田母神前空幕長の論文について、韓国、「中央日報」の冷静で勇気ある論評。 | こころ、デトックス

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自傷癖国家日本。絶滅危惧種日本人。

田母神俊雄前日本自衛隊航空幕僚長の論文騒動(韓国から見た日本の混乱は”騒動”と映るらしい)については、わが国では「侵略戦争を正当化する論文」(ぬれぎぬ論文)であり、誤った歴史認識として糾弾され、競って「日本の犯した侵略戦争」のアピール合戦の様相である。


残念なのは、先の大戦の検証や、戦後60年を経た日本の現在の戦争責任について、あるいは将来の日本のとるべき立場等々「歴史認識」についての議論の端緒(文章の成否やレベルを超えて)になるべき論文が、無許可の民間懸賞(本当だとしたら最悪だが、企業との癒着まで問題化している)であったことである。


更に、瀕死状況の麻生政府が、「ともかく蓋をしてしまえ」と稚拙な処理をしようとしたことも混乱に拍車をかけた。

以下に、当問題について、韓国側から見た論説、「中央日報」のコラムを引用したが、このコラムに限って言えばよほど冷静で勇気ある論評に思える。  


明治天皇が軍人に下賜した「軍人勅諭」や、「無謀な昭和戦争に道をひらいたのは歴史の教えるところである」などと、今更ながらの「条件反射的自傷」記事の「読売新聞」コラム”編集手帳”と読み比べてもらいたい。

悔しいが、韓国のほうが、いたずらに過去の傷を暴き攻撃し合うより、より良い未来の日韓関係を探っているようにも思う。


「政治をないがしろにする空気はありや、なしや。」 同じことを「マスコミ」に問いたい。



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【コラム】対日「条件反射」もうやめよう

米国ドラマ『24』ではデイビッド・パルマーという政治家が初めて黒人米国大統領に当選する。しかし前途多難で参謀と閣僚たちの裏切りにより大統領職から追い出され、結局暗殺で最期を迎える。そんなふうにドラマ、映画などに登場した黒人大統領が現実の世界に誕生するのをみるとやはり政治は生物で、固定観念は崩れるために存在するようだ。

田母神俊雄前日本自衛隊航空幕僚長の論文騒動を見ながら痛々しいほどに執拗な日本極右派の固定観念をいま一度確認した。「大東亜戦争を経験しなかったら、現在のような人類平等の世界が来るのは100年、200年遅くなったかもしれない」などの内容から見て、論文と呼ぶには厳しい粗雑の極致だ。しかしこのような粗雑な固定観念が所信や信念で包まれ、現実の世界で影響力を発揮することは問題だ。日本の世論が論文の内容に対する反論を超えて、このような愚かな姿を先端兵器で武装した5万兵力の総責任者につけた人事システムと文民統制の危機を取り上げるのは当然だ。

一方で、韓国社会には日本に対する固定観念がないのか、あれば根拠のある信念なのかそれともステレオタイプ化した条件反射の産物なのか、いま一度振り返る必要がある。私は植民地被支配の痛々しい記憶が60年以上過度に代表性を帯びる現象には問題があると思っている。学界・言論界など社会の多くの分野で植民地問題が一種の強迫となって作用し、現実を冷静に読みとることができない場合がたびたびあるからだ。

一例として植民地近代化論を挙げてみよう。日帝統治下を以前のように収奪-抵抗の図式だけで説明せず、侵略-開発の2つの側面を同時にきちんと見てみようというのが植民地近代化論だ。

最小限、既存主類学説の弱点、虚点を補う機能だけは学界でも否認することができないだろう。

それなのに少なくない人々がただちに「植民地近代化論=親日」と規定してしまう。非理性的で非合理的な手法だ。親日-反日構図が長年の歳月転嫁の報道、万能の新薬のように通用してきた結果だ。

しかし相対的に柔軟な文化界で固定観念を脱する気配が見える。『奴×3』『ワンスアポンアタイム』『モダンボーイ』『京城スキャンダル』のような映画やドラマが証拠だ。日帝統治下に収奪される朝鮮人と満洲原野の独立軍だけいたわけではないというところに目を向けたのだ。

日本の進歩・左派知識人に対しても多くの人が固定観念を持っている。日本進歩派は善で良心的知識人という考えだ。もちろん彼らは植民地支配や教科書問題などで韓国と立場が合致する場合が多い。そうする度に私も彼らを歓迎するしありがたく思う。しかし彼らも過去に継続的に過ちを犯したことがある。進歩的雑誌 『世界』を中心に韓国は悪、北朝鮮は善という途方もない固定観念をふりまいていたのだ。いくら朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が独裁をしていたといっても北朝鮮の苛政に比べるところではなかった。

早稲田大の西川潤氏は1971年、北朝鮮を訪問してから『世界』に「北朝鮮の経済的・社会的発展は人類歴史上類を見ないひとつの奇跡」と書いた。北送在日韓国人に対して「日本で失業状態にあった帰国者たちは本当に極楽浄土に安着したと言える」と主張した北朝鮮訪問記も『世界』に掲載された。金日成主席をまるで神さまであるかのようにおだて、朴正煕元首相は狂人や獣のように扱った。(ハン・サンイル 『知識人の傲慢と偏見』)

とても近いからか。韓国と日本が互いを見る目にはまだ苔がぎっしりはりついている。時間がかかってもきちんきちんとはがす作業が必要だ。もちろん田母神前幕僚長はこれにはまらず、まったくの文盲のケースにあたる。


田母神氏、昨年も侵略を正当化した論文発表



ノ・ジェヒョン論説委員兼文化専門記者/中央日報 Joins.com

2008.11.07 12:53:19



11月7日付 編集手帳

 明治天皇が軍人に下賜した「軍人勅諭」に〈(軍人は)政治に(かかわ)らず…〉とある。以下、〈只々一(ただただいち)()(おの)が本分の忠節を守り〉と続くのをみれば、「政治にかかわらず」が「関与せず」の意味であるのは疑問の余地がない

◆それを「時の政治がどうであれ、意に介することなく」と都合よく読み替えた軍人たちが、無謀な昭和戦争に道をひらいたのは歴史の教えるところである

◆時の政治がどうであれ――の黴臭(かびくさ)いにおいが鼻先をかすめた。「わが国が侵略国家だったというのは()(ぎぬ)だ」等々、政府見解と異なる論文を発表して航空幕僚長が更迭されたが、ひとりの逸脱ではなかったらしい◆「真の近現代史観」をテーマとする懸賞論文は空幕教育課が全国の部隊に応募要領を通知し、幕僚長のほかにも78人の航空自衛隊員が応募したという。組織を挙げて奨励した経緯と背景を防衛省は解明する責任がある

◆論文の内容に一理ある、ないの話ではなく、中国や韓国が怒る、怒らないの話でもなく、ましてや退職金を返納する、しないの話ではない。政治をないがしろにする空気はありや、なしや。その一点である。

2008年11月7日01時33分 読売新聞)


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田母神俊雄前航空幕僚長の論文 :  「日本は侵略国家であったのか」全文


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