新世界12-孤島の物語 3
黄色い太陽は薄い雲の向こうに隠れ、
雲は太陽のエネルギーを力にして輝いて見える。
5月
光はまだ柔らかい。
優しさ包む温かみに笑顔 浮かべ 光の粒子を含んだ明かりを空気を吸い込んだ
ハナのスマイルはニコニコになってゆく。
大きな一眼レフのカメラを持っていた。
そしてそいつで自分の顔を写してみた。
笑顔でピース
永遠の平和が続く島の野原で笑ってる。
写し出された写真には幸せに詰まった生活感が溢れている。
わたしは元気です。
いつだってこんなに笑顔でした。
写真に残しているのは、いつか再会する貴方に自分を見せるため。
それだけじゃない。上手な笑顔はハナ自身を元気にしてくれるから。
いつだってわたしは幸せでした。
毎日は楽しいよって笑顔を浮かべているのさ。
新世界11-伝文 3
もっと怒りはあるはずだ!
だから殴り合って、殴り、殴って、
やがて笑い合えたなら、
煮えたぎる感情はほんのわずかだけ治まるはずだ。
君はまだ怒りのぶつけ先に気づけていない。
上手にぶつけなければ、ただ人を傷つけるだけになる。
正しい愛し方も同じだ。
正しい愛し方に向わなければ、全てが犯罪に変わってしまうだろう。
その事を重々承知して、ぶっ潰してゆけ!
君は夢の世界で暴れなくてはならない。
そして自らを掴んでゆけ!
カウンセラーは僕にそうアドバイスをした。
2012年初冬の事だった。
終わりない夢を見る事となった生活を送り出した僕は、上手に生きる方法を探しているだけだった。
それなのにカウンセラーは僕の望みは遥かに裏切って、
夢に生きろと言っていた。
まだこの頃僕は、その言葉に反抗する事しか出来なかった。
何も信じず、自らの道を探ろうとしていた。
新世界10-夢世界 3
2019年秋にいる。
カラスに支配されたゴミの山で、駄人は生きる。
やがて人が滅んだ世界でカラスの時代が始まるだろう。
彼らは賢いし、繁殖力も優れている。
もし人間が諦めずに繁栄の道を目指すならば、やがてカラスとの第4次世界大戦が始まるだろう。
カラスは新生命体とし進化を成し遂げていて、人類は退化して何とか生き残ったとしても、やがて滅んでしまうだろう。
僕はゴミの山を登りながらそんな無駄な想像を拡げる。
今はまだカラスと人類は上手に共存できている。彼らが求める食べ物に僕らは興味を持たず、僕らが求める金属に彼らは興味を示さない。互いが生きるために必要なものを集め合っている。
カラスに縄張りがあるように、僕らにも縄張りがある。
僕は僕の島を守って金属を探す。下手に新しい場所へ向うと恐いおじさんが出てくるかもしれない。
恐いおじさんは弱いおじいさんを追い立てて、新しい縄張りを広げてゆく。ゴミの山ではそんな権力闘争が始まっている。
微笑み王子のニシキ君だけは僕の仲間だ。彼は優しい顔をしているが、結構な力を持っている。僕の島のすぐと隣に島を作っているが、彼は僕がいないとき、僕の島を守ってくれているようだ。だから僕も彼がいないときは彼の島を守るようにしている。
僕らはそんな運命共同体だ!
ゴミの島に生きるブラザーだ!
今日は彼の姿が見えない。僕は一人この島で希少価値のある電気器具を探している。いつかはこの島も枯れ果ててしまうだろう。それまで僕は生きる術をここに持って生きていく。ニシキ君と共に。
新世界9-無職の暇人 3
秋晴れて、悲しい人のいない朝に僕はやってきた。
またこのすがすがしい空気を吸っている。
またこの気圧に触れている。
光は眩しく、白いマンションの壁に反射して、僕の目に触れていた。
通勤するサラリーマンに混じって、職紹介会社へ向かう。。。
心身しゃきっとしていない。
人のペースに付いてゆけそうにない。
全ての人に追い抜かされてゆく。
80過ぎのおばあちゃんにさえ追い抜かされてゆく。
ハロウィンのパンプキン人形にさえ、笑われているようだ。
こんな状態じゃあ、仕事はまだ見つからないだろう。
人行く中、自分の存在が浮いている。
ぽつんとしたひとりぼっちにされた孤独感が心の内に生まれる。
惨めさが育って僕はまた夢見の穴に暮れてしまうだろう。
新世界8-孤島の物語 2
春の息吹 芽生えの空に
東向きのキッチンには 柔らかい光が注いでいる。
オーブンには黄色い生地の甘いパイが焼けている。
家以上館未満の大きな家にハナは一人で住んでいる。
父の残したその家は青い光に包まれている。
昨夜、世話役のユーカイスは、その家の客室で一夜を明かした。
空は穏やかでも島を覆う海の波は荒い。
船頭の男は二度の往来を諦め、ユーカイスを迎えには来なかった。
こんな日も時にはあり、
ユーカイスはハナの他愛のない恋話を楽しむ一夜を過ごした。
翌朝の光の中、ハナがパイを焼く。
甘い香りに包まれたキッチン
テラスではブランチの準備が進められている。
ハナの心は弾む。
何気ない一日だけど、いつも一人ぼっちのハナにはこんな朝が嬉しい。
何気なく傍にいてくれる人、わたしはあなたにありがとう。