小説NO.100 「 杖を突く、少年 との出逢い 」
「お、俺っ?」
朱音が声をかけると、その少年は杖を軸にして、くるっとこちらを向いた。
身長は高いがまだ顔が幼い。切長の目、高い鼻・・・。
朱音はしばらく少年の顔をぼんやり眺めていた。それが、なぜなのかは・・・よく、わからなかったが。
「なんだよっσ(^_^;)俺じゃないのかよっ!」
朱音の視線を恥ずかしそうに振り払って、少年は再び向こうへと歩いて行こうとした。
「あ、待って(°д°;;)!」
朱音はやっと我に返った。
「ねぇ、今、暇?」
朱音のことばに少年は不思議そうな顔をしたが、
「ああ。」
と、ぶっきらぼうに答えた。
(なんだ(-.-;)?この姉ちゃん、「飴いる?」とか「暇?」とか・・・。
ハッ( ̄□ ̄;)!ヒョッとして、これは、逆ナン( ̄ー+ ̄)?!)
少年はひとりで色々妄想していたが、その時、自分の意思に反して、声が出た。
「良かった…。帰ってきたんだな(^o^)/!」
…と。
まるで自分のなかで、誰かが喋ったかのような現象に、少年は困惑した。
朱音も意味がわからなくなり、思わず
「(・_・)エッ......?」
と、聞き直した。
(今、この子・・・「帰ってきた」って、言ったわよ…ね?何で・・・?)
朱音が呆気にとられているのをみて、少年はまたまた恥ずかしくなり、杖をついて逃げようとした。
が・・・・・・、
「待って~((>д<))!!!」
と言いながら駆け寄る朱音に、再び捕まってしまったΣ(~∀~||;)
「ちょ、ちょっと、そこの窓辺のソファ、空いてるわ。少し話しましょうよ、ね?」
朱音はなぜかこの少年と話したいと思った。別に飴を一緒にたべたかったわけではない。
何だか、惹かれるものが、あったのだろう。この、少年に。
「…いいよ。なぁ、腕、離せよ゛(`ヘ´#)。痛ぇよ、そんなにつかんじゃ。」
少年はガチッと自分の腕を掴む、細い朱音の手を見て、そう言った。
細いくせに、力は強い・・・。
「あ、f^_^;ごめんね(笑)」
そういうと朱音は手を離し、少年とふたりで窓辺にあるソファへと向かった。
右脚にコルセットをし、杖をつく少年のペースに合わせ、ゆっくりと・・・。
それにしても、少年の口から出たあの言葉は・・・一体なんだったのだろうか・・・?!
~ 初めて泣いた、洋楽。11か12歳の頃。~
洋楽のなかで、初めて自分から買おうって思った曲。
言葉のイミなんてまだ、わからない。
この曲の中に出てくる「Why」とか、「I Know」。
それくらいは、なぜか知ってたんだけどね。小学校6年生のわたし。
はじめて、歌詞のわからない曲で、泣きそうになった。
ひとり、部屋で聴いていて。泣いてるんだよ。
へんな子供、だね。
・・・でも本当に、こころに。響いていたんだ。
この曲が。
Michael Learns To Rock - That's Why (you go away) PCで、ぜひ聴いてください。
小6のわたし。
英文字ばっかりの歌詞カードって、ほとんど見なかったから。
耳で聴いて、覚えてて。
気づいたら、そらで歌えるように。なっていたよ。
いまでも、好きな、この曲。
切なさが伝わってきて。
久しぶりに聴いたら、・・・また。 熱いものが、込み上げたんだ。
小説NO.99 「 ドクター田辺のカウンセリング 2日目 」
田辺が帰宅する頃、まだ朱音は眠れずにいた。
(シュリ…、今頃どうしてるの?1日が経つわ。…ってことは、そちらでは、
私が居なくなってから、もう一年が経とうと、しているのね…?)
