新世界2-夢世界 1
2019年8月の夢にいる。
僕は炎天下のゴミの山の上で、リサイクル可能金属を含む家電製品を探している。
この仕事がいつから始まった事だろう。
その事は思い出せない。思い出せない事はたくさんある。僕は多くの事を忘れている。
いつから始めたか、その事を思い出す必要はないだろう。僕は多くを忘れている。けれど、いくつかの大切な事は覚えている。
それが生きてゆくために必要な記憶だ。
金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、アルミ、チタン、タンタル、ニオブ。様々な金属がゴミの中には含まれていて、それは時として大変重要なものに変化する。
いつからか人はゴミの山にやってきて、ゴミから必要な物を掘り当てる仕事を起こした。僕もいつからか同じようにゴミの山にやってきて金属漁りを始めるようになった。
時代と共に新しい仕事は生まれてゆく。
時代と共に多くの物が捨てられてゆく。
ゴミは溢れていた。過去の時代が作り出した産物が今の僕の生活を支えている。
一日千円の稼ぎにもならない。それでも一日を生きてゆくためにはそれで十分だ。
僕には生きてゆくためだけに必要なお金があればいい。
41歳独身男は、体細胞生物に似た生命体。
愛は枯れた。恋は干からびた。焼肉は重過ぎる。酒を含んで潤っている。
2019年にはそうなっている。
炎天下のゴミの山で、つらいとか、汚いとか、そんなのなく、プライドもなく、酔い巡りたいなあと考えるのみ。
私はくらくらな夢男。
あ、リモコンが落ちている。
これがお金になるだろう。
2019年8月の出来事。
新世界-作品紹介 1
突然ですが、新作をスタートさせていただきました。
今回の作品は、4つの世界が混ざり合いながら進んでゆくストーリーとなっております。
またより一層わかりにくい作品を書いてしまいますが、
深く読んでいただいても、適当に読んでいただいても、なんとなくいいと思えるような作品に仕上げられたらいいかと思っておりますので、本作にお付き合いいただけたら幸いです。
本作の4つの物語はいくつかの点で繋がり合っています。
「伝文」「夢世界」「孤島の物語」「無職の暇人」
本作品はこれら4つの物語をバラバラに進めていきます。
4つの物語についてはここではあまり語らない事にしておきます。しかし作品紹介として簡単に説明しますと、以下の通りになります。
・伝文
ほぼ、ただの感情的な文章であり、物語とは呼べない。
・夢世界
ストーリー性を持った主軸となる物語である。『夢、世界』と題名のとおり主人公が見る夢の世界である。
・孤島の物語
現実とはかけ離れた世界を美的に描いた小説詩。
・無職の暇人
シュールな笑いを含んだ意味不明小説。
「伝文」「夢世界」「無職の暇人」の主人公は同一人物であり、時間軸が異なる。
「孤島」のみ主人公が異なる。女性の主人公で名前をハナと言う。
前者の主人公は一人称「僕」で表現されるが、後者は主人公は名前(三人称)で表現されている。
ばらばらにも読めますし、4つの物語は繋がっていますので、順番に読んでゆく事もできます。
わからなくなってしまわないようにテーマ別けしておりますので、そちらで確認もできます。
予定としては、5つ目の物語も描く事になるかと思います。物語は徐々に増えてゆくかもしれません。そしていくつかの作品はどこかで終わってゆくでしょう。
今のところ、物語は創作段階の域を越えておりませんので、どのように展開してゆくかは作者自身もわかっていない点があります。
そんな作品を書き出してしまいましたので、この先どうなることやら?と思ってはおりますが、書き始めました。
どうなるにしても、新しい作品を描きたい!という本望と共にスタートさせていただきました。
こころもりょうちの目指すところは「型に嵌らない小説」=「オルターナティブ小説」です。
何かが伝わるような作品に仕上げたいと思います。
テーマは「不安定な未来」です。個人的な不安から生まれた物語ですが、共感いただける点もあるのではないかと思っております。
良くも悪しくも最後まで仕上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
こころもりょうち
新世界1-伝文 1
どんな夢でもいい!
まずはいいから夢を見ろ!
それが叶うか、叶わないか、
考える必要はない!
夢を見て、夢を追う場所に居ればいい!
妄想であろうと、
人に何と言われようと、
夢を見て、夢の中に生きるんだ!
独りよがりでもいい!
夢が必要なんだ!!
君が夢を見なければ、この世は終わってしまう!
君の夢がこの世の中を形成してゆくんだ!
