小説NO.63 ~現われし、NO. 1~
「なんだ?この霜柱は!(´Д`;)))」
ガタガタ寒さに震えながらも、ルースは前方に現れた霜柱の一本を拳で殴った。
バシッ・・・バシッ・・・バシッ・・・バシバシバシ!
びくともしないこの「氷の棒」にイライラしながら、ルースは最後に蹴りも加えた。
「大人気ないってばぁ(。・ε・。)!」
サラに注意され、ルースは「フンッ」と言いつつも、霜柱を叩くのをやめた。
シュリは、氷の柱をじっと見つめていた。
記憶の中の「ヤツ」を思い出しながら・・・。
シュリは王の息子と言えども、ヤツに直接会った事はない。
もしかしたら宮殿やその外で、会っていたのかもしれないが、6変化するヤツを、
「こいつだ!」と見破る事はできなかった。
「他人の体に軽々しく触れるのは、やめてもらえないかな?」
シュリが過去の回想をしていたその時、太い男の声が、霜柱の中で響いた。
「だ、だれ?!」
朱音が前後の霜柱を交互に見ながら言う。
すると、ルースが先ほど叩いていた位置から、雪のように真っ白で巨体な何者かが、
ごろりと転がるように、姿を現した。
まるで雪男だ。身長は3m近くあるのではないだろうか・・・。
唇も、まつ毛も霜に覆われ、白熊のように、がっちりとした体つき。
「私かね。私は、ティングだよ。知っているかも、しれんがね。」
朱音の問いに、その雪男は皆を見下ろすようにして、答えた。
(やはり・・・ヤツ(ティング)だったか・・・!!)
シュリは脚に力を込めると、グッと踏み出し、気の剣で突然ティングに切りつけた。
ザクッ・・・
気の剣は、雪男・ティングの下腹部に突き刺さった。
驚く4人の仲間たち。
シュリが予想外の動きに出たので、皆、あっけにとられていたのだ。
「なんだね、シュリ君?」
ティングは凍った唇を少し歪めながら、シュリを見下ろした。
「貴様と戦うってことは、6人と戦うようなものだからな!
ゆっくりしていたら、こちらの体力と時間が無駄になっちまうんだよ!!」
そう言うとシュリは、気の剣を更に伸ばし、上に飛び上がりながら雪男・ティングを立てに切り裂いた。
切り裂かれながらも、ティングは太い腕で、シュリの髪の毛をわしづかみにし、
後方の霜柱まで吹っ飛ばした。
(凄い力だ・・・。軽く投げただけで、シュリがあんなにも吹っ飛んでしまうだなんて!)
健司は目の前で繰り広げられ始めた、突然の戦いに見入っていた。
ボスッ・・・・!!
鈍い音をたて、シュリは後方の霜柱にぶち当たった。当たった位置から床に、ズルっと滑り落ちる。
よくみると、シュリの義足と義手はガチガチに凍り付いていた。
「フン・・・。最初は、最低レベルの「気」しかもたない姿から戦い始めても、
ただじゃやられないってことか・・・。ゲホッ・・・」
シュリは飛まつした氷の粒を吸い込んで、むせている。
むせ、むせ続けているうちに、シュリの顔色は真っ青になっていった。
それと同時に、ティングも、もがき苦しんでいた。
があぁぁぁぁぁぁああああ!!!!