朱音の顔は、表情を無くした人形のように、かたまっていた。
ただ、そこには一筋の涙が、流れ続けていた。
チュン…、チュン…。
鳥の声と共に、闇の中から太陽が顔を覗かせ、新しい1日が始まった。
知らぬ間に、朱音も眠っていたようだ。しかし、眠ったといっても、何だか元気がでない。
朝御飯も、珍しく食べるのが億劫。しかし、何とかそれを、お腹におさめた朱音は、また眠りにつこうと
した。
と、そのとき。
「おっはよう!」
田辺が元気に部屋に入ってきた。
「朝からで悪いけど、今日は時間かかるかもしれないから。始めようか!」
「…はい。」
朱音は冴えない声で返事をすると、田辺が案内する部屋に、連れて来られた。
真っ白な壁紙の、新しそうな部屋だった。
空気も何だか気持ちがいい気がする。
「あの、今日は何を?」
朱音が田辺にといかけると、田辺はこう答えた。
「昨日聞いた話、もう一回してほしいんだ。昨日と同じように。
ごめんな、ワタシはどうも、メモ書きしたカルテに水滴を飛ばしてしまった
みたいなんだ。滲んで読めないんだよσ(^◇^;)
だから、お願い。」
(ドジなヤツねぇ…( ̄^ ̄))
朱音はそう思ったが、言われた通り、昨日話した内容、「これまで自分がどうしていたか。」を話した。もちろん、シュリと子供のことも。
話し終えると朱音は田辺に言った。
「ちゃんと保管しといてくださいよ、カルテ(`ヘ´)!」
田辺は優しく頷いた。そして、朱音の目の前に精神科で使われている、精神分析のテストを机に置いた。
「気分転換にこれでも解いてよ♪
精神分析のやつなんだけどさ。
これをやれば、君の発言の信憑性が倍増するんだ。
ワタシは疑ってなんかいないよ?ただ、やらなきゃいけないシステムなんだ。
お願い(^-^)/やってみて?」
(はぁっ(-_-#)?!・・・今話しづめだったと思ったら、これをやるって?
もう…。仕方ないわね。。めんどくさいけど(-.-))
朱音は黙って、ペーパーテストをサラッとこなした。(もちろんブツブツと文句は、言っていたが…(笑))
不思議と、徐々に朱音は、田辺に親近感を抱くようになっていた。
彼の人柄の賜物なのかもしれない。
すべてテストを終えたところで、田辺は朱音に「アセロラキャンディ」を2つ渡して言った。
「ご褒美だよ。お疲れ様(・∀・)朱音さんのペンダントの色にぴったりじゃ
ない?このキャディの色。」
(あ、そういえば(゜д゜;)!ペンダントのこと、何で知ってるのかしら、
この人!!
目覚めてからつけてなかったみたいだし、無くしたんだとおもっていた
けれど・・・。)
焦る朱音を見て、田辺は笑いながら、こう言った。
「あ、もしかして探してた?ごめんね。運ばれてきたときさ、金属があると検査とかしにくいと思って、預かってあるんだ。返すよ、今。」
差し出されたペンダントは、傷一つなく、赤く輝いていた。
「なんで、このペンダント、ここにあるんだろうね?
朱音さんの話は不思議だけど、嘘だとはとても思えないことばかりだ。
今日はここでおわり。部屋でゆっくりしてね。明日にはペーパーの方の結果、
出るようにしとくからさ(°∀°)b 」
そう言うと、フフンと鼻を鳴らしながら、田辺は先に部屋を出て行った。
朱音はペンダントを握りしめる。
(シュリ・・・)
朱音が感慨に浸っている時、ひとりの中学生くらいの少年が、杖をついて歩いているのが見えた。
「ね、ねぇ。キャンディ、いらない?」
なぜか朱音はその少年に、声をかけていた。
「右ですか?左ですか?って?????」
ブログネタ:人の右に立つ? 左に立つ? 参加中
-詩- 生命が入ったふくろ。宝の袋。
わたしのともだち。今、臨月。
動画、送ってくれたんだ。
おなかの、ようす。
服の上からだよ?