夢は夢のまま、夢は夢の中で、
夢は夢を作ってゆく。
きっと2011年だった。
誰かが僕にそう言った。
そして僕は夢を見た。
深く長い夢だった。
ずっと西にある島篇およびオルタナエンタのあとがき
長い間、読んでいただいた方は本当にありがとうございます。
「ずっと西にある島」および前表題を含む作品、「こころもりょうちのオルターナティブエンターテインメント」はここで終了とさせていただきます。
今年の1月から始めた本作品は、当初の予定を大幅にオーバーし、9月末まで掛かってしまいました。(当初の予定では6月末くらいには終わらせる予定でした)
もともと本作品は世界観のみあり、物語の骨格がない状態からスタートさせたので、僕自身どう行き着くか、無事に終われるかは不明でした。「秋の森」「雨に沈む町」を経て、「ずっと西にある島」ではより理想的な世界をイメージし、そこで成長してゆく主人公を描くつもりでしたが、結局のところ、身勝手にとんでもない方向へと突っ走ってしまいました。普通に世界観を描いているだけではつまらなかったので、主人公キウ青年に走ってもらうこととなってしまいました。その方がおもしろく描けたのではと、勝手に思っておりますが…。
「ずっと西にある島」についてですが、この作品はもともと15年くらい前から原案のある作品ではありました。その時は、スィーホーの少年がグァンダーに来るという設定の物語でした。数年前に(個人的に)リメイクしようとしたのですが、世界観を描くばかりでつまらなく感じられたので、途中でやめてしまいました。
そこで「ずっと西にある島」の世界観を本作品に転用してみました。世界は複雑で勝手に作った言葉が山ほどあったために大変読みにくかったかと思います。小説のみで表現せず、地図や季節用語などいろいろな表や図にして表すこともできたのですが、なんとなく全て文にしてみました。
個人的にはわかりにくく何を言っているかわからない物語も好きなので、そうしてみてしまいました。ギリシャ神話のような不明な部分が多くある感じです。物語は神話でも歴史でもないので、こんなのはわけわからないなと我ながら実感はしていました。
意味のわかりにくい点を抜きにしまして、本作品では理想社会と人間の心との葛藤を表現しました。カルミンヌオールのケイチョウとキウとの会話が一つの物語の着地点となったかと思います。
欲望を抑えつつも一定の満足を得られる世界、それが理想社会には必要ではないかと思う。でも人の心はもっと複雑だからそういう押さえ込みを覆したい欲求に駆られるのではないか。僕自身が素直でないからそうなのかもしれないが、人とは本来そういう生き物なのではないだろうか?
一定に生きられれば世界は平和なはずなのに、人には自分だけが特別でありたいという欲求がある。そういう事から戦争が起きたり、社会的な競争が起きたりしている。一方でそういった人間らしさがあったから人間社会は成長してきたのかもしれない。
しかしここまで発展してきた世界の中で、人類はどこを目指すべきだろう?個人的な競争による自己満足を得るべきか、まだまださらなる発展を目指す競争をすべきか、それは一概にどちらが答えだとは言えない問題だとは思う。本作品ではケイチョウという人物を通して、欲望を抑えて生きる道を歩むという答えにしたが、これが正しい答えというわけでもない。欲望のままに外の世界へ飛び出すのも作品として描いても答えであったと思う。
そして主人公キウはそのどちらでもなく、ただ自らの望む、たった一つの愛を追求してもらった。もう一つの結論はそこにある。人生には社会とは関係なく、自分の望むべきものを追求するたくさんの人がいる。ここではカミを想うキウとして恋愛を描いたが、個人の趣味においても同じである。電車にこだわる人もいれば、スポーツにこだわる人もいる。僕なら小説にこだわるわけであって、その方向性の追求こそが社会的または基礎欲求とは少しずれたところにある人間らしい素晴らしきものなのではないかと思う。
人はこの世の中の未来をどう描き、どうしようとしているのだろう?また自分自身は何を追い求め、どこへ向って生きてゆこうとしているのか?本作品を通して、誰かがそんなふうに考えてくれたなら作者としては大変嬉しく思います。
さて、本作品は以上をもって終わりとなりますが、僕自身は今後も、こちらでブログ小説を続けさせていただきます。
物語の主人公であるキウがカミに逢えずに終わっているように、僕自身の小説人生もまだまだとても中途半端です。今後ともどこまでも変な小説を書いていきたいと思います(変とは別に文章はもっと上手になりたいが)
本作とは関係ありませんが、今後の方向性として、ショートストーリーを書いてゆくつもりです。
展開はさらに未定なのですが、小説という形にこだわらない文章を、今までにない感覚でさらに描いていけたらおもしろいと思っています。
小説を破壊し、さらなる小説に仕立て上げられたら自己満足です。さらに変な世界へと突入してゆきたいと思いますが、今後ともお付き合いいただけたら幸いです。
