それでは「ゲティ家の身代金」批評いってみよー!!!!
[あらすじ]
・1973年に起こったアメリカの大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された事件を、「オデッセイ」「グラディエーター」など数々の名作を送り出してきた巨匠リドリー・スコット監督のメガホンで映画化したサスペンスドラマ。73年、石油王として巨大な富を手に入れた実業家ジャン・ポール・ゲティの17歳の孫ポールが、イタリアのローマで誘拐され、母親ゲイルのもとに、1700万ドルという巨額の身代金を要求する電話がかかってくる。
・しかし、希代の富豪であると同時に守銭奴としても知られたゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪であるゲティとも対立しながら、誘拐犯と対峙することになる。ゲイル役をミシェル・ウィリアムズ、ゲイルのアドバイザーとなる元CIAの交渉人フレッチャー役でマーク・ウォールバーグが出演。
・ゲティ役をケビン・スペイシーが演じて撮影されたが、完成間近にスペイシーがスキャンダルによって降板。クリストファー・プラマーが代役を務めて再撮影が行われ、完成された。
[スタッフとキャスト]
監督はリドリー・スコット! 1937年生まれで2018年で81歳!
エイリアン、ブレードランナー、ハンニバル、グラディエーター、数を上げればきりがない名作の数々。
世界的に見ても、SF映画やアクション、サスペンスなどで俺たちのみたい映画を大量につくってくれる、俺たちのリドリー・スコットです!!! いや、かなり年上なんでスコットさん、スコット様と呼ばせてください。
弟のトニー・スコットを亡くしてからは「エクソダス神と神」で神の存在を投げ捨て、今後の作品作りが危ぶまれたのですが、その後「オデッセイ」で人類の底力を賞賛する人間賛歌映画を作り、エイリアンの続編、制作ではブレードランナーの続編、オリエント急行殺人事件、もう年に何本のペースで撮ってるんだよ!!!
年が上がるごとにペース早いんじゃないの?
とにかく、多作なのに良作を連発する凄まじい老練監督でございます。
で、私Machinaka的には大好きな監督で、なんたって映像美に拘る人なんですよ。
映画監督の前は美術大学を出て、成績優秀で絵画のプロを目指していた時期もあるんですよね。
そしてBBCでCMを制作する仕事をしていたこともあり、一発で人を振り向かせる強烈な絵作りはお手の物。
映画館で見る価値がある作品が多いので、リドリー・スコット作品を家で見て「普通じゃね」って言ってる人は、見方違ってますから!!! 彼の作品は映画館のスクリーンで見てこそ意味がわかったり、感動したりするんです。
[制作前に一悶着あった]
この映画はちょうどハリウッドのMetoo運動の最中に制作されてまして、その被害を受けた(言い方悪いですけど)作品なんですよね。
もともと今作の主人公のお金持ちのおじいさんを、ハウスオブカードでも有名なケヴィン・スペイシーが演じるはずだったんですが、撮影を終えてからケヴィンが14歳の少年に性的暴行を加えた疑惑が浮上。彼は映画を降りることになったのです。
代役はクリストファー・プラマーとなりましたが、追加で撮影が大量に必要となりました。
騒動はまだ終わってないです。追加の撮影が必要となり、もともと撮影に参加していた俳優に別途ギャラが発生したのですが、主演級のマーク・ウォルバーグとミシェル・ウィリアムスで、ギャラの格差が発生していたのです。
Michelle Williams was paid just $1,000. And the situation only worsened when it was reported two days later that Wahlberg had essentially held the movie for ransom, refusing to allow Scott to hire Christopher Plummer until he was paid. The outcry was swift, and this weekend Wahlberg announced that he will donate the entirety of his re-shoots salary to Time’s Up—in Williams’s name.
“Over the last few days my re-shoot fee for All the Money in the Worldhas become an important topic of conversation,” Wahlberg said in a statement on Saturday. “I 100 percent support the fight for fair pay and I’m donating the $1.5 million to the Time’s Up Legal Defense Fund in Michelle Williams’ name.” His agency, WME (which is also Williams’s agency), announced that they’d be adding an additional donation of $500,000.
な、なんとミシェル・ウィリアムスが1000ドルのギャラだったのに対して、マークウォルバーグは150万ドル・・・
なんと賃金格差が1500倍という恐ろしい男女格差が生まれていたんですよね。MeToo運動がこんなところにも隠れていたんです。書いてある通り、ウォルバーグはMetoo運動を支援する弁護士費用のためにギャラを全額寄付し、追加で50万ドルの寄付を行うということらしいです。
今作の原題は「All the Money in the World」ということで、世界中の全ての金という意味なんですけど、マークウォルバーグが全てのギャラを寄付することになったという、なんとも皮肉な結果になっているんですよwww
いろいろスキャンダルが多い作品ですが、内容に影響しないといいんですけどね、、、、
それでは映画の感想でっす!!
[映画の感想]
可愛い孫が誘拐され、身代金を要求されても「払わない」という超ドケチ根性満載の金持ちジジイの金の執着に驚愕!!
ブラックユーモアを交えながらも、身代金を払いたいお母さんミシェル・ウィリアムスと絶対に払いたくないジジイ、間を取り持つマーク・ウォルバーグの三角関係が楽しい大人のサスペンスに仕上がってましたっ!!!