…というすさまじい声を上げると、雪男の体は真っ二つに裂けた。
「…しゅ、シュリ?!」
朱音は急いでシュリに駆け寄る。
蒼白を超え、真っ青なシュリ…。
「朱鳳凰でシュリを包んで暖めてやるんだ!シュリは吹っ飛ばされる瞬間、
かなりの細かい氷を飲み込んでいる。放っておくと、その氷は霜柱のように、
彼の中で大きくなって、最後にはシュリを内側から突きぬいてしまうぞ!」
健司は急いで朱音に指示を出した。
朱音は頷く間もなく、剣部分に朱鳳凰の翼を広げさせ、シュリを包み込んだ。
「でも、よかったわ・・・シュリのおかげでこんなにも早く、NO.1のティングを倒せただなんて…(・ω・)b」
サラはホッと息をついた。
「誰が、倒されただって?チャンチャラおかしいぜ┐( ̄ヘ ̄)┌!」
真っ二つになった雪男の中から、今度は少年のような声がする。
「あと5人分ってことか(`・ω・´)」
健司がそう言うと、ルースは深く頷いた。
2変化目のティング・・・。次は一体どうなるのだろうか・・・。
変化ごとに、どんどん力は上がっていくのだ。
謎の男「ティング」。
ヤツとの戦いは、まだ・・・幕を開けたばかりである。
小説NO.62 「 氷の世界 」
ライ・リーとの戦いは終わった。
もう切り替えなければ成らない。みんなそう、解っていた。
これがゴールではないのだから。
「シュリ。ありがとう('-^*)/もう大丈夫。」
朱音はシュリの胸の中でそう言った。
「もうちょっと、こうしていたい・・・けどな。行こうか(・・。)ゞ
照れくさそうに、シュリも言う。
サラもルースから「気」を貰い、すっかり元気になっていた。
健司は先ほどの石のことはシュリに伝えるのをやめようと誓うと、皆に声をかけた。
インストラクターのように。
「いっくぞー(o^-')b!」
「はーい(・ω・)/」
皆も素直に返事する。
返事すると同時に、5人はまた、先へ、先へと進みだした。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「くっそぅ・・・。ライ・リーまであっさりやられるとは・・・想定外だな・・・。
一人ぐらい生け捕りか、あの世行きには出来ると思っていたが・・・゛(`ヘ´#)」
王は水晶玉をパチン、と叩くと、イライラしながらぼうやを見た。
(先ほどかけた魔法が利いているのか?よしよし・・・(-_☆))
王はニヤリと笑う。
「ぼうや」は与えられた鎧に身を包み、これまで「キャッキャ」と遊んでいた彼とは思えぬほど
冷静に、黙って立っていた。
一点を見つめ、王が話しかけるとは、静かに頷く。
「服従の魔法」
王が彼にかけたのは、この魔法であった。
魔法をかけたものの意思のみで動くように、コントロールする魔法だ。
ある意味マインドコントロールより恐ろしい服従心を持つ。
王が命令しない限り、動く事はない。ほぼ、ロボット状態だ。
「まぁ、あとはティングがあいつらを片付けてくれるだろうが、な。
念には念が必要だ、そうだろ?ぼうや?」
「はい。そうで御座います。」
王とぼうやの会話は、これまでとは一転していた・・・。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
カッツ・・・カッツ・・・
5人は再び道を歩いていた。相変わらず、大理石の廊下。
しかし、何だか「霜」のような細かな氷の粒がざらざらとこびり付いている。
「なんだか・・・寒い(´・ω・`)」
サラの言葉は最もだった。
息をはぁー・・・っと吐くと、白くくもる。
「ここは、北極か南極なのか?!」
ルースは歯をがくがくさせながら言った。鼻水も凍っている。
「極地・・・。には違いないだろうな。王はきっと、宮殿の頂上にいる。
それだけ、近づいているってことさ。」
シュリは義足と義手の部分があるので、皆ほど寒さは感じない。
しかし、義手・義足の継ぎ目に霜がつくのを避けたいと感じていた。
動きが制御されてしまうからだ。
(冷えがもっとひどくなったら、朱鳳凰の力を借りるかもしれないなぁ・・・)
シュリはそんな事を考えていた。
・・・いつの間にか、大理石の床は氷のプレートになっていた。
どんどん・・・どんどん・・・寒さが増す。
全員ガタガタと震えだした。さすがにきつい。
こんな気温など、この世界ではそうも味わう事がないからだ。
パキン・・・バキバキバキ・・・・!!!!