また本文章を読んでいただき、こころもりょうちの世界に興味を抱いていただき、物語を最初から読んでいただけましたら嬉しく思います。
そんなところであります。
以上、こころもりょうちでした。
ずっと西にある島 45.永恋
赤き、大きな太陽が西の空に見える。
太陽はどこまでも大きく、全てを燃やし尽くしてしまうかのように輝いている。
キウは大きな鳥の足にぶら下がり、ずっと遠くの太陽を眺めていた。
音は風を切る音と、鳥の羽ばたく翼の音しか聞こえない。
地表は雲に覆われていて、何も見ることができない。
果てしなく続く西の空、太陽の輝く方向へと大きな鳥は向っている。
キウは赤い光に目が疲れ、目を閉じた。
しっかり捕まっていないと、どこかへ飛ばされてしまいそうだから、キウにできる行動は瞳の開閉、後はせいぜい首を動かす事くらいだ。鼻水を擦る猶予もない。
鳥が雲を突っ切り、地上へと降りていった時にキウは感じた。
『ここはもう西の島ですらないだろう。
もう、僕は地表よりも低い世界に落ちていっているんだ』
灰色の雲の闇の先に落ちてゆく。太陽も同じように雲の下へと落ちていた。
そこは海ですらない。
雲の下で太陽は輝く。西の西には何もない。地の下には何も見えない。太陽の光さえ届かない。闇ですらない。そこは地が目に見えないほどの空がある。空の下には空がある。どこまでも遠く深い空。見上げた空の上が見えないように、見下げた空の下もまた見えない。その先にあるのは宇宙かもしれない。
大きな鳥はすばやく下降を続ける。
ただ落ち続けているだけかもしれない。
キウは目をチラッと開いては空圧に耐え切れず、目を瞑り、また開いて状況を確認しては目を瞑った。疲れが限界を超えていて、体は感覚を失っていた。それでも大きな鳥に捕まる力だけは残っていたのか、体から身を離し、飛ばされないように身を守った。
時が過ぎてゆく。
時間感覚さえも無に等しくなっている。
僕はどこへ行くのだろう?
光が陰となり、陰が光になっても、僕は変わらないだろう。
僕のやるべき事はカミを探すことだけだ。
それがいかに愚かで、くだらない事であっても、僕にはそれしか望めない。
叶った出来事がたとえ現実じゃなくて、本当にただの夢であってもいいだろう?
ここにある今だって、僕の感じている僕だけの世界にしか過ぎないんだ。
ただただ、僕はいつだって最も素晴らしい夢を追っていたいだけだ。
君といた、あの日あの場所のような時間を望んでいる。
あの日あの時、僕は夢を見、君も夢を見ていた。
夢と夢が重なり合う場所で、僕らは同じ望みの同じ夢を見ていただけかもしれない。
僕らの夢は再び交差し合うだろうか?
君と触れ合い、共に送った時間から、新たな夢が生まれただろう。
新たな夢はまた同じ夢を求める新たな夢を求め、未来へと繋いでゆくだろう。
僕は何の後悔もない。
この迷い道、この先に何もなくても、僕はカミ、君だけを求め続けるんだ。
果てしなく続く、異空間の先に、僕は僅かな希望を持って、ただ歩み続ける。
大きな鳥は徐々にスピードを上げていった。
キウは僅かなスピードの変化が起こるたびに、大きな鳥の足をしっかりと掴んだ。
見渡す限りの世界はあまりのスピードに光の粒子へと変わってしまった。
キウは光の粒子に覆われた。
光の粒子しか見えず、キウ自身も光の粒子になってしまったかのようだった。
やがて意識は失われ、全てが無になった。
全てが無になって、時が大きく隔てて、キウは波の音を耳にしていた。
穏やかな波の音が耳に入り、キウは自分の意識がある事に気づいた。
目はまだ瞑ったままだった。
ここはどこだか考えてはみたが、その答えをまだ知りたくはなかった。
浜辺に頬をうずめている。砂の感触が冷たく心地よく感じられた。
太陽の明かりは天より強く輝いているようだった。
目を開けば、そこにある太陽を見ることができるだろう。
けどキウは目を開けず、意識を失ったままのふりをしていた。
少しだけ影が覆い、キウの目の内の眩いばかりの明かりは仄かな明かりに変わった。
キウの目の上には人が立っているようだった。
優しく、甘い香りのする。女性の香りのようだった。
きっと黒く艶やかな髪の女性がそこに立っているにちがいないとキウは想像した。
でも目は開けなかった。
ずっと意識を失ったふりをしていた。
この先もずっと意識を失っていたかった。
夢を見ている気分が続けばいいと願っていた。
どこまでも夢のまま、現実に触れずに生きていたかった。
それでも生きている限り、やがて僕は現実に触れるだろう。
また痛みを感じながら、僕は現実で生きてゆく方法を学ばなければならない。
優しい事はそういくつもない。
生きている限り、現実が続く。
それでも夢に出逢いたい。
もう一度でいい。もう一度でいいから、君に逢いたい。
その夢を追って、僕は現実を生き続けてゆく。
やがて僕は目を開くだろう。
そこにいる誰かに出逢うだろう。
それまでしばらく僕はここで夢を見ていよう。
現実が夢に変わる日が来る事を今も僕は諦めていない。
きっと君はそこにいる。
僕は今日もその瞬間を待ち焦がれている。
僕は今日も夢と夢が重なり合う瞬間に、胸躍らせている。
ずっと西にある島 完