切らざるをえなかったのかも、しれない。
「会えた!よかった!」
シュリが二人にハグをする。
「こいつったら、朱音ちゃんがいないと寂しいよーってめそめそしてたんだぜ\( ̄ー ̄)?」
ルースは冗談を飛ばして皆を笑わせた。
シュリだけは、「言ってない((>д<))!!」と、断固言い張っていたが・・・;
「この扉、すげぇな。どうやって開けるんだ?」
健司は目の前の黒光りする大きな扉を目にしてそういった。
「まだ、何もしてないんです。皆が揃ったら、そこら辺も、話し合おうと思って。」
シュリは扉に触れた。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
その門の向こう側では、王が水晶玉を覗き込んでフンっと鼻をならしていた。
「馬鹿なティングめ。一人殺しただけか。役立たずだな(`ヘ´#)!
ぼうや、おまえはそんなこと、ないよな?」
王の言葉にぼうやは頷き、表情の無い顔で、
「ミンナ。殺ス。」
そう応えた。
王は満足げに笑うと、
「では、門でも開けてやるか。死にに来たクソどもを、ぼうやの力で
死界へおくってやろう・・・( ̄ー ̄)」
そう言って、中指と親指をすり合わせ、「パチンッ」っと音を鳴らした。
ぎ、ぎ。ギギギギ・・・・・・ィイイイ・・・・
シュリが触れている門が音を立てて勝手に開き始めた。
シュリもそれには驚きである。
(勝手に入ってきてもいいってことか?!それほど余裕があるのか・・・?!
NO,1のティングを失ってなお、余裕があるとは、どういうことだ・・・)
シュリだけでなく、ルースも朱音も、そして健司も同じことを思っていた。
「王は何かをたくらんでいる。
ヤツが一人で、作戦もなしに、4人相手に戦うはずが無い。危険だ・・・
これから何があろうとも、皆、動じるな。もう僕も、決して動じないよ。約束だ。」
シュリは4人の中央に手を差し伸べた。
朱音がまず、その手を握った。次にルース、健司も。「サラの手も、きっと死界から、そこに伸びている」
皆、そう信じて・・・。
「さぁ。いこう!」
「おお!」
掛け声と共に皆は手を離すと、人が通れるほどの幅が開いた門の中へ、入っていった。
王の部屋。ぼうやの居場所。
ついに到着である。ぼうやの存在すら知らない四人。
どのような戦いが、待っているのだろうか・・・。
『ブログ』 スマイル。~「しあわせ」の、花。~
ブログネタ:NO ○○, NO LIFE.
小説NO.68 『 仲間 の 他界 』
健司はティングの魂がこの世からきえているのを確認(感じ取る)すると、
サラの姿を探した。
「サラ?!どこだ(・_・ 三・_・)!!」
返事が、ない。まさか、さらはもう、ティングに溶けてしまい、共に死界へ消えてしまったのだろうか?!