突如、氷が張るような・・・又は、割れるような音がした。
「な、なんだΣ(゚д゚;)??ヴ~サブイ。。」
健司が振り返ると、そこには霜柱がそこらじゅうに並んでいる。
今歩んできた道を、阻まれたのだ。
「なによ、これ・・・?!」
朱音も手をこすり合わせながら驚く。もちろんその他のメンバーも驚きを隠せない。
パキン・・・バキバキバキ・・・・!!!!
もう一度、今度は前方で同じ音がした。
嫌な予感が・・・みなの頭の中をよぎる。
予想は的中してしまっていた。
目の前には、霜柱の柵。
前に進めない。後ろにも、引けない。
一体、どうすればよいのか・・・。
シュリは、思った。
(アイツが来た・・・。)
と・・・。
小説NO.61 『 ライ・リーVSシュリ、朱音 』 後編
パチーンッ・・・
サラは、シュリの頬に平手打ちをくらわした。
その後も2回、3回、平手打ちを繰り返す。
「・・・・・。」
シュリは言葉も出ず、少しふらつきながら、驚きの目で、サラを見た。
「シュリ、あんた・・・」
サラは狼のときより更に厳しい目つきでシュリを睨みつけ、言葉を続ける。
「あんた、今、死んでしまって嫌なのはどっち?ライ・リー?それとも朱音さん?
どっちも生かす方法は、ないわ。でもね・・・
シュリがあそこへ行って、どちらかのために命を張ってでも戦えば、そのどちらかは生きるのよ!
そこでじっとしてたら、たいせつな者を、かけがえのない人を・・・
あなたはなくすのよ!!!目を覚まして!シュリ・・・お願い!」
サラは号泣した。ボロボロと零れる涙も、床に落ちることはない。この熱風で、すぐに蒸発する。
(今、死んでしまって・・・困る、かけがえのない・・・人・・・。)
シュリはその言葉を、心の中で繰り返していた。
(かけがえのない、大切な人・・・。大切なのは・・・朱音!
朱音に決まってるじゃないか!)
途端にシュリは炎の中へ突進した。振り返ることもなく。
サラは、それを見ると、ホッと床に膝をついた。
ルースはサラを抱き寄せて
「よく、やってくれた。」
そう、囁いた。
シュリにはもう何の迷いもなかった。
ライ・リーを死界へ送る!それが今の目的だ。
炎の中、
朱音とライ・リーは双方体の限界を超える時間、気を使い続けていた。
しかももの凄い暑さという環境の中で・・・。
ライ・リーの変化に朱音は気づいていた。
徐々に・・・ライ・リーの体は小さくなってきている。
そう、ライ・リーは今、自信がキャンドルになっているわけだから、気(炎)を使えば使うほど、
体が溶けていくのである。
それは、ライ・リーが戦える時間を意味していた。
(後どれくらいだろうか・・・。彼女はもう、最初の3分の1くらいしか体の大きさは残っていないわ・・・)
朱音は考えた。自分が後どれくらいたえていられるのか、を。
自分の体が持つ時間であれば、このまま耐えることでライ・リーに勝つことが出来る。
しかし、朱音の体が悲鳴をあげているのも事実・・・。
どうすれば、いいのか。
と、そこへ、黄金の旋風が巻き起こった。
光線のように速く、目にも止まらぬ動き・・・。
「母さん!死界へ逝ってくれ!
