新世界8-孤島の物語 2
春の息吹 芽生えの空に
東向きのキッチンには 柔らかい光が注いでいる。
オーブンには黄色い生地の甘いパイが焼けている。
家以上館未満の大きな家にハナは一人で住んでいる。
父の残したその家は青い光に包まれている。
昨夜、世話役のユーカイスは、その家の客室で一夜を明かした。
空は穏やかでも島を覆う海の波は荒い。
船頭の男は二度の往来を諦め、ユーカイスを迎えには来なかった。
こんな日も時にはあり、
ユーカイスはハナの他愛のない恋話を楽しむ一夜を過ごした。
翌朝の光の中、ハナがパイを焼く。
甘い香りに包まれたキッチン
テラスではブランチの準備が進められている。
ハナの心は弾む。
何気ない一日だけど、いつも一人ぼっちのハナにはこんな朝が嬉しい。
何気なく傍にいてくれる人、わたしはあなたにありがとう。