小説NO.99 「 ドクター田辺のカウンセリング 2日目 」
田辺が帰宅する頃、まだ朱音は眠れずにいた。
(シュリ…、今頃どうしてるの?1日が経つわ。…ってことは、そちらでは、
私が居なくなってから、もう一年が経とうと、しているのね…?)
朱音の顔は、表情を無くした人形のように、かたまっていた。
ただ、そこには一筋の涙が、流れ続けていた。
チュン…、チュン…。
鳥の声と共に、闇の中から太陽が顔を覗かせ、新しい1日が始まった。
知らぬ間に、朱音も眠っていたようだ。しかし、眠ったといっても、何だか元気がでない。
朝御飯も、珍しく食べるのが億劫。しかし、何とかそれを、お腹におさめた朱音は、また眠りにつこうと
した。
と、そのとき。
「おっはよう!」
田辺が元気に部屋に入ってきた。
「朝からで悪いけど、今日は時間かかるかもしれないから。始めようか!」
「…はい。」
朱音は冴えない声で返事をすると、田辺が案内する部屋に、連れて来られた。
真っ白な壁紙の、新しそうな部屋だった。
空気も何だか気持ちがいい気がする。
「あの、今日は何を?」
朱音が田辺にといかけると、田辺はこう答えた。
「昨日聞いた話、もう一回してほしいんだ。昨日と同じように。
ごめんな、ワタシはどうも、メモ書きしたカルテに水滴を飛ばしてしまった
みたいなんだ。滲んで読めないんだよσ(^◇^;)
だから、お願い。」
(ドジなヤツねぇ…( ̄^ ̄))
朱音はそう思ったが、言われた通り、昨日話した内容、「これまで自分がどうしていたか。」を話した。もちろん、シュリと子供のことも。
話し終えると朱音は田辺に言った。
「ちゃんと保管しといてくださいよ、カルテ(`ヘ´)!」
田辺は優しく頷いた。そして、朱音の目の前に精神科で使われている、精神分析のテストを机に置いた。
「気分転換にこれでも解いてよ♪
精神分析のやつなんだけどさ。
これをやれば、君の発言の信憑性が倍増するんだ。
ワタシは疑ってなんかいないよ?ただ、やらなきゃいけないシステムなんだ。
お願い(^-^)/やってみて?」
(はぁっ(-_-#)?!・・・今話しづめだったと思ったら、これをやるって?
もう…。仕方ないわね。。めんどくさいけど(-.-))
朱音は黙って、ペーパーテストをサラッとこなした。(もちろんブツブツと文句は、言っていたが…(笑))
不思議と、徐々に朱音は、田辺に親近感を抱くようになっていた。
彼の人柄の賜物なのかもしれない。
すべてテストを終えたところで、田辺は朱音に「アセロラキャンディ」を2つ渡して言った。
「ご褒美だよ。お疲れ様(・∀・)朱音さんのペンダントの色にぴったりじゃ
ない?このキャディの色。」
(あ、そういえば(゜д゜;)!ペンダントのこと、何で知ってるのかしら、
この人!!
目覚めてからつけてなかったみたいだし、無くしたんだとおもっていた
けれど・・・。)
焦る朱音を見て、田辺は笑いながら、こう言った。
「あ、もしかして探してた?ごめんね。運ばれてきたときさ、金属があると検査とかしにくいと思って、預かってあるんだ。返すよ、今。」
差し出されたペンダントは、傷一つなく、赤く輝いていた。
「なんで、このペンダント、ここにあるんだろうね?
朱音さんの話は不思議だけど、嘘だとはとても思えないことばかりだ。
今日はここでおわり。部屋でゆっくりしてね。明日にはペーパーの方の結果、
出るようにしとくからさ(°∀°)b 」
そう言うと、フフンと鼻を鳴らしながら、田辺は先に部屋を出て行った。
朱音はペンダントを握りしめる。
(シュリ・・・)
朱音が感慨に浸っている時、ひとりの中学生くらいの少年が、杖をついて歩いているのが見えた。
「ね、ねぇ。キャンディ、いらない?」
なぜか朱音はその少年に、声をかけていた。