そして、もう一度・・・世界に・・・生まれなおしてくれ!!」
(シュリだわ・・・)
朱音は何故シュリの心が動いたのかは、サラの活躍を見ていないため、分からなかったが、
それでも・・・涙が溢れそうになってきた。
シャキーーーーーーーーーーン・・・・・・・
一瞬の出来事。
何が起こったのか、シュリ以外、誰にも分からなかった。
しかし次の瞬間、ひとつの魂が消えたのが皆に分かった。
シュリは、小さくなったライ・リーに、最後緒の一撃を食らわしたのだ。
炎の塊は、一瞬にして消え去った。ホッとした朱音は、意識が朦朧とし、その場に倒れこんだ。
「朱音!」
健司は駆け寄ろうとしたが、その必要がないと分かり、踏みとどまった。
シュリが全身から自分の「気」を放ち、朱音を抱きしめ、彼女の弱った体を回復させていたからだ。
(俺の役目は、こっちか。)
健司は溶けかけで倒れている、ライ・リーに歩み寄り、死界へその残骸もすべて、送りだす
呪文を唱えた。
音もなく、消え去る彼女の姿・・・。
「ん?」
健司はライ・リーの消え去った後に光る何かを発見した。
それは、虹色に輝く宝石・・・。
雫のような、形をしていた。涙のような、形。
まるで、自分の体の中に溜め込んでいた哀しみが、結晶化したかのようにその宝石は輝いていた。
(呪文で死界へ送られないということは、これには魂も悪魔も宿っていない。
・・・ただ、純粋に、ライ・リーが遺したものだな・・・。)
朱音が回復したら、シュリに渡してやろうと健司はそれを拾い上げた。
しかしその宝石は、つまんだ瞬間に砕け散ってしまった。
(息子に哀しみは見せない。)
死界から、そうライ・リーが言っているかのようだった。
ライ・リー。
シュリを本当は愛していたのだろうか?
それは・・・誰にも、わからないまま、彼女は死界へと、去った。
-詩- 『ウナサレ朝でもこんな発見。』 ~新しい、ハッケン。~
うなされて、いたんだ。 自分の叫びが、助けてくれた。
「 あー・・・うーん。うーーぅ。あわわっわわぁああ!! 」
追いかけてくる。魔法から、逃げ切ったんだ。
・・・怖かった・・・やっと、起きられた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
: *※▽●∵+=@£ж※▽●∵~+=@*※▽●∵+=@
夢 : far awawawa..... far awawawawa........
の :
中 : Low side .....find you
:
: no send you ,
: *※▽◎#ё*※▽●∵+=@=@*※▽●∵+=Э@凸
: wow, awawawa......low far wa!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「 あー・・・うーん。うーーぅ。あわわっわわぁああ!! 」
転がるように逃げて、逃げて・・・
「助けて、助けて、」叫んでいて。
最後に起きた言葉。 この叫びで、切り抜けた。
起きても心臓ドキドキ。びくびくしてる。
一人だけの「防空壕」。そんな気分。
鏡を覗き込んで、さ。 微笑んでみる。
「自分」 が 笑顔 で、みつめている。
「だいじょうぶ、だよ。」
鏡の中に語りかける。
もう一人の自分も、私にそっと、語りかける。
深呼吸・・・深呼吸・・・・ふぅ~。
「夢の中」と書いて 「夢中」 。
ムチュウで逃げたな。ホント。ハハッ。
だから「夢中」って、こういう意味なのか・・・。
だとしたら、そう軽々しく言えないなぁ。「夢中でやりました。」なんて。
新しい、発見。 体感して、発見!
スリリングに、愉しんだんだ。 さ、笑おう!
今朝も、SMILE。シャワーを浴びて、さっぱりと。
小説NO.60 『 ライ・リーVSシュリ、朱音 』 中編
シュリは母親の左胸目掛けて踏み込んだ。・・・が、そこから先、剣を前に突き出せない。
踏み込んで構えたまま、嫌な汗が、湧き出る。
(何故・・・何故、ここまできて・・・?!)
シュリは自分でも自らの意思の薄弱さに悔しさが込み上げた。
(何やってんのよ、シュリ・・・!?)