「・・・おじ、ちゃん・・・」
サラのかすれ声が、耳元に飛んできた。どこだ?と、見回す健司。
健司は気づいた。その声は、床に散らばった、サラの弓の中から、聞こえているのだ。
「サラ、ど、どこにいるんだΣ(゚д゚;)?」
「あたい、もう・・・体は残す事、できなかった・・・。ただ、ね。死んでない。ルースの作った、
弓の中に・・・魂が残ってる。そこしか居場所が、なくて。
なんだか・・・眠くて・・・仕方ない、けれど・・・」
サラは眠いのではない。魂が消えかかっているのである。
まずい・・・健司はその弓のところへ足を引きずっていくと、弓をしっかり抱えて回復の魔術をかけた。
自分自身、弱っているし、朱音も助けなくてはならない。
しかし、今一番「死」がせまっているのは、間違いなくサラなのだ。
キャンドルの火のような、あたたかな光が弓を包み込む。
「サラ。しばらくこの熱を吸い込んでくれ。寝るな、絶対、眠っては,だめだ!」
「う・・・ん・・・」
サラはそう言ったきり、何も喋らなくなった。
「サラ、サラ?!」
健司の放っていた光が、徐々に消えていく。
回復の魔術は、魂があるところでしか働かない。
・・・つまり・・・サラは、この世から、消えてしまったのだ。 死界へと、姿を消したのである。
「サラーーーーーーー!!!!!!!」
健司は弓に向かって叫んだ。
ほんの少し、遅かったのだ・・・。
サラは身を犠牲にして、体に呑まれながら、ティングを倒したのだ。自らの命と引き換えに。
「あ・・・ぅぅ・・・」
健司の目からは、大粒の涙が止まることなく、流れ落ちた。健司が泣く。
それは、岩砕の時代から数えても、ほとんど無いことである。
止まらない涙。
消えてしまったサラの魂、命。
しばらく健司は、その場に座り込んでひたすら涙していた。
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王の部屋へ向かっている二人は、目の前に、黒く、大きな扉が待ち構えている
位置まで来ていた。
「サラ・・・の気が、消えた・・・。嘘だろ・・・。」
ルースはシュリより先に、それを感じ取っていた。
シュリは「まさか」と思いつつも、気を探った。・・・確かに、サラの気だけ、消えている。
「・・・どうやら、事実だ。」
ルースはただただ呆然とし、扉など目に入っていない状態になっている。
シュリもショックや哀しみを超えた感情が込み上げていたが、ぐっと我慢するしかなかった。
「二人でおろおろしていたら、どうにもならない」という気持ちと、「ルースを支えてやらねば…」
という気持ちが彼をそうさせた。
「ルース、扉を開ける前に、ちょっと落ちつこう、サラは体を張って、岩砕殿と朱音を救ったんだ。
な?この戦いが終わるまで、・・・・」
「わかってるさ!」
ルースは歯を食いしばってギラっと前の扉を睨んだ。一瞬呆然とした状態になっていた彼だが、
自らの気持ちで、心を奮い立たせたようだ。そしてルースは続けた。
「これもすべて、王のせいだ。王がこんな世界にしちまったから、
こんなことに・・・。俺はサラを立派だと思う。大好きなヤツだった。
だからこそ!俺は負けねぇ。サラのように命を張ってでも、王をぶっ潰す!
サラは、な。俺らが悲しむ姿なんて、見たくねぇに決まってる。
むしろ、サラができなかったことを、俺はやってみせる!!!!」
「ああ。その通りだな。もう少ししたら、岩砕殿と、朱音がくるだろう。
そこまで、待たないか?もう、分かれて戦うのはこりごりなんだ・・・。
終結してこそできる事の方が、多い。そう思わないか?」
シュリの言葉にルースは短く「ああ。」と言った。
これまでに無いほど大きな門。この向こうに、王がいる。仲間の集結、それを待つため、シュリと
ルースは、門から少し離れて腰かけた。
二人とも、交わす言葉も、なく・・・。
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健司は自らの呼吸を整え、涙をぬぐうと、すぐに朱音の救助に向かった。
朱音は自分でも回復させようとしていたらしく、言葉が喋れるほどに、なっていた。
どうやら状況も、掴んでいるようだ。目からはやはり、涙が溢れ出している。
健司は何も言わず、回復の魔術を朱音にかけた。
朱音も「ありがとう。」といっただけで、サラについては、何も触れなかった。
朱音がすぐに回復したため、次は健司の傷を癒す作業に移った。
健司は回復の魔術を自分にかけようとしたが、気力が限界に来ていた。
朱音は「もしかしたら・・・」と、火の鳥の羽を取り出し、気を込めて、健司を仰いだ。
するとどうだろう。
虹色の粒子が健司を包み込み、その粒子は傷や痛みをのせて、空へ飛んでいったのだ。
外傷が治っただけでなく、その後の健司は、普段の活力も復活していた。
「さ、シュリたちのとこへ、いきましょ?」
朱音は涙のあとを残したまま、健司にそういった。
健司は頷くと同時に、そっと朱音の頬を拭ってやった。
健司と朱音は駆けた。急いでシュリ、ルースに追いつくために。
最終戦が、近づいている・・・