でも、すごいんだ。感動したよ。
お腹が・・・
もにょもにょ・・・
ときには、「ぐにょん」てさ。
マッサージチェアーのローラーみたく。
波打ってるんだ。
わたしもこんな感じで、産まれてきたんだね。
みんなもこんな感じで、産まれてきたんだね。
なかにはもう、産んだ方もいるんだよね。
生命って
すごいや。
すくすくすく。グングングン。
育って、おおきく、つよく。生きているんだね。
宝の袋のなかで育っているキミも、もうすぐ見られるよ。
すてきな、光を・・・。
わたしもいつか、産むのかな?
わからないね。それだけは。 今は、空っぽな、わたしの袋。
小説NO.98 「 ドクター田辺の、困惑 」
朱音と話したその晩、
田辺は、彼女のMRIや血液検査の結果を、眺めていた。
(彼女は、脳をふくめ、臓器、そして神経や血液…、何も異常は見られない。
健常者だ。
しかし、彼女の言っていることは、明らかに現実離れしている。
どうしたものか…。)
実際、田辺は困惑していた。
(星崎 朱音の体、精神は、科学的には退院させて良いと言える。
しかし、退院させた場合、彼女は日々の生活に馴染めるだろうか…。)
それが、田辺にとって、一番の悩みどころであった。
娘が…あぶ…ない…。」
…と。
そのとき家族は病院に向かっている途中だった。朱音を含めて。
結局、健司は家族にみとられる事なく、この世を去ったのだ。
つまり、その言葉を聞いたのは、田辺と周りの医師だけである。
あのとき田辺や他の医師は「事故のショックで、死に際の人間が、訳のわからない
ことを言っている…」としか思っていなかった。
しかし、どうだ。
何年ものときを経て、その患者の娘が…その「わけのわからない」はずの台詞に
当てはまるような、経験をしてきたと言うではないか…。
しかも今回の患者、朱音は、無事、命を取り留めた。
(明日、もう一度彼女に、今日と同じことを話してもらおう。
一応、精神的障害がないかのテストもしてみるか。その結果が出るまでは、
退院は控えさせよう。外出には付き添いをつけるか。)
田辺はふぅ…と、溜め息をついた。
(もし、…もし、彼女の発言が一向に変わらず、そして精神的障害も見られ
ない場合は…。
この世界に慣れさせる…いや、「慣れて、暮らしてもらわなければならない。」それを、彼女に、伝えよう。それしか、ない…。)
田辺はカルテにメモ書きをすると、既に夜勤の者しかいなくなり、しんと、
静まり返っている病院を、あとにした。
何年も前、星崎 健司が運ばれてきたとき、彼は生死の境目で、こういったのだった。
「て…敵が、敵が現れる!死界に行くわけには…いかな…い。
-詩- 甘えじょうずな、きみ。いいなぁ。
かわいいね。
って。
コチョ。コチョ。
ぎゅっぎゅっ。・・・ぎゅ。
・・・くぃん。クィン。
鼻ならすんだから。いひっ♪もういっかい。
モジョ。モジョッ。
クゥーン。
キモチよさそうだね。かわいいなぁ。
わたしもね。きみのように、ね。
甘えじょうずだったらなぁ。なんて。
無器用なんだよね。わたしは、さ。
えいっ、これでもか!
クワォン、キャウ~ン♪
パタパタパタパタ…
ちぎれないかなって。心配になるくらい。
ぶんぶん、ブーンブン尻尾振り回して。
きみはムジャキに転がった。
うらやましいなぁ。
・・・ツンッ。
柔らかなけむくじゃらのお腹、つっついて。
あまりのきみの、かわいさに。
自分の甘えベタさが、かなしくなっちゃった。
そんな、ヒトトキ。 いいな・・・。なんて・・・。
~ トモダチ宅の、柴犬 ~