朱音は朱鳳凰に気を込め、一人でライ・リーの左胸に剣を向けた。
朱鳳凰が魂の声をあげる。
キューーーーーン・・・・
しかし、朱鳳凰は燃える剣。近づくほどに、ライ・リーの蝋を溶かすのを助けているようなもの。
再び発火しだすのも、時間の問題だ。朱音はそれに気づき、いったん踏みとどまる。
「さぁ、もう一回いきましょうか(▽´ )ツ?」
ライ・リーの両腕は、既に小さな炎を帯び始めていた。
にやりと微笑を浮べる、ライ・リー。
(まずい。まずいわ・・・)
いちかばちかで、朱音はライ・リーに飛び込んだ。朱鳳凰と共に・・・。
どうなるか分からない。しかし、朱音は自分が行かねばならないと感じた。
一瞬にして二人は大きな炎の塊と化した。
周りからは、その炎の中で、朱音とライ・リーがどうなっているのか・・・全く分からない。
・・・炎の中。
朱音はこれまでにないほど大きく燃える朱鳳凰を振りかざしていた。
それに対し、ライ・リーは、腕の全てを巨大なキャンドルに変化させ、
更に強く燃えあげながら、朱鳳凰に喰いついていた。
炎と炎のぶつかり合い。
熱く焦げてしまいそうな熱風が、廊下中に広がった。
「ま、まずいだろ、これ・・・(@Д@;」
ルースは朱音の身が持たなくなるのを心配し、駆け寄ろうとする。
しかし健司はそれを引き止めた。
「まて!
気持ちは分かるが、炎を基本の武器としない者があそこへいってみろ、
助けるどころか、死ぬのはお前だぞ!いくら炎が吹けるからといっても、お前は炎の戦士じゃない。
それはここにいる皆、同じだ。
立ち向かえるとしたら・・・悪魔を取り去った体を持つ、シュリの「気」くらいだ・・・。」
駆け寄りたい気持ちは、健司だって同じだった。ただ、助けることが、不可能なのだ。
サラはその会話を聞き、シュリのほうを見た。
シュリは構えたまま、未だ動けないでいる。嫌な夢を見ているように、目の前の光景を、
苦い表情で見つめていた。
髪は汗でぐっしょりになっている。
(なによ・・・朱音さんが、大事なんじゃないの?!)
サラはおもむろに弓矢を構えると一本の矢を、射った。
ライ・リーに向けてではない。
その矢は、シュリの目の前スレスレを通過して大理石の壁に穴をあけた。
「な、何やってんだ?!お、お前(゜д゜;)!!」
ルースも健司も驚愕した。まさかサラが仲間のシュリに矢を射るだなんて思ってもいなかったから。
それよりも、一番驚いていたのは、シュリ本人だった。
朱音たちから目をそらし、サラを目をまん丸にして見つめている。
サラはいたって冷静だ。
シュリのほうへ、歩み寄る。
ゆっくり、ゆっくり、歩み寄り、シュリの目の前で足を・・・止めた。
サラは、何がしたいのか・・・
小説NO.59 『 ライ・リーVSシュリ、朱音 』 前編
「シュリ・・・。」
サラはこれまでみたこともないシュリの様子に動揺した。ルースのマントの端を握っている。
ルースは何も言わず、似通った二人の顔を見つめていた。幼い頃、ルースは母親を亡くしていた。
その時彼は泣いた。
愛し、愛されていたから。
どんな言葉を、シュリにかけていいのか・・・わからなかったのだ。
健司は現世・この世界・死界、全ての世を覚えている。
いろんな人を見、いろんな悲しみを知っている。
しかしそこに介入したことはない。カウンセラーではないから・・・。
彼はこのままライ・リーに攻撃していいものか、今は少し見守るべきかを考えていた。
・・・と、そのとき∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
バコーン!
と、シュリの頭は、はっ倒されたΣ(゚д゚;)
張り手を入れたのは・・・朱音である。
「なにガタガタしてんの!いつものシュリはどうしたの?
