小説と未来 -95ページ目

新世界12-孤島の物語 3

黄色い太陽は薄い雲の向こうに隠れ、


雲は太陽のエネルギーを力にして輝いて見える。



5月


光はまだ柔らかい。


優しさ包む温かみに笑顔 浮かべ 光の粒子を含んだ明かりを空気を吸い込んだ


ハナのスマイルはニコニコになってゆく。



大きな一眼レフのカメラを持っていた。


そしてそいつで自分の顔を写してみた。


笑顔でピース


永遠の平和が続く島の野原で笑ってる。


写し出された写真には幸せに詰まった生活感が溢れている。



わたしは元気です。


いつだってこんなに笑顔でした。



写真に残しているのは、いつか再会する貴方に自分を見せるため。


それだけじゃない。上手な笑顔はハナ自身を元気にしてくれるから。



いつだってわたしは幸せでした。


毎日は楽しいよって笑顔を浮かべているのさ。


新世界11-伝文 3

もっと怒りはあるはずだ!


だから殴り合って、殴り、殴って、


やがて笑い合えたなら、


煮えたぎる感情はほんのわずかだけ治まるはずだ。


君はまだ怒りのぶつけ先に気づけていない。


上手にぶつけなければ、ただ人を傷つけるだけになる。


正しい愛し方も同じだ。


正しい愛し方に向わなければ、全てが犯罪に変わってしまうだろう。


その事を重々承知して、ぶっ潰してゆけ!


君は夢の世界で暴れなくてはならない。


そして自らを掴んでゆけ!



カウンセラーは僕にそうアドバイスをした。


2012年初冬の事だった。

終わりない夢を見る事となった生活を送り出した僕は、上手に生きる方法を探しているだけだった。


それなのにカウンセラーは僕の望みは遥かに裏切って、

夢に生きろと言っていた。


まだこの頃僕は、その言葉に反抗する事しか出来なかった。

何も信じず、自らの道を探ろうとしていた。

新世界10-夢世界 3

2019年秋にいる。


カラスに支配されたゴミの山で、駄人は生きる。



やがて人が滅んだ世界でカラスの時代が始まるだろう。


彼らは賢いし、繁殖力も優れている。


もし人間が諦めずに繁栄の道を目指すならば、やがてカラスとの第4次世界大戦が始まるだろう。


カラスは新生命体とし進化を成し遂げていて、人類は退化して何とか生き残ったとしても、やがて滅んでしまうだろう。



僕はゴミの山を登りながらそんな無駄な想像を拡げる。


今はまだカラスと人類は上手に共存できている。彼らが求める食べ物に僕らは興味を持たず、僕らが求める金属に彼らは興味を示さない。互いが生きるために必要なものを集め合っている。


カラスに縄張りがあるように、僕らにも縄張りがある。

僕は僕の島を守って金属を探す。下手に新しい場所へ向うと恐いおじさんが出てくるかもしれない。

恐いおじさんは弱いおじいさんを追い立てて、新しい縄張りを広げてゆく。ゴミの山ではそんな権力闘争が始まっている。


微笑み王子のニシキ君だけは僕の仲間だ。彼は優しい顔をしているが、結構な力を持っている。僕の島のすぐと隣に島を作っているが、彼は僕がいないとき、僕の島を守ってくれているようだ。だから僕も彼がいないときは彼の島を守るようにしている。


僕らはそんな運命共同体だ!


ゴミの島に生きるブラザーだ!


今日は彼の姿が見えない。僕は一人この島で希少価値のある電気器具を探している。いつかはこの島も枯れ果ててしまうだろう。それまで僕は生きる術をここに持って生きていく。ニシキ君と共に。


新世界9-無職の暇人 3

秋晴れて、悲しい人のいない朝に僕はやってきた。


またこのすがすがしい空気を吸っている。


またこの気圧に触れている。


光は眩しく、白いマンションの壁に反射して、僕の目に触れていた。



通勤するサラリーマンに混じって、職紹介会社へ向かう。。。


心身しゃきっとしていない。


人のペースに付いてゆけそうにない。


全ての人に追い抜かされてゆく。


80過ぎのおばあちゃんにさえ追い抜かされてゆく。


ハロウィンのパンプキン人形にさえ、笑われているようだ。


こんな状態じゃあ、仕事はまだ見つからないだろう。


人行く中、自分の存在が浮いている。


ぽつんとしたひとりぼっちにされた孤独感が心の内に生まれる。


惨めさが育って僕はまた夢見の穴に暮れてしまうだろう。


新世界8-孤島の物語 2

春の息吹 芽生えの空に


東向きのキッチンには 柔らかい光が注いでいる。


オーブンには黄色い生地の甘いパイが焼けている。



家以上館未満の大きな家にハナは一人で住んでいる。


父の残したその家は青い光に包まれている。



昨夜、世話役のユーカイスは、その家の客室で一夜を明かした。


空は穏やかでも島を覆う海の波は荒い。


船頭の男は二度の往来を諦め、ユーカイスを迎えには来なかった。


こんな日も時にはあり、

ユーカイスはハナの他愛のない恋話を楽しむ一夜を過ごした。



翌朝の光の中、ハナがパイを焼く。


甘い香りに包まれたキッチン


テラスではブランチの準備が進められている。



ハナの心は弾む。


何気ない一日だけど、いつも一人ぼっちのハナにはこんな朝が嬉しい。



何気なく傍にいてくれる人、わたしはあなたにありがとう。