PURE-BUCKER
は大分のピックアップビルダーTM Pickupさんがハンドワイヤリングする、P.A.F.クローンのハムバッカーです。
う〜ん…機能美…(=´∀`)
TM Pickupさんのお眼鏡に叶ったコイルがある時にだけ製作され、オークションのみで販売されているようです。
最近では特別なコイルで巻かれたPremiumとStandard、P-90などもたまに見かけますが…
10年前、このピックアップと出会ってから、ハムバッカー…
…いや、ピックアップ…
…いや、エレキギターへの考え方がまるで変わってしまい、当ブログでもその出会いや…
搭載してみての感想や…
旧型より抜けが良くなって骨格がしっかりした印象に感じます。
穏やかで繊細な印象が旧型の特徴、新型はハリと芯が強くなっていると思っておりんす。
ここ3年間(2019~2021)で物色してきたアメリカ(2社)、ヨーロッパ(2国各1社ずつ)製の42ゲージプレーンエナメルコイルの中から、エナメル皮膜の乗り・コイル線径の両面において個人的に最も納得のいったコイルを厳選して巻いております。
AWG42のプレーンエナメルコイルは規格線径の長さが0.0026(0066mm)~0.0028(0.071mm)となっており、その誤差はエナメル皮膜の乗りが左右するのですが、私個人的にはその僅かな誤差が音の太さ(特に1~3弦)や中域の厚みや艶に影響影する様に感じております。
これまで10年程、自宅にてハムバッカーを製作&当オークションに
出品させて頂いておりましたが、2019年頃から精錬技術の発達と比例してか、
それまで輸入していたアメリカ(MWS Wire industriesおよびMOJOTONE製:こちらは現在生産終了)のエナメルコイルの線径が徐々に細くなってきており、それ以降はアメリカ国内の他工場(もう一社)およびヨーロッパ(2カ国)の方で物色しては実験を繰り返しておりました。
その結果今回、どうにか個人的に納得出来るコイルを幾分か確保出来ましたので今回はそれを使って巻いております。
基本的に完成後は手持ちのダブルホワイツP.A.F(以下のブログに写真載せてます。
http://takabon25.seesaa.net/article/480799611.html)と何度も比較試奏したのち個人的に納得のいった物のみ出品させて頂くという形となります。
(納得がいかない物はバッサリコイルを切ったのち、またシコシコ巻き直します。)
コイル巻きは初期のPAFの製造工程同様(オリジナルP.A.Fと初期ナンバードは
Slug 101というワインディングマシーン+指送りで巻かれておりました。)、
細かく速度調整が可能なワインダー(巻き線機)+コイル指送りで、コイルが伸びない必要最小限かつ均一なトルクを保ちつつも、巻きムラが起こらぬようコイルの残像が見える程度の超低速にて指先の感触のみを頼りに、1ボビン2時間程かけて丁寧に巻いております。(俗に言う手巻きというものです。)
逆に不安定なトルクかつこの巻き時間を節約すると(1ボビン数分~数十分などで巻きますと)あまり良い物が出来ないというのがここ10年の経験上、悟った事ではあります。
使用するワインダーはツマミで巻き速度がかなり細かく調整出来るタイプの物を使っておりますので、終始均一なトルクを保持しつつもコイルが伸びない超低速で巻く事が可能です。
また、このオリジナル工程ですと手巻きの際に最も重要視されるコイルガイドを
行う右手のみに全神経と意識を集中させる事が出来ますので、右手の工程が粗雑になり難いという点が、最も大きな利点かと思われます。
(逆にこの右手のガイド調整が粗雑になりますと、コイル間に空気が入り込み
ハウり易くなると同時にインダクタンスにも乱れが生じ、音色に雑味が入ります。)
10年も巻いておりますとそれなりにコツも掴めてきますが、巻きのテンションや速度、巻き方、巻き上がりの形状で同じコイルでも全く別の音になりますのでかなり奥の深い世界ではあります。
巻き数は私自身が最も好みサウンドである巻き数多めの
59年製ダブルホワイツPAFと同じ程度(抵抗値から逆算)の巻き数の
組み合わせで巻いております。
なお、ハムバッカー最大の欠点であるハムキャンセル時の副作用(左右のコイルから出る信号の相殺)を最小限に抑える為には、左右の巻き数に差を付けるのが最も手っ取り早い方法なのですが、その場合
ゲインを上げるにつれ生じる中域のブリブリとした音の段差(これをレンジが広くなったと表現する方も居られるみたいです。)が私個人的にどうしても気になり好きになれませんでした。
その為、巻き数を同じにしつつも信号相殺を最小限に抑える為に
今回はコイルの巻き方に少し工夫を凝らしつつ、また部材自体にも少し特殊な加工をしております。
(ただし、ここは企業秘密という事で。)
これにより、あくまで私の聴覚上ですが、巻き数に差をつけずにオフセット効果と似た効果を得られたと感じております。
直流抵抗値は手持ちのデジタルテスターで気温25度にてリアが8.3kΩ、フロントが7.98kΩとなっております。
(測定環境の気温、湿度により変化します)
ボビンはオリジナル同様ブチレート樹脂製カラーはゼブラカラー
リード線は前後共に30cm程です。
59年製ES-335等のホロウ系ギターに搭載されていたダブルホワイツP.A.Fの
中でも特に高出力な物をモデルとしておりますので、パワー感があり
ロングサスティーンな物に仕上がったと感じております。(私感)
マグネットはPAFと同じ仕様のun-orientedアルニコⅤマグネット(59年頃から登場)を搭載。(磁曲線が1方向のみでは無く他方向にランダムに発生したものです。)