とうの昔に裏切り者扱いされてんじゃないの!父親に!
その父親を倒しに来たんでしょ?こいつが母親だって?!だから何よ。
あんたを産んでくれたことには感謝。でもね、
あんたを敵視してること、あんたを愛していないのも確か!
そんなやつに青白い顔みせてどうすんのよ!
私はシュリ、あなたを両親以上に愛してる。
欲張り言ってんじゃない!割り切れ!」
一瞬辺りがシーンとなった。
廃墟でぼろ布のような生活を一人きりでしていた朱音。現世では父(健司)の死を体験し、
この世界では、生きている家族とも会えずにいる彼女。
言葉に、重みがあった・・・。
「な、何するんだよっヽ(`Д´)ノ!
朱音!僕はガタガタなんて・・・してないさ!母親だとも思ってない、こんなヤツ・・・
こいつを倒して、NO.1も倒して、最終的に王も消してやる!
それだけのことだろ?俺が・・・こいつを倒す。
それと、恥ずかしいことこんなとこで、い・・・いうなよ(//・_・//)」
シュリの顔はいつもの表情に戻っていた。
「割り切れ」。
この言葉が、彼を動かしたのだ。
「ふふん。もう、おしゃべりはいいかしら?行くわよ~?」
ライ・リーはやり取りを愉しそうに眺めていた。
「ムカつく女ね(`ε´)!シュリ、私も一緒に参戦するわ。イヤって言ってもする。
2対1、いいでしょ?ライ・リー?」
朱音の言葉に、ライ・リーは「もちろん。」と答える。
シュリは「やれやれ・・・」という顔をしたが、実は嬉しかったし、ありがたかった。
自分ひとりで、戦う。
その自信が、やはり持ちきれなかったから・・・。
朱音の言葉、朱音の声、気、何より「愛」と一緒ならば、
彼は何だってできる気がした。
「じらすわねぇ。もう、いくわよ(´0ノ`*)!」
そういうと、ライ・リーの両手はキャンドルに変化した。
炎を浮べ、大理石の上を、スケートのように滑り込んでくる。
その・・・素早いこと・・・!!
キャンドルの両手は柔らかな蝋のように、グニャりと曲がり、伸び・・・右手はシュリへ、
左手は朱音へと向かってきた。
シュリは気の剣を伸ばすと、その炎を払う。しかし、炎は笑い顔で揺らめくだけ。
朱音は朱鳳凰で蝋部分を切り裂こうとした。だが、蝋は朱鳳凰に巻きついて、動きについてまわる。
「ぐにゃぐにゃ気持ち悪いわねぇ!」
朱音が叫ぶとライ・リーは笑った。
「し・な・や・か、と言ってちょうだいな('-^*)/♪」
朱音は朱鳳凰に熱を込め、蝋を溶かしてキャンドルの拘束から逃れた。
(どうすれば、いいかしら・・・)
シュリは蝋と炎のつなぎ目の糸を狙っていた。
気の剣を伸縮させ、ピンポイントを狙っての攻撃。
スパーン・・・
と言う音と共に、蝋の先に燃える炎は消えた。
そちらに気をとられているライ・リーに気づき、朱音は朱鳳凰でもう一方もピンポイント攻撃。
双方とも炎を消し去った。
(よし・・・(°∀°)b )
朱音もシュリもそう思った。ルースもサラも・・・。
しかし健司が叫ぶ。
「まだだぞ!蝋燭は蝋が溶ければまた糸がでるだろ?!
今のうちに体自体を狙えって!」
ライ・リーは蝋を溶かし、また炎を造り出す体勢に入っていた。健司の言葉に、顔を歪ませる。
(そうか・・・たしかに!)
シュリと朱音は目くばせした。
ここからが、本格的な攻撃である。
ライ・リーの弱点は、分かったのだから・・・!!