[ブラックユーモアの効いたゴージャスサスペンス]
映画の公開前にいろいろあった作品ですが、内容に影響なく、面白くてよかったです。
今作は実話で、金持ちジジイのゲティは石油で財を成したんですよね1971年ではゲティの資産は世界一で、世界で一番金を持っているゲティ家の孫が誘拐されたという事件を描いたものだったんです。
これだけ金持ちなのに身代金すら払わないっておかしいと思うんですけど、ここにこそ今作の面白さが詰まってるんですよね。いや、実話だし実際の子供が誘拐されてるんだから危ないんですけどねww
さて、よくよく考えれば、ゲティのジジイにとっては義理の娘であるはずの母親が身代金すら払えないのかってツッコめると思うんですけど、ゲティからお金の支援は一切ないし、一緒にも住んでないし、ほとんど他人みたいなもんなんですよね。
だから身代金もジジイに頼まなきゃいけなくなるんです。
この映画で大事なのは、「金持ちジジイが身代金を払わないなんてケチでゲスな野郎だな!」という見方ではなく、「なぜこのおじいさんはお金を出し渋るのかな?」という疑問を持って見て欲しいんですよね。
そうすれば、彼が絵画や彫刻などの芸術品を愛してやまない理由がわかります。彼の異常な金の執着を通して、金の恐ろしさだけでなく、金と財・サービスの価値について改めて考える良い機会になると思います。
ただ、人命が掛かっている出来事ですので、「早く金出せよジジイ!」って思うんですけど、そこは斜めにモノを見ていただければと思います笑
だってどうしようもないじゃないか!!! これが資本主義だろwwwww
ってすいませんw
誘拐事件を表では描いていながらも、これを通してお金の価値、物事の価値について考えるテーマにもなっていたのが良かったですね。
ゲティジジイを通して、「妥当なお金とは何か」を徹底的に考える映画で、身代金の妥当性や絵画の妥当性や、ひたすらゲティジジイが一人「なんでも鑑定団!」をやるわけですよ。
吹き替え版は紳助さんがやったら面白かったねw
そんな金持ちジジイに振り回されながらも、楽しんでもらえれば嬉しいです。
また、リドリー・スコットも絵画について造詣が深いため、この映画を通して絵画の価値を知って欲しい、彼なりの絵画の存在意義を説いた映画なんじゃないかとも考えてしまいました。
リドリースコット=ゲティジジイとは考えたくもないですが、絵画の価値を本当に理解してるのは共通点じゃないのかと。
[金持ちが絵画にハマる理由]
この映画を通して、いかにして金持ちが絵画にハマるかが分かるのが良かったですね。
ゲティジジイが「人は変わるが絵画は変わらない」という名言を残しますね。
人には裏切られることはあるけども、絵画は裏切らない、その美しさは変わることがないという、人間として終わってる発言を吐くんですけどもwwww
ただ、そんな発言を引き出すほど、金を持ってる人間はそれだけ苦しいこともあるって話なんですよね。
ゲティ家には毎日手紙が届いて、「寄付をしてください」「病気の子供を助けてください」とか、いろいろ金をせびろうとしてくる奴らからの願いがあるわけです。
中には本当に子供を助けたい手紙があるかもしれないけども、手紙からじゃ本当のことはわからない。数が多くて困る。という金持ちならではの辛さもあるわけですよ。
ゲティジジイの偉いところはですね、一応その手紙を読むことは読んでるんですよねw まぁ金払わないですけどww
まとめると、金を持ってると周りの人間が変わっていくわけですよ。宝くじを当てた人が悲惨な末路を遂げてしまうのと同じで、金が人を変えてしまうんですよ。
普通の人より、人に裏切られることの多い金持ちなので、何か安定したものが必要なんですね。
そんな流動性のある人間世界の相手ばかりをすると、精神がおかしくなってしまうんです。
だから、ゲティは美術品を眺めては普遍的な価値を確認しているのではないでしょうかね?
金持ちであるからこそ、転落するのが不安だったり、人に裏切られる、変化が激しい社会に耐えられない、、
だからこそ、昔から変わらぬ普遍的な価値に、大金をはたくほどの価値を見出してるのではないでしょうか?
[マーク・ウォルバーグの一言]
マーク・ウォルバーグがミシェル・ウィリアムスに放った「金を持つとダメになるからな」というセリフ。
先ほども言いましたが、マーク・ウォルバーグは追加のギャラを全て寄付し、MeToo運動に使うお金に変わったわけです。
つまり、マーク・ウォルバーグのこのセリフは「一人がお金を独占すること=自分だけお金をもらいすぎていること」が良くないって言っているセリフにも聞こえるわけで、実際に起こったミシェル・ウィリアムスとの賃金格差問題を示唆するようなセリフにも言い換えられる!!!!
これ、偶然かどうか分かりませんが、もし賃金格差がわかった後にこのセリフを入れていたとしたら、、、マーク・ウォルバーグカッコ良すぎて濡れるぜ!!!!!!!!!兄貴!一生ついていくぜ!!!!
是非是非ご鑑賞ください! オススメです!!!
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