小説NO.58 『 王、ライ・リー、シュリの過去 』
今日は、シュリの誕生までのお話を、しておこうと思う。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
現在の王(シュリの父)はその昔、2代目の王の右腕として、忠実に仕える兵であった。
2代目の王は、初代の王、岩砕(健司のこと)が、死界へ去った後、
皆から推薦された人物であった。
彼は岩砕と同様、平和主義で、何よりこの世界の住民のことを考える人物であり、人として
皆から尊敬される人物。彼を嫌うものはいなかった。
彼は、何をするにも現・王、つまりシュリの父、に相談をし、どこに行くにも彼と共にこの世界を周った。
しかし、現・王は「自分が2代目に推されなかった」事実に、内心、
怒りとひがみを感じていた。
(いつか自分が王になる。
こいつは邪魔だ・・・!)
そうした想いは徐々に・・・親友である2代目の王への殺意へと変わっていったのだ。
2代目の王は、現・王にまさか殺意を抱かれているとは思ってもいない。
そのため、2人で出かけたある日・・・
現・王は2代目・王を殺害した。
もちろん周りは現・王が親友を殺すだなんて思ってもいない。
現・王も、巧妙な話術とマインドコントロールによって周りに「2代目・王が暗殺された」と
思い込ませた。
次に王になるのは現・王しかいるはずもなく、こうして彼は自分の地位を形成したのだった。
彼は兵を集め、集会を開くたびに徐々に彼らの心を自分の色に染めていった。
家来は王をさらに信頼するようになり、「王の意見は絶対だ」という、
今の状態にまでなってしまった。
もちろん、マインドコントロールにかかることがなかった血縁関係者はこの時点で、この世界から
姿をけした。
王にとって、いわゆる「邪魔者たち」。
そうしたとき、彼は「3つの世界を全て自分のものにしよう」という計画を思いつく。
それからだった。
彼は兵を鍛え、その中から5人選抜し、自分の周りに置くようになったのは・・・。
のこされた兵は、「王にお近づきになりたい」という気持ちから、どんどんと腕を上げていく。
こうして弱肉強食の世界が家来の中で成り立つようになり、何回もTOP5は入れ替わり立ち代りを
繰り返した。
そんなある日。
初めてTOP5に女性兵士が入ってきた。
ブロンドの髪の美しい女性。そして、とてつもなく強い兵であった。
そのときはティングがいなかったため、彼女はすぐにTOPの座についた。
王はこの女を「兵としてだけでなく、いつでも抱ける存在にしたい。」と考えた。
考えてしまえば実行するのは簡単なことである。
「王の考え・意見は絶対」なのだから、その女性、ライ・リーも文句ひとつ言わず、王に抱かれる
日々を送った。
そうした日々が続けば子供が出来てしまうのは当たり前のこと。
王は欲のままに生きているのだから・・・。
望みもせず、マインドコントロールにかかることもなく、生まれてしまったのが、シュリだった。
ライ・リーの血がはいっていることから、王はシュリならマインドコントロールできると考えていた。
・・・が、それは間違いだったのだ。
シュリの中には王の血が確実に流れており、全くもって自分の「道具」には成らなかった。
しかも、最後には反発してくる始末。
こうして今の王と、シュリの哀しい関係は成り立ってしまったのであった。
ライ・リーはシュリを愛していなかったのだろうか?
それは分からない。
マインドコントロールされている者の感情はあってないようなもの。
王がシュリを憎めば、ライ・リーもシュリを憎むのである。
実際、ライ・リーの心が生きていればどうだったかは、分からないにしろ、
現実として、
シュリは両親ともに、「裏切り者」扱いされてしまっているのだった・・・。
シュリは、愛されたかったのに・・・。
王に。
ライ・リーに。
どちらかだけでも、よかった。愛して欲しかったのだ。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
その思いが今、シュリの頭にフラッシュバックしていた。
ひとりじゃない。わかって、いるはずなのに・・